目次
価値観の定義
価値観の押し付けをする人は、どのようなタイプなのか?
人間関係において、価値観の合う合わないはとても大事なことです。その「価値観」とは、どのような意味を持つ言葉なのか改めて考えてみましょう。
広辞苑には
- 何に価値を認めるかという考え方。
- 善悪・好悪などの価値を判断するとき、その根幹をなす物事の見方。
とあります。
かみ砕いて言うと、物事の良し悪しを判断する人それぞれの基準とでも言うのでしょうか、「価値観」を「基準」や「ものさし」と表現するとわかりやすいかと思います。基本的には物事に対して人の考え方を示す言葉で、この中には「人生観」や「仕事観」なども含まれます。
価値観は「自分の人生の生き方」でもあるので、誰一人として同じ価値観を持っている人は存在しません。これまでの環境や経験など、さまざまな要因が影響して形成されていくのですが、同じ環境で一緒に暮らしている兄弟ですら、それぞれ違う価値観を持っているものです。
また、生まれた国や地域、自分を取り巻く風習の中でいかにして育ったか、そしてそれをどう受け取るかが、価値観を大きく左右します。あるポイントで同じ価値観を持つことがあったとしても、一人ひとりの価値観は違って当然なのです。
《 ポイント 》
- 「価値観」とは物事の良し悪しを判断する人それぞれの基準。
- 誰一人として同じ価値観を持っている人は存在しない。
価値観の押し付けとは
どんな世界にも「自分の考えは絶対に正しい」と、価値観の押し付けをしてくる人がいます。自分至上主義、負けず嫌い、頑固といった心理から起こることなのかもしれませんが、他の価値観を受け入れられない人ほど、自分の価値観の押し付けを強引にしまうようです。
特に、価値観の違う上司と部下が衝突することはよくあることで、友人同士が仲良く世間話をしている時でも、価値観の違いによる食い違いは起こります。価値観の押し付けをするのは、相手に「自分のようになれ!」と言っているようなもので、相手の自分らしさを否定する行為だと思いませんか?
新たな価値観の押し付けをもたらしてくれる人もいる反面、立場が強い者が弱い者に強引に価値観の押し付けをするのは、パワハラにつながる可能性もあります。自分が一番正しいからと、他人へを押し付けるではなく、相手の価値観を受け入れた後に自分の考えを伝えるのが得策でしょう。
《 ポイント 》
- 「自分のようになれ!」と言っているのと同じで、相手の自分らしさを否定する行為。
価値観の押し付けをする人の特徴
自分こそが一番正しいと思っている
価値観の押し付けをする人は、「自分の考えていることが一番正しい」と、本気で思い込んでいます。ということは、「自分と価値観が違うなんてあり得ない!」と相手を否定し、他人の意見を受け入れようとしません。
とは言っても本人に悪気はなく、ただ単に自分の考えが一番正しいと思っている自分至上主義者なだけです。ときには暴走し過ぎては周りを巻き込み、面倒なことになってしまうのです。
頑固で自分の考えを曲げられない頑固者
価値観の押し付けをする人の性格は「頑固」です。一旦こうだと思ってしまうと、後で違うと気づいたとしても最初の考えを変えることがなかなかできません。
思い込んだら一直線というのが価値観の押し付けをする人の特徴です。とにかく自分の考えに根拠なき自信をもっているので、思い込みで突っ走ってしまいます。
プライドが高い
プライドが高い人は、そのせいで自分の間違いや負けを認めることができません。頭の片隅で自分の言っていることは間違いだとわかっていても、それを認めると見下されるかもしれないという、恥ずかしさや悔しさの現れなのでしょう。
そんなプライドと劣等感が、価値観の押し付けをする人にさせているのではないでしょうか。
相手をコントロールしたいという支配欲
中には、強い支配欲から無理やり価値観の押し付けをする人もいます。相手を自分の思い通りにコントロールしたいという思いからくる行動です。例え、優しく穏やかな口調であったとしても、相手に有無を言わせないように諭す人だとしたら気を付けましょう。
支配欲の強いタイプは、自分の言うことを聞いてくれそうな人を見つけるのがとても上手で、実際にコントロールするのもたやすいようです。
正義感が強い
価値観の押し付けをする人で正義感が強いタイプは、ルールを守ることに異常に固執します。ルールから外れる人は悪い人間と思い込んでいるので、そういう人をそう簡単に許すことができません。
このような人と一緒にいると息苦しさを感じてしまい、時にはそれが原因で衝突してしまうこともあるでしょう。
世話を焼くことが相手のためだと思っている
価値観の押し付けをする人でアドバイスが好きなタイプは、人の世話を焼きたがります。「あなたのため」と言いながら、ついつい自分の価値観の押し付けをしてきますが、お節介以外の何物でもないことも。
噂話しが好きで人の相談にのるのが大好き、そして相手がいざ相談すると「もっと~しなきゃダメでしょ」と余計なアドバイスをして相手の価値観を否定するのが特徴です。当の本人は、相手を思いやってのアドバイスであって、自分は良いことをしているんだと満足しきっています。
《 ポイント 》
- 自分の考えが一番正しいと、本気で思い込んでいる。
- 頑固でプライドが高い。
- コントロールしたいという支配欲が強い。
- 正義感が強くルールを守ることに固執。
- 人の世話を焼くのが好き。
価値観を押し付ける人と上手に付き合うには
相手の考え方を知ったうえで会話をする
価値観の違う人と上手にコミュニケーションを取るには、会話が成り立つように努力することも必要です。事前に相手との考え方の違いを知っておくと、どのタイミングで暴走するのかがわかるので、相手を刺激せずに済みます。
相手の価値観を尊重して受け入れる気持ちで会話をしていくと、お互いに心を許せる関係になれるかもしれません。「この人はこういう考え方しかできないんだ」と、相手の価値観を大きな心で許しましょう。
それができればイライラすることも少なくなり、価値観の押し付けをする人の対応も苦になりませんよ。
話しを聞いているフリをする
価値観の押し付けをする人は、自分の話しを黙って静かに聞いてくれる人、口答えをしない人が大好きです。
言い返してくる人にはプライドが刺激され怒ってしまいますから、価値観の押し付けをする人の話しに「うん、うん」と相づちを打つだけでいいのです。質問もせず、話しを聞いているフリをして、すべてを真に受けないように聞き流しましょう。
それとなく違う話題へ話をそらす
価値観を押し付ける人と話していると、アドバイスという名ばかりのお節介が始まることがあります。
その場合にはそれとなく違う話題に話をそらすように仕向ける方法もあります。アドバイスをされるくらい親密にならないように、距離をとった付き合い方をするように心がけた方が無難かと思います。
《 ポイント 》
- 事前に相手との考え方の違いを知っておく。
- 話しを聞いているフリをしてすべてを真に受けない。
- アドバイスをされるくらい親密にならない。
自分が価値観を押し付けないためには
相手のために良かれと思ってやったことでも、不快に思われることがあります。
一方、自分の言っていることは正しいはずなのに、どうしてわかってくれないのか不満に感じることがあるかもしれません。そこで、自分の価値観の押し付けを相手にしないように気を付けることについて考えてみましょう。
「自分」と「相手」の価値観は違うことを認める
人は皆、自分の価値観というものを持っていて、「正しい」か「間違い」か「常識がある」のか「非常識」なのかを独自に判断しています。これはどちらが正解ということではなくて、それぞれの価値観が違うということです。
相手の価値観を無視したコミュニケーションの取り方ではなく、自分と相手の価値観は違うと認めることができれば、お互いにとって良い関係性が築けるようになるでしょう。
正論が相手のためになるとは限らない
自分が「正しい」と思うことを相手に何が何でも理解させようとする人がいます。相手のことを思って言ったことでも、言われた方は気分を害してしまうかもしれません。
受け取る側の事情や気持ちを考えずに、自分の「正論」を頭ごなしに押し付けてしまったら、今までの信頼関係があっけなく崩れてしまいます。たとえ善意で言ったことでも、相手が受け入れられなければ相手のためにはならないのです。
相手の価値観を認める
自分の価値観は横に置いて、相手の価値観を認めて理解する姿勢がなければ、ギクシャクした関係になってしまいます。先に自分の価値観の押し付けをしまうと、頭ごなしに決めつけられているようで不快な気分になるでしょう。
反対に、自分の気持ちを理解してもらえたと思えば、こちらの意見にも耳を傾けてくれるはずです。あなたの意見を聞きたいと思われるような信頼関係を築いてから、自分の考え方を柔軟に伝えるようにすると価値観の押し付けにはならないのではないでしょうか。
《 ポイント 》
- 自分と相手の価値観は違うことを認める。
- 受け取る側の事情や気持ちを考えずに正論を押し付けない。
- 自分の価値観は横に置いて相手の価値観を認めて理解する。
最後に
ここまで、「価値観の押し付けをする人の特徴」と「上手に付き合うコツ」、さらには「自分が価値観を押し付けないために気を付けること」を解説しました。価値観の押し付けをする人はどこにでも存在します。
会社にも家庭にも、友人知人や恋人にも、そしてSNSにも…です。価値観は物事の考え方や人生の生き方そのものでもあるので、それを押し付けられても余計なお世話にすぎません。だからと言って相手の価値観を否定すると、後々大変なことに発展する可能性も。
相手の価値観をすべて受け入れる必要はありませんが、違う考え方もあると理解するだけでも気持ちに変化が生まれ、悩みも解決できるでしょう。
この記事を参考にして、どうして自分の価値観の押し付けをしたがるのか、その心理とそれに適した対処法を知って、良好な関係性を築いていきましょう。