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中が空洞になっている人参は食べても大丈夫?
中が空洞になっている人参は食べることができます。中に虫が入って人参を食べてしまったわけではありません。中が腐って溶けてしまったわけでもありません。実は、野菜は中に空洞ができてしまいやすいです。
買って来たばかりの人参に空洞ができていたらガッカリしますよね。食べることはできますが、気分が良いものではありません。後半では空洞がない人参の選び方をご紹介しますのでぜひお役立てください。
人参にできる空洞の正体と原因
人参にできる空洞の正体は「す」?
人参の中にできる空洞は「す」と呼ばれています。漢字で書くと「鬆」なのですが、何だか見覚えのある漢字ではありませんか?
骨がスカスカになるとされている「骨粗鬆症」です。空洞ができた人参の断面と骨粗鬆症を患った骨の断面を比べてみると何だかよく似ています。鬆ができた人参は食べられるけれど、決して健康的ではないということがお分かりいただけるのではないでしょうか。
なぜ人参の中に「す」ができるの?
人参の旬は冬です。冷たい冬を乗り切るために人参は栄養を蓄えます。しかし、春が近づいて暖かくなると栄養を蓄えることをやめてしまいます。そうすると、これまでに蓄えてきた栄養が肥大化し、少しずつ水分を奪いながらスカスカの空洞を作り出してしまうのです。
人参の空洞は食べ頃を過ぎたサイン
人参を買ってから長く保存していると中に空洞ができてしまうことがあります。冷蔵室や野菜室で保存されていた場合にも少しずつ水分が奪われてしまい、中がスカスカになってしまうことがあります。
冷蔵室や野菜室で正しく保存されていたのであれば、人参の賞味期限は収獲された日から1カ月ほどです。購入した日から1カ月ということではないため、必要な時に食べきれる分だけを購入し、残った場合にもなるべく早く食べ終えた方が空洞を防ぐことができます。
人参にできる空洞の正体はとう立ち」って何?
人参には「栄養成長」と「生殖成長」があります。私たちが普段食べている人参は栄養成長によって収獲された人参です。そして、人参を生殖成長させる目的は種子を残すためです。栄養成長を終えた人参は生殖成長へと変わり、「とう立ちする(薹立ち)」と呼ばれる状態になります。
「とう」とは花を咲かせる茎のことなのですが、とう立ちの段階に入った人参の茎はぐんぐんと伸びて1mほどの高さにまで成長します。その茎の先には土に埋まった人参が存在するのですが、中に空洞ができてスカスカになっている状態です。
中に空洞ができた人参が売られている理由
とう立ちとは栄養成長を終えて生殖成長へと変わった状態のことを言いますが、人参の空洞ができる原因は収獲が遅かったことにあります。まだ栄養成長をしている段階で収獲時期や食べ頃の人参だと思って収獲したのでしょう。消費者の手に渡って調理される段階になるまで中の空洞に気づけないのです。
空洞ができた人参は腐る直前?
人参の中に空洞ができたからといって今すぐに腐るわけではありません。腐り始めている、もしくはすでに腐ってしまった人参には特徴があります。
- 人参に触れるとブヨブヨとやわらかくなっている
- 表面にぬめりができて触れると糸を引く
- ツンと鼻を刺激するような酸味の強いニオイがする
- 茶色く変色して水分が出ている
- 白カビや黒カビが生えている
人参が腐っているかどうかは、切って中の空洞の有無を確認するまでもなく分かります。このような特徴が全く見られないのであれば、空洞ができた人参でも腐りかけているということはありません。
空洞がない人参の選び方
芯の直径が小さい人参を選ぶ
人参の芯は葉っぱがついていた部分です。葉っぱが切り落とされた断面を確認し、芯の直径が小さい人参を選びます。小さいほど栄養価が高いです。
逆に芯の直径が大きい人参は葉っぱに栄養を奪われやすく、旨味や栄養価が落ちている可能性があります。また、芯が小さくても断面の色が黒っぽくなっている人参は避けてください。食べ頃を過ぎてしまっている可能性があり、中に空洞ができているかもしれません。
濃いオレンジの人参を選ぶ
表面にツヤがあって濃いオレンジ色の人参を選びます。濃ければ濃いほどカロテンの含有量が豊富です。人参がオレンジ色をしているのはカロテンが含まれているためです。濃いオレンジ色であるほど栄養価の高い人参です。
表面にはツヤだけではなく、ツルツルとした触り心地のある人参を選ぶと良いです。ひび割れたりデコボコとしている人参は避けてください。食べ頃を過ぎてしまっている可能性があり、中に空洞ができているかもしれません。
根が出ていない人参を選ぶ
表面をよく見ると細いヒゲのような根が出ていることがあります。収獲が遅れてしまったこと、食べ頃を過ぎてしまっていることが原因です。
美味しく順調に成長した人参には根が出ていません。ヒゲのない滑らかな表面の人参を選んでください。細い根がたくさん出ている人参は表面がキレイに見えても中には空洞ができているかもしれません。
みずみずしい人参を選ぶ
表面がみずみずしくふっくらと太った人参を選びます。人参の鮮度は水分の含有量で決まります。中に空洞ができる原因は水分が奪われてしまったためです。
表面が乾燥している人参は鮮度が落ち、中に空洞ができているかもしれません。また、袋詰めされている人参は袋の内側に水滴がついていないものを選びます。水滴がついている人参は乾燥気味である可能性があります。水分が出て行ってしまったからです。
ずっしりと重量感のある人参を選ぶ
鮮度の決め手となる水分の含有量が多い人参はずっしりと重いです。重量感のある人参を選びます。中に空洞ができた人参は水分が奪われてしまっているため重量感がなくなります。明らかに軽いと感じる人参は中に空洞ができ、賞味期限も迫っている可能性があります。
空洞ができた人参の調理法
中に空洞ができた人参は収獲が遅れたり食べ頃を過ぎた人参である可能性が高いです。水分が奪われることで空洞ができ、みずみずしさや鮮度も落ちています。食べることはできるのですが、サラダなどの生食では美味しく感じられないかもしれません。
調理することで美味しく食べることができる方法がありますので、スカスカの人参に出会ったらぜひお試しください。
みじん切りにして調理する
空洞ができた人参はみじん切りにし、餃子・ハンバーグ・オムレツなどの材料として調理するのがおすすめです。小さく切ってしまえば鮮度や食感の悪さは全く気にならなくなります。
漬物にする
空洞ができた人参は一口サイズにカットし、お漬物にするのがおすすめです。浅漬けではなくじっくりと漬けることで美味しく食べることができます。
煮物にする
空洞ができた人参は一口サイズにカットし、筑前煮や肉じゃがなどの煮物の材料として調理するのがおすすめです。
ただし、あまりにもスカスカな人参は煮物にしても食感がよくありません。穴が少なく小さめなうちに調理しましょう。
最後に
中に空洞ができた人参は食べても大丈夫です。鮮度や食感は失われていますが、腐ってしまったわけではありません。調理法によっては美味しく食べることができます。人参は芯が小さく濃いオレンジ色で、みずみずしくツヤがありずっしりと重量感のあるものを選んでください。