目次
扇風機に濡れタオルをかける効果
気化熱で風が冷たくなる
少しでも涼しく快適に暑い夏を乗り切るための工夫の一つに、「扇風機に濡れタオルをかける」という方法があります。扇風機の前に濡れタオルを置くと、タオルを通る風の温度が気化熱により、涼しい風に変化します。
液体が気体になる時に吸収する熱を「気化熱」と言うのですが、液体が蒸発する時に必要な熱を涼しくする効果があります。身近にある例として、お風呂から上がった後に、濡れた体のままでいると、体が冷えて寒く感じますよね?
これは肌の表面についている水滴が蒸発するときに、気化熱として体温が奪われるのが理由です。空気中でも同じことが起こるため、扇風機の風を送るところに濡れタオルをかけておくと、気化熱で風が冷たくなり、室温を下げる効果が得られるというわけです。
扇風機の羽根に濡れタオルが絡まらないように注意しながら、この方法を試してみてくださいね。
乾燥する季節には加湿対策にもなる
女性の大敵とも言える「乾燥」から、お肌を守る加湿効果も期待できます。頬のあたりがカサカサしてきたり、体全体が乾燥して白い粉が浮いていたり、首筋や背中が痒くなるという経験はありませんか?
乾燥する季節には、よく絞った濡れタオルを部屋に干しておく方法がありますが、それが夏場であれは濡れタオルを扇風機に掛けて回しておくとよいでしょう。
扇風機の風が循環し、湿度の高い空気が部屋全体にゆきわたるので、加湿効果あがります。これは気化式の加湿器を使っているのと同じ原理ですが、電気代もそれほどかからず自然な風で快適な空間を作り出すことができるでしょう。ちなみに、快適な湿度は60%程度と言われています。
6畳程の部屋に濡れタオルを1枚干すと、1時間ほどで湿度を約10~15%上げることができるようです。もし部屋の湿度を十分に上げられない場合には、濡れタオルを数枚まとめて使うか、または濡れたバスタオルを使って加湿効果をあげてみましょう。
ここでポイントをひとつ紹介しましょう。濡れタオルにアロマオイルを1滴たらしておくと、アロマの香りが部屋中に広がり、癒し効果にもなりますよ。
《 ポイント 》
- 濡れタオルを通る扇風機の風の温度が気化熱により涼しい風に変化する。
- 扇風機に濡れタオルを掛けると乾燥からお肌を守る加湿効果も期待できる。
扇風機に濡れタオルをかける方法
濡れタオルと扇風機の位置
濡れタオルを扇風機からどれくらいの距離に、どのように置くと効果的なのでしょうか?
当然ですが、扇風機の前に置く方が効果を発揮します。濡れタオルと併用する場合は、勢いよく風が通過して一気に水が蒸発することを利用しているので、濡れタオルを置く位置は、扇風機の前面の風のあたるところがベストです。
電化製品である扇風機の後ろ側に濡れタオルを置くと、扇風機の故障や事故などのトラブルにつながる恐れもあるので避けてください。
扇風機との距離
扇風機の前面に、どの程度の間隔で濡れタオルを置いたらいいのかも気になるところです。扇風機から離れれば離れるほど送風の勢いは弱まってしまうので、遠すぎると期待していたような効果が得られにくくなります。
それとは反対に、扇風機を覆うようにかぶせて過ぎてしまうと、気化熱で送風の温度は下がりますが、送風がタオルに遮られてしまい、遠くまで届きません。
なので、すっぽりと覆うのではなく、送風の向きに対して50°前後の角度で網目のカバーの上から斜めに掛けるのが効果的でしょう。
このように、ちょっとした工夫をすることで、扇風機の送風を邪魔することなく、気化熱で涼しくなった空気が扇風機の風によってスムーズに運ばれます。
保冷剤と併用した方法
濡れタオル以外にも保冷剤と併用する方法もありますが、その冷却効果はどの程度のものなのでしょうか?
扇風機の後ろに保冷剤を設置し、前面に濡れタオルをかけた状態で、扇風機の正面から3m離れた距離で温度の変化を計測した実験結果があります。
それによると、1℃程度であるものの確かに濡れタオルだけの状態よりも、室温は下がっています。条件の差はありますが、濡れタオルのみの場合より冷却効果が見込めそうです。
保冷剤は、そのもの自体が凍っていて冷たいので、扇風機の後ろ側に置いてもいいのですが、その際には注意する点があります。電化製品である扇風機自体を濡らすと事故や故障に繋がる危険性も考えられますので、必ずタオルなどに包んだ状態にしてから取り付けるようにしてください。
100均などで探すとラックとして使える商品が売られているので、扇風機の後ろに安全に取り付けることで風の通り道を遮断することなく空気の熱が涼しくなります。
《 ポイント 》
- 濡れタオルは扇風機の前に置く方が効果を発揮できる。
- 扇風機を覆うように濡れタオルをかぶせてしまうと、送風がタオルに遮られて届かない。
- 扇風機は保冷剤と併用すると、濡れタオルのみの場合より冷却効果が見込める。
扇風機に濡れタオル以外を使って涼しくする工夫6選
扇風機に保冷剤を置く
夏に大活躍する保冷剤は、暑くなるとお店で無料でもらう機会が増えますよね。小さい保冷剤をいくつかタオルにくるんで、扇風機と一緒に使うと効果が高まります。
扇風機の後ろに凍らせた保冷剤を置くやり方は、先にお伝えした通りですが、扇風機にひっ掛けた状態にして活用することもできます。その場合は、落ちないようにしっかりと固定しましょう。
気化熱よりもヒヤっと感じる空気がダイレクトに送られてくるのが実感できますし、凍らせれば何回でも使える物ですからコスパの点でもおすすめです。
滴る水が扇風機にかからないように、タオルでくるむか保冷剤の下に敷くなど工夫してみてくださいね。
扇風機の前に凍らせたペットボトルを置く
保冷剤がない場合は、2リットルのペットボトルに水を入れて凍らせたもので代用できます。凍らせたペットボトルを扇風機の前に置くだけで、涼しい風を作り出すことができます。
溶ける過程でペットボトルが汗をかいて、水分が外側に滴り落ちてきますので、床が濡れないように、ボウルの中に入れるか、タオルや新聞紙などを敷いて使うようにしましょう。
ペットボトルに水を入れる時は、満タンにせずに8分目まで入れ、余裕をもたせた状態で冷凍庫に入れないと、ペットボトルが破裂するおそれがあります。
扇風機に濡れた紙を貼る
濡れタオルではなく、扇風機に濡れた紙を貼り付ける方法もあります。細長く切った紙を水で濡らしたら、いくつか扇風機の前面に貼り付けるだけですが、風で飛ばないように、しっかりと貼り付けましょう。
この方法は濡れタオルと同じく気化熱を利用したもので、冷たい風に変化させて部屋を涼しくすることができます。
氷水を使う
少し大きめのボウルや洗面器に氷水を入れ、その洗面器を扇風機の前に置いてみましょう。氷や洗面器はどこのご家庭にもあるものなので、いつでも使えて保冷剤と同じような効果があります。
ただし、洗面器が汗をかいて床が濡れてしまうことがあるので、ペットボトルと同じように、新聞紙やタオルなどを敷いて床が濡れないように気を付けましょう。
扇風機の設置場所を変える
扇風機は置き場所を変えるだけで、室内の温度が違ってきます。室内の邪魔にならない場所に扇風機を置いてしまいがちですが、室内より外の方が涼しい時には窓の前に設置して、部屋に向けて扇風機を回すようにします。そうすることにより、外の涼しい空気を部屋に取り込むことができます。
反対に、外より室内の方が涼しいときには、外に向かって扇風機を回して、外の熱い空気を室内に取り込まないように工夫しましょう。
壁に扇風機を当てる
主に寝ている時におすすめの方法で、扇風機の風を壁に当てて跳ね返ってくる風で体を穏やかに涼しくすることができます。
扇風機を体に当てたまま寝てしまうと、体が冷えすぎて風邪をひいたり、脱水を起こしてしまう可能性があるので、冷やし過ぎず、ほどよく空気を循環させることができるでしょう。
《 ポイント 》
- 凍らせた保冷剤、凍らせたペットボトル、氷水と扇風機を併用して使う。
- 扇風機に濡れた紙を貼り付ける。
- 扇風機の置き場所を変えるだけで、室内の温度が違ってくる。
- 扇風機の風を壁に当てて跳ね返ってくる風で体を涼しくする。
携帯扇風機にも濡れタオルを使うのがおすすめ?!
屋外で開催されるイベントがいろいろある中で、真夏の暑さ対策に便利な携帯扇風機を首に掛けている方が目につくようになりました。特に高齢者や小さい子供は体温調節の機能がうまくいかず、熱中症にかかりやすいと言われていますので、ありがたいグッズですよね。
その携帯扇風機に、水で濡らした濡れタオルをプラスすると体感温度をより下げられるので、暑さ対策としてはバツグンの効果を発揮します。コロナ禍の影響で、マスクを着用することが日常的になりましたが、暑い戸外でマスクをしていると熱中症にかかるリスクが高くなります。
濡れタオルや冷却タオルなどを首にかけて携帯扇風機と併用することで、マスクや首周りを冷やす効果がありますので、少しでも熱中症を回避できる工夫を心がけましょう。
《 ポイント 》
- 携帯扇風機と濡れタオルを併用すると体感温度が下がる。
最後に
扇風機に濡れタオルをかける効果とそのやり方について、いかがでしたでしょうか?
扇風機は昔から気軽に使いやすい便利なアイテムですが、ちょっとした工夫次第でより快適に使うことができるということがおわかりいただけたかと思います。
扇風機と濡れタオルを併用すると、送風が当たる場所の体感が涼しく感じられます。濡れタオルだけに限らず、元々持っている保冷剤やペットボトル、氷などを組み合わせることで、より一層涼しくすることもできます。
部屋全体の温度をぐっと下げるのは難しいのですが、エアコンが苦手な方や睡眠中など、ほんの少し涼みたいときに使う時にオススメです。
温度と湿度が厳しい日本の夏は、暑さとうまく付き合っていかなくてはいけませんので、少しでも快適に過ごすために、ぜひ扇風機に濡れタオルをプラスして「涼しい」と感じるように工夫してみてください。
今回ご紹介した6つの方法で、暑い夏でもアイデアを駆使し、少しでも涼しい部屋にして快適に過ごしてみてはいかがでしょうか。