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法事での挨拶は大切なマナー
法事という行事は亡くなられた方を想い、生前の頃を思い出して関係があった人々が集う供養のための行事です。
お寺で行うことが多く、お坊さんにお経をあげてもらいます。宗派によってマナーが異なるなど、昔はお寺ごとに規約がありました。
ですが現在は、宗派の垣根はなくなりつつあります。法事を執り行う場合、最低限度のマナーを把握しておけば問題ありません。ただし、法事での挨拶は重要ですので確認しておきましょう。
なお、法事と似た言葉で「法要」があります。厳密な違いを言うと、法要は供養行事、法事は法要とその後の会食も含む全般的なものとして区別されています。
記事後半で法要の種類を紹介していますが、それ以外の項目では広く全般を指し示す言葉として「法事」という言葉を使用しています。
施主の場合
法事を行う施主は故人の親族です。そのため、法事へ足を運んでくれた方々へ労いの言葉やお礼を述べます。遠方より法事へ駆けつけてくれる方も多いですので、宿泊するケースもあるでしょう。もちろん近隣の参加者へも、お礼の挨拶をすることは基本でありマナーです。
自分の家系の法事にわざわざ来てくれているので、労う意味での対応をすることが必須のマナーでしょう。法事を執り行う施主は他者へのマナーを心得ておき、参加者へ失礼のないように節度ある対応を実践します。
参列者の場合
知人の法事へ参加する方の場合、まずは親族へお悔やみの言葉をかけることがマナーです。とくに葬儀が終わりたての法事の場合、悲しみを忘れられない親族も多いです。失礼のないように故人を想って節度ある挨拶を心がけます。
また、施主の方針によっては、法事を湿っぽくしたくない方もいます。暗い雰囲気を好まない親族へは、それに見合った節度ある挨拶をしましょう。生前に明るい人柄だった方も多いでしょう。
亡くなって年数が経過した法事では、むしろ明るい談話をすることも多いです。やはり、施主の性格・法事の取り組み方を察して、参列者はマナーのある挨拶を心がけます。
施主の挨拶で伝えたいこと
法事は、故人への感謝と供養のために行事として行います。挨拶では故人を振り返り、そして参列者へも感謝を伝えましょう。とくに生前に親しい間柄だった参列者へは、施主は感謝の想いを述べます。
義理で参加してくれる方も多いのが実状ですが、法事は亡くなられた方を偲び、生前を思い出して時間を共有する大切な行事です。
故人がどういう人物だったか、そして遺言がある場合にはどのような想いをもっていた人物なのかを、参加してくれる方々へ話します。それにより故人も喜ぶことでしょう。
法事のタイミング
法事には開始するタイミングがあります。施主の意向やお寺の都合によって開始日時が決定されます。一概には言えませんが、日曜日や祝日に執り行うことが多いです。初七日が葬儀から見て最初の法要です。
タイミングとしては、故人が亡くなった七日後に法事を行います。その後、四十九日・一周忌・三回忌と徐々に間隔が空いて法事を執り行っていきます。
ですが、昨今は従来どおりに法事を行わない家庭も増えつつあります。あくまでも施主の意向で法事が行われるため、行事の日程は故人の直系の親族に伺いましょう。
法事の始まり
日中に開始される法事は、墓地の近隣にあるお寺にて行うことが多いです。
参列者は事前に施主が把握していますので、全員が集まり次第、お坊さんに読経してもらいます。開始予定時間が過ぎても、遠方から参加する方が交通事情で遅れることもあります。
そのため、時間に余裕をもったスケジュールを組みます。施主を含んだ参加予定者が全員集合した後、お坊さんへ知らせて読経をあげてもらうのが法事開始の理想的なタイミングです。
法事の終了・中締め
お坊さんにお経をあげてもらい、その後に故人を偲んだ話がされます。
参列者全員がお坊さんのお話を聞き、法事が終了となります。その後、施主の意向によって参列者への感謝として会食を行うこともあります。故人を偲んで様々な話で盛り上がることでしょう。
会食は事前に施主が参列者へ意思を聞いてくれることもありますが、当日までお知らせがないこともあります。いずれにせよ会食があるつもりで時間を空けておくことが、参列者にとって不都合が生じません。故人を偲んで親しい方々で献杯をして、懐かしい話をしながらひと時を過ごしましょう。
施主の挨拶の例文2つ
法事で行う施主の挨拶には基本的な内容があります。参列者への配慮ある内容で挨拶することが最善です。今回は2つの例文をご覧いただきますので、ぜひ参考にしてみてください。
施主の挨拶例文1:法事の始まりの場合
といった参列者への挨拶がよいでしょう。
参列者は忙しい合間を縫って法事に参加する方や、遠方から来てくれる方もいます。一般的な法事は会食も含めると1~3時間ほどで終了しますが、参列者の中には片道だけで数時間かかる方や、宿泊して参加する方もいます。
法事の開始時には参列者への感謝と共に、故人との想い出を存分に語り尽くして欲しい旨を挨拶として施主が話しましょう。
施主の挨拶例文2:法事の終了・中締めの場合
といった挨拶を法事の終了時に行うとよいでしょう。
そして会食を終える時は、
という挨拶をしましょう。
参列者の挨拶で伝えたいこと
亡くなられた方との生前の関係性もありますが、感謝の気持ちを挨拶と共に親族へ伝えます。
たとえば、生前にお世話になった事柄を感謝して伝えましょう。または哀しい想いを伝えてもよいでしょう。生前によくしてくれた想いを、精一杯の言葉に代えて親族へ挨拶をしてみてください。
とくに親しい間柄だった参列者の方は、故人との懐かしい思い出話を親族へ話してみましょう。かしこまった話ばかりでなくても構いません。法事とは故人を思い出すひと時です。
最低限度のマナーさえあれば、故人との様々な想い出話をして偲びの思いが込められた時間を過ごしましょう。
タイミング
法事では様々な人々が対面します。参列者は挨拶する場面が複数あるため、それぞれのタイミングを把握しておきましょう。
基本的に挨拶をするタイミングに規約はありません。場面ごとに見合ったタイミングで失礼のない言葉を選び、そして故人を想う気持ちを中心として法事に臨みましょう。
受付
法事の受付は、自分の名前を名乗り参加する旨を伝える場所です。久々に対面する間柄ということが多いため、お悔やみの言葉と共に挨拶を交わしましょう。
ただし大勢が参加する法事の場合、並んで混雑することもあるため、その場合には長々とした挨拶は控えて短い言葉で済ませます。
他の参列者の迷惑にならないよう、配慮したタイミングにて受付者との挨拶を交わすのがポイントです。
香典を手渡す時
故人の親族へ香典を渡す時にも、お悔やみの言葉と共に挨拶を交わします。
また、久々に対面する関係性である場合、ご無沙汰している旨の挨拶をすることもよいでしょう。ただし香典を受け取る受付の方は、他にも複数の参列者の応対をしなければいけない立場です。
あくまでもシンプルな挨拶を心がけ、他の参列者の迷惑にならないようにしましょう。もちろん小規模で全員が顔見知りの法事では、挨拶によってかしこまり過ぎることはありません。何よりも故人へのお悔やみの気持ちと共に、親族へも丁寧な挨拶をしましょう。
遺族と顔を合わせた時
法事では遺族の方と対面します。受付に座っていることもありますが、参列者の応対をしていることも多いです。
親族と対面した際には、まずはお悔やみの言葉をかけましょう。ただし、多くの参列者の応対をしている親族もいるため、途中から割り込んで長々と談話を始めることは控えましょう。
法事は神聖な気持ちで執り行う故人を偲ぶ行事です。普段は仲睦まじい間柄の親族であっても法事の際は無駄な会話は慎み、故人を想いながら、時を過ごしましょう。
参列者の挨拶の例文2つ
法事に参加する方が親族へ行う挨拶があります。今回は、2つの例文を見ながらご紹介していきます。ただ、法事と一口に言ってもパターンは無数にあるため、やはり現場の雰囲気に沿った話し方・挨拶の内容が望ましいです。
あくまでも失礼のないような言葉を選び、故人の親族へ「お悔やみの気持ち」を伝えることが中心です。ぜひ、それぞれの法事に最適な挨拶を検討してみましょう。
参列者の挨拶例文1:受付時
といった挨拶を受付の方へしましょう。また、受付は親族以外の方が受け持つことが多いですが、親族が行う場合もあります。
あまり長々とした挨拶は控えて端的に哀しみの想いや、故人へのお悔やみを伝えましょう。感情が込み上げてしまい言葉にならなくとも構いません。
故人との想い出は当人にしか分かりませんので、感謝や想い出と共にシンプルな挨拶を心がけましょう。
参列者の挨拶例文2:香典を手渡す時
といった挨拶をしながら香典を親族へ渡します。他にも
は、故人と親しい間柄であれば最適な挨拶です。
故人がどういった理由で亡くなられたかによっても、挨拶の内容が変わります。まずは故人の事情を知ることも重要です。失礼のない範囲で故人について親族よりお話を伺い、最適な挨拶をするように心がけましょう。
主な法要の種類4つ
家族が亡くなると法要を執り行います。菩提寺に報告して予定を組んで参列する方を募り、故人を偲ぶ法要を催しましょう。
近年は徐々に簡略化されつつある法要の行事ですが、今回ご紹介する主な法要は一般的に執り行う家庭が多いです。
必ずしも費用や時間などに余裕をもつ家庭ばかりではありませんが、故人を偲ぶ気持ちに昔も今も変わりはありません。できるだけ故人や残された方々が穏やかな気持ちで過ごせるよう、昔からある法要の行事を執り行いましょう。
初七日
家族が亡くなってから七日後に行う法要を初七日と呼んでいます。
昔の人は法要に重きを置き、頻繁に故人を偲んでいました。ですが、現在は忙しい社会生活に追われる人々が増え、初七日は葬儀の当日に合わせて執り行うケースが多くなっています。
もちろん故人の親族や参列者の意向により、すべての法要を執り行うことは故人にとって嬉しいことでしょう。時間や費用に余裕がある家庭では、昔ながらの法要をすべて執り行うことで親族と参列者にとって落ち着いた気持ちとなり、故人への丁寧な供養となります。
四十九日
忌中という期間にあたる四十九日は、世間一般のお祝いごとへ出席したり神社へ参拝したりといった行為は控えます。
なぜならば、故人が亡くなって四十九日間は極楽浄土へ出掛けている最中だからです。親族は四十九日間、喪に服す期間ですので、故人を想って生活をします。
法要を行い忌明けとなって参列者を招いて会食をします。昔はちょうど四十九日目に法要を執り行っていましたが、現代は参列者の都合が優先され、亡くなってから四十九日前後に法要を執り行う家庭が増えています。
一周忌
故人の命日より1年後に執り行う法要が一周忌です。他界された1年後に故人を偲んで親しい関係の人々が集う行事です。菩提寺にてお坊さんに読経してもらい、その後、参列者で会食を行うケースが多いです。
故人が眠っているお墓に手を合わせ、極楽浄土へ出掛けて行った喜びや哀しみを思い返す1日です。親族の哀しい日々も、1年が経過すると徐々に平穏な日常が戻って来ます。
久々に対面する故人と親しかった方々との会食もあるため、一周忌は故人を偲びつつ懐かしい話で盛り上がる1日となるでしょう。
三回忌
家族が亡くなった翌々年に執り行う法要が三回忌です。そして、一周忌の次に行われる法要行事となります。
亡くなった人を、年数が経過しても親族や親しい間柄の人々で振り返る1日です。一周忌と同じようにお寺へ集まり、お坊さんによるお経で故人の供養をします。
三回忌は亡くなられた方を忘れず、なおかつ親族や知人が穏やかな気持ちで社会生活を送るためにも重要な昔からある法要です。
法事での挨拶は事前に用意しておきましょう
今回は「法事で行う挨拶の一例」を中心として最後までご覧いただきました。様々な法要のスタイルがある現代ですので、固定化された規約は薄れつつあります。
やはり、法要での挨拶は参列者への労いと故人を偲ぶ想いがあれば問題ありません。そして誰もがマナーを理解し、気持ちを伝達し合って故人を偲ぶ法事を執り行うことが一番大切です。
これを機会にして法事に備え、故人と参列者が穏やかな気持ちになれる挨拶を検討してみてください。それにより、亡くなられた方がもっとも喜ぶことでしょう。