目次
ナイロン生地はアイロンをかけても大丈夫?
結論からいうと、ナイロンを使った生地にはアイロンがけができるものもあれば、できないものもあります。ナイロンは熱に弱いので、たとえ「アイロンがけできる」と書いてあっても注意しなければなりません。
では、どうすればアイロンがかけられるものを見分けられるのか、また熱を当てるとどうなってしまうのかを見ていきましょう。
洗濯表示を確認しよう
ナイロンを使った生地がアイロンがけできるのか、できないのかは、洗濯表示を確認しましょう。ナイロン100%使用のシャツでも、アイロンができる、できないはものによって異なります。
アイロンのマークに点がついているか、「低」と書いてあればアイロンがけができます。アイロンマークに「×」の印がついていれば、アイロンはかけられません。
アイロンがけができない衣類には、別のシワの伸ばし方があるので、そちらも後述します。また、アイロンをかけられたとしても低い温度でしかかけることはできないので要注意です。
《 ポイント 》
- 洗濯表示を見て、アイロンをかけられるか確認する
- 同じナイロン素材でも、衣類によってアイロンがけできるものとできないものがある
ナイロンは熱で溶けてしまう素材
ナイロン素材を使った衣類などにアイロンをかけられない、もしくは低い温度でしかアイロンがけできないのは「ナイロンが熱にとても弱い素材」だからです。
ナイロンの耐熱温度は、ほとんどが100℃から120℃程度です。アイロンマークにも記されています。
うっかり、120℃以上の温度でアイロンがけしてしまい、生地のコーティングが剥げてアイロンに生地がくっついた経験のある人もいるでしょう。
ほかにも「コーティングが溶けてテカリが出る」「生地が縮む」などの問題も起きます。必ずアイロンマークに書いてある温度でアイロンをかけてください。
ちなみに、ほとんどのナイロン素材に書いてあるアイロンマークは「低」か、点一つで「・」と書いてあるはずです。これらのマークはアイロンの温度は110℃までOKという意味です。
《 ポイント 》
- ナイロンは熱で溶ける素材
- アイロンがけするときはアイロンマークの温度をよく確認しよう
素材や製品の違いなどでも注意が必要
ナイロン以外の素材や製品によって、耐熱性が異なるのでお手入れ方法も変わります。3つの素材と2つの製品に分けて、特徴を見てみましょう。
素材
素材 | 耐熱温度 |
ナイロン | 80℃から140℃ |
ポリエステル | 120℃から160℃前後 |
レーヨン | 200℃以上で変色(熱によって溶けることはありません) |
製品
- タフタ
- タフタは耐熱性が高いので、アイロンやスチームを問題なく使用できます。念のため、取扱説明書を確認しておきましょう。
- チュール
- チュールに使われる素材はポリエステル・レーヨン・ナイロン・コットンとさまざまです。ポリエステルのチュールは中温で当て布をすればアイロンが可能。素材がナイロンなら洗濯表記を確認してください。
《 ポイント 》
- 素材によって耐熱性が異なる
- タフタやチュールは素材によって耐熱性が左右される
ナイロン生地のアイロンのかけ方
ナイロン素材の衣類にアイロンをかける方法を見ていきましょう。アイロン以外に「当て布」も必要です。
アイロンをかける前に用意して下さい。
アイロンの温度は低温
アイロンの温度は低温にしてください。スチームは使用しないので水は入れなくてもOK。ただし、厚手のコートなどは、シワ伸ばしにスチームを使用します。
当て布をする
アイロンをかける前に、当て布をしてください。「当て布をしても心配」という方は、一度テストしましょう。
裾などのシャツの目立たないところか、ナイロンの切れ端に当て布をしてアイロンを当ててみましょう。問題なければ、シャツにアイロンをかけます。
アイロンがけはじっくりやるのではなく、サッとシワを伸ばすだけです。当て布をしていても、時間をかけると熱で生地が縮みます。
素早く終わらせるコツは、シワをしっかり伸ばしながら、アイロンをかけることです。
《 ポイント 》
- 当て布をしてアイロンをかける
- 時間をかけず、サッと終わらせる
その他のシワの伸ばし方
アイロンをかけられないナイロン素材の衣類には、3つの方法を紹介します。
水の重みでシワを伸ばす
衣類を濡らしたまま干して、水の重さでシワを伸ばす方法です。洗濯の脱水時間を短めにして、脱水が終わったらすぐに取り出し、10回ほどパンパンとシワを伸ばして干してください。
ドライヤー
ポイントでシワを伸ばしたいときはドライヤーが便利です。シワになった部分を霧吹きで濡らします。シワを伸ばしながらドライヤーで乾かしてください。ドライヤーの温風で繊維が縮んでしまうので、20cmくらい離してから当てましょう。
シワ取りスプレー
時間がないときはシワ伸ばしスプレーが有効です。乾いた衣類のシワになった部分に、スプレーを20cmほど距離を取ってかけてください。かける回数は、メーカーの目安に従いましょう。
《 ポイント 》
- ドライヤーでシワを伸ばすときは、温風で縮まないように少し離す
アイロンでナイロン素材にワッペンを貼っても大丈夫?
ナイロン素材の衣類に可愛いワッペンを貼りたい!ナイロンはツルツルで光沢がある生地なので、布製のワッペンを貼れば見た目も可愛いくなりますね。
ですが、ナイロン素材にワッペンはおすすめしません。ナイロン素材にワッペンを付ける方法はありますが、リスクが高いので自己責任で行いましょう。
ナイロンにワッペンは基本NG
ナイロン素材にワッペンを貼るのは、基本的にNGです。なぜなら、ワッペンを貼る工程でナイロンが溶けてしまうかもしれないからです。
ワッペンを貼るときは、中温以上に温めたアイロンで接着剤を溶かして、繊維に染み込ませます。しかし、ナイロン素材を使った衣類が対応できるアイロンは、せいぜい「低温」までです。
それでも、リスクを承知でつけることはできます。しかし、アイロンが完全にダメなナイロン素材は絶対につけるべきではありません。
ナイロンとワッペンは、素材の特徴と付ける工程の相性がとても悪いのです。
《 ポイント 》
- ナイロンが熱で溶けるので、ワッペンを貼るべきではない
ナイロン素材にワッペンを貼りつける方法
ナイロン素材の衣類に、ワッペンやアイロンシールをつける方法です。熱で素材が溶ける恐れがあるため、自身の自己責任で行ってください。
アイロンの温度はなるべく低温で
ワッペンをつけるには中温が適切ですが、ナイロンが溶けないように、低温に設定しましょう。
必ず当て布をする
ワッペンを貼りたい場所に置き、マスキングテープなどで貼り付けます。その上から、当て布をしてください。
貼る箇所を霧吹きで湿らせる
当て布の上から霧吹きで湿らせます。アイロンを5秒当てます。
ワッペンの場所が貼りたい場所からズレていなければ、マスキングテープを外して、当て布の上からさらに30秒当ててください(心配であれば、様子を見ながら当てましょう)。
接着剤が溶けたことを確認したら、熱が冷めるまで放置します。冷めたら完成です。
《 ポイント 》
- なるべく低温で当てる
- 当て布に霧吹きをかけてアイロンを当てる
- 様子を見ながらアイロンを当てる
ナイロンのアイロンがけに関するQ&A
ナイロン素材のアイロンがけや、ワッペンのつけ方で「やっちゃった~」という経験はありませんか。ここでは、ナイロン素材の悩みにお答えします!
Q.ナイロンにアイロンをかけたら小さな穴が開いてしまいました。補修する方法はありますか?
A.どれだけ注意しても、アイロンがけで穴を開けてしまうことはあるでしょう。そういったときは、補修シートがおすすめです。100均に売っているものでも、半透明でテカリが気にならない商品もあるのでぜひ探してみてください。
A.シワを伸ばすときと同じように、当て布をして低温のアイロンをかければ折り目がつけられます。素材が溶けないように、当て布の上から霧吹きをかけると良いでしょう。
A.ワッペンを貼りたいけれど、どうしてもアイロンをかけるのが心配という方は「縫いつける」か「多用途の接着剤を使ってくっつける」がおすすめです。接着剤なら、幼稚園バッグなどに名前入りのシールやワッペン、プリントもつけられますね。
また、ナイロン素材にも対応している転写シートも販売されているので、そちらもご検討ください(ただし、アイロンに対応できるもののみです)。
《 ポイント 》
- 穴が開いたら補修シートがおすすめ
- 折り目はつけられるけれど、当て布と霧吹きをしよう
- ワッペンやプリントは、接着剤なら低リスクでつけられる
まとめ:シワのないナイロンを着こなそう!
ナイロンはお手入れがしやすく、水はじきも良いのでアウターにかかせない素材です。ですが弱点もあります。
熱に弱く、アイロンを当てると縮んだり、溶けたり、剥がれたりしてしまうので、アイロンをかけるときは「低温」で「当て布」、「ササッと終わらせる」を意識しましょう。
アイロンが一切できない素材もあるので、その際はあえて洗濯の脱水時間を短くして、水の重みを利用したシワ伸ばし方法がおすすめです。時間が無い方はドライヤーやシワ取りスプレーを使ってシワを伸ばしてください。
また、ワッペンの貼りつけはあまりおすすめしません。ワッペンをつけるには熱が必要だからです。どうしてもつけたいという方は、接着剤や転写シートを貼る方が、リスクも手間もかからないので簡単にできますよ。