目次
ポトスを育てる前に
ポトスの育て方は初心者でも簡単で、難しいことはありません。ポトスの育て方をご説明する前に、ポトスとはどんな植物かを知っておきましょう。
ポトスの特徴
ポトスはサトイモ科のツル性植物で、耐陰性があり繁殖力も強いため育てやすい観葉植物です。
主に東南アジアの亜熱帯と熱帯雨林地帯が原産地なので、高温多湿の環境を好み、生育には15℃以上の気温が適しています。
ポトスの育て方として、つるの向きも大切なポイントです。観賞用のものはツルを伸ばして下に垂れ下がったり、横に這うように生長しますが、おもしろいことに、つるを上に向けて育てると葉が大きく成長し、下に垂らして育てると葉が小さくなる性質があります。
また、挿し木や水栽培で増やしやすく、葉の寿命が長いので、室内で1年中楽しむことができる観葉植物です。
ポトスの種類
ポトスは、品種改良が進むにつれ、斑の入り方や色が異なる種類が増えており、大きく分けると濃緑、黄緑、マーブルの3種類の色に分けることができます。
よく知られているものとしては、以下のような品種があります。
オーレア
一般的にポトスといえば、緑色の葉に黄色の美しい模様が入るこのオーレアを指します。ゴールデンポトスと共に、和名の「黄金かづら」の品種から作られたと言われています。
ゴールデンポトス
明治時代に日本に入ってきたゴールデンポトスは、丈夫で生長が早く育て方はとても簡単。そのうえ値段も安くて気軽に育てることができます。
最初、ハート型の葉に黄色い模様が入っていますが、成長していくにつれ模様が白くなっていくので、葉の緑と白色の斑とのコントラストを楽しむことができます。
ライムポトス
葉全体が明るいライム色なので、部屋の雰囲気が明るくなるライムポトスは、ゴールデンポトス同様、育て方が簡単な品種です。
日光の当たる場所で育てると葉が鮮やかなライトグリーンに、日光が少ない暗い環境だと濃いグリーンになります。
パーフェクトグリーン
葉に斑が入らない、綺麗な濃い緑色一色のシンプルな品種です。なので、どんなお部屋にも合わせやすい、インテリア性のある初心者向けポトスです。
こちらもゴールデンポトス同様生長が早く、ポトスの中でも特に日陰に強いので、置く場所に困りません。
エンジョイ
緑の葉に大きく白の斑が入り、くっきりとしたその模様が魅力的な品種です。葉が一枚一枚、コンパクトですっきりとした印象を与え、スタイリシュな雰囲気のお部屋を演出してくれます。
育て方は比較的簡単で、丈夫なうえに成長が遅いので形が崩れにくく、初心者の方でも育てられるポトスです。
マーブル・クイーン
突然変異で現れた白い葉に、緑色の斑が入った、清楚なイメージの品種です。他のポトスに比べて若干成長が遅く、寒さに弱い性質があります。
だからと言って、強い日光に当てると白い葉が日光焼けを起こして弱らせてしまいますので、強い日光が当たらない場所で育てるようにします。
それ以外の種類
他にも、緑色の葉に刷毛ではいたような斑が入る「フラッシュ」、丸みを帯びた緑色の葉に、白の不定斑が入る「ステータス」、くしゃくしゃにしたような緑色の葉が個性的な「テルノシャングリラ」などがあり、お部屋に合わせて色々なアレンジを楽しむことができます。
苗の選び方
園芸店やホームセンターの園芸コーナーに出向くと、たくさんの苗がトレイに並んでいますので、苗のラベルや、実際の葉色、斑の入り方などを見て、好みのものを選んでみましょう。
また、ネット通販でも入手することができますので、説明文を参考にして選んでください。ポイントは、茎がぐらつくことなくしっかり根が張っているもの、葉と葉の間が間延びしていない苗を選ぶようにします。
虫や白いカビのようなものがついていたり、周囲の苗と比べて葉色が悪かったり、萎れていたりする苗は避けましょう。
《 ポイント 》
- ポトスは耐陰性があり繁殖力も強いため育てやすい
- 生育には15℃以上の気温が適している
- 濃緑、黄緑、マーブルの3種類の色に分けられる
- しっかり根が張っていて間延びしていない苗を選ぶ
- 虫や白いカビのようなものがついているものや、葉色が悪かったり萎れているものは避ける
ポトスの置き場所と温度
日光が当たらなくても大丈夫
ポトスの育て方において、なるべく日の当たる場所で、気温は8℃~20℃が適しています。
耐陰性があるので、屋内管理でも元気に育てられますが、丈夫な株に育てるためには、なるべく日光が当たる場所に置くようにしましょう。
ただし、室内だからと言って真夏の直射日光を当ててしまうと葉焼けを起こしてしまうので、直射日光を遮った、レースのカーテン越しの明るい日陰が最も健康的に育ち、葉の色も鮮やかになります。
また、それほど日光が当たらなくても、蛍光灯や白熱灯の明るさがあれば、生育は可能なのですが、葉の色が薄くなったり、品種によっては、斑の模様が減ってしまいます。
ポトスの育て方で注意する点として、エアコンの風が直接当たると葉を傷めてしまうので、そのような場所は避けて管理すること、そして日なたから日陰など、急激な環境の変化は葉が落ちる原因になりますので、置き場所を変更したい時は、少しずつ慣らしながら移動させるようにしてください。
ポトスを飾れない場所
耐陰性がある室内向けのポトスですが、飾れない場所もあります。
それは 窓が無い真っ暗な場所、例えばマンションなどのトイレや浴室です。全く光がない場所だと光合成ができずに、枯れてしまいます。
そしてもうひとつ、直射日光が当たる場所です。ポトスは日陰に強い反面、直射日光に弱く、強い光に当たると葉の色が薄くなり弱々しくなって、しまいには枯れてしまうことがあります。
《 ポイント 》
- 生育可能な気温は8℃~20℃
- レースのカーテン越しの明るい日陰が適している
- 蛍光灯や白熱灯の明るさがあれば生育可能
- エアコンの風が直接当たると葉を傷めてしまう
- 全く光がない場所では光合成ができない
ポトスのお手入れ方法
水やりの方法
植木鉢の土を実際に触ってみて、乾き具合を確認してください。
土が乾いていたら、鉢の底から流れ出るまでたっぷりと水やりをします。水が残っていると根腐れを起こしてしまいますので、鉢受け皿に溜まった水は、放置せずにきちんと捨てます。
また、室内に置いたポトスの葉には、ホコリがついていますので、時々葉水をかけて、ホコリを拭き取ってあげましょう。
冬の間は水やりを控えめにし、やや乾かしぎみにしますが、暖房機器により室内が乾燥している場合には、葉水を与えるなどして、ある程度の湿度を保ってあげるといいですね。
肥料のやり方
ポトスを大きくしたい、葉の色つやを良くし葉数を増やしたいなど生長を促すためには、5~10月の期間中に、2ヶ月に1回、長くゆっくりと効く緩効性化成肥料を施します。もしくは、2週間に1回、注意書きどおりに水で薄めた液体タイプの肥料を水やりの代わりに与えてもよいでしょう。
肥料を過剰に与えると、根が肥料やけを起こす場合がありますので、使用量を守って与えるようにしましよう。生長が一時的に休みになる冬は、肥料を控えるようにしてください。
病害虫対策
丈夫な性質であるポトスには、病害はあまり出ませんが、カビの一種である炭そ病にかかる場合が稀にあります。
害虫としては「カイガラムシ」や「アブラムシ」、また高温乾燥期に葉の裏から栄養を吸い取る「ハダニ」が出ることがあります。
それらの対策として、被害が広がる前に炭そ病にかかってしまった葉を直ちに切り取り、風通しをよくします。さらに殺菌剤を用いることで効果を発揮します。
また、カイガラムシやアブラムシは見つけ次第、歯ブラシなどでこそげ落とします。ハダニには、葉裏に霧吹きなどで散水します。病虫による被害を広げない為には、注意しながら日々の観察を心がけてください。
《 ポイント 》
- 土が乾いていたら、鉢の底から流れ出るまでたっぷりと水やりをする
- 5~10月中に、2ヶ月に1回緩効性化成肥料を施す
- 冬は肥料を控える
- 炭そ病にかかったら葉を直ちに切り取る
- カイガラムシやアブラムシは歯ブラシなどでこそげ落とす
- 葉裏についたハダニには霧吹きで散水し殺菌剤を用いる
緩効性化成肥料
殺虫殺菌剤
ポトスの植え替えや挿し木のやり方
植え替えの時期
生育が盛んな気温が高い5~7月が植え替えをするのに適した時期です。生育状態にもよりますが、根詰まりを防ぐためにも、2年一度は植え替えを行うようにしましょう。
剪定方法
ポトスの剪定の方法として、伸びすぎた茎を整理する「切り戻し」と脇芽を出させる「摘心」があります。
切り戻しは生育期間中に、伸びすぎた蔓や、繁って混み合っている部分を透かすように切って風通しをよくします。また、定植後にしっかり根づいて茎が伸びてきたら、先端を切り落とす摘心を行います。
ポトスの切り口から出る白い液に触れるとかぶれることがありますので、素手で触れないように注意してください。
挿し木で増やす方法
挿し木の適期は、5~9月頃です。木に巻き付くために葉の付け根の反対側から伸びてきている黒っぽい根を「気根」と呼びますが、ポトスは茎をのばしながら気根も伸ばす性質があります。
新しい根はその気根から出てきますので、茎を葉の付け根の少し上で切り、気根ひとつにつき葉っぱ一枚のセットで挿し穂を作ります。
土は市販の挿し木用の土、または菌や肥料が入っていない清潔な赤玉土と鹿沼土などを混ぜたものを使います。根が生えてくるまでは、肥料を吸い上げることができないので、水だけ与えましょう。
《 ポイント 》
- 植え替えに適した時期は5~7月
- 切り戻しと摘心で剪定する
- 挿し木の適期は、5~9月頃
- 気根ひとつに葉っぱ一枚で挿し穂を作る
ポトスを水耕栽培で楽しむ
水耕栽培のメリット
ポトスは、一般的な培養土で育てる方法以外に、水栽培で育てる方法があります。
そのメリットは
- 室内で簡単に始められる。
- 土をまったく使わないので、室内を汚さずにすむ。
- 土で育てる方法より、成長するスピードが速い。
- 天候や害虫に左右されることがないため管理が簡単。
- キッチンや出窓などのスペースでも育成できるため、狭い部屋でも可能。
水差しで用意するもの
- ポトスの挿し穂
- 水抜き穴のない器
水差しの方法
水を入れたグラスに挿し穂を入れて、直射日光が当たらない明るい日陰に置くだけで、根や茎がどんどん伸びていきます。
水差しの時の水は悪くなりやすいため、最低でも2日に1回は交換するようにします。
十分発根したら、鉢上げして、新しい苗として育てていきましょう。
ハイドロカルチャーの方法
ポトスの水栽培の方法には、もう一つハイドロカルチャーがあります。
用意するもの
- 水栽培で増やしたポトス
- ハイドロボール(発泡煉石)
- 水抜き穴のない容器(水の管理がしやすいガラス製がおすすめ)
- 割りばし
手順
- 容器の底に根腐れ防止剤を入れる
- 軽く水洗いしたハイドロボールを容器の1/3ほどまで入れる
- 液体肥料を入れる
- 容器の中心に水栽培で増やしたポトスを入れ、残りのハイドロボールを敷きつめて、根が動かないように固定する
- 容器の1/5~1/4まで水を注ぐ
植えた後の管理
発根して根付くのに1カ月程度かかります。その間に挿し穂がぐらついてしまうと根がうまくつかないので、水を与える時に動いてしまわないように管理しましょう。
水は、容器の1/5程度入れ、数日後に減ってきたら水を入れるようにします。ハイドロボールなどの用土は保水性があるので、水がたっぷりあると、根腐れをおこしてしまいますので注意してください。
《 ポイント 》
- 土で育てる方法と水栽培で育てる方法がある
- 水栽培には、ハイドロカルチャーもある
- 発根して根付くまで1カ月程度かかる
ハイドロボール
根腐れ防止剤
最後に
多くの人に愛され続けているポトスについて、改めて育て方を知っていただけましたか?
鉢植えにして楽しむ他に、育てる人の工夫次第で、水で栽培により涼しげなイメージを演出することもできます。また、ハイドロカルチャーなどでアレンジを楽しめるのも特徴です。
日が当たりにくくても育ちやすい耐陰性のあるポトスをキッチンやトイレ、浴室などに置いて、緑色で清々しい緑色の観葉植物の魅力を楽しんでみましょう。
育て方について難しいことはありません。基本的な育て方をマスターするだけで、生き生きとした素敵なポトスに生長させることができるので、ぜひ参考にしてみて下さい。