目次
えのきを冷凍保存するメリット
冷凍することで旨みが増す
実は、えのきを冷凍して保存すると旨みが増します。ではなぜ旨味が増して美味しく感じるのでしょうか?
まず、えのきたけの旨味のひみつは、旨味成分である「グアニル酸」「アスパラギン酸」「グルタミン酸」によるものです。これは細胞内の酵素の働きによって生成されます。
冷凍すると細胞内の水分が膨張し、細胞が破裂します。細胞が破裂したえのきを解凍し、加熱すると、その過程で旨味を増やす酵素が働きやすくなります。結果、旨味が増してい美味しいえのきになります。
生のまま調理するよりも冷凍した時の方がさらに美味しくなるのは、このような理由で旨み味成分が増えるからなのです。
また、えのきに限らずほとんどのきのこは、冷凍することで旨味成分が増して、生のまま加熱した場合の3倍程に増えると言われています。冷凍により食感が若干落ちるデメリットに比べ、旨味がアップするメリットの方が大きいので、えのきは冷凍に適した食材であるといえるでしょう。
栄養価もアップする
えのきは他のきのこと同じように、カロリーが低くヘルシーなイメージの食品なので栄養価も低いのでは?と思いこんでいませんか?
実は、食物繊維が豊富に含まれているだけでなく、ビタミンB群やカリウムなどのミネラル、そしてたんぱく質も豊富な栄養たっぷりの食材なのです。
このようにえのきは冷凍することで、より一層栄養価がアップするという特性を持っているのですが、その理由は前述したように、冷凍することによって膨張した水分がえのきの細胞壁を壊し、その細胞の中に閉じ込められていた栄養素が外に溶け出し吸収率がよくなるからなのです。
脂肪燃焼に効果のある栄養成分がある
きのこの中でもえのきに特に多く含まれる「キノコキトサン」という成分は、腸内の余分な脂肪に薄い膜を張ります。その膜によって脂肪が体に吸収されるのを防ぎ、そのまま排出してくれます。
また、えのきたけだけに含まれる「エノキタケリノール酸」という独自成分が、運動したときと同じように内臓脂肪を燃焼させることが、最近の研究でわかってきました。
これらの成分を効率よく体へ取り込むためには、冷凍して細胞壁を壊す方法が有効のようです。
《 ポイント 》
- 冷凍することで旨みが増し、栄養価もアップする
- 栄養素の中に脂肪燃焼に効果を発揮する成分がある
えのきの冷凍保存の方法
その日中に使いきらない場合は冷凍保存
一度にすべてを使いきれず余ってしまったえのきを、傷ませてしまってはもったいないですよね。
えのきはきのこの中でも水分含有量が多く、傷みやすいという特徴があります。購入した当日から3日以内に使い切れるようであれば、冷蔵保存で構いませんが、購入して3日以上使う予定がない場合には、冷凍保存することをおすすめします。
えのきは鮮度が落ちやすく日持ちしないため、栄養価と旨味アップを兼ねて、取り扱いに注意しながら冷凍保存するようにしてみましょう。
保存するとき絶対に洗わない
生のえのきを冷凍保存する時の注意点は、「洗わないこと」これに尽きます。
えのきは水に弱いので、劣化が早まるだけでなく風味も落ちてしまいますし、水分がついているとくっついて固まってしまうので、乾いた状態のまま冷凍します。
えのき自体は菌床栽培というクリーンな環境で栽培されているため、汚れがつくことはあまりないのですが、どうしても表面に付いた汚れが気になった時には、水で湿らせたキッチンペーパーなどでふき取るようにしましょう。
本来、加熱調理にすることが前提なので、洗わなくても安心して食べることができます。
食感を活かすなら生のまま冷凍保存
野菜の中には、冷凍することで食感や風味が落ちてしまうものもありますが、冷凍えのきも同じ様に、生のえのきと比べて解凍後はフニャッとした状態になります。
ですがそもそもえのきは、生のままではなく加熱調理して食べる食材なので、調理してしまえば、それほど食感が悪いと感じることはないでしょう。
生のえのきの冷凍保存手順
- えのきは洗わずに、おがくずの付いた石づきの根本の部分を切り落とします。
- 使いやすい長さにカットして、根元に近い部分を食べやすいようにバラバラにほぐしておきます。
- 冷凍用の食品保存袋にえのきを入れ、空気を少し含ませてから口を閉じて冷凍庫へ入れます。
- 出来れば1時間後くらいに一旦冷凍庫から取り出して、袋越しに軽く揉んでえのきたけをほぐしておくとより使いやすい状態になります。
茹でてから冷凍保存
えのきを塩茹でしてから冷凍保存するという方法もあります。生のまま冷凍保存する場合に比べ、多少手間がかかりますが、茹でてから冷凍することにより、そのまま料理にも利用できるので便利です。
茹でたえのきの冷凍保存手順
- 石づきを切り落とします。
- えのきを食べやすい大きさにほぐします。
- 小さじ1杯の塩を入れた鍋を沸騰させ、えのきを入れ1分ほど茹でます。
- 茹であがったらしっかりと水分を取り、冷凍用保存袋などに入れて冷凍します。
上手に冷凍するコツ
生のまま冷凍したえのきと違って、えのきを茹でてから冷凍するとひとつにかたまってしまうため、一度に使い切れる分量に分けてパッキングしてから冷凍するようにしましょう。
ペースト状にして冷凍保存もできる
えのきをペースト状にした「えのき氷」を作り、冷凍保存する方法があります。
えのき氷の作り方
- えのきは洗わずに石突きを切り落としてから、三等分くらいにカットします。
- えのきの分量のおよそ1.3倍の水を加え(約300gに水400mlと覚えておきましょう)ミキサーを使ってペースト状にします。
- ペーストを鍋に移して沸騰直前まで加熱し、焦がさないように気をつけながら弱火で1時間ほどじっくり煮詰めます。
- 元の量の半分程度まで煮詰めたら火を止めて冷まし、製氷皿に入れて冷凍庫で凍らせる
簡易的な方法としては、鍋で沸騰直前まで加熱したものを炊飯器に移し入れ、「保温」機能で一時間保温します。この場合は、えのきと同じ分量の水(約300gに水300ml)を入れるのがポイントです。
こうして作った「えのき氷」は、旨味成分が豊富なので、だしとしていろんな料理の美味しさを引き立ててくれること間違いなしです。
《 ポイント 》
- 一度に使いきれない場合は冷凍保存がおすすめ
- えのきは水に弱いので洗わずにキッチンペーパーで拭く
- 冷凍保存するには、「生のまま」「茹でる」「ペースト状にする」の3つの方法がある。
えのきを冷凍したときの保存期間と解凍方法
冷凍えのきの保存期間
えのきを冷凍保存した場合の保存期間は約1ヶ月を目安に美味しさを保つことができるといわれています。また、「えのき氷」などペースト状にして冷凍保存した場合は2カ月程度が目安です。
冷凍えのきの解凍方法
冷凍えのきを料理に使用する際に、自然解凍にしたり、電子レンジ解凍をするとうまみ成分を含んだ水分が流れ出てしまいます。
それを捨ててしまうと旨味や栄養分を無駄にすることになるので、必要量を凍ったまま直接フライパンや鍋に入れて調理と解凍を同時に行うのがベストな方法です。
ペースト状にした「えのき氷」は健康成分と旨味の塊なので、凍ったキューブのままカレーやシチュー、味噌汁、煮物に加えることで、だしやいろんな料理を美味しくしてくれます。
《 ポイント 》
- 保存期間は1か月、ペースト状にしたえのき氷は2か月
- 自然解凍や電子レンジ解凍をせずに凍ったままの直接加えて調理と解凍を同時に行う
冷凍えのきを使ったおすすめレシピ
冷凍えのきを使って手軽にできるレシピ3品をご紹介します。
いずれも凍ったまま加えて作る冷凍えのきならではの旨みを活かした料理なので、特売品などで安く手に入ったら、さっそく冷凍保存してみましょう。
冷凍えのきの中華スープ
冷凍えのき50g、中華だし小さじ1杯、水150mlを耐熱カップに入れて、600Wの電子レンジで約4分間加熱します。(※分量は1人分)
冷凍ミックスきのこで作ってもよいでしょう。だしは、中華だしに限らず、コンソメや和風だしを使ってバリエーション豊富に美味しくできます。
冷凍えのきの炊き込みごはん
研いだ米2合、冷凍えのき、または冷凍ミックスきのこ300g、油揚げ1/2枚、酒大さじ2杯、醤油大さじ2杯、顆粒だしの素小さじ1杯を炊飯器に入れ、2合の目盛りまで水を入れて普通に炊きます。※分量は3〜4人分(2合分)
作り置きなめたけ
えのき2袋、砂糖大さじ1杯、白だし大さじ2杯、醤油大さじ2杯をフライパンに入れて、混ぜ合わせながら中火で加熱します。(※えのき2袋分)
えのきがしんなりして汁気が少なくなったら完成です。冷凍保存も可能な手作りなめたけは、ごはんや冷ややっこのトッピングとしてはもちろん、スープの具材としても重宝します
《 ポイント 》
- おすすめレシピは「冷凍えのきの中華スープ」「冷凍えのきの炊き込みごは」「作り置きなめたけ」とっても簡単に作れます!
えのきの栄養
低カロリー、低糖質
えのきたけは100gあたり22kcal、糖質量は3.7gで、イメージ通りの低カロリー&低糖質の食材です。
見た目からあまり栄養がなさそうに思えるのですが、実際は各種ビタミンやミネラルを豊富に含み、中でもビタミンB1の含有量は100gあたり0.24mgと、きのこ類の中でもトップクラスです。
次のとおり多くのビタミンB群を含んでいることで、免疫や代謝を向上させ、疲労回復を早める効果が期待できるようです。
- ビタミンB1
糖質をエネルギーに変えるために使われる成分で、脳と神経を正常に働かせる。 - ビタミンB2
脂質をエネルギーに変え皮膚や粘膜の健康を助ける。 - ビタミンB3(ナイアシン)
アルコールの分解を助け毛細血管に働いて動脈硬化を予防する。 - ビタミンB5(パントテン酸)
ストレスを緩和させるホルモンに働きかける。
豊富な食物繊維
えのきたけには食物繊維が100gあたり3.9g含まれていて、キャベツと比べて2倍以上ある食物繊維が腸内環境を整えてくれます。
《 ポイント 》
- えのきは「低カロリー&低糖質」の食材
- えのきは「ビタミンB群」の含有量が多い
最後に
野菜は新鮮さが何より大切で、冷凍すると質と食感が落ちてしまう、そんな固定観念を打ち消してしまう、冷凍えのきの保存方法はいかがでしたか?
えのきは年間を通して安定した低価格で購入できるので、日々の食卓で思う存分利用できる食材のひとつです。ハンバーグやつくね、パスタなどを低カロリーでボリュームアップしてくれる食材として重宝するほか、健康維持も期待できる優れものです。
また、えのきとしいたけ、しめじ、まいたけなどを食べやすい大きさにカットして「ミックスきのこ」を作り、小分けにしてフリーザーバックに入れ冷凍しておくと料理のバリエーションが広がり楽しくなりますよ。