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魚を美味しく食べたい!色々な解凍方法を紹介
魚を解凍する方法はひとつではありません。魚を解凍するときには、魚の状態や解凍後の調理法に合わせた方法を選ぶことがベストです。ここでは、魚の解凍方法を6通りご紹介します。
加熱調理用の魚は室内温度で自然解凍できる
火を通して調理する魚は、室温で自然解凍できます。ただし、室温が5度以上になると細菌が繁殖しやすくなるので、加熱調理用の魚でも長時間室内に放置するのはやめておきましょう。ちなみに、雑菌がもっとも好む温度は、5~60度です。このことをしっかり頭に入れておいてくださいね。
自然解凍の手順
- アルミ製のバットに、包装された状態の魚を重ならないように並べる
- 魚をのせたバットを、室内の日の当たらない場所に置く
- 様子をみながら30分から1時間ほどそのまま置いておく
アルミ製のバットがなければお皿でもOKですが、アルミ製のバットの方が熱の伝導率が良いため、解凍時間を短縮することができます。
生魚の解凍におすすめ!冷蔵庫で自然解凍
冷蔵庫の中で時間をかけて解凍する方法は、生食する魚に向いています。解凍時に魚から栄養や旨味の詰まったドリップ(水分)が出にくいため、冷凍前の風味を保つことができます。魚の解凍方法としてはもっとも手軽であり、衛生面から見てもおすすめです。
冷蔵庫解凍の手順
- アルミ製のバットに、包装された状態の魚を重ならないように並べる
- 魚をのせたバットを、冷蔵庫の中に入れる
- 様子をみながら5時間ほど冷蔵庫に入れておく
氷水解凍なら風味を損なわずに解凍できる
氷水解凍は流水解凍よりも少し時間がかかりますが、氷を入れることで魚が凍るときの温度(0~マイナス3度)と同程度の水温(1度)になるので、ドリップが出にくくなります。
氷水解凍の手順
- 包装したままの魚をボウルに入れる
- 魚の入ったボウルに、水と氷を入れる
- 魚全体が氷水に浸かるように、下に沈める
氷水解凍も流水解凍のときと同様に、魚に直接水がかからないようにしてください。ラップに包まれた魚は、さらにポリ袋に入れ、ピチっと結んでから氷水に浸けましょう。
急いでいるときの解凍方法
とにかく早く解凍したい場合は、短時間で解凍できる以下の方法があります。
流水でサッと解凍
魚の形状や量にもよりますが、流水解凍ならだいたい20分程度で解凍できます。ドリップの流出もある程度抑えられるので、電子レンジを使わずにすばやく解凍したい、という方におすすめです。
流水解凍の手順
- 包装したままの魚をボウルに入れて、シンク内に置く
- 魚全体に水が浸るように、ボウルに水をためる
- 魚にかかるように、ちょろちょろと少量ずつ水を出し続ける
流水解凍のポイントは、魚に直接水がかからないようにすることです。ラップに包まれた魚は、ラップが剥がれてしまう可能性があるので、ポリ袋に入れてから流水解凍するといいでしょう。
すぐに解凍したいなら電子レンジを上手に活用
魚の解凍方法のなかでは、電子レンジでの解凍が一番スピーディー。とにかく早く解凍したい、という方におすすめです。なかには、解凍専用のボタンが付いている電子レンジもあります。上手に利用すれば、時短調理ができるのでとても便利です。
電子レンジ解凍の手順
- 包装を外した魚を、クッキングペーパーで包む
- お皿に魚をのせて、解凍ボタンを押す。解凍ボタンがない場合は、100gにつき150~200Wで1分程度、もしくはレンジ弱ボタンを押して1~2分程度でOK
電子レンジで解凍した際、熱が入りすぎて外側が煮えた状態になってしまうことがあります。生食用の魚を電子レンジで解凍する場合は、魚の様子を見ながら半解凍ぐらいで止めると、身崩れしにくく、ドリップも多少抑えられます。
煮込み料理や揚げ物なら調理しながら解凍できる
お鍋や魚介スープなどの煮込み料理や揚げ物なら、凍ったまま調理ができます。ただし、揚げ物に使う魚は、あらかじめ衣を付けて冷凍しておく必要があります。
調理しながら解凍する手順(煮込み料理)
- 鍋にお好みのだし汁またはスープを用意し、沸騰させる
- 切り身またはぶつ切りの魚を、凍ったまま鍋に入れる
- 火が通るまで弱火~中火で煮込む
煮込みながら解凍すれば、じんわり魚のだしが染み出ておいしいスープに仕上がります。
調理しながら解凍する手順(揚げ物)
- 揚げ物用の鍋に油を入れ、熱する
- 油が170度になったら、衣の付いた冷凍の魚を入れる
- 油を熱しすぎないよう注意しながら、魚の中心部まで火が通るようにじっくり揚げる
油の温度は180度以上にならないように注意しましょう。高温で揚げると、中心部は生の状態のまま、表面だけが焦げてしまいます。
魚の種類別にピッタリの解凍方法を紹介
魚の細胞膜は冷凍により崩れますが、上手に解凍することで冷凍前の状態に再現することが可能です。刺身や切り身、調理済み、頭の付いた丸のままの状態…と、さまざまな形状で冷凍された魚を、それぞれに合った方法で解凍することで、失敗せずに美味しく食べることができます。魚の状態別に、ぴったりの解凍方法を紹介します。
一手間で美味しく!塩水を使った刺身の解凍方法
冷凍の刺身の柵(ブロック)を、味を落とさずに美味しく解凍する方法を紹介します。少し手間をかけるだけで発色がよくなり、驚くほど美味しくなりますよ。
塩水を使った刺身の解凍方法
- 深めのバットまたはフタをとったタッパーに、塩水を入れる(※水500mlに対して塩大さじ1杯が目安)
- 魚全体が塩水にかぶるように沈ませた状態で、魚の表面のみ解凍する(※解凍時間の目安・・・夏:5分程度、冬:10分程度)
- 魚を塩水から出し、1つの柵に対して厚手のクッキングペーパーを3枚使い、丁寧に包む
- さらにラップで包み、バットにのせて冷蔵庫に入れて解凍する(※スーパーなどで購入した柵の場合、3~4時間が目安)
- 冷蔵庫から出して柵をカットする
刺身の表面を塩水に浸すことで、ドリップによって旨味が流れ出るのを防ぎます。刺身の大きさによって、塩水の量を調節してください。魚全体がしっかり塩水に浸かるように、大きめの容器を使うといいでしょう。
あらゆる調理に使える切り身の魚の解凍方法
切り身の魚は火を通して調理するので、以下の方法がおすすめです。
- 室内で自然解凍する
- 煮込み料理などを調理しながら解凍する
それぞれの解凍方法は、以下の手順を参考にしてください。
自然解凍の手順
- アルミ製のバットに、包装された切り身の魚を重ならないように並べる
- 魚をのせたバットを、室内の日の当たらない場所に置く
- 様子をみながら30分から1時間ほどそのまま置いておく
自然解凍時のポイントは、半解凍で留めること。完全に解凍してしまうと、身崩れを起こしてしまいます。解凍後は、キッチンペーパーなどで水気を拭き取ってから調理しましょう。
調理しながら解凍する手順
- 鍋にお好みのだし汁またはスープを用意し、沸騰させる
- 切り身の魚を、凍ったまま鍋に入れる
- 火が通るまで弱火~中火で煮込む
しっかり火が通るまで、時間をかけて煮込みましょう。
サンマやイワシなど丸ごとの魚の解凍方法
頭が付いた丸ごとの魚は、包装したまま流水解凍しましょう。水がかかると味が落ちるため、ラップに包まれていても、かならずポリ袋に入れてください。
流水解凍の手順
- ぴっちり包装された魚をボウルに入れて、シンク内に置く
- 魚全体に水が浸るように、ボウルに水をためる
- 魚にかかるように、ちょろちょろと少量ずつ水を出し続ける
解凍時間の目安は15分間程度。完全に解凍するのではなく、半解凍でOKです。時間に余裕がある場合は氷水解凍もおすすめです。解凍後に包装を外したら、キッチンペーパーなどで水気をしっかり拭き取ってから調理してください。
調理済みの魚をおいしく解凍する方法
調理済みの魚に一番適しているのは、流水解凍です。すでに加熱&味付けされている魚は、解凍による酵素反応が活発化せず、風味を落とすことなく解凍できます。流水解凍なら、美味しさを保った状態で、すばやい解凍が可能です。
流水解凍の手順
- ぴっちり包装された調理済みの魚をボウルに入れて、シンク内に置く
- 魚全体に水が浸るように、ボウルに水をためる
- 魚にかかるように、ちょろちょろと少量ずつ水を出し続ける
解凍後に魚の冷たさが気になる場合は、電子レンジで軽く温めてから食べましょう。
鮮度が台無しにならないための解凍時の注意点
魚を解凍するときにやり方を間違うと、風味が落ちるだけでなく、鮮度も失われてせっかくの美味しい魚も台無しになってしまいます。魚はとても傷みやすい食材なので、正しい解凍のやり方を実践したうえで、解凍した日に食べ切るようにしてください。
また、一度解凍した魚を再冷凍するのはNGです。味や鮮度が落ちるだけでなく、雑菌が繁殖してしまう可能性があります。どうしても食べきれない場合は2日までを消費期限の限界とし、かならず火を通して食べ切りましょう。
解凍前と変わらない美味しさで魚を食べるコツ
解凍のやり方次第で、魚の味に差が出ます。ここで、解凍した魚を美味しく食べるためのコツを紹介します。
- 解凍中に水で魚を濡らさないようにする
- 解凍しすぎると身崩れしやすくなるので、少し凍っているぐらいで留める
- できるだけドリップが出にくい方法で解凍する
魚を解凍するときに、魚に直接水がかかると一気に鮮度と味が落ちます。刺身を塩水で解凍するとき以外は包装したままの状態で、水がかからないように注意しながら解凍してください。
また、魚を解凍して味が落ちてしまう最大の原因は、ドリップの流出です。魚の身から出たドリップは、栄養や旨味のつまったものです。自然解凍や電子レンジ解凍は手軽ですが、ドリップ量が多くなります。
風味を落とさずに魚を食べるには、冷蔵庫解凍・流水解凍・氷水解凍がおすすめです。
まとめ
「魚は扱いにくい」という先入観があり、家ではあまり魚料理を作らない…という方も多いかもしれません。しかし、魚の正しい解凍方法さえ知っていれば、気軽に冷凍保存できるので、食べたいときにいつでも解凍して使うことができます。
魚はDHAやタウリン、ビタミン、カルシウムなどを豊富に含む、非常に優秀な食材です。魚の冷凍保存・解凍・調理のコツをつかんで、どんどん魚を食べましょう!