目次
焼き芋の糖質の正体
焼き芋の自然な甘さの源になっている糖質ですが、ここでは、焼き芋に含まれる糖質の正体に迫ります。
糖質はエネルギー源
そもそも、糖質とは、炭水化物から、セルロースなど、人間の身体では消化することのできない食物繊維を除いたものを指し、身体や脳を働かせるために必要なエネルギー源となるものです。
もっとも、過剰に摂取されると、中性脂肪として身体に蓄積され、その結果、肥満の要因となってしまいます。
加熱したら甘みが増す理由
焼き芋にも含まれるこの糖質は、さつま芋が加熱されることで生まれます。さつま芋には、β-アミラーゼという消化酵素が含まれているのですが、この酵素が加熱されると、でんぷんの分解が促されます。
分解されたでんぷんは、麦芽糖へと変化します。この麦芽糖の甘みこそが、焼き芋独特の自然な甘さの正体なのです。なお、β-アミラーゼは、温度の低下にともない分解力が低下します。そのため、焼き芋を最も甘い状態で食べたい場合、およそ70℃の温度を保つ必要があります。
焼き芋の糖質は高い
次に、焼き芋に含まれる糖質の量を計算したうえで、他の食材に含まれる糖質量との比較を見ていきます。
糖質の量を計算してみよう
ここでは、一般的に焼き芋に使用されるさつま芋(1本300gとする)を前提に、それに含まれる糖質の量を計算してみましょう。前にも述べた通り、糖質は、炭水化物から、セルロースなど人間の身体では消化することのできない食物繊維を除いたものです。
そして、焼き芋に含まれる炭水化物の量は117g、食物繊維の量は10.5gです。したがって、糖質量は、117g(炭水化物)-10.5g(食物繊維)=106.5gとなります。
糖質を他の食べ物と比較
ご飯をお茶碗に軽く一杯よそった場合、その糖質量はおよそ55.2gとなります。6枚切りの食パンの糖質量は、1枚あたりおよそ26gとなります。
さらに、ハンバーガー1個の糖質量は、ショップによって異なるものの、世界的に有名なハンバーガーショップの日本チェーンでは、28.6gとされています。なんと、焼き芋には、ご飯やパンはおろか、ハンバーガーよりもはるかに多くの糖質が含まれているのです。
焼き芋のカロリーは高い
次に、焼き芋のカロリーと、他の食材との比較を見てみましょう。
焼き芋のカロリーを計算
一般的に焼き芋に使用されるさつま芋(ここでも1本300gとする)を焼き芋にした場合、そのカロリーはおよそ489 kcalとなります。
中程度の作業を習慣とする成人女性では、1日に必要なエネルギー量の目安はおよそ2000kcalとされています。そのため、焼き芋1本で、1食分に匹敵するカロリーになってしまいます。
他の食べ物のカロリーはどれくらい?
ご飯をお茶碗に軽く一杯よそった場合、そのカロリーはおよそ240 kcalとなります。6枚切りの食パンのカロリーは、1枚あたりおよそ158kcalとなります。したがって、焼き芋は、これらの食べ物よりもはるかにカロリーが高いといえます。
また、ハンバーガー1個のカロリーは、ショップによって異なるものの、高いところでおよそ437 kcalとなります。なんと、焼き芋1本のカロリーは、ハンバーガー1個のカロリーに相当するのです。
焼き芋の太らない量の目安
ここまでに見てきた焼き芋の糖質量とカロリーを踏まえて、太らずに焼き芋を食べるうえでの適量を確認しましょう。すでに見たように、焼き芋は、1本あたりの糖質量が非常に多くなっています。
中程度の作業を習慣とする成人女性についていえば、その必要な1日の摂取カロリーである2000kcalのうち、およそ60パーセントを炭水化物から摂取するとよいとされています。
炭水化物が1gあたり4kcalのエネルギーとなることを踏まえると、2000(kcal)×0.6÷4(g)=300gが、1日あたりの炭水化物の目安の摂取量ということになります。
食物繊維を度外視して考えても、焼き芋1本あたりおよそ106.5gの糖質量は、1食あたりの目安の糖質量を超えてしまうことになります。また、こちらもすでに見たように、焼き芋1本あたりのカロリーも非常に高く、1日のカロリー摂取量のおよそ24%にものぼることがわかります。
仕事やスポーツで相当カロリーを消費する習慣がない限り、油断すると、1日の摂取量を軽くオーバーしてしまうことになりかねません。
そのため、焼き芋を食べる際は、半分から3分の1くらいの大きさにとどめるか、3食のうちの1食を焼き芋と置き換えるくらいが、太らない適切な摂取量となるでしょう。
焼き芋のダイエット向きの食べ方
では、ダイエットに取り組まれる方は、そのお供として、どのように焼き芋を味わえばよいのでしょうか。実は、焼き芋には、ダイエットに効果のある成分がたくさん含まれているのです。順に見ていきましょう。
食物繊維がたっぷり!
まず、焼き芋に使われるさつま芋には、セルロースやぺプチンといった食物繊維が、1本あたりおよそ10.5g含まれています。
この食物繊維が、糖の吸収を遅らせつつ、満腹感をもたらしてくれます。食物繊維は水を含むと膨張するので、水やお茶と一緒に食べると満腹感をさらに強めることができ、オススメです。
ポテトプロテインが満腹中枢を刺激
そのうえ、焼き芋に含まれるポテトプロテインというたんぱく質成分が、満腹中枢を刺激することで、満腹感を長く保つことができます。つまり、焼き芋は、少量の焼き芋で長時間の満腹感を得ることができるので、カロリーコントロールにぴったりな食べ物であるといえます。
たとえば、通常の食事の前に、少量の焼き芋を食べておくことで、食べすぎを防止するといった食べ方をオススメすることができます。
しかも、この食べ方を行った場合、焼き芋には、糖の吸収を抑制する成分が豊富に含まれていることから、いわゆる「食べ順」ダイエットで推奨されている食べ方にもなるのです。
糖の吸収を抑えるクロロゲン酸も
なお、糖の吸収という点で補足すると、高い抗酸化作用のあるクロロゲン酸という成分も含まれており、これにも糖の吸収を抑制する効果があります。
代謝アップのビタミンC
また、1本あたりおよそ69mgのビタミンCが含まれているため、代謝がアップすることによるダイエット効果が期待できます。
ビタミンCには熱に弱いという性質がありますが、さつま芋に含まれるビタミンCは熱によって破壊されにくいため、焼き芋にしてもちゃんとビタミンCの効果を得ることができます。
ヤラピンは便秘解消にも活躍
そのうえ、皮の部分に含まれるヤラピンという成分は、緩やかに便意を促す作用があるため、便秘解消に効果的です。便秘気味の方にとっては、便秘解消による代謝のアップを通じたダイエット効果が見込めます。
焼き芋の皮の部分を食べないという方も少なくないようですが、非常にもったいないといえます。ダイエットという観点からいえば、皮ごと食べることをオススメします。
最後に
焼き芋は、たしかに、他の食べ物に比べて糖質量が多く、カロリーも高くなっています。そのため、食べ過ぎると、ダイエットどころか、太りすぎの原因にさえなりかねないため、注意が必要な食べ物であるといえます。
しかし、適量を守り、「食べ順」をも意識して食べる分には、高いダイエット効果を期待できる食べ物でもあるのです。