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給料とは
まず、給料の定義を皆さんはご存知でしょうか?『今月の給料いくらかな?』『今月は残業多かったから給料楽しみだな』などと話してる方を見かける場面がたくさんあると思いますが、それは給料の使い方として間違っているんです。皆さんが一ヶ月働いた際に手渡しや振込で会社から与えられるお金。実は『給料』ではなく『給与』なのです。
それでは『給料』とは一体何を指すのでしょうか。アルバイトや正社員など雇用形態によって違いはありますが、給料とは一般的に残業代や様々な手当を除いた、働いている方の標準勤務時間に対する会社からの報酬。つまり給料明細に記載されている『基本給』こそが『給料』なのです。そして、基本給(給料)に、様々な手当などを含めた会社から私たちに支給される総支給額は『給与』となります。
給与とは
それでは、次に給与の定義についてお話していきます。前の『給料とは』の回でもお話しましたが『給与』とは一般的に基本給を含め、残業代・住宅手当・家族手当・資格手当などの「諸手当」(賞与も含む)を含んだ、会社から私たちに与えられる総支給額の事を指します。
では給料との明確な差異はどこにあるのか?給与とはお金で受け取るものだけではなく会社の労働協定などによっては現物での支給が認められる事があります。
『会社からプレゼントや記念品をもらった。』実はそれが知らず知らずの内に『現物給与』となり金銭に換算された金額に応じて所得税が発生する場合があるのです。
逆に、「現物給与」に含まれない手当などは何があるのでしょうか?下記にまとめました。
現物給与にならないケース
- 通勤手当(月給100,000円までの通勤費)
- 出張や転勤に伴う旅費
- 夜勤時の食事代(勤務1回につき300円以下のもの)
- 業務の為に使用した交際費
- 葬祭料、香典、見舞金
- 永年勤続者の表彰記念品
- 会社のレクリエーション費用
- 食事補助(社員の食費負担が2分の1以上で、会社の負担額が月額3,500円までのもの)
- 社宅
- 宿直料(勤務1回につき4,000円までで、食費の支給がある場合はその金額を控除した金額)など。
上記以外のケースや、社内の一部のみで与えられる報酬などになる記念品、誕生日の祝い金として金銭や高額なものをプレゼントされた時は『現物給与』になる場合があるので気をつけたいですね。
もし会社から何か支給された場合は、そのものが課税対象にあるものか給与明細にしっかり記載されるのでしっかり自分自身で確認する事が大事です。
給料と給与の違い
給料と給与の違いはもうお分かりになりましたでしょうか?簡単におまとめしますと、
「給与」=「給料(基本給)」+「諸手当」+「賞与」
となります。大人として間違った言葉の使い方をしないようにして注意しましょう。
給料と給与の使い分けの方法
次に、給料と給与の使い分けについてご紹介します。給与については法律で明確に定められています。
所得税法第28条(給与所得)
『給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与(以下この条において「給与等」という。)に係る所得をいう。』出典:https://ja.wikibooks.org/wiki/所得税法第28条
上記に記載されている通り、基本給を含めた会社からの報酬全てが「給与」になり、基本給のみが給料となります。
なので、『あなたの給料を教えて下さい。』など問われる機会に遭遇した際には、基本給を。『給与はいくらですか?』と聞かれた際には基本給を含めた会社から与えられる総支給額を伝える事が正しく使い分けてるといえますね。
年収と手取りの違い
「年収はいくらあるの?」と実際に聞かれたときはどう答えるのが正解か難しいですよね。手取り?それとも総支給?見栄を張って総支給の方を教えたいところですが実際はどっちなんでしょうか。始めに話した「給料と給与の違い」と同じように、「年収」と「手取り一年分」では全く違う意味になるんです。
年収とは?
まず年収についてお話しします。年収とは一般的に1年間で会社から支給された、社会保険料や様々な税金が引かれる前の金額を指し、公務員やサラリーマンの方は源泉徴収票に記載されてる総支給額が年収となります。(ちなみに、年収から給与所得控除を差し引いたものは所得になります)
手取りとは?
次に手取りについてです。手取りとはその名の通り様々な税金や保険料が差し引かれた後、会社から手渡しや銀行振込などで自分の手元に入ってくる金額の事です。
手取りは給与明細に「差引支給額」や「銀行振込額」の名目で記載されてるので、毎月しっかり確認する事が大事です。
つまり、もしも年収を聞かれたら全支給額の12か月分をお答えしましょう。「え?そんなにもらってるの!?」とちょっと自慢げにできますね!
類義語の「賃金」「俸給」「月給」の意味
次に「給料」「給与」にも似た類義語をいくつか言葉の意味を説明しながらご紹介していきます。
賃金
賃金とは使用者が労働者に対して、労働に対する報酬として支払う対価のことを指します。賃金は労働基準法で明確に定められています。
この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。(労基法第11条)
出典:https://www.mhlw.go.jp/churoi/chyousei_jirei/dl/35.pdf
賃金は大きく分けて3つの要素があり、企業活動の費用・従業員の生活費・労働の対価が含まれます。
賃金に当てはまらない物としましては、結婚祝い金・病気見舞金・弔慰金・退職金・賞与等の一時金などの任意的恩恵的給付。使用者が福利厚生のために支給する利益または費用などの福利厚生給付。作業服・作業用品代・出張旅費・社用交際費などの企業設備・業務費があります。
ちなみによく耳にする『最低賃金』とは、雇用主が労働者に支払う賃金の最低額として、国が定めたものなのです。
棒給
棒給は給与の一種ですが、国家公務員の毎月の基本給の事を指します。ちなみに地方公務員の場合はサラリーマンと同様に給料といいます。国家公務員の棒給は国家公務員法の『棒給表』で毎月支払われる基本給が定められています。
月給
求人票などでよく目にする『月給』とは毎月固定で支払われる賃金のことです。月給には、毎月支払われる『基本給』と、営業手当・役職手当・資格手当といった『固定手当』が含まれている事が多いです。
最後に
今回は、給料と給与の違いについてお話しさせていただきましたがいかがでしたでしょうか?皆さんが認識してる給料と給与の正しい言葉の意味、そして使い方は合っていましたか?
正しいい言葉の意味をしっかり理解して使う事は大事です。皆さんが毎日汗水流して頑張って稼いだお金なので、もう少し興味を持って、一度給与明細を見て給料と給与の再確認をしてみてはいかがでしょうか?