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賞味期限切れの卵はいつまで食べられる?
卵は「ナマモノ」であることから、みなさんも「賞味期限」にかなり気を遣いますよね。卵のパッケージにはちゃんと賞味期限が書いてありますので、敏感な方は一日でも賞味期限が過ぎたら卵を捨ててしまうことでしょう。
しかし、賞味期限が切れているからといって、その卵が調理に使えないかといえば、決してそうではないんです。むしろ、“普通”に問題なく食べられます。知らない人は驚くかもしれませんが、これについては法律でもキチンと定義されていることです。
賞味期限は何を意味するの?
食品衛生法は、農林水産省が定めた法律です。これによれば、卵の賞味期限とは「生食できる期限」とのこと。海外では卵を生で食べる習慣がありませんが、わたしたち日本人は卵を「生」で食べるのが大好きですよね。だからこそ政府は、卵を安全に「生食」可能な期限の表示を義務付けたのでしょう。賞味期限の切れた卵の生食は、少量でも食中毒を引き起こす「サルモネラ菌」によるリスクが高まります。
実際の賞味期限はどれくらい?
海外の研究によると、卵の「生食」レベルで安全な賞味期限は、産卵季節によってかなり異なるようです。春~初夏にかけては3週間程度、夏~初秋は2週間程度、秋~初冬は3週間程度、冬~春先はなんと8週間も持つと言われています。寒いシーズンでは1カ月以上も持つと考えると、産卵季節によってこんなにも違いがあるのは驚きですよね。この研究については、「日本卵業協会」も公式に言及しているので、業界的にも周知の話だと言えるでしょう。
業者がパッケージに記す賞味期限は?
研究の成果でいうと意外にも長持ちする生卵。しかし業者が卵を包装する際には、食品衛生上の安心を優先するので、たいてい「2週間」を目安に賞味期限を設定しています。なので、寒い季節の卵ならば、たとえ2週間を多少過ぎても生食可能という場合も十分考えられます。
とはいえ、それでも食中毒リスクを回避するために、賞味期限に従っておくのがもっともよいですね。サルモネラ菌で小さな子供が死亡した例もあるので、賞味期限が切れた際は、しっかりと加熱調理して卵を使うようにしましょう。
賞味期限切れの卵で起こる症状と原因
食中毒を引き起こすサルモネラ菌はお肉や卵に潜伏する菌です。人体に入ってから6時間~72時間潜伏し、やがて食中毒を発症させます。サルモネラ菌の食中毒は、38℃前後の高熱を伴いながら下痢や嘔吐の症状が現れます。このような症状が出た場合は、水分補給をしてすぐに病院に行きましょう。
卵は基本的に10℃以下の環境で冷蔵するのがベストです。サルモネラ菌がその温度以下では繁殖できないからです。また、冷蔵保存していたけれど、サルモネラ菌が気になるという方は、最低でも1分以上加熱することをオススメします。この方法もまたサルモネラ菌の繁殖を防ぐのに有効です。
卵の正しい保存の方法
冷凍保存はNG
保存期間を延ばすテクニックの中には、「冷凍」があります。野菜であれば冷凍保存する小ワザが有効ですが、卵はそうもいきません。物体は、凍ることで水分が膨張して体積が増える性質があります。卵を冷凍すると、黄身や白身が膨張して殻が割れてしまいます。するとそこから雑菌が繁殖してしまうので、食品衛生上好ましくありません。
卵の向きに注意する
意外に知られていない卵の“置き方”。それは、先端の細い方を下にするという方法です。多くの人は、先端の丸い部分を下にして置いていることでしょう。しかしそうではないのです。先端の細い方は丸い部分よりも殻の固さがあり、割れにくくなるだけでなく、こちらを下にして置くと卵黄の新鮮さが保たれやすいと言われています。
何度も冷蔵庫から出し入れしないようにする
他の生鮮食品にも言えることですが、用もないのに何度も卵を冷蔵庫から出し入れしないようにしましょう。冷えたところから常温の場所に移動させると、傷みやすくなってしまいます。料理をする時、つい卵パックごとキッチンに置いていたりしませんか?
使う時に、使う分だけ取り出す。卵の鮮度を保つために、このセオリーを常に意識しましょう。また、冷蔵温度は10℃以下に保っておくようにしましょう。食中毒を引き起こすサルモネラ菌は、10℃以上で繁殖しやすいと言われています。
卵の賞味期限がわからない場合の対処方法
ボウルに水を張って浮き沈みで判断する
賞味期限に問題の無いフレッシュな卵は、水に入れると沈みます。ボウルや器に水を張って確かめてみましょう。一方で、腐っている卵は水に浮かんでしまいます。
卵の中で発生した腐敗ガスが原因です。腐っているかどうかは、卵を割って中身を確かめずとも、水に浮かべるだけですぐに判断できます。これがもっとも手軽な判別方法ですね。
他の判別方法
水に浮かべる方法以外にも判別の仕方があります。料理に使おうと卵を割った時、「硫黄」っぽい臭いがしたら問答無用でアウトです。完全に腐っていますから、使わないようにしましょう。加熱しても手遅れです。また、卵を振ったときに水っぽい音がしたら、それも腐っているサインです。参考にしてください。
賞味期限切れの卵料理のレシピと注意点
朝食やお弁当に!火を使わない簡単オムレツ
材料
- 卵
- 牛乳
- マヨネーズ
- ケチャップ
- チーズ
- ハムまたはベーコン
レシピ
- 器やボウルに牛乳・マヨネーズ・卵を入れてよく混ぜます。
- そこに刻んだチーズとベーコン等を入れます。
- 耐熱性の器にラップを数枚敷いて、そこに混ぜ合わせたものを入れます。その後、1分ほどレンジにかけます。
- 温めた液状オムレツをいったんかき混ぜます。その後、ラップで包んで再びレンジで40秒~50秒ほど加熱して完成です。
お酒のおつまみやサラダに!美味しい半熟卵のレシピ
材料
卵だけでOK
レシピ
- 鍋にたっぷりの水を張ります。
- 沸騰するまで鍋を火にかけます。
- 沸騰のタイミングで殻のついた卵を入れます。
- 8分間茹でます。
- 8分後、すぐに卵を取り出して水で冷やします。
- 慎重に卵の殻をむけば完成です。
とろっとチーズがアクセント!チーズ入り卵焼き
材料
- 卵
- チーズ
- ハムまたはベーコン
- マヨネーズ
レシピ
- 卵を器に割って、そこにベーコンやハム、マヨネーズを入れてよくかき混ぜます。
- 卵焼きフライパンで卵焼きを作ります。その際、フライパンに流すのは1/3程度で十分です。
- フライパンにチーズを入れ、残りの溶き卵を入れて焼きます。それで完成です。
古い卵を使う時の注意点
これまで説明したように、基本的に生卵は賞味期限が長いですが、ヒビの入った状態のものや、ゆで卵の場合は、注意が必要です。空気に触れる分だけ腐敗が早くなるので、過信しないようにしましょう。知らないうちにヒビが入っている卵は、食中毒を避けるためにも、使わずにそのまま捨ててしまったほうがいいでしょう。ゆで卵は、茹でたらすぐに調理に使ってしまいましょう。
最後に
意外に知られていない卵の賞味期限にまつわるお話を取り上げました。卵の賞味期限は、「安全に生食できる期限」のことであり、たとえ賞味期限が切れても、加熱さえすれば十分に食べられるということがおわかりいただけたかと思います。
加熱するのは、サルモネラ菌の繁殖を防ぐためです。1分以上加熱すれば死滅するので、食中毒防止方法としてしっかり憶えておきましょう。また、サルモネラ菌は10度以下の環境なら増殖しないという点も忘れずにいておきましょう。