後回し癖を直すには?先延ばしを減らす6つの方法

やるべきことを後回しにしてしまう癖には、作業への負担感や不安、時間の使い方などが関係します。後回し癖を改善する6つの方法と、先延ばしを繰り返す理由・行動の特徴を紹介。自分のつまずきに合う対策の選び方も分かります。

後回し癖を改善する6つの方法

後回し癖を改善するには、やるべきことを小さく分ける、始めるタイミングを決める、気が散る環境を整えるなど、行動に移しやすくする工夫があります。

例えば、仕事の資料作成を後回しにしている場合でも、何から始めるか分からないのか、完成度が気になって手が止まるのかによって、試したい方法は異なります。

ここで紹介する6つの方法は、順番にすべて実行する手順ではありません。自分がどこでつまずいているかを考え、取り組みやすい方法から試してみましょう。

1. 今日取りかかることを一つに絞る

やるべきことがいくつもある場合は、まず今日取りかかるものを一つ決めてみましょう。

仕事のメールへの返信、部屋の片付け、書類の整理など、気になる用事が頭の中に並んでいると、何から手を付けるか迷っているうちに時間が過ぎてしまうことがあります。

そんなときは、やるべきことを一度書き出し、期限の近さや、遅れた場合の影響を確認します。例えば、明日までに返信が必要なメールと、期限のない棚の整理が残っているなら、先にメールの返信へ取りかかると決められます。

大切なのは、すべての用事を今日中に片付けようとすることではありません。まず何を先に進めるかを決めることが、この方法の目的です。

取りかかる用事が決まっても作業が大きすぎて動けない場合は、次の方法で最初の一手を具体化します。

2. 作業を最初の一手まで小さく分ける

「引っ越しの準備をする」「部屋をきれいにする」といった大きな目標は、そのままでは何から始めるかが曖昧です。作業を小さな行動に分けると、取りかかる内容を具体的にできます。

例えば、「引っ越しの手続きをする」という用事なら、最初の行動を「必要な手続きを調べる」「手続きの一覧をメモする」などに分けられます。

部屋の片付けでも、いきなり部屋全体をきれいにしようとするのではなく、「机の上にある不要な紙を集める」と決めれば、今やることが明確になります。

苦手な相手への連絡が気重いときも、いきなり返信を終わらせようとせず、まず伝えたい用件をメモするところから始められます。

最初から細かな作業計画を完成させる必要はありません。次に何をすればよいか、具体的な動作が一つ分かる状態を目指します。

「5分だけ試す」と時間を区切る方法も、着手の負担を減らすための工夫として使えます。ただし、5分という長さにこだわる必要はなく、作業内容やその日の余裕に合わせて決めて構いません。

3. 始める日時と場所を具体的に決める

やることが分かっていても、「時間ができたらやろう」と考えているだけでは、ほかの用事に追われて後回しになる場合があります。

そのため、作業内容だけでなく、いつ、どこで始めるかまで決めておく方法があります。

例えば、「今週中に家計を見直す」ではなく、「土曜日の朝、食卓で先月の支出を確認する」と予定にします。仕事なら、「明日の出勤後、デスクで報告書の見出しを作る」と決めることもできます。

食事の後や帰宅後など、普段の行動をきっかけにするのも一つの方法です。「夕食の片付けが終わったら、机に座って書類を開く」のように、作業を始める場面を想像できるようにします。

予定した時間に別の用事が入った場合は、改めて着手するタイミングを決め直しましょう。この方法は作業の期限を管理するためではなく、始める機会を曖昧にしないための工夫です。

4. スマホや通知が気になる環境を変える

作業を始めても、スマホの通知を確認したり、別のサイトを開いたりして、なかなか進まないことがあります。

こうした場合は、集中しようと意識するだけでなく、作業中に気がそれるものを減らす方法を試せます。

例えば、スマホを使わない作業なら、通知を切って手の届かない場所へ置くことができます。パソコンで資料を作るときは、必要のないブラウザのタブを閉じ、作業に使う画面だけを開いておくのもよいでしょう。

一方、仕事の連絡を受ける必要がある場合は、すべての通知を止めることが難しいかもしれません。その場合は、必要な連絡だけ受け取れる設定にするなど、自分の状況に合わせて調整します。

この方法は、優先順位や作業内容が分からない場合とは異なり、取りかかることが決まっているのに注意がそれやすい場面に向いています。

5. 完璧を待たずに下書きから始める

企画書やレポートなど、きちんと仕上げたい作業ほど、最初の一文が書けずに後回しにしてしまう場合があります。

最初から完成した形を目指すのではなく、下書きを作る段階と、内容を整える段階を分けてみましょう。

例えば、企画書なら、まず伝えたい内容を箇条書きにするところから始めます。文章がうまくまとまらなくても、見出しや必要な情報を書き出しておけば、あとから順番や表現を見直せます。

メールの返信でも、いきなり送信できる文章を作ろうとせず、伝える用件だけを先にメモする方法があります。

ただし、下書きから始めることと、確認が不十分なものをそのまま提出することは別です。正確さが必要な仕事では、仕上げや確認の時間も確保しておきます。

「きちんと仕上げる」という目標は残しながら、まずは作業を始める段階の負担を小さくする工夫です。

6. 締切前に途中の区切りを作る

提出期限が遠い作業は、まだ時間があると思っているうちに後回しになり、直前に慌てて取りかかることがあります。

そのような作業では、最終的な締切だけでなく、途中の区切りを決めておく方法があります。

例えば、金曜日が締切の報告書なら、月曜日に必要な資料をそろえ、火曜日に構成を決め、木曜日には内容を確認するといった予定を立てられます。

途中の区切りは、単に日付を決めるだけでなく、「資料を集め終える」「下書きを作る」など、その時点で何ができていればよいかを明確にすることがポイントです。

ただし、作業量に対して予定を細かくしすぎると、管理そのものが負担になる場合があります。作業の規模や使える時間に合わせて、必要な区切りだけを設定しましょう。

始める日時を決める方法が最初の着手を助けるのに対し、こちらは長い作業を途中で放置しないための工夫です。

後回しにしてしまう理由

仕事を放り出している女性

後回し癖には、作業への負担感や不安、注意のそれやすさ、時間や手順の見通しなど、複数の要素が関係します。

先延ばしに関する研究でも、課題への嫌悪感、自己効力感、衝動性などとの関連が報告されています。ただし、同じように後回しにしていても、関係する要素が全員同じとは限りません。

自分の行動を振り返るときは、性格を決めつけるのではなく、どのような場面で手が止まっているかを考えることが大切です。

嫌な作業を避けたくなる

面倒な手続きや苦手な相手への連絡など、気が重くなる用事を後回しにしてしまうことがあります。

嫌だと感じる作業から離れると、その場では不快な気持ちが和らぐ場合があります。先延ばしを、こうした短期的な気分の調整と関連づけて説明する研究もあります。

一方、作業を後回しにしている間も、終わっていない用事が気になったり、期限が近づいて焦ったりすることがあります。

先延ばしとストレスには関連が報告されていますが、その関係をすべて同じ原因で説明できるわけではありません。

嫌なことを後回しにした経験があるからといって、本人の意志が弱いと決まるものではありません。負担に感じる作業の内容や、そのときの状況にも目を向ける必要があります。

失敗や評価が気になって手が止まる

「失敗したくない」「人に見せて恥ずかしくないものにしたい」と考えるあまり、作業を始められなくなる場合があります。

例えば、上司へ提出する資料を作るとき、内容を間違えたくないという気持ちが強く、十分な時間を確保できる日まで着手を延ばしてしまう場面が考えられます。

ただし、完璧主義と先延ばしの関係は一様ではありません。研究では、失敗への懸念などの側面は先延ばしと正の関連がある一方、高い達成基準を目指す側面は異なる関連を示しています。

高い目標を持つことと、失敗を恐れて着手できないことは同じではありません。 きちんと取り組もうとする姿勢そのものを、後回し癖の原因と決めつけないことが大切です。

目先の楽しさに気を取られる

やるべきことが残っているのに、動画を見たり、SNSを確認したりしているうちに時間が過ぎてしまうことがあります。

先延ばしには、すぐに得られる刺激や楽しさを優先しやすいことなども関係すると考えられています。

例えば、資料を読む作業と、気軽に見られる動画が目の前にあるとき、動画のほうへ注意が向いてしまう場面が考えられます。

ただし、スマホを使うこと自体が後回し癖を意味するわけではありません。必要な作業を中断してしまっているのか、休憩として予定した時間に使っているのかによっても状況は異なります。

何から始めればよいか分からない

やるべきことは分かっていても、作業の順番や必要な手順がはっきりしていないと、着手する前に迷ってしまう場合があります。

例えば、「仕事の報告書を作る」という予定があっても、必要な情報を集めるのか、構成を考えるのか、文章を書き始めるのかが決まっていなければ、何から手を付けるべきか判断が必要になります。

また、複数の用事があるときに、どれが急ぎなのか分からず、目についた別の作業を先に進めてしまうことも考えられます。

このような状況は、嫌な気持ちから作業を避ける場合とは異なります。作業そのものへの抵抗だけでなく、手順や優先順位の不明確さも確認する必要があります。

後回し癖がある人の特徴

部屋が汚い女性

後回し癖は、日常の行動に表れることがあります。自分の状況を振り返るときは、心理や性格を決めつけるよりも、実際にどのような行動を繰り返しているかを見ると分かりやすくなります。

例えば、次のような行動です。

  • 「あとで」と着手を何度も延ばす
  • やるべき作業より別の用事を始める
  • 締切直前になって慌てて取りかかる

ただし、これらの行動が一度あっただけで、後回し癖があると決まるわけではありません。

また、優先順位を考えたうえで、急ぎではない作業を後日に予定することもあります。計画的に作業を後へ回すことと、必要な作業を繰り返し先延ばしにして困っていることは区別して考えましょう。

後回しによって期限に間に合わなかったり、やるべきことがたまって負担になったりしているなら、どの場面で同じ行動を繰り返しているかを振り返ることが改善の手がかりになります。

自分に合う方法を一つ選んで試してみる

 

後回し癖を改善したいときは、最近後回しにした用事を一つ思い浮かべてみましょう。どこで手が止まったかによって、試す方法を選べます。

  • 何を優先するか迷う → 方法1「一つに絞る」
  • 作業が大きい・気が重い → 方法2「小さく分ける」
  • 始める機会を逃す → 方法3「日時と場所を決める」
  • スマホなどに気を取られる → 方法4「環境を整える」
  • 完成度が気になって止まる → 方法5「下書きから始める」
  • 締切直前まで進まない → 方法6「途中の区切りを作る」

複数の状況に当てはまる場合もあるため、最初から一つの理由に決めつける必要はありません。

一度試してもうまくいかなかった場合は、できなかった自分を責めるよりも、作業が大きすぎなかったか、予定に無理がなかったか、途中で何に気を取られたかを確認してみましょう。

例えば、予定した時間に取りかかれなかったなら、別の時間帯に変更する、最初の作業をさらに小さくするなど、方法を調整できます。生活上の事情で自分だけでは時間を確保できない場合は、作業量や周囲との分担を見直すことも選択肢です。

また、後回しによって仕事や日常生活への支障が続いている場合や、強い不安や落ち込みなどの困りごとが重なっている場合は、一人で解決しようとせず、医療機関や相談窓口などへ相談することも考えてください。後回しにするという行動だけで、特定の病気があるとは判断できません。

大切なのは、すべての方法を一度に試したり、最初から後回しを完全になくそうとしたりすることではありません。

今日取りかかりたい用事を一つ選び、次に何をするかを具体的に決めることから始めてみましょう。

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