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コインランドリーは家庭用より「20℃以上」も高温

「家で乾かすより断然ふわふわになる」と人気のコインランドリーですが、その秘密は業務用の強力なガス火力にあります。
家庭用乾燥機が60℃前後なのに対し、コインランドリーは約80℃もの熱風。この「圧倒的な熱」がダニやニオイを退治してくれる一方で、デリケートな服にとっては、いわば「高温のアイロン」に長時間かけられるような、かなり過酷な環境です。
パワーがあるからこそ、お気に入りの一着を守るためには、素材ごとの耐熱温度を意識することが大切になります。
タグの「乾燥機NGマーク」をチェック
失敗しないための一番の近道は、やはり洗濯タグの確認です。正方形の中に丸があり、大きな「×」がついたマークがあれば「乾燥機は絶対ダメ」のサイン。
これがある服を無理に乾燥機に入れると、一瞬で繊維が熱変性を起こし、生地がガサガサに傷んだり、取り返しのつかないサイズまで縮んだりします。
特に2016年以前の古い服にはこのマークがない場合もあるため、文字での注意書きも隅々までチェックする癖をつけましょう。
「タンブル乾燥禁止」のマークがある衣類は、家庭用よりもはるかに高温な業務用の熱風には耐えられません。
伸びる服は注意!「ポリウレタン」の熱劣化
最近の服によく使われるストレッチ素材や合皮には、ポリウレタンが含まれています。実はこれ、ゴムのような性質を持っていて熱に非常に弱いです。
高温にさらされると繊維がプチプチと切れてしまい、服がだらりと伸びきって元に戻らなくなったり、表面がポロポロと剥がれ落ちたりします。
「お気に入りのスキニーが1回でダルダルになった」という悲劇の多くは、この素材が熱に耐えきれなかったことが原因。伸縮性のある服は、熱で繊維が破壊され形が崩れるリスクが高いため、乾燥機の使用は避けましょう。
高級な服は禁物!「接着芯」のボコつき
スーツやコートの襟、肩周りなど、カチッとした形をキープしたい部分には、内側に「接着芯」という特殊な芯地が貼られています。この芯地は熱をかける「のり」で固定されているため、乾燥機の高温にさらされると接着面が溶けて浮き上がり、表面に不自然なボコボコができてしまいます。
これは「バブリング」と呼ばれ、クリーニング店でも修復不可能な致命的なダメージです。大事な勝負服やジャケットは、乾燥機には入れず自然乾燥を選びましょう。
のりが熱で溶けて生地表面が波打ってしまうため、修復は極めて困難です。
コインランドリーの乾燥機でダメなもの12選

「これくらい大丈夫だろう」という油断が、意外な落とし穴になります。
店舗のルールで厳重に禁止されている火災リスクから、服の寿命を一気に縮めてしまう身近なアイテムまで、乾燥機に放り込む前にチェックしたい12のリストをまとめました。
1. 油が付いた服(火災の恐れ)
美容オイル、食用油、機械油などが付いたものは、洗濯後でも繊維の奥に油分が残っていることがあります。これが乾燥機の熱風によって「酸化」し、激しく熱を持つことで、最悪の場合は自然発火して火災を招く恐れがあります。
自分だけでなくお店や他の利用者にも迷惑をかける大事故に直結するため、アロマオイルを拭いたタオルや作業着など、油汚れの疑いがあるものは絶対に乾燥機の使用を控えなければなりません。
残った油分が酸化熱を発生させ、発火する危険があるため、店舗でも厳禁とされています。
2. ウール・カシミヤ(激しく縮む)
セーターなどの毛製品は、熱と水分、そして回転による摩擦が加わると、繊維の表面にある鱗状の「スケール」が絡まり合い、フェルトのように固まってしまいます。
一度この状態になると、子供服のようなサイズまで縮むことも珍しくありません。特にカシミヤのような高級素材は、繊維が細く絡まりやすいため、たった数分の乾燥でも風合いが台無しになります。お気に入りのニットを守るなら、自然乾燥が鉄則です。
熱と摩擦で繊維が絡み合い、フェルト化して元に戻らなくなります。
3. 防水加工の服(爆発や故障)
レインウェアや防水シーツ、バイクカバーなど、水や空気を通さない素材を乾燥機に入れると、中で巨大な風船のように空気をはらんでしまいます。
これがドラム内で激しく動き回ると、内側からの圧力で扉が吹き飛んだり、機械が異常停止して故障したりする原因になります。店舗から高額な修理代を請求されるケースもあるため、「防水」と名の付くものは、たとえ脱水後であっても乾燥機に入れるのは極めて危険です。
空気の逃げ場がなくなり、扉の破損や機械の故障を引き起こす恐れがあります。
4. シルク・レーヨン(質感の悪化)
ツヤのあるシルクや、テロンとした質感が魅力のレーヨンは非常に熱に弱いです。乾燥機にかけるとタンパク質が変質し、独特の光沢が消えてゴワゴワとした質感に変わってしまいます。
特にレーヨンは水に濡れると強度が落ち、さらに熱を加えることで強烈に縮む性質があるため、乾燥機から出した時に「シワシワのボロ布のようになってしまった」という失敗も多い素材です。
質感命の服は、無理をさせず優しく扱いましょう。タンパク質の変質や激しい収縮により、素材特有の風合いが失われます。
5. プリントや刺繍(溶け・剥がれ)
Tシャツによくある厚手のラバープリントや貼り付けタイプのワッペンは、熱で溶けやすい素材でできています。
高温のドラムに触れるとドロドロに溶けてしまい、他の大切な服にベタベタと張り付いて台無しにする恐れがあります。また、剥がれたプリントの破片がドラム内のフィルターを詰まらせ、乾燥機の故障を招くこともあるため、装飾の多い服は裏返してネットに入れるか、乾燥機自体を避けるのが賢明といえます。
熱で樹脂が溶け、他の衣類への付着や故障を招くため、十分な注意が必要です。
6. 滑り止め付きのマット(溶け)
玄関マットの裏側のゴムや、子供用靴下の足裏にある滑り止めは、熱でドロドロに溶けることがあります。
溶け出したゴムはドラム内にこびりつき、自分だけでなく、次に使う人の洗濯物まで真っ黒に汚してしまう大惨事を招きます。これはマナー違反としても非常に問題になりやすく、清掃費用を求められることもあるため、裏面にラバーや樹脂加工がされているものは、どんなに小さくても乾燥機の使用はやめましょう。
裏面のゴムが溶け出し、ドラムや他の衣類を汚損させるため、店舗利用のルールでも禁止されています。
7. 劣化したカーテン(粉々に裂ける)
長年窓際で日光を浴び続けてきたカーテンは、見た目には丈夫そうでも、紫外線によって繊維がボロボロになっています。
この状態で乾燥機の強力な熱風と激しい回転の衝撃が加わると、生地が耐えきれず、仕上がりを確認した時には「粉々に裂けていた」という悲劇がよく起こります。古いカーテンを洗う際は、乾燥機にはかけず、カーテンレールに戻してそのまま濡れた状態で干す「自然乾燥」が一番安全で手間もかかりません。
紫外線で弱った繊維が、回転と熱で粉砕されてしまうリスクがあります。
8. ワイヤー入りの下着(変形)
ブラジャーなどのワイヤー入りの下着は、熱によって金属やプラスチックのワイヤーが歪んでしまいます。
一度形が崩れるとフィット感が損なわれるだけでなく、突き抜けた金属が乾燥機のドラムを傷つけたり、隙間に挟まって故障を引き起こしたりするリスクもあります。大切な下着の寿命を縮めないためにも、またお店の機械を守るためにも、下着類は自宅に持ち帰って丁寧に陰干しするのがベストな選択です。
ワイヤーが歪むだけでなく、機械を傷つけ故障させる原因にもなり得ます。
9. キルトのない布団(中身の片寄り)
羽毛や綿が入った布団を乾かす際は、表面に縫い目(キルティング)があるか確認してください。
この縫い目がないと、乾燥機の中で回転する勢いによって中身の羽毛や綿がすべて一箇所に固まってしまい、ボコボコの状態になってしまいます。一度偏った中身を均一に戻すのは至難の業で、二度と元の使い心地には戻りません。
特に「和綴じ」と呼ばれる糸で留めているだけの布団は、糸が切れて崩壊しやすいため注意が必要です。中身を固定する仕切りがないため、一箇所に固まると復元できません。
10. ウレタン製の枕(溶け・粉砕)
低反発枕などに使われるウレタン素材は、熱を蓄えやすい性質を持っています。乾燥機に入れると熱がこもって溶け出すだけでなく、最悪の場合は内部から発火する危険性も。
また、水分を含んで重くなったウレタンは脱水時の強い回転で粉々に砕けてしまい、カバーの中で砂のようになってしまうトラブルも絶えません。枕を清潔にしたい場合は、天日干しをするか、専門のクリーニング業者に任せるのが安心です。
熱による発火リスクや、回転による粉砕が起きやすいため、機械乾燥には不向きです。
11. 革製品・合皮(ひび割れ)
本革製品は熱で繊維内の水分が飛んでしまい、カチカチに硬化してひび割れを起こします。
また「合皮」と呼ばれる人工皮革も、表面を覆っている樹脂が熱で剥がれたりベタついたりして、一回でボロボロの見た目になってしまいます。どちらもコインランドリーの過酷な熱環境には全く適していません。
これらは「洗う」よりも、専用のクリームで拭くなどの「ケア」が主役。大切な革小物を乾燥機に入れるのは厳禁です。急激な乾燥によるひび割れや、表面樹脂の剥離が起こり、修復不能となります。
12. 接着剤を使った靴(分解)
スニーカーを衣類用の乾燥機に入れると、激しい衝撃で機械を傷めるだけでなく、ソールを固定している強力な接着剤が熱で溶け出してしまいます。
終わってみたら「靴底が剥がれてバラバラになっていた」という話も珍しくありません。靴は必ず、専用の靴用乾燥機を利用しましょう。専用機なら低温でじっくり乾かすため、靴へのダメージを抑えつつ、中の湿気をしっかり飛ばして清潔に仕上げることができます。
ソールの接着剤が熱で溶け、靴がバラバラに分解される恐れがあります。
家事の時短!コインランドリーを賢く使う裏技

コインランドリーの最大の魅力は、圧倒的な「時短」です。ただ漫然と乾かすだけでなく、ちょっとしたコツを知っているだけで、衣類へのダメージを最小限に抑えつつ、さらにタイパを上げることができます。
ここでは今日から試せる、実用的なテクニックをご紹介します。
爆速で乾く「乾いたタオル」投入法
濡れた洗濯物と一緒に、乾いた大判のバスタオルを1枚入れるのがプロの技です。このタオルがドラム内で水分を効率よく吸い取ってくれるため、乾燥時間を5分から10分ほど短縮できます。
乾燥機は10分単位で料金がかかる店舗が多いため、数百円の節約にもなる非常に賢いテクニック。時短と節約を同時に叶えたい方は、家からバスタオルを1枚持参して、ぜひ乾燥機へ一緒に放り込んでみてください。
乾いたタオルが余分な水分を素早く吸収し、乾燥効率を大幅に高めてくれます。
服を傷めない「8割乾燥」の救出術
服が一番傷むのは、実は水分がなくなって完全に乾ききる直前の「カラカラ」の状態です。
まだ少し湿り気が残っている8割くらいの段階で取り出し、残りを自宅で自然乾燥させてみてください。これだけで生地へのダメージを最小限に抑えつつ、ガス乾燥機ならではのフカフカ感も手に入ります。お気に入りの服を長持ちさせたいけれど、乾燥機のパワーも借りたい、という時に最適な「いいとこ取り」のメンテナンス術です。
完全に乾く寸前で取り出すことで「過乾燥」を防止し、生地を保護します。
ガス乾燥機ならではの「除菌・消臭」効果
家庭用には出せない80℃近い熱風は、不快な生乾き臭の原因菌を元から断ち、アレルギーの敵であるダニを死滅させてくれます。
さらに、強力な風量で繊維を叩きつけるため、付着した花粉やホコリもきれいに飛ばしてくれます。季節の変わり目に布団や寝具を10分から20分ほど回すだけでも、丸洗い以上のスッキリ感と清潔さが得られるのは、コインランドリーならではの大きなメリットといえるでしょう。
高温熱風による除菌と、強力な送風によるダニ・花粉の除去が同時に叶います。
もし乾燥機で服が縮んでしまったら?

お気に入りの服が縮んでしまっても、諦めるのはまだ早いです。実はヘアトリートメントで繊維の絡まりを解きほぐす復活術があります。
トリートメントに含まれるシリコン成分が縮んだ繊維に潤いを与え、滑りを良くしてくれるのです。ぬるま湯にトリートメントを適量溶かして30分ほど浸け置きし、優しく伸ばしながら平干しすれば、驚くほど元のサイズに近づくことがあります。
完全に元通りとはいきませんが、捨てる前に試す価値は十分あります。シリコン成分が繊維の絡まりを解きほぐすことで、形状を復元できる可能性があります。
賢く使い分けて、洗濯を「もっとラク」な習慣に

コインランドリーは非常に便利な場所ですが、その強力さは「時短」と「リスク」が背中合わせであることも意味しています。利用の際は、以下の点に気を付けてください。
- 洗濯タグの乾燥機不可マークを必ず確認する
- 油分や防水素材、デリケート素材は持ち込まない
- キルティングのない布団やウレタン製品を避ける
- 無理な詰め込みをせず、適正な量を守って回す
大切なのは、すべての洗濯物を完璧に乾かそうと気負わないことです。お気に入りの一着は、乾燥機に頼らず「あえて家で干す」という選択を混ぜるだけで、服の寿命は驚くほど延びていきます。
便利なツールに振り回されるのではなく、自分のペースで「良いとこ取り」をしながら、日々の家事を少しずつ身軽にしていきましょう。









