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左利きはどれくらいの割合?

クラスや職場を思い浮かべると、左利きの人は「何人かはいた気がするけれど、多くはなかった」という印象を持つ人が多いかもしれません。
左利きは珍しいと言われがちですが、実際にはどれくらいの割合なのでしょうか。まずは、世界と日本の数字を整理します。
世界ではおよそ1割前後が目安
世界全体で見ると、左利きの人はおよそ1割前後とされることが多く、これは地域や文化が違っても大きくは変わりません。
右利きが多数派である点は共通していますが、左利きが極端に少ないわけでもありません。このため、左利きは特別な例外というより、どの社会にも一定数いる存在と考えられます。
日本では「1割」より少なく見える調査もある
日本では「左利きは約1割」と言われることが多い一方、近年の調査では7〜8%台という結果が出ることもあります。感覚的には「10人に1人」より少し少なく、「13人に1人程度」と言い換えると近い印象です。
実際の調査例では、次のような割合が示されています。
- 右利き:92.3%
- 左利き:7.7%
この数字だけを見ると、日本では左利きがかなり少ないように感じられます。ただし、この割合は「左利きとして生活している人」を基準にした結果であり、背景を考えずに受け取ると実態とずれが生じます。
なぜ左利きは少なく見えるのか

左利きの割合が低く見える理由は、「生まれつき左利きの人が少ないから」とは限りません。日本では、生活環境やこれまでの習慣によって、左利きが表に出にくくなる条件が重なってきました。
右利きが前提の道具や環境が多い
身の回りの道具や設備は、右利きを基準に作られているものが多くあります。一般的なハサミ、改札機のタッチ位置、ノートのとじ方、調理器具の向きなどがその例です。
左利きの人でも、状況によっては右手を使ったほうが楽な場面があり、その積み重ねで「左利きとして目立たなくなる」ことがあります。
左利きが少ないというより、左利きが見えにくい環境が続いてきたと考えたほうが自然です。
左利きを右利きに直す習慣があった
もうひとつの大きな理由が、矯正の文化です。とくに上の世代では、幼い頃に箸や鉛筆を右手に直された経験を持つ人が少なくありません。
現在は右利きとして生活していても、本人の感覚では「元は左利き」というケースもあります。このような人は統計上は右利きに含まれるため、結果として左利きの割合は低く出やすくなります。
数字の裏には、こうした生活の積み重ねがあります。
利き手はどうやって決まるのか

左利きの割合を知ると、「そもそも利き手はどうやって決まるのか」が気になる人もいるかもしれません。
ここは細かな説まで追うと話が広がりすぎるため、割合の理解に必要な範囲だけを整理します。
生まれつきの要素はあるが、それだけでは決まらない
利き手には生まれつきの影響があると考えられています。ただ、親が左利きだから子どもも必ず左利きになる、といった単純な関係ではありません。
成長の過程でどちらの手を多く使うか、周囲の大人がどう接するかといった環境も重なり、最終的に「使いやすい手」が利き手として定まっていきます。
幼いころは揺れやすく、成長とともにはっきりする
小さいうちは左右どちらの手も使いながら生活します。遊びや食事、道具の扱いなど、手を使う機会が増えるほど、自然と片方の手を多く使うようになり、利き手がはっきりしていくケースが一般的です。
「いつ決まるか」は個人差があり、早くから傾向が見える子もいれば、少し時間をかけて落ち着く子もいます。
両利きの割合がややこしくなる理由

左利きの割合を調べていると、両利きの話も出てきます。ただし、両利きは言葉の意味が人によって違い、数字がぶれやすいのが特徴です。
割合を理解するうえでは、この点だけ押さえておくと混乱しません。
「両方同じくらい使える」とは限らない
両利きと聞くと、左右どちらも同じように使える状態を思い浮かべがちです。しかし実際には、作業によって使う手が違う人もいます。たとえば「字は右、ボールは左」といったタイプです。
このような人は、本人の感覚では両利きでも、調査では右利きや左利きに分類されることがあり、結果として割合が揃いにくくなります。
女性が少ないように見えるのも「見え方」の問題が大きい
「左利きの女性は珍しい」と言われることがありますが、ここでもポイントは見え方です。
過去には、箸や文字などの場面で右手を使うよう求められることが多く、矯正の影響が数字に反映されやすい背景がありました。
そのため「女性だから左利きが少ない」と決めつけるより、世代や矯正の影響が重なって少なく見えていると捉えるほうが実情に近づきます。
まとめ

左利きは「10人に1人」と言われがちですが、日本では調査によって7〜8%台と、1割より少なく見えることもあります。
背景には、右利きが標準になってきた道具や環境、そして左利きを右利きに直す習慣がありました。割合の数字は、単なる統計というより、その社会で何が当たり前とされてきたかを映すものでもあります。
左利きがどれくらいいるのかを知ることは、珍しさを確かめるためではなく、数字の裏にある「見え方」を整えて、身近な違いを自然に受け止めるための手がかりになります。









