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冷蔵庫の“余りもの”が増える理由とは

日本では毎年約464万トンもの食品がまだ食べられるにも関わらず捨てられており、その約半分は家庭から出る食品ロスとされています。
冷蔵庫を開けると、使いきれなかった野菜や食材が奥で傷んでいた…という経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
食材を余らせてしまうのには、いくつかの共通する理由があります。
たとえば、特売やまとめ買いで必要以上に多く購入してしまったり、冷蔵庫内が整理されておらず存在を忘れたりするケースが挙げられます。また、賞味期限と消費期限を混同して早く捨ててしまったり、使える部分を過剰に捨ててしまったりすることも食品ロスにつながります。
こうした小さな行動が積み重なって、気づかないうちに冷蔵庫の中でロスが増えてしまうのです。
それでは実際に、多くの家庭で余りがちな食材はどのようなものがあるのかを見ていきましょう。
余りがちな食材ランキングトップ10

家庭で余りやすい食材には、どの世帯にも共通する傾向があります。
本ランキングは、食品グループや複数のアンケート、食品関連企業・調査機関のデータをもとに作成しました。
実際の消費動向に基づいており、多くの家庭で「確かにある」と感じやすい内容になっています。
それぞれの食材がなぜ余りやすいのか、その背景と特徴を見ていきましょう。
第1位 もやし

もやしは安価で様々な料理に使える便利な野菜です。しかし、日持ちがしないため、使う予定を立てずに買ってしまうとすぐに傷んでしまいます。
特に袋のまま放置すると水分が溜まりやすく、わずか数日で変色したり傷んだりしてしまうことがあります。
「安いからつい買いすぎてしまった」「他の野菜よりも劣化が早くて使いきれない」という声が多く、冷蔵庫の中で気が付けば無駄になりやすい代表的な野菜の一つになっています。
第2位 きゅうり

きゅうりはサラダや漬物など幅広く使える一方で、水分が多く劣化が早いため余りやすい食材です。
「袋入りで買ったほうがお得」とまとめ買いしてしまい、使い切れずに冷蔵庫の中でしなびてしまうケースが目立ちます。料理方法が固定化してしまい、他のメニューに活用する方法を知らないまま傷ませてしまうことも多いです。
実際に、家庭で捨てられる野菜の上位に常に入っており、食材ロスが生まれやすい典型的な野菜と言えます。
第3位 キャベツ

キャベツは安価で使い勝手が良いため、1玉単位で購入する人が多い野菜です。
しかし、その大きさゆえに少人数の家庭や一人暮らしの場合、なかなか使いきれず余らせてしまいます。保存の仕方を間違えるとすぐに葉が茶色くなったり腐ったりして、外葉を厚く剥いて捨ててしまうことも。
サラダや炒め物に便利ですが、毎日同じ料理に偏ると飽きてしまい、結果的に冷蔵庫の中で傷ませてしまうことにつながります。
第4位 レタス

レタスは生で食べるイメージが強く、一玉まるごと買っても用途がサラダなどに限られがちです。
そのため、一度使った後に余った部分が冷蔵庫の中で使われずに放置されてしまうことがあります。葉物野菜で水分量が多いため、傷むのが早く、すぐに変色したり萎れたりしてしまいます。
特に芯を処理せずにそのまま保存してしまうと、葉の間から腐敗が始まり、使う前にダメにしてしまうケースも多いです。
第5位 豆腐

豆腐は日常の食卓に欠かせない食材ですが、開封後の保存が難しく余りがちです。
一度パックを開けると日持ちせず、翌日には表面がぬめったり、酸味が出たりして食べられなくなってしまうことも。「安いからまた買えばいい」と考え、結果的に残った豆腐を処分してしまう人も少なくありません。
使い道が決まっていない状態で購入すると、気づいた時には賞味期限が切れていた…というケースが家庭で頻繁に起きています。
第6位 牛乳

牛乳は家庭でよく使われますが、1Lパックなど大容量で購入すると余りやすい食材です。
特に少人数世帯では飲みきれずに余ってしまい、気が付けば賞味期限が過ぎていることがあります。冷蔵庫のドアポケットに長期間入れっぱなしにすることで風味が落ち、飲む気が失せてしまうケースも多いようです。
「お得だから」と大きいサイズを選びがちですが、実際の消費量に合わないためロスが生じやすくなっています。
第7位 大根

大根は煮物やサラダなど万能な野菜ですが、1本単位で売られていることが多く、一度に使い切ることが難しい食材です。
冷蔵庫に入れたまま使いきれず、徐々に水分が抜けたりしなびたりしてしまいます。また、大根の葉や皮など食べられる部分を知らずに捨ててしまう人も多く、それも食品ロスにつながっています。
安くて便利だからと購入したものの、最後まで消費できずに冷蔵庫で無駄になるパターンが多くなっています。
第8位 パン

パンや食パンは朝食の定番食材として購入する家庭が多いですが、まとめ買いをすると余ってしまうケースがあります。
特に常温で置いておくと賞味期限を待たずにカビが生えやすく、逆に冷蔵庫で保存すると風味が落ちてパサつき、食べる意欲が失せてしまうことも。
「安かったから」「忙しい朝のために」とまとめ買いしたものの、結果として使い切れずに捨ててしまうことが多く、食品ロスにつながっているようです。
第9位 トマト

トマトは日持ちが比較的良いイメージがありますが、買った直後はまだ固く、冷蔵庫で追熟させているうちに忘れてしまうケースが多いです。
気づいた時には熟し過ぎて柔らかくなったり、カビが生えてしまったりします。また、サラダなど生で食べることにこだわり過ぎると、調理に回す発想が生まれず、最終的に捨ててしまうことにもつながります。
熟しすぎて生食が難しい場合は、加熱調理を取り入れることで無駄を減らせます。
第10位 じゃがいも

じゃがいもは安くて長持ちすると考えられていますが、保存方法が適切でないと芽が出たり、シワシワになってしまったりします。
特にまとめ買いをした場合、冷蔵庫や野菜室の奥にしまい込んで存在を忘れ、気づいた時には芽が出てしまっていることがよくあります。
また、調理が面倒でつい手軽な他の食材を優先してしまい、じゃがいもを後回しにしてしまう心理も、食品ロスの原因の一つと言えるでしょう。
食材を余らせないための原因と工夫

食材を冷蔵庫で余らせてしまう背景には、多くの家庭で共通する行動パターンがあります。
その原因を「買い方」「保存方法」「使い方」の3つに分けて考え、それぞれの改善方法について見ていきましょう。
買い物の仕方に問題がある
食品ロスが起きる最大の理由のひとつは、買い物時の行動です。
特売やまとめ買いの習慣は、一見経済的に見えますが、実際は必要以上の量を購入してしまい、使い切れずに無駄にするケースが多くなっています。
また、買い物前に冷蔵庫の中身をしっかり確認しないと、すでに持っているものを再び買ってしまい、使いきれずに捨ててしまうこともあります。
これを防ぐためには、購入前に冷蔵庫をチェックし、必要な分だけを買うようにする習慣が大切です。
保存方法に問題がある
食材の保存方法が適切でないことも食品ロスの大きな原因です。
冷蔵庫に食材を無計画に詰め込んでしまうと、奥に入った食材の存在を忘れ、使われずに期限切れになってしまいます。また、正しい保存方法を知らないために、実際よりも早く傷ませてしまうこともあります。
例えば、野菜類は水分の管理や適切な温度で保存することが大切で、何も考えずに冷蔵庫に入れるだけではすぐに劣化します。
正しい保存の知識を持つことが、食品ロス削減への重要な一歩となります。
料理の仕方に問題がある
料理の仕方やレパートリーが限定されていることも、食材を余らせる要因となります。
たとえば、レタスはサラダ、きゅうりは漬物というように、使い方が固定されてしまうと、他の調理方法を思いつかず、使いきれないまま残ってしまいます。また、「開封したから早く使わなければ」と焦り、その結果、かえって料理に使う機会を逃してしまうこともあります。
これを改善するためには、柔軟な発想で料理をすることや、余った食材を積極的に新しいメニューに取り入れる習慣を身につけることが大切です。
余りやすい食材の上手な使い切り方

食材を無駄にしないためには、買った後の保存方法や料理の工夫が大切です。ここでは、ランキングで特に余りやすかった代表的な食材について、使い切るための具体的なヒントを紹介します。
もやしの使い切り方
もやしは買ったその日にさっとゆでて冷蔵庫で保存すると、傷みにくくなり数日間美味しく食べられます。また、余ったもやしは冷凍保存が可能で、凍ったまま味噌汁やスープに入れると、手軽に使い切ることができます。
炒め物以外にもナムルや和え物、卵とじなどの簡単な一品料理に積極的に使って、飽きずに食べきる工夫をしましょう。
きゅうりの使い切り方
きゅうりは薄切りや千切りにして冷凍保存すると、解凍後に和え物や酢の物として使いやすくなります。また、加熱調理が意外に美味しいことを知らない人も多く、きゅうりの炒め物やスープにすると新鮮な味わいで消費できます。
きゅうりの浅漬けやピクルスをまとめて作り置きしておくのも、余らせないために有効な方法です。
キャベツの使い切り方
キャベツは買った直後にざく切りにして軽くレンジ加熱し、小分けに冷凍すると、スープや炒め物の具材に手軽に使えて便利です。外葉や芯もスープのだし取りに使ったり、刻んで味噌汁に入れたりすると余すことなく使えます。
また、生のままサラダに偏りがちな人は、ロールキャベツや蒸しキャベツなど加熱メニューを増やすことで消費スピードがアップします。
豆腐の使い切り方
豆腐は開封後、水に浸して密閉容器で冷蔵保存し、毎日水を替えると鮮度が保てます。余った場合は冷凍すると高野豆腐のような食感になり、煮物や炒め物に新しい感覚で使えます。
ハンバーグのかさ増しに使ったり、スムージーや豆腐ドーナツなどのおやつにアレンジしたりすれば、いつもと違うレシピで豆腐を楽しみながら使い切ることができます。
レタスの使い切り方
レタスは冷蔵庫に入れる前に芯をくり抜き、湿らせたキッチンペーパーを詰めて保存すると鮮度が長持ちします。傷み始める前に炒飯やスープの具材に加えると、かさが減り大量消費できます。
また、レタスをさっと炒めてオイスターソースやにんにくなどで味付けすると、生とは違う美味しさで飽きずに最後まで楽しめます。
家計と地球にやさしい“冷蔵庫習慣”を始めよう

冷蔵庫での食品ロスを減らすことは、ただ無駄をなくすだけではありません。食材を無駄なく使い切ることは、買い物のコストを抑え、家計の節約に直結します。
また、使い切りの工夫を楽しむことで料理の幅が広がり、日々の食卓がより豊かになります。さらに、食品ロスを減らすことは環境負荷を軽減することにもつながります。
「冷蔵庫の中を整理することは、自分の暮らしを整える第一歩」です。今日から少しずつ意識して、気持ち良く食材を使い切る習慣を身につけていきましょう。









