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先延ばし癖は性格だけの問題ではない?

やらなければならないことを先送りにしてしまう「先延ばし癖」。ただ怠けているだけだと思われがちですが、実は性格だけの問題ではなく、心理や脳の仕組みも関係しています。
先延ばしを繰り返すことで、ストレスや罪悪感が溜まり、さらに行動が遅れるという悪循環に陥ります。こうした悪循環を断ち切るためには、まず自分が後回しにしてしまう理由や特徴を知ることが大切です。
先延ばし癖のある人の10の特徴

やらなくてはいけないことを後回しにしてしまう人には、次のような特徴があります。自分に当てはまっているか、チェックしてみてください。
1. 嫌なことをすぐ後回しにしてしまう
面倒なことやストレスを感じることがあると、つい後回しにしてしまう人がいます。特に宿題や仕事など負担が重いと感じるものは、なかなか手をつけられず、結局ギリギリまで引き延ばします。
「やらなくちゃ」と思っても、スマホを触ったりテレビを見たりして気を紛らわしてしまいます。こうした習慣がつくと、締め切り前の焦りやストレスがさらに増えてしまうのです。
2. 完璧にやらないと気がすまない
完璧主義の人は、何でも完璧にやらなければ気が済まず、失敗を恐れるあまり行動が遅れてしまいます。テストや課題などを始める前から「完璧にできるだろうか」と悩み、結果として手をつけることすらできなくなるのです。
周囲には真面目で慎重に見えますが、内心では不安や恐怖に押しつぶされて動けなくなっています。結果、時間がなくなって焦り、完成度も下がります。
3. 人の目を気にして動けなくなる
他人の評価を気にしすぎる人も後回し癖が強くなります。「失敗したらどう思われるだろう」「怒られたら嫌だな」という気持ちが強く、行動ができなくなります。
特に人前で発表したり、仕事を提出したりする場面では緊張して動けなくなり、何もせずに時間だけが過ぎてしまいます。
他人に嫌われたり評価が下がることへの恐怖から、先延ばしが習慣になってしまうのです。
4. 自信がなくて手が止まってしまう
自分に自信が持てない人は、「どうせ失敗する」「自分にはできない」と思い込みがちです。
やらなければいけないことに対しても、最初から「うまくいかないだろう」と諦めてしまい、行動に移せません。
こうした考え方が習慣になると、小さなタスクすら先送りにしてしまい、自信もどんどんなくなります。負のループに陥り、自己肯定感も低下してしまいます。
5. 「明日やればいい」と思ってしまう
「明日やれば大丈夫」「あとでやろう」と考えてしまう人も、先延ばし癖が強いタイプです。
一見ポジティブに見えますが、実際は“未来の自分”に期待しすぎている状態です。今やらなくても後で取り戻せると思い込み、結果的にギリギリまで動けなくなります。
このタイプは、物事の難易度や必要な時間を過小評価しやすく、期限直前に焦ってしまうことが多いのが特徴です。
6. 優先順位をつけるのが苦手
やることが多いと、何から始めればいいのかわからなくなり、全部後回しにしてしまう人もいます。このタイプは、頭の中で考えすぎて行動が止まる傾向があります。
結果として、急がないことに手をつけたり、些細なタスクばかり進めたりして、本当に重要なことが後回しになります。 「考えすぎて動けない」ことが最大の特徴です。
7. 集中できず誘惑に負けやすい
勉強や仕事に集中しようと思っても、スマホの通知やSNSが気になってしまう人も多いでしょう。短時間のつもりが、気づけば長時間スマホを見てしまうという経験もあるはずです。
集中力が途切れると再び取りかかるのが難しく、どんどん作業が後回しになります。 「少しだけ」のつもりが止まらないのがこのタイプの特徴です。
8. やる気を待ち続けてしまう
「やる気が出たらやろう」と考えてしまう人は、気分に左右されやすい傾向があります。モチベーションが上がらない限り動けないため、結局いつまでたっても手をつけられません。
やる気は行動のあとについてくるものなのに、気分が先に来ると思い込んでしまうのです。 「気分任せ」で行動が遅れてしまうタイプです。
9. 違うことに手を出してしまう
やらなければいけないことを避けるために、別のことを始めてしまう人もいます。
たとえば、仕事を片づける前にデスクを掃除したり、試験前に部屋を整理したりするタイプです。一見「行動的」に見えますが、実は不安やストレスから逃げているだけです。
やるべきことを避けるために、他の作業で自分をごまかしてしまうのが特徴です。
10. ギリギリにならないと動けない
「追い込まれたほうが集中できる」と考えるタイプです。
締め切りが近づくまでは動かず、最後の瞬間に一気に片づけようとします。確かに短期的には成果を出すこともありますが、心身に負担がかかり、疲労が蓄積しやすくなります。
「焦りの力で乗り切る」スタイルは長続きしにくく、結果的にストレスが増えてしまいます。
先延ばし癖とストレスの関係

先延ばしや後回しは、一時的に安心感を与えてくれます。しかし、後で「やらなきゃ」と思い出すたびにストレスが高まり、心の負担が増していきます。
やるべきことが頭の中で常に残っている状態は、無意識のうちに集中力を奪い、疲れやすくするのです。また、「またできなかった」と自分を責める気持ちが強まると、自己肯定感が下がり、さらに行動できなくなります。
このように、先延ばしとストレスは互いに悪循環の関係にあります。小さな行動でもいいので、早めに手をつける習慣を作ることが大切です。
後回し癖を改善する6つのステップ

先延ばしや後回しの癖を改善するには、自分の意志だけで無理に変えるのではなく、やりやすい方法やちょっとした工夫で取り組むことが大切です。心理的負担を減らし、自然に行動できるようにしましょう。
① 小さく始めてみる
後回し癖がある人は、タスクの大きさに圧倒されることがよくあります。「やらなければ」と思うだけで不安になり、気が進まなくなるのです。
この心理を和らげるには、タスクを小さな作業に分割して取り掛かると効果的です。
- 5分以内で終わる作業を見つける
- 最初のステップだけ明確にする
- 完璧に終わらせようと考えない
こうすることで心理的なハードルが下がり、「まず動き出すこと」が簡単になります。動き始めれば脳も作業モードになり、後回しが減ります。
②「5分だけ」と決めて動く
後回しする人の多くは「気が乗らない」と動けなくなります。人間の脳は実は「行動を始めること」自体にエネルギーを使いますが、一度動き出すと意外と抵抗感がなくなるものです。
そのため、「5分だけ」と決めて無理やりでも動き出すことが大切です。
- タイマーを5分セットして作業する
- 気分が乗らなくてもまず机に向かう
- 作業を始めた自分を認める
「動き出すと意外に簡単だった」と感じる経験を積み重ねることで、後回し癖を少しずつ改善できます。
③ スマホや誘惑を遠ざける
後回しする人は集中力が途切れやすく、スマホやSNSといった手軽な誘惑に引き込まれやすい傾向があります。こうした誘惑は作業効率を下げ、「後でやればいい」と気を緩ませてしまいます。
誘惑を物理的に遠ざけると、自然に集中できるようになります。
- 作業中はスマホを別の部屋に置く
- SNSや通知を一時的にオフにする
- 作業場所を変えて新鮮さを出す
誘惑を断ち切れば、目の前のタスクに集中でき、後回しにする癖を軽減できます。
④「完璧じゃなくてもいい」と考える
完璧主義の人は失敗を恐れ、後回しにしがちです。「完璧にできないならやらない方がいい」と考えてしまい、結果的にタスクがどんどん溜まります。
この考え方を変えるには、完璧を求めず「まずは提出する」ことを目標にします。
- 「60点くらいでいい」と割り切る
- 他人の評価を気にしすぎない
- 不完全でも「終わらせる」ことを意識する
これで心理的プレッシャーが軽減され、行動が早くなります。「意外と60点でも問題なかった」と感じれば、完璧主義から抜け出せます。
⑤ 頑張った自分に「ごほうび」を与える
脳は「報酬」があると行動しやすくなります。後回し癖がある人は、自分へのごほうびを設定するとモチベーションが上がります。
タスク後の楽しみを意識すれば、心理的負担も和らぎます。
- 小さな作業を終えたら好きな動画を見る
- タスクが済んだら好きなスイーツを食べる
- 作業後に友達と遊ぶ計画を立てる
達成感を味わう経験が増えるほど、後回しが減り、日常的な行動パターンが改善します。
⑥ 締切を味方にする
締切が遠いと安心して後回しにしがちです。直前になって慌てるパターンから抜け出すには、自分で「擬似的な締切」を作ることが役立ちます。
早めの締切を設定すれば、行動力が自然と高まります。
- 実際の締切の2〜3日前を締切に設定する
- カレンダーやスマホで通知を設定する
- 友達や家族に締切を伝えて責任感を持つ
こうした工夫で締切への意識が高まり、行動のタイミングが早まります。
まとめ

後回し癖は「意志が弱い」「怠けている」と誤解されがちですが、実は多くの人が抱える心理的な現象です。大切なのは、自分を責めることではなく、小さな行動を積み重ねて「動きやすい環境」を作ることです。
最初は「自分は変われるのかな」と不安になるかもしれませんが、小さな一歩を続ければ、いつの間にか行動できる自分に気づくはずです。焦らず、一歩ずつ進みましょう。









