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親との時間は永遠ではない
親は自分より先に旅立つものだと、頭では理解していても、現実を意識することは難しいものです。多くの人が親を亡くしてから、初めてその喪失感や後悔を味わっています。
「もっと親孝行すればよかった」
「ちゃんと感謝の言葉を伝えればよかった」
といった後悔は、残念ながら親が亡くなったあとでは取り返しがつきません。親が健在なうちに、自分の思いを素直に伝え、できることを実行に移しておくことが、後悔を減らす唯一の方法です。
大切なのは、特別なことではなく、日常の小さな積み重ねを丁寧に行うことなのです。
親が亡くなる前に今すぐすべき8つのこと
親が亡くなったあと、多くの人が後悔することには共通点があります。その後悔を少しでも減らすためには、親が健在な今こそ行動を起こすことが重要です。
ここからは、情緒面を中心に「親が元気なうちにしておきたいこと」を紹介します。
1. 感謝と謝罪を言葉にする
親に感謝の気持ちを伝えることは、照れくさいと感じる人も多いでしょう。しかし、感謝の気持ちは伝えなければ相手には伝わりません。
「言わなくてもわかるだろう」と思っていると、その機会を永遠に失うかもしれません。素直な気持ちを「ありがとう」と伝えるだけで、親は心から喜んでくれます。
また、過去の言動に対する謝罪の言葉を伝えることも大切です。過去にケンカや言い合いをしたまま、関係を修復できないまま別れてしまうと、大きな後悔が残ります。
謝る勇気を持つことが、あなた自身の心の平穏にもつながります。
2. 親の人生を聞いて理解する
意外なことに、自分の親の人生を深く知らないという人は少なくありません。
親が子ども時代をどのように過ごし、どんな青春時代を送ったのか、どのような夢や苦労があったのか。これらを知ることで親への理解が深まり、より良い関係性が築けます。
親の人生の物語を聞くことは、親にとっても自分自身の人生を振り返る良い機会になります。話を聞く中で、「こんな面があったのか」と新しい発見があるはずです。
そうした親の人生を知る経験は、自分自身の生き方にとっても大切なヒントになります。
3. 思い出を一緒に作る
親と共に過ごす時間は、特別なことでなくても構いません。一緒に料理をしたり、散歩をしたり、買い物に出かけたりする日常のささやかな行動でも、後に振り返ると温かい記憶になります。
また、親が行きたいと願っていた場所へ旅行をすることや、昔訪れた思い出の場所を再訪することもおすすめです。こうした共有した時間は、親だけでなく自分自身にとってもかけがえのない思い出となり、親が亡くなった後も心を支える大切な宝物になります。
4. 元気な姿を写真や動画に残す
葬儀で遺影の写真を探すときに、「もっと元気なときの写真を撮っておけばよかった」と後悔する人は数多くいます。
写真や動画は、特別なイベントだけでなく、普段の自然な姿や笑顔を記録しておくことが大切です。日常の何気ない姿こそ、あとで見返したときに心温まるものです。
最近ではスマートフォンで気軽に写真や動画を撮影できますから、積極的に親の姿を記録しましょう。また、写真や動画を撮る行為そのものが、親とのコミュニケーションを深めるきっかけになります。
5. 最期の望みや気がかりを聞く
親は子どもを心配させまいとして、本音を隠してしまいがちです。しかし親が本当に望んでいることや気がかりなことをきちんと聞いておくことは、後悔を防ぐために非常に重要です。
たとえば、「会いたい人はいるか」「行ってみたい場所や、やってみたいことはあるか」など、具体的に聞いてみましょう。
また、病気や介護のこと、葬儀の方法やお墓の希望などについても、自然なタイミングで親の意向を確認しておくことが大切です。そうすることで、親も安心し、あなた自身も悔いなく送り出すことができます。
6. 大切な人に会わせる
親にとって特別な存在である大切な人に会わせることは、親にとって非常に喜ばしい瞬間となります。親が会いたがっている昔の友人や親戚、恩人などを把握して、機会を作るよう心がけましょう。
また、あなたにとって大切な存在(パートナーや友人など)を紹介することも重要です。親はあなたの人生を支える人々と会うことで安心し、幸福感を得ることができます。
こうした交流は親との絆を深め、亡くなった後に「あのとき会わせてよかった」と心から感じられるでしょう。
7. 日常のサポートや寄り添いを増やす
特別なイベントや旅行などだけが親孝行ではありません。普段の生活の中で親の健康状態を気遣ったり、買い物や通院の手伝いをしたり、日常的に寄り添うことが、親にとっては大きな安心につながります。
実際、親を亡くした人々の多くが「もっと日常のちょっとしたことを手伝えばよかった」「そばにいてあげればよかった」と後悔しています。ちょっとした会話や優しい気遣いが、親にとって最も嬉しいものであり、そうした日常の積み重ねこそが、本当の意味で親孝行だと言えるでしょう。
8. 名前の由来や家族の歴史を聞く
自分の名前の由来や家族のルーツをきちんと知ることは、自分自身のアイデンティティを確認する上でも重要です。
名前には親の思いや願いが込められているものですが、その由来を親が元気なうちに聞いておかなければ、永遠に知る機会を失います。自分の名前をどのように決めたのか、その背景にある親の考えや願いは何だったのか、率直に質問してみてください。
また、家族の歴史や先祖についても聞いておくと、自分が受け継いでいるものを理解し、親への感謝や家族の絆を再認識する機会にもなります。
最低限の実務チェックリスト
親が亡くなったあとには、遺族が手続きをしなければいけないことがたくさんあります。親が元気なうちに最低限の情報を整理しておけば、あとで混乱やトラブルを防ぐことができます。
以下は特に重要なチェックリストです。
- 遺言書の有無と保管場所の確認
- 預金口座や証券口座、不動産の情報整理
- 保険(生命保険・医療保険)の契約内容確認
- 借入金の有無と返済方法の確認
- パソコンやスマホ、ネット銀行、SNSなどのパスワードの整理と管理
- 葬儀や埋葬に関する希望を確認する(葬儀方法や規模、お墓や仏壇の希望など)
これらを早めに親と一緒に整理し、明確化しておくことで、親が安心できるとともに遺族の負担も軽減できます。
まとめ
親が亡くなったときの後悔を完全になくすことは難しいですが、できるだけ減らすことは可能です。重要なのは、「いつかしよう」ではなく、「今できること」を実際に行動に移すことです。
また、親のことを考える時間を持つことは、自分自身を見つめ直す貴重な機会にもなります。普段は言えない感謝や謝罪を言葉にし、小さな行動を積み重ねていくことが、自分自身の心をも穏やかにしてくれるでしょう。