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白米を冷凍すると食感が落ちる理由とは
炊きたての白米は、デンプンが水分を含みふっくらと柔らかく仕上がっています。
しかし、冷めるとデンプンから水分が抜けてしまい、徐々にご飯は硬くパサパサになります。これはデンプンが「老化」するためで、一度老化したご飯を元の状態に戻すことは困難です。
ところが、この老化を抑え、炊きたての美味しさをキープできる方法があります。それが正しい冷凍保存です。適切に冷凍保存した白米は約2週間から1か月間、美味しさを保つことが可能です。
しかし、多くの人が冷凍方法を間違ってしまい、「食感が悪い」「味が落ちた」と感じています。美味しく冷凍保存するためには、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。
冷凍保存した白米がまずくなる9つのNG行為
白米の美味しさを損なわずに冷凍保存するために、絶対に避けたい行為があります。ここでは、多くの人がやりがちな誤った方法を順番に詳しく説明します。
①ご飯を冷ましてから冷凍保存する
ご飯が冷めてから保存すると、デンプンが老化し、水分が抜けます。そのため、解凍した後のご飯はパサパサして硬い食感になります。
炊きたてのご飯の美味しさを保つためには、温かいうちにラップで包み、ある程度の熱を保った状態で冷凍準備をしましょう。ただし、熱々の状態で冷凍庫に入れることも避ける必要があります。次の項目で理由を説明します。
②熱々のまま冷凍庫に入れる
熱々のままの白米を冷凍庫に入れると、庫内の温度が上昇して他の食品が劣化する原因になります。さらに、温度差によって冷凍庫内に霜が発生し、これが冷凍ご飯に付着して味を落とす「冷凍焼け」の原因にもなります。
ご飯はラップや密閉容器で包んだ後、常温で数分置き、手で触れるくらいの温かさになってから冷凍庫に入れるようにしてください。
③ご飯をぎゅっと押しつぶして保存する
白米をラップで包む際、空気を抜こうとして強く押しつぶしてしまう人がいます。しかし、ご飯を強く押しつぶすと、米粒が潰れてふんわり感が失われます。
また、解凍後の食感がベチャッとしたり、塊のまま固まってしまったりします。保存する際は、ふんわりと包むようにしましょう。
④密閉性の低い容器やラップを使う
冷凍保存には、密閉性が高い専用の容器やラップを使うことが重要です。密閉性が低いと冷凍庫内の他の食品から匂いが移り、ご飯本来の風味が損なわれます。
また、乾燥や冷凍焼けが起こりやすく、解凍後の食感も大きく落ちます。冷凍専用容器や密閉性の高いラップを使用し、さらにフリーザーバッグで二重にするのがおすすめです。
⑤大きな塊で冷凍する
余ったご飯を大きな一塊で冷凍すると、中心まで均一に冷凍できず、解凍時にも加熱ムラが生じます。その結果、部分的にパサパサになったり、逆にベチャっとした食感になったりします。
1食分(150g~180g)程度を小分けにし、平らに広げて薄く冷凍することで、均一に解凍できます。
⑥冷凍する前に長時間放置する
ご飯を炊いてから何時間も放置して冷凍すると、すでにご飯が乾燥し始め、デンプンが老化しています。一度老化が進んだご飯は、冷凍しても美味しさが復活しません。できるだけ炊飯後早めにラップで包んで冷凍保存しましょう。
保温したままの状態でも、炊飯器内で数時間以上経過すると、食感が劣化します。炊き上がってから遅くとも1時間以内に保存を済ませるのが理想です。
⑦冷凍保存期間が長すぎる
冷凍保存した白米は、家庭用冷凍庫で約1か月保存できます。しかし、冷凍期間が長くなるほど水分が抜けてパサつきやすく、味や食感も徐々に落ちていきます。
できるだけ2週間以内に食べきることを推奨します。日付を書いたラベルを貼るなどして、保存期間をしっかり管理しましょう。
⑧冷凍庫を頻繁に開け閉めする
冷凍庫を頻繁に開閉すると、庫内の温度が不安定になります。その結果、冷凍保存したご飯の表面に霜がつきやすく、冷凍焼けが起きてしまいます。
冷凍焼けしたご飯は食べること自体は可能ですが、本来の風味が落ち、解凍しても美味しくありません。冷凍庫の開閉回数を減らし、可能であれば冷凍庫内を整理して出し入れしやすくすることも重要です。
⑨電子レンジの「解凍モード」で温める
電子レンジの「解凍モード」は、本来食品を常温に戻すための弱い加熱モードです。ご飯を解凍モードで温めると、ゆっくりと温められるため水分がご飯の表面に偏り、べちゃっとした食感になります。
美味しく解凍するためには、「通常のあたためモード」で短時間で一気に加熱するのがおすすめです。途中で一度取り出して軽くほぐしたり裏返したりすると、ムラなく均一に温められます。
冷凍ご飯を美味しく保存するポイント
白米を美味しく冷凍するためには、NG行為を避けるだけでなく、正しい方法を取り入れることも重要です。
ここではすぐに実践できる工夫を詳しくご紹介します。
少し硬めに炊く
ご飯を冷凍すると、どうしても解凍時に水分が増え、べたつきやすくなります。そのため、あらかじめ炊く時の水の量を普段より5~10%程度減らし、やや硬めに炊いておくのがポイントです。
こうすると、解凍後に水っぽさがなく、炊きたてに近いふっくら感が楽しめます。
炊く前に米を十分浸水させる
炊飯前の浸水を十分に行うと、お米の芯まで水が行き渡り、ご飯がふっくら炊き上がります。
浸水が不十分だと、炊きたての時はあまり気になりませんが、冷凍後の解凍時にパサつきが目立ちます。夏は30分、冬は60分を目安に浸水させましょう。
1食分ずつ小分けにして平らに包む
ご飯は茶碗1杯分(約150~180g)を1回分として、小分けにして保存しましょう。小分けにすることで、解凍時間が短縮され、ムラなく均一に温まります。
また、ラップで包む際は厚さを2~3cmほどに平らに伸ばし、できるだけ空気を抜くことが大切です。空気が入ると冷凍焼けの原因になります。
金属製トレーを使って急速冷凍する
ご飯を急速に冷凍することで、水分の蒸発やデンプンの老化が抑えられます。家庭に急速冷凍機能がない場合は、アルミやステンレス製の金属トレーにご飯を乗せて冷凍庫に入れると、熱が早く逃げて短時間で凍ります。この工夫で、ご飯の鮮度がぐっと良くなります。
ラップとフリーザーバッグで二重に密封する
冷凍保存したご飯の味が落ちる原因の多くは、冷凍庫内の匂い移りや乾燥(冷凍焼け)です。これを防ぐためには、ラップで隙間なくご飯を密封し、その上からジッパー付きのフリーザーバッグに入れて二重で保存しましょう。これなら長期間の保存でもご飯が劣化しにくくなります。
解凍時はレンジ加熱の途中で一度ほぐす
冷凍したご飯をレンジで解凍するときは、途中で一度取り出してご飯を軽くほぐしましょう。これにより熱が均一に伝わり、ムラなく解凍できます。温めの目安は600Wで合計2~3分ほどです。
少し水分が足りない場合は、ご飯の表面に小さじ1杯程度の水をかけて加熱すると、よりふっくら仕上がります。
解凍後に蒸らし時間を設ける
レンジで温め終わったご飯を、すぐに取り出して食べるのではなく、1~2分ほどレンジ内やラップをかけたままで蒸らしましょう。
この蒸らし時間をとることで、水分が米粒全体に均一に行き渡り、炊きたてに近いふっくら感と甘みを感じやすくなります。
冷凍した日付を書いて順番に食べる
せっかく美味しく冷凍しても、長期間放置すると味や食感は落ちていきます。冷凍する際にはラップや保存袋に冷凍した日付を書き込み、古いものから順番に食べきる習慣をつけましょう。こうすることで、いつでも新鮮で美味しい冷凍ご飯が楽しめます。
まとめ
白米を美味しく冷凍保存するための秘訣は、ほんの少しの工夫と丁寧な準備にあります。実は冷凍した白米は、炊きたてに比べて消化が穏やかになり、血糖値の急な上昇を抑える効果も期待できます。
また、ご飯を炊く際に雑穀米や玄米を少量加えると、解凍後でももちもちした食感が残りやすく、栄養価もアップします。手軽にできるこれらの工夫を組み合わせれば、毎日の食卓をさらに豊かにすることが可能です。