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部屋の換気をしないとどうなる?
換気とは、室内の汚れた空気を外へ出し、新鮮な空気を取り入れることです。室内には目には見えない汚れや、二酸化炭素、湿気などが溜まりやすく、換気をしないままでいると健康や暮らしにさまざまな影響が出ます。特に最近では感染症対策の一環としても、換気の重要性が高まっています。
室内の空気を入れ替えることは、ウイルスやホコリを減らすだけではありません。快適な生活環境を保つためにも、換気は欠かせない行動の一つです。
部屋の換気をしないと起きる5つの問題
換気をしない状態が続くと、さまざまな健康リスクや不快な症状が現れます。ここでは、換気を怠ることで起きやすい問題を具体的に解説します。
1. 頭痛や眠気、集中力の低下が起こる
換気をしないでいると、室内の二酸化炭素濃度が高まります。二酸化炭素は人が呼吸するたびに増えるため、換気を怠るとすぐに溜まってしまいます。
二酸化炭素が溜まりすぎると、体に取り込める酸素の量が減り、脳の働きが悪くなります。そのため、頭痛や眠気、集中力が落ちるといった症状が出てきます。
特に、人が多い部屋や狭い部屋では短時間で空気が悪くなりやすくなります。学校やオフィスなどのように、長時間同じ部屋にいることが多い場所では、意識してこまめな換気を心掛ける必要があります。
2. カビやダニが増えてアレルギーを引き起こす
室内では人の呼吸や料理、加湿器の使用などにより、知らず知らずのうちに湿気が増えます。換気をしないと、部屋の中に湿気がこもりやすくなります。その湿気が高まると結露が生じ、カビが繁殖します。
カビは、部屋の中にある食べ物のカスやホコリを栄養源として広がり、目に見えない胞子を放出します。また、カビをエサにするダニも増えてしまいます。これらは室内の空気中に広がって、吸い込むとアレルギー症状を引き起こすことがあります。
主な症状は次のようなものがあります。
- くしゃみ、鼻水、鼻づまり
- 目のかゆみや充血
- せきや喉の違和感
- 肌のかゆみや湿疹
湿気が溜まりやすい浴室や押し入れ、クローゼットなどの換気にも気を配ることが大切です。
3. シックハウス症候群で体調が悪くなる
新築の家やリフォーム直後の部屋では、建材や家具からさまざまな化学物質が出ています。代表的なものには「ホルムアルデヒド」という物質があり、目や喉を刺激して頭痛やめまい、吐き気などの症状を引き起こします。このような健康被害をまとめて「シックハウス症候群」と呼びます。
換気を行わないと、このような化学物質が室内に溜まってしまいます。特に新しい住宅に住み始めたばかりの人は、毎日換気を意識して行うようにしましょう。
4. 一酸化炭素中毒になる危険がある
冬場に石油ストーブやガス暖房器具を使うとき、換気をせずにいると室内に一酸化炭素が溜まりやすくなります。一酸化炭素は無色・無臭で気づきにくく、気がつかないうちに室内に充満してしまいます。
一酸化炭素を吸い込むと、吐き気や頭痛、めまい、倦怠感などの症状が現れます。ひどい場合には、命に関わる危険性もあります。
特に冬の寒い日は窓を閉め切りがちになりますが、暖房器具を使うときは短い時間でも必ず換気を行い、一酸化炭素の蓄積を防ぐことが必要です。また、一酸化炭素警報器を設置しておくことも安全対策として有効です。
5. 部屋に不快なニオイが溜まる
換気を怠ると、室内にさまざまなニオイが溜まります。例えば、料理のニオイ、ペットのニオイ、部屋干しの衣類のニオイ、人の体臭や汗など、さまざまな生活臭が入り混じって室内に残ります。住んでいる人は慣れてしまい気づきにくいですが、来客にとってはとても不快なものになる可能性があります。
これらのニオイは、壁紙やカーテン、家具などに染み付いて取れにくくなります。定期的に換気をして空気を入れ替えることで、ニオイが染みつくのを防ぐことができます。
正しい換気の方法
換気はただ窓を開ければよいというわけではありません。効率よく空気を入れ替えるための方法があります。ここでは誰でも簡単にできる正しい換気方法を詳しく解説します。
窓を2ヶ所以上開けて風の通り道をつくる
効率のよい換気をするためには、風が部屋全体を通り抜けるようにすることが重要です。窓を開けるときは、部屋の対角線上にある2ヶ所以上の窓を開けて、風が通る道を作ります。
このとき、空気が入る側の窓は5〜15cmほど少し開けて、出ていく側の窓は大きく全開にすると、空気が効率よく流れます。対角線上に窓がない場合は、ドアを開けることで空気の通り道を作ることも可能です。
換気扇や扇風機を併用して効率アップ
部屋に窓が1ヶ所しかない場合や、風が通りにくい間取りの場合には、換気扇や扇風機、サーキュレーターを利用します。
窓が1つしかない部屋では、窓の近くに扇風機やサーキュレーターを外に向けて設置し、室内の空気を外へ送り出すように運転すると効果的です。
また、窓がない部屋の場合でも、ドアを開けて扇風機で廊下側へ空気を送り、廊下にある換気扇(キッチンやトイレなど)を動かすと空気が流れます。
扇風機を上手く使えば、どんな部屋でも空気の入れ替えが簡単になります。
換気は短い時間でこまめに行う
換気は長時間まとめて行うよりも、短い時間で何度も繰り返す方が効果的です。1回の換気時間は約5~10分を目安にし、可能であれば1~2時間ごとに空気を入れ替えると室内環境が快適になります。
特に、家族が多く集まるリビングや人が長時間いる寝室、勉強部屋などは短時間で空気が汚れやすいため、換気の回数を増やすことをおすすめします。
また、冬場は室温が下がることを避けるために、換気時間を短めにして回数を増やす工夫をするとよいでしょう。
使っていない部屋も1日1回は換気する
普段あまり使っていない部屋や倉庫として使っている部屋も、最低でも1日に1回は数分間の換気が必要です。使っていない部屋でも、知らない間に湿気が溜まったり、ホコリやハウスダストが蓄積したりするためです。
使わない部屋に湿気やホコリが溜まると、カビやダニが繁殖しやすくなり、隣の部屋にも影響を及ぼすことがあります。部屋を使わない場合でも、扉や窓を数分開けるだけで空気が入れ替わり、家全体の空気環境が良くなります。
24時間換気システムを正しく使う
最近の住宅には24時間換気システムが備わっています。このシステムは部屋の空気を常に入れ替えてくれるため、快適な空気環境を維持しやすくなっています。
しかし、換気システムの電源を切ってしまったり、吸気口や排気口を家具やカーテンで塞いでしまったりすると、十分な換気が行われません。システムが適切に機能するように、換気口の周りに物を置かないようにしましょう。
また、定期的に換気口を掃除して、ホコリや汚れが溜まらないようにすることも重要です。
エアコンは換気の代わりにならないことに注意する
エアコンを運転していると、部屋の空気がきれいになっていると思われがちですが、実際は室内の空気を循環させているだけで外の新鮮な空気を取り込んではいません。エアコンはあくまで室内の温度や湿度を調整するもので、換気の役割は果たしていません。
エアコンを使っている場合でも、別途、換気扇や窓開けなどの方法で空気の入れ替えを定期的に行う必要があります。室温調整と換気をうまく組み合わせて、快適な環境を保ちましょう。
まとめ
換気は日常生活の中で忘れがちですが、家全体の空気環境を整えるためには欠かせない習慣です。また、換気を習慣化することで部屋の状態を自然と気にするようになり、湿気やホコリが溜まりにくい家具配置や部屋作りを意識するようになります。新しい家具やカーテンを選ぶ際にも、通気性の良いものを選ぶことでさらに快適な暮らしが手に入るでしょう。