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カラスは鳥の中で一番賢い?
カラスは、身近でよく見かける鳥の中でもとくに頭が良いことで有名です。
日本でもカラスの賢さが知られていますが、その賢さが時には人間の生活に困った影響を与えることもあります。例えば、ゴミを散らかしたり、人間を襲ったりすることがあり、多くの自治体が対策に悩んでいます。
それでは実際、カラスの知能はどのくらいのレベルなのでしょうか。
カラスの知能は人間の何歳くらい?
よく「カラスの知能は人間でいうと6〜8歳程度」と言われます。これは少し誇張された表現で、カラスがすべての面で小学生並みというわけではありません。ただ、ある特定の問題解決の能力では、小学校低学年の子どもたちと同じくらいの力を発揮することが研究でわかっています。
例えば、カラスは嫌がらせをした人の顔を覚えていて、長い間忘れません。その記憶力はとても良く、研究では10年以上、人間の顔を覚えているケースも報告されています。
一方で、身近な動物として人気の犬の知能は人間の2〜3歳程度と言われているため、少なくとも記憶や特定の課題解決に関しては、カラスの方が優れていると言えます。
カラスが頭が良い理由とは?
カラスが他の鳥に比べて、なぜこんなにも賢いのか。その理由は脳の仕組みや、仲間との関わり方にあります。ここでは、カラスの頭の良さを生み出す理由を具体的に見ていきましょう。
カラスの脳は特別な仕組みを持つ
カラスの脳は鳥の中でも特に発達しています。脳が大きいだけでなく、脳の中の神経細胞(ニューロン)がとても多く詰まっているのです。実際、カラスなどの鳥の脳には、同じ大きさのサルや他の動物よりも2倍近い神経細胞があり、これがカラスの高い知能を支えています。
また、この密度の高い神経細胞があることで、カラスは複雑な状況に対応したり、新しいことを覚えたりすることが得意です。
カラスは新しいことを覚えるのが得意
カラスは経験を通じて新しいことを次々と覚え、それを生活に役立てます。特に都会で暮らすカラスは、人間が出したゴミ袋を破って中の食べ物を取り出す方法を覚えました。
これはアメリカの都市部で1980年代に初めて見られ、その後多くのカラスが仲間から学んで行動するようになったと言われています。
日本の都市部では、クルミの硬い殻を割るために、道路に置いて車にひかせる行動が知られています。さらに、一部のカラスは信号機の仕組みを理解し、車が止まったタイミングで安全にエサを取りに行くという驚くべき行動も観察されています。こうした学習能力が、カラスの環境への適応力を高めています。
仲間と情報を伝え合って生活している
カラスは集団で生活するため、コミュニケーション能力も非常に発達しています。カラスの鳴き声は単なる音ではなく、実は20種類以上もの意味を持つことが分かっています。例えば、「敵がいる」「エサがある」など、それぞれの状況に応じて鳴き声を変え、仲間に情報を正しく伝えることができるのです。
また、仲間同士で情報を共有することで、危険な場所や安全にエサを取れる場所を伝え合い、群れ全体の生存率を高めています。ゴミ捨て場が一度カラスに狙われると、その後カラスが何度もやって来るのは、この情報共有能力が原因だと言われています。
道具を使うほどの知恵がある
カラスの高い知能を示す代表的な例の一つが、道具を使う能力です。
特にニューカレドニアに生息する「カレドニアガラス」は、小枝を自分で加工して道具にし、木の穴に隠れている虫を器用に取り出して食べます。これは、道具を作って使うことができる鳥類は極めて珍しく、カラスがいかに特別な能力を持っているかを物語っています。
また、カラスは単に道具を使うだけでなく、問題が複雑な場合は自ら試行錯誤を繰り返して解決法を見つけ出すこともあります。例えば、エサを取る仕掛けを前にすると、どの方法が効率的かを判断して道具を使ったり、別の方法を試したりします。
このような能力は、人間以外ではチンパンジーやオランウータンなどごく一部の動物にしか見られない高度なものです。
カラスにも「遊び」がある
さらに興味深いことに、カラスは遊びを楽しむことも知られています。
雪や滑りやすい屋根の上をわざわざ滑って遊んだり、空中で物を落としてキャッチする遊びをすることがあります。こうした遊びは直接生存に役立つ行動ではありませんが、カラスの好奇心や柔軟な思考力を示す重要な行動だとされています。
遊びをすることができるのは、余裕を持って周囲の環境を観察し、新しい行動を試す能力がある動物だけだと考えられています。カラスのこうした遊び行動は、彼らの高度な知能を裏付ける一つの証拠と言えるでしょう。
まとめ
カラスは私たちが思っている以上に知性豊かで、社会的な鳥です。ただその賢さゆえ、人間社会と摩擦を生むこともあります。
しかし、実はカラスには顔の表情や人の態度を読み取る力があり、無駄な衝突は避けようとする傾向も知られています。普段から穏やかな態度で接することで、カラスとの不要なトラブルを防ぐことができるでしょう。