目次
テンセル素材の欠点
洋服には様々な素材があり、それぞれ弱点があります。テンセルの弱点を知れば素材を長持ちさせ、いつまでも大切に扱うことができるでしょう。ここではテンセル素材の欠点を4つ紹介します。
摩擦に弱く傷みやすい
テンセルはとても繊細な素材の為、摩擦に弱く傷みやすいという欠点があります。シミや汚れがついたからといって、洗濯機でグルグル回したり、水に浸して強くこすり洗いをしたりしてしまうと劣化を早めてしまいます。摩擦に弱いので、バッグなどの擦れには注意しましょう。
シワができやすい
テンセルはシワができやすいデリケートな素材。伸縮性がありよく伸びますが、同時にシワができやすいという欠点があります。シワを残したままにすると、だらしなさが露骨に出てしまいます。洗濯時の脱水などでねじれが生じた場合は、しっかりと伸ばして形を整えましょう。
虫食いやカビが生えやすい
テンセルは木材パルプ、綿などの自然のものを原料として作られた再生繊維なので、カビや虫食いの被害にあいやすくなっています。
虫は食べ残しや汚れのある部分を好むので、しっかりと洗濯で汚れを落とさないといけません。虫食いやカビを防ぐために洗濯したらすぐ干し、湿気た場所に保管しないようにしましょう。
水に濡れたときの摩擦に若干弱い
テンセルは水に濡れた時の摩擦に若干弱く、摩擦により毛羽立ちや白化を引き起こしてしまうので注意しましょう。乾燥している時よりも、湿気を吸って湿度の高い状態だと生地がダメージを受けやすくなってしまいます。
テンセルは摩擦に弱いだけでなく濡れると風合いが固くなる場合があるので、雨の日の着用はできるだけ避けた方が無難です。
テンセルの特徴
化学繊維であるテンセルは木材のパルクから作られるため、化学繊維と天然繊維の両方の特徴を併せ持っています。テンセルの特徴を5つ紹介しましょう。
滑らかさ
テンセルの最大の特徴はキメの細かい滑らかさです。伸縮性があり、滑らかな肌触りが魅力の素材となっています。そのため、身につけた時に心地よさを感じることができるでしょう。フィット感があるので、下着や肌着、寝具など、体に密着させるものとして人気があります。
吸放湿性
吸放湿性の高さもテンセル繊維の大きな特徴です。吸放湿性とは、湿度が高い状況下では水分を吸収し、乾燥状況下では水分を放出するという機能のことです。これにより体から出た汗を吸い取り、生地が湿ってもすぐ乾いてくれため、長期間身につけていても快適に過ごすことができます。
夏の前後の汗ばむ季節にテンセルは大活躍するでしょう。テンセル素材のシーツを使えば、睡眠中の汗を吸い取るだけでなく、布団内が蒸れづらく涼やかで快適に眠ることができます。優れた吸湿性のため細菌が増殖しにくく、衛生面でも優れています。
また、冬の乾燥しやすい季節の場合は、素材や生地が服の内側の湿度を保ってくれます。保温性に優れているので、寒い冬場でも十分に活用することができるでしょう。
エコロジー
テンセルは、ポリエステルなどのように石油から作られるわけでなく、コアラが食べることで有名なユーカリの木を原料としています。テンセルは分類上は化学繊維ですが、限りなく天然繊維に近いです。ユーカリは成長が早く、栽培に水を大量に使う必要がないため、エコロジーです。
このユーカリの木に溶剤を使い、溶かして繊維を作っていきますが、この溶剤も99%再利用されるため、環境を汚すことはありません。地球に優しい素材で作られているため、テンセル素材の需要が高まっています。
強度
ドレープ性があり、シルクのように上品な滑らかさや心地良さを持っているテンセルは、強度に優れているという特徴があります。
繊維の断面が円形であるため、湿気が多くても収縮や強度の低下が少ないのです。上品な光沢や柔らかさを堪能しつつ、普段使いしやすいのがテンセルの魅力となっています。
テンセルの洗濯と乾燥方法
テンセルは伸縮性があり、丈夫という特徴があります。その一方でシワができやすい、摩擦で表面がすれて傷みやすいという欠点があります。そのため、洗濯の仕方や乾燥方法を間違えてしまうとテンセルが傷みやすくなってしまうでしょう。テンセルの洗濯と乾燥方法を紹介します。
洗濯ネットに入れて洗う
テンセルの長持ちさせるためには、摩擦を避けるということが大切です。そのため、テンセル素材のものは洗濯ネットに入れて使いましょう。
摩擦を減らす方法は他にも、「テンセル素材を裏返してネットに入れる」「ネットは網の目が細かいものを使う」「乾燥機は使わない」というものがあります。
また、使用する洗剤は洗浄力の強い「アルカリ性洗剤」よりも、「中性洗剤」を使った方がテンセルへのダメージを防ぐことができます。
水流を弱め、洗濯時間を短めに設定する
テンセルは摩擦に弱いため、できるだけ洗濯時間を短くしましょう。洗濯時間を短くするだけでなく、水を多め入れる、弱水流にすると、テンセル素材へ傷がつくのを防ぐことができます。
シワにならないように脱水時間も短めが望ましいです。脱水時間を設定できるならば「30秒」くらいに設定しましょう。設定できないのであれば、脱水の途中でテンセル素材のものだけを取り出してください。
シワを伸ばしながら日陰で吊り干しをする
テンセルを乾かす時は風通しのよい日陰でシワを伸ばしながら吊り干しをします。テンセルは高温によって縮んでしまうので、乾燥機を使わない様にしましょう。熱だけでなく、乾燥機の中の回転によって繊維が傷んでしまいます。
テンセルは速乾性に優れているので乾燥機を無理して使う必要はありません。天気のいい日に自然乾燥でしっかり乾かしましょう。万が一シワや縮みが気になる場合は、当て布をしながら中温でスチームアイロンを使い、優しく引っ張りながら元の形に戻してみましょう。
テンセルとリヨセルの違い
テンセルとリヨセルは全く同じ素材です。テンセルは英国のコートルズ社、リヨセルはオーストラリアのレンチング社と、別々の会社で商法登録していましたが、2004年に両社は合併しました。
現在はブランド名がテンセルで正式名称がリヨセルというようになっています。テンセルとリヨセルは欠点や特徴が全く同じなので、どちらも覚えておくようにしましょう。
テンセルの欠点と特徴を理解しよう
テンセルという素材は比較的歴史の浅い素材なので、どうやって洗ったらいいのか迷うかもしれませんね。けれども、洗濯時は摩擦を避けるということを意識すれば大丈夫です。
地球に優しいだけでなく、上品な光沢感や滑らかな肌触り、清潔感のあるデザインが魅力のテンセル。テンセル素材のものをできるだけ長く愛用するために、欠点と特徴を覚えておきましょう。