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お茶の味や安全は「沸かし方」で決まる
お茶を家で沸かすことは手軽で身近な作業ですが、やり方によっては味が悪くなったり、雑菌が増えてしまったりします。
特に暑い時期は食中毒のリスクもあるため、安全な方法を知ることが大切です。また、お茶の種類や水の状態でも味わいや安全性に影響があります。
間違った沸かし方は雑菌が増えて危険
お茶には抗菌効果のある成分も含まれていますが、それだけで菌の増殖を完全に防ぐことはできません。特に麦茶などの穀物茶には緑茶に含まれる殺菌成分(カテキン)がほぼないため、雑菌が増えやすくなります。
そのため、お茶を作った後に常温で放置していると、菌が好む30~40℃の温度帯で菌が急速に増殖してしまいます。菌が増えると食中毒の原因になることもあるため、正しい対処法を守る必要があります。
水質と温度がお茶の味と安全を左右する
お茶を入れるときの水には、殺菌効果のある塩素が含まれていますが、この塩素は沸騰させることで抜けてしまいます。味のためにカルキ臭を抜きたい場合は3分程度の沸騰に抑えるのが適切です。
長く沸騰させ過ぎると、爽やかな味の元である炭酸ガスまで抜け、味がぼやけてしまいます。また、沸騰したばかりの熱いお湯で緑茶を淹れると、苦味や渋味が強くなってしまうため、70~80℃程度まで冷ましたお湯を使うのがおすすめです。
実はNGなお茶の沸かし方5つ
毎日のように飲むお茶ですが、何気なくやっていることが実は良くない沸かし方だった、ということも少なくありません。ここでは特に注意が必要な、よくある間違ったお茶の沸かし方を説明します。
① 沸かした後のお茶を常温で放置する
麦茶などのお茶を煮出したあと、そのまま台所や食卓に置いて冷ましている家庭も多いかもしれません。しかし、この方法ではお茶が雑菌が増えやすい温度になり、菌が急速に増殖します。
お茶を沸かした後は、水を張ったボウルや氷水で急速に冷やすようにしましょう。お茶の安全を守るためには、すばやく粗熱をとることが重要です。
② 熱いお茶を冷まさず冷蔵庫に入れる
お茶を早く冷やそうと、熱いまま冷蔵庫に入れる人もいますが、これは逆効果です。熱いものを冷蔵庫に入れると、庫内の温度が上昇し、他の食品が傷む原因になります。必ずお茶は粗熱を十分に取ってから冷蔵庫に入れましょう。
③ ティーバッグを長時間入れっぱなしにする
ティーバッグを長時間入れたままにすると、苦味やえぐみが出て、味が悪くなります。また雑菌も増殖しやすくなります。
さらに、急須ややかんを激しく振ったり、ティーバッグをぎゅっと絞ったりすることも、お茶が苦くなる原因です。ティーバッグは煮出した後、火を止めて5分ほどしたらそっと取り出すようにしましょう。
④ 水出し専用ティーバッグを煮出しに使う
お茶のティーバッグには、水出し専用、お湯出し専用、兼用など種類があります。例えば、水出し専用のティーバッグを熱湯で沸かすと、味が悪くなったりパックの素材が傷んだりする可能性があります。ティーバッグを使う前には、パッケージをよく確認して正しい方法で沸かしましょう。
⑤ 水を長時間沸騰させ続ける
水道水のカルキ臭が気になる場合、沸騰させて抜くことができますが、沸騰させ過ぎると炭酸ガスまで抜けてしまい、味がぼやけてしまいます。3分ほど沸騰させると、カルキ臭が取れ、爽やかな味わいも保たれます。長時間の煮沸は避け、適切な沸騰時間を守りましょう。
正しいお茶の沸かし方と安全に保存するコツ
お茶を安全においしく飲むためには、いくつかの基本的な方法を守る必要があります。ここでは、家庭でも簡単にできるお茶の正しい沸かし方と保存のコツを紹介します。
カルキ抜きの沸騰時間は3分がベスト
お茶を沸かす水道水には、細菌を防ぐために塩素が入っています。
カルキ臭を取り除きたい場合は3分ほど沸騰させると、適度にカルキが抜けて味も良くなります。逆に、3分以上沸騰させると爽やかな炭酸ガスが抜けて味がぼやけるため注意しましょう。
お茶の種類で変わる適切な温度と煮出し時間
お茶の種類によって、おいしく飲める適切な温度や時間が違います。
例えば、煎茶は80℃くらいのお湯で1分、玉露は70℃くらいのお湯で2分が最適です。麦茶やほうじ茶など穀物系のお茶は沸騰したお湯で3~5分煮出した後、火を止めてさらに5分ほど置いてティーバッグを取り出すと、味が安定します。
急冷して菌が増えないように保存する
お茶を沸かした後はできるだけ早く冷ますのがポイントです。沸かしたまま常温に置くと、細菌が増えやすくなるため、水を張ったボウルに氷や保冷剤を入れて、やかんごと入れて急冷します。
この方法なら、2時間以内に約20℃まで下がり、菌が増えにくくなります。完全に冷えたら清潔な容器に移し、冷蔵庫で保管しましょう。
容器は清潔に保ち、2〜3日以内に飲み切る
お茶を入れる容器は、使うたびによく洗ってから熱湯で消毒しましょう。プラスチック製の容器は軽くて扱いやすいですが、傷がつきやすいため雑菌が溜まりやすくなります。
できれば傷つきにくいガラス容器を使うと良いでしょう。また、密封性の高い容器を使うと、冷蔵庫内のニオイ移りも防げます。保存期間は冷蔵庫で2〜3日を目安にし、早めに飲み切るのがおすすめです。
お茶をもっと楽しむ豆知識
日頃飲んでいるお茶をより安全でおいしく楽しむための豆知識を紹介します。知っていると役に立つ情報ばかりなので、ぜひ参考にしてください。
意外に長持ち?水出し茶が傷みにくい理由
水道水には塩素が入っているため、水出しでお茶を作ると少し塩素が残り、その塩素が雑菌を抑える働きをします。そのため、適切に作った水出し茶は比較的日持ちします。ただし、浄水器やミネラルウォーターで作った場合は塩素がないため早めに飲み切りましょう。
浄水器やミネラルウォーターのお茶は傷みやすい?
塩素が含まれていない浄水器の水やミネラルウォーターは味がよく感じられますが、雑菌が増えやすいというデメリットもあります。この水で作ったお茶は、できるだけ早く飲み切り、保存する場合は清潔な容器を徹底的に使いましょう。
レモン汁を少し入れると色が変わりにくい
お茶は時間が経つと色が悪くなりますが、レモン汁を数滴加えるとビタミンCの働きで酸化が遅れ、きれいな色が長持ちします。ただし味が変わるため、好みで試してみてください。
作り置きのお茶の目安は最長でも5日以内
冷蔵庫で保存したお茶は、最長でも5日以内に飲み切るのが安心です。見た目や臭いが変わらなくても雑菌が増えることがあるため、無理をせず、余ったお茶は処分しましょう。
飲み残したお茶を保存するときのポイント
コップに口をつけて飲んだ後のお茶をそのまま容器に戻すと、口の中の雑菌が入ってしまいます。飲み残したお茶を再冷蔵する場合は必ず別の容器に移し替え、早めに飲み切りましょう。
まとめ
毎日飲むお茶だからこそ、安心しておいしく楽しむための方法を身につけることが大切です。
夏場は特に注意が必要ですが、冬場でも室温や暖房の影響で菌が増えることがあります。実は、冷蔵庫内でもドアポケットなど頻繁に開け閉めする場所は温度が不安定で傷みやすいため、奥の方で保管するのが理想的です。
また、意外と見落とされがちなのが容器のフタ部分で、細かな汚れが溜まりやすいので注意深く洗浄しましょう。こうした細かなポイントにも気を配りながら、安全で美味しいお茶を楽しみましょう。