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お箸をプレゼントするのがダメと言われる理由
普段使う身近なお箸ですが、プレゼントにするのは縁起が悪いと言われる場合があります。ここでは主な理由を整理してお伝えします。
葬儀を思い出させる「箸渡し」
日本の葬儀では、火葬後に遺骨を箸で拾い合う習慣があります。この行為を「箸渡し」や「拾い箸」と呼び、生と死の境目を意識させます。そのため、箸を贈り物にすると、この葬儀の場面を連想させてしまい、特に高齢者には不吉だと感じる方がいます。
「三途の川の橋渡し」という考え方
お箸を「橋」にたとえ、「三途の川への橋渡し」を連想する地域や年代もあります。このような方々には、お箸のプレゼントを死への橋渡しと解釈され、不快感を与えることがあります。
片方だけのお箸は縁起が悪い
お箸は必ず二本一組で使うものです。そのため、もし片方だけを贈ったり、片方が不足していたりすると、「一方が欠けてしまう」つまり「二人のうちどちらかが早く亡くなる」と連想され、縁起が悪いとされています。プレゼントするなら必ず二本揃っていることを確認しましょう。
お箸のプレゼントが喜ばれる場面
一方で、お箸をプレゼントすることが良い意味を持つ場面もあります。
夫婦箸は結婚祝いに人気
結婚祝いとして「夫婦箸」がよく選ばれます。これは「お箸=橋渡し」というイメージを良い意味で使い、「二人の絆を深める」という意味を込めて贈られます。実際に夫婦箸は人気の高い贈り物で、二人の新しい生活を祝う贈り物として定着しています。
健康や長寿を願う贈り物
お箸は毎日の食事に使うため、「一生食べ物に困らないように」「健康で長生きできるように」といった願いを込めることもできます。そのため、長寿祝いなどにも適しています。ただし、相手が縁起を気にするタイプの場合は、あらかじめ確認した方が良いでしょう。
お箸を選ぶときの大切なポイント
プレゼント用のお箸を選ぶ際には、相手が使いやすく、気に入ってもらえるような工夫が必要です。ここでは選ぶ際に意識するポイントを詳しく見てみましょう。
長さや太さは相手に合ったものを
お箸の長さは、男性なら約23cm、女性なら21cm程度が標準です。持ち手の太さも適度なものが握りやすく、疲れにくいです。特に贈る相手の手のサイズや好みに合わせて選ぶと喜ばれます。
箸先の形で食べやすさを考える
箸先の形には、丸型や角型などがあります。丸型は口当たりが優しく一般的に好まれますが、麺類や小さい食材をつかむなら角ばった形状の方が使いやすい場合もあります。相手の食習慣を想像しながら選びましょう。
お箸を贈るときの選び方と注意すること
お箸をプレゼントとして贈る場合、相手が喜ぶような選び方のポイントと気をつけたいマナーがあります。ここでは基本となるポイントを紹介します。
長さと太さは相手に合わせる
お箸は、使う人の手の大きさに合った長さと太さが大切です。目安として男性は23〜24cm、女性は21〜23cmが一般的です。贈る相手が使いやすいと感じるようなサイズを選びましょう。
箸先の形で使いやすさが変わる
お箸の先端には、丸型、四角型、五角型などがあります。一般的には丸型が口当たりが良く、幅広い食べ物に対応します。麺類を食べる機会が多い人には、少し角張ったもののほうがつかみやすく喜ばれます。
材質にも気を配る
贈り物に人気の材質には軽くて丈夫な栗や欅(けやき)、高級感のある黒檀(こくたん)や紫檀(したん)があります。また、近年では環境に優しい間伐材を使った箸や天然塗料で仕上げた箸も注目されています。口に直接触れるものなので、安全性や産地についても確認すると安心です。
使う人の好みに合ったデザインを選ぶ
毎日使うものだからこそ、デザイン選びは大切です。和食にも洋食にも合わせやすいシンプルな箸や、食卓が華やかになるようなモダンなデザインも人気です。さらに、名前や日付を刻印できるタイプも贈り物として特別感があり、喜ばれます。
お箸を贈らない方がよいタイミングと相手
お箸を贈ること自体は縁起が悪いものではありませんが、状況や相手によっては避けるべき場面があります。
病気のお見舞い、年配者への誕生日祝いなど、死や病気を連想しやすい場面では控えた方が無難です。また、最近ではすでに好みのお箸を持っている人や新婚夫婦の中には「ありがた迷惑」と感じる人もいるため、事前に相手の希望を聞くと失敗が少なくなります。
まとめ
日本には「贈り物に気持ちを添える」という美しい文化があります。お箸を贈る場合は、マナーや由来を添えたカードを一緒に贈るのもおすすめです。
また、最近では海外の方へのお土産としても箸は人気があります。日本の伝統文化を伝えるきっかけになるでしょう。大切なのは相手の気持ちを考え、ちょっとした工夫をすること。その心配りこそが最高の贈り物になるのです。