目次
高齢ドライバーに多い『車のペダルの踏み間違い』
近年、高齢ドライバーによる交通事故が社会問題化している中、警察庁の調査報告によると、75歳以上の高齢ドライバーによる交通事故原因の最多は「操作不適」でした。
また、操作不適の中でもハンドル操作のミスに続き、ブレーキとアクセルのペダルの踏み間違いが上がっています。
実際、事故を起こした高齢ドライバーの聴取では「ブレーキとアクセルを踏み間違えた」という供述が多く、ペダルの踏み間違いによる事故が多発していることが窺えます。
「自分はまだ若い」「車の運転は上手だ」という過信が危険
「高齢になったら車の運転をやめてほしい」と周囲は考えるでしょう。
家族や周囲の言葉に耳を傾けて免許を返納する人がいる一方で、「俺はまだ若い」「若い者よりも運転が上手だ」という自負を持ち、なかなか免許を返納せずに運転し続ける人もいます。
中には、土地柄で車を運転できないと生活が不便という理由を持つ人も多くいますが、自分を過信して運転し続けた結果、他人を巻き添えに交通事故を起こしてしまっては、非常に危険です。75歳を超えたら返納することを検討してください。
なぜ高齢者は『車のペダルの踏み間違い』をするのか
高齢ドライバーに多いと調査報告が上がった『ペダルの踏み間違い』。なぜ高齢者が起こしがちなのでしょうか。そこには加齢に伴う身体、認知能力などの低下が影響しています。
加齢に伴い、集中力や注意力が低下している
加齢に伴い、人は徐々に集中力や注意力が低下していきます。若いうちはあらゆる場所へと注意を向けながら、全方位に集中できていた人でも、高齢になると集中力や注意力の低下に伴い、その能力が衰えてしまうのです。
すると、前方に注意を向けて集中していたところ、ペダルへと意識が向けられず、ブレーキペダルを踏もうとしたらアクセルペダルを踏んでしまい、衝突事故を起こしてしまう……といった事例も多く報告されています。
筋力低下により正確に足を動かすことが難しい
加齢に伴い、筋力がどうしても低下してしまうことは多くの人がご存知でしょう。実は、この筋力低下も運転に悪影響を及ぼしています。
筋力が低下したり、体の柔軟性が失われることによって、体の可動域が狭まりがちです。さらに、動きがスムーズにいかなくなったり姿勢が悪くなりやすく、正確なペダルの位置を視覚情報なしで把握することが難しくなります。
すると、今まで正確にペダルの位置を把握して正しく踏めていた人も、うっかり違うペダルを踏んでしまい、踏み間違いによる事故を起こしやすくなるのです。
反射神経が鈍くなり、焦って踏み間違えてしまう
高齢になると反射神経が鈍くなり、咄嗟の事態に対応する能力が衰えてしまいます。目の前で突然急停止した車に焦り、咄嗟に正確な判断・動作を行うことが難しくなり、焦って踏み間違えてしまう事故が多発しています。
さらに、焦って踏み間違いを起こしたことにパニックになり、さらにアクセルを踏んでしまったり、ハンドルを急に切って旋回してしまったりと恐ろしい運転操作をしてしまうことも……。
こうした事故は死傷者を出すほど大事故に発展しかねないので、周りが少しでも認知機能の衰えを感じたら免許返納を促してあげましょう。
視覚機能が低下し、ペダルの位置を正確に把握できない
加齢に伴い、視力が低下したり、視野が狭くなったりと視覚機能が低下していきます。視覚機能が低下することで、以前よりペダルの位置を正確に把握できないこともペダルの踏み間違いにつながっているでしょう。
また、視力が低下することによって、前方や周囲へ注意が向き過ぎてしまい、ペダルへ意識がいかずに踏み間違えてしまうことも考えられます。
情報処理能力の低下による判断遅れが踏み間違いに
情報処理能力の低下によって、咄嗟の状況への判断が遅れたり、焦りによってパニックを引き起こしてしまったためにペダルの踏み間違いを起こしてしまう事例が多発しています。
先ほども反射神経の問題が挙げられましたが、情報処理能力が低下しているために、反射的に動くことができなくなっている、とも言えます。
「若い頃は冷静に判断して行動できていた」という人も、高齢になり、冷静に対処する能力が衰えてしまうことは珍しくありません。十分注意して運転しましょう。
75歳を超えたら免許返納を検討し始めて
70歳を超えると、免許の更新にも講習を受ける必要があるなど注意喚起の意味を含む対策が行われます。75歳を超えると、一気に加齢に伴う身体能力の低下や認知機能の低下が見え始めるため、この頃には自主的な免許返納を検討しましょう。