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食べ物で福を呼び込む!節分の縁起物とその由来
節分と聞いて、まず思い浮かべるのは「豆まき」や「恵方巻」ではないでしょうか?
でも、実は節分にちなんで食べられる食べ物はそれだけではありません。全国を見渡すと、地域ごとにさまざまな「節分に食べると縁起がいい」とされる料理があるのです。
そもそも節分とは、昔の暦でいう「立春」の前日であり、季節の変わり目に行われる重要な行事でした。この時期には邪気や厄を払い、福を呼び込むための食べ物が用意されてきました。時代が変わり、生活スタイルが変化しても、こうした伝統の一端は今も受け継がれています。
今回は、そんな「節分に食べる縁起物」をたっぷりと紹介します。なぜそれを食べるのか?どんな意味が込められているのか?そうした背景を知ることで、節分をより深く味わえるかもしれません。さて、それでは見ていきましょう!
節分に食べたい12の縁起物!
節分には、さまざまな縁起物が食べられます。その理由は地域や文化によって異なりますが、「邪気を払う」「福を呼び込む」「商売繁盛を願う」といった共通のテーマがあります。ここでは、代表的な節分の食べ物を詳しく紹介していきます。
1. 恵方巻
節分の食べ物といえば、まず思い浮かぶのが恵方巻でしょう。もともとは関西地方の風習でしたが、近年では全国的に定着しました。コンビニやスーパーでも毎年販売され、今や節分の定番となっています。
恵方巻は、「福を巻き込む」という意味を持つ巻き寿司です。その年の恵方(縁起の良い方角)を向いて、無言で食べることで願いが叶うとされています。途中で話すと運が逃げると言われているため、一気に食べるのが習わしです。
また、恵方巻には「七福神」にちなんで7種類の具材を入れるのが一般的です。代表的な具材としては、以下のようなものがあります。
- かんぴょう(長寿を願う)
- しいたけ煮(命を守る)
- だし巻き卵(財運)
- きゅうり(「九の利」=縁起が良い)
- うなぎ(運気上昇)
- 桜でんぶ(家庭円満)
- 高野豆腐(知恵を授かる)
最近では、海鮮たっぷりの恵方巻やローストビーフを巻いたものなど、アレンジの幅も広がっています。手作りすれば、好きな具材を入れてオリジナルの恵方巻を楽しめますよ。
2. 豆まきの豆
節分といえば、豆まきも欠かせません。大豆には邪気を払う力があるとされ、「鬼は外、福は内!」と唱えながら豆をまくことで、家の中に福を呼び込むと信じられています。
豆まきに使われるのは、基本的に炒った大豆です。なぜ生の豆ではなく炒ったものを使うのか?その理由は、「拾い忘れた豆から芽が出ると縁起が悪い」と考えられていたから。炒ることで発芽を防ぎ、邪気を封じ込めるという意味が込められています。
また、豆まきをした後は、自分の年齢+1個の豆を食べる習慣があります。これは「来年も健康に過ごせるように」という願いを込めたものです。豆を食べることで「まめに生きる」(元気に働く)とも言われており、健康祈願の意味もあります。
3. いわし
関西地方では、節分の日にいわしを食べる風習があります。焼いたいわしの煙や独特の匂いには、鬼(邪気)を遠ざける力があると信じられてきました。そのため、節分の厄除けとして、いわしの塩焼きを食べるのです。
さらに、地域によっては「柊鰯(ひいらぎいわし)」といって、焼いたいわしの頭を柊の枝に刺し、玄関先に飾る習慣もあります。柊のトゲが鬼の目を刺し、家に入るのを防ぐという言い伝えがあります。ちょっとユニークな風習ですが、昔ながらの知恵が詰まっているのです。
いわしは栄養価が高く、DHAやEPAといった健康成分も豊富。厄除けだけでなく、健康にも良い食材なので、節分の日にはぜひ取り入れてみたいですね。
4. そば
そばといえば「年越しそば」を思い浮かべる人が多いですが、実は節分にもそばを食べる風習があります。これは、そばが細く長い形状をしていることから、「長寿を願う」意味があるためです。
また、そばは切れやすいことから、「悪縁や厄を断ち切る」という願いも込められています。特に長野県や島根県では、節分の日に「節分そば」を食べる習慣が根付いており、大晦日と同じように一年の節目を感じる行事食として親しまれています。
最近では、えび天やとろろをのせた豪華な節分そばを楽しむ家庭も増えています。寒い季節には、温かいそばをすすりながら、縁起の良い気持ちになってみるのもいいかもしれません。
5. こんにゃく
「節分にこんにゃく?」と少し意外に思うかもしれませんが、実は体の浄化を願って食べる地域があります。特に四国地方では、節分にこんにゃくを食べる風習が伝わっています。
昔からこんにゃくは「胃のほうき」とも呼ばれ、体内の老廃物や毒素を取り除くと考えられてきました。現代の栄養学的にも、こんにゃくに含まれる豊富な食物繊維が腸内環境を整えることが知られています。つまり、昔の人々は経験則的にデトックス効果を理解し、節分を機に体をリセットしようとしていたのかもしれません。
食べ方はシンプルなみそ田楽や、煮物、すき焼きの具材などさまざま。寒い季節には、温かい料理で食べるのがおすすめです。節分を機に、体の中もスッキリさせて新しい季節を迎えましょう。
6. けんちん汁
関東地方では、節分に「けんちん汁」を食べる地域があります。この料理のルーツは鎌倉時代にさかのぼり、精進料理として知られる「建長汁(けんちょうじる)」が変化したものだと言われています。具だくさんの汁物として親しまれ、寒い冬には体を温める一品です。
けんちん汁の特徴は、肉や魚を使わずに、大根・にんじん・ごぼう・こんにゃく・豆腐などの野菜を炒め、だし汁で煮込むこと。シンプルながら滋味深い味わいがあり、根菜の甘みが際立ちます。風邪をひきやすいこの時期に、栄養をたっぷり摂れるのも嬉しいポイントですね。
ちなみに、地域によっては豚肉を入れることもあり、それぞれの家庭で少しずつアレンジされています。寒い冬の夜、家族で温かいけんちん汁を囲みながら、節分の話に花を咲かせるのも良さそうですね。
7. 福茶
節分の日に「福茶」を飲むという習慣があるのをご存じでしょうか?これは、炒った大豆や梅干し、昆布を入れたお茶のことで、それぞれに縁起の良い意味が込められています。
- 大豆:「まめに働く」「健康で丈夫に」
- 梅干し:「長寿」
- 昆布:「喜ぶ(よろこぶ)」の語呂合わせ
この習慣は平安時代に遡るとされ、当時、疫病が流行した際にある僧侶が人々にこのお茶を振る舞ったところ、病気が鎮まったという言い伝えがあります。それ以来、「福茶を飲むと一年間無病息災で過ごせる」と考えられるようになりました。
作り方はとても簡単で、湯のみに3粒の炒り大豆、1枚の昆布、1個の梅干しを入れ、熱湯や煎茶を注ぐだけ。節分の日に、縁起をかついで飲んでみるのも良いかもしれませんね。
8. くじら
山口県では、節分にくじらを食べる習慣があります。なぜくじらなのか?その理由は「大きな生き物=大きな志を持つ」「大きな幸せを得る」という願いが込められているからです。
山口県は古くから捕鯨文化が根付いた地域で、節分の行事食としてくじらベーコンやくじらの竜田揚げを食べることが多いそうです。また、一部の学校給食にも「くじら汁」が登場することがあり、地元の人々にとってはなじみ深い食材です。
現代ではくじら肉が貴重になりつつありますが、スーパーなどで手に入る場合は、節分にくじら料理を味わってみるのも面白いかもしれません。
9. 麦飯
西日本では、節分の日に麦飯(むぎめし)を食べる習慣があります。一見、節分とは関係なさそうに思えますが、実は「世の中を回す」という縁起の良い意味が込められているのです。
昔、「麦を炊くこと」を「よまし麦」と呼んでいたそうで、これが転じて「世の中を良く回す」という願いにつながったと言われています。また、麦飯は消化が良く、食物繊維が豊富であることから、体調を整える意味合いも持っています。
麦飯はそのまま食べるのも良いですが、とろろをかけて「麦とろご飯」にするのが定番の食べ方。栄養満点で胃にも優しく、節分にぴったりの一品です。
10. ぜんざい
関西地方では、節分の日に「ぜんざい」を食べる習慣がある地域もあります。これは、小豆の赤い色が邪気を払うと信じられてきたことに由来します。
昔から日本では、赤色には魔除けの力があると考えられていました。たとえば、お祝いの席で赤飯を食べるのもその一例です。そのため、節分にぜんざいを食べることで、災厄を遠ざけ、福を呼び込むと考えられてきました。
ぜんざいは温かく甘い食べ物なので、寒い季節にぴったり。お餅を入れたり、おしるこ風にして楽しむのも良いでしょう。甘いものを食べてほっと一息つきながら、邪気を払い、福を迎え入れましょう。
11. しもつかれ
栃木県や埼玉県、千葉県の一部地域では、節分の日に「しもつかれ」という郷土料理を食べる風習があります。これは、鮭の頭・大豆・大根・にんじん・酒粕を煮込んだ料理で、栄養価が高く、保存食としても優れています。
しもつかれの歴史は古く、鎌倉時代の文献にも登場するほど。もともとは節分の豆まきで余った炒り大豆を有効活用するために生まれた料理とも言われています。節分といえば豆をまく行事が有名ですが、その後に食べる料理として、このしもつかれが定着した地域があるのです。
「見た目が独特で苦手な人もいる」とよく言われますが、しもつかれは発酵食品としての旨味があり、一度ハマるとクセになる味わい。近年では、食べやすくアレンジした「しもつかれ風スープ」なども登場しています。節分を機に、栄養満点の郷土料理に挑戦してみるのもいいかもしれませんね。
12. 鬼まんじゅう
愛知県では、節分の日に「鬼まんじゅう」を食べる風習があります。これは、さつまいもをたっぷり使った素朴な蒸し菓子で、その名の通りゴツゴツとした見た目が鬼の角を思わせることから、この名前がついたとされています。
「鬼まんじゅうを食べる=鬼を食べて退治する」というユニークな解釈もあり、節分の趣旨にぴったりの食べ物といえるでしょう。もともとは名古屋周辺で食べられていた郷土菓子ですが、近年では全国的にも知られるようになりました。
材料はシンプルで、小麦粉、砂糖、さつまいもを混ぜて蒸すだけ。家庭でも簡単に作れるため、節分の日のおやつとして手作りするのもおすすめです。ホクホクとした甘みがあり、素朴ながらも満足感のある味わいが魅力です。
食文化を通して、節分をもっと楽しもう
節分に食べる縁起物には、それぞれ深い意味が込められており、長い歴史の中で受け継がれてきました。全国には、恵方巻や豆まきだけでなく、いわしやけんちん汁、くじら、鬼まんじゅうなど、個性豊かな食べ物が節分の行事食として根付いています。
また、節分の食べ物には「邪気を払う」「無病息災を願う」「福を呼び込む」といった共通の願いが込められています。ただ食べるだけではなく、その背景を知ることで、節分の過ごし方がより充実したものになるかもしれません。
今年の節分は、普段とは違った食べ物を取り入れてみるのも面白いかもしれませんね。新しい発見があるだけでなく、家族や友人との会話のきっかけにもなりそうです。ぜひ、今回紹介した縁起物を参考に、節分をより特別な一日にしてみてください!