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子供に両親の不仲な姿を見せると成長過程に悪影響が…
子供は両親の愛情を受け、その家庭環境に安心感を抱くことで健全な成長を遂げていきます。しかし、幼少期から両親の激しい口喧嘩をする様子や暴力行為、冷え切った会話のない関係などを見せられていると、子供なりに家庭環境へ不安感や不信感を募らせてしまうのです。
こうした家庭への不安や不信感は、成長過程に大きな悪影響を及ぼします。本来、子供らしく親に甘えて、さまざまなことを学んだり心の拠り所となってもらうはずが、両親の不仲を見ることで子供が空気を察してしまい、遠慮がちになってしまうことも。
すると、健全な成長が妨げられてしまい、子供時代だけでなく、大人になってからもさまざまな苦労を強いられることになりかねません。
『両親が不仲な子供』に起こる5つの悪影響
両親な不仲な様子を子供に見せ続けていると、子供にどのような悪影響をもたらすのでしょうか。ここでは『両親が不仲な子供』の特徴を紹介します。
1.相談事や素直な気持ちを親に話せない
両親が喧嘩していたり険悪な雰囲気を漂わせていると、子供側に話したいことがあっても「言いづらいな…」「なんとなく怖いな」と素直に気持ちを打ち明けることができません。
学校での悩みなどがあっても、空気の悪さに相談することを遠慮してしまい、一人で抱え込み強いストレスを感じやすくなるので、生活に支障が出たり、最悪の場合、精神疾患を発症してしまうケースも増えています。
2.自己肯定感が低くなり孤独感が強い
子供は両親の愛情によって生まれてきます。しかし、そんな両親が不仲な姿を子供の前で見せていると、「自分も両親に愛されていないのでは」「実は邪魔になっているのではないか」と強い不安を抱くようになることも。
こうした愛情を実感できない状況から自己肯定感が低くなり、孤独感を強く感じている子供は意外と多くいます。また、自己肯定感が低いことで自信がつかず、自主性が損なわれたりストレスを溜め込みやすい性格が形成されることもあるでしょう。
3.他人に期待しなくなり人間関係が上手く築けない
最も身近な存在である両親が目の前で頻繁に激しい口論を繰り広げている…。このような状況に置かれていた子供は、やがて他人に対して期待しなくなり、自分から交友関係を広げることにも消極的になりがちです。
本来は子供時代に人間関係を築く術を学ぶはずが、こうした心情が働いてしまうことで、人間関係を構築する妨げになってしまいます。
すると、大人になってから人間関係を上手く築くことができず、定職につけなくなったり、必要以上にストレスを抱え込み、心の病を患ってしまうケースも少なくありません。
4.恋愛や結婚に対して消極的になる
両親が不仲な姿を見せていれば、自然と子供は結婚に対する憧れを抱かなくなります。「どうせ結婚しても両親のようになるのだ」と思い込んでしまえば、そのファーストステップである恋愛にも消極的になるでしょう。
恋愛や結婚は、人生において必ずしもしなければいけないものではありません。しかし、両親の不仲によって他者に期待できず、愛情を注ぎ注がれない状況は、自ら望んだ状況ではなく、「そうならざるを得なかった」と言わざるを得ません。
これは自主的に恋愛に興味が持てない人とは異なり、不安や恐怖から孤独感が強く表れている状態です。精神的に健康な状態とは言い難いでしょう。
5.家庭での緊張感から情緒不安定になりやすい
本来、最も安らげる場所であるはずの家庭が緊張感に包まれている場合、子供は心の底から安らげる場所が見つからず、情緒不安定になりがちです。
心に溜まったストレスを発散する術がないため、ある日突然癇癪(かんしゃく)を起こすようになったり、家の外でトラブルを起こすようになってしまう子もいます。
本人もどのように感情をコントロールすべきなのかわからず、誰よりも苦しんでいます。あらゆる外部からの刺激に敏感になり、ネガティブに捉えるようになってしまうため、人生において常に苦労が付きまとうことになりがちです。
両親の不仲を見せてしまった…子どもへの接し方は?
子どもに苦労をかけないためにも、理想的なのは両親の不仲な姿を見せず、仲の良い姿を見せ続けることでしょう。しかし、夫婦というのは複雑な関係であり、あらゆる理由によって不仲な状態が生まれてしまいます。簡単には割り切れない人が大半です。
また、無理に子供の前で絵取り繕っても、子供が年齢を重ねるごとに「両親は仲の悪さを隠している」と子供に勘付かれてしまうでしょう。
したがって、もしも両親の仲の悪い姿を子どもに見せてしまった時は、まずは不仲な様子で不安を与えてしまったことを謝罪しましょう。
その後、子供が気になっている素振りを見せている場合は、なぜ両親が喧嘩をしていたのか、どのようなことに怒っていたのかをできるだけマイルドな言い方で説明し、その上で自分にも非があったことを認めます。この時、相手の愚痴だけにならないよう気をつけてください。
ここまでの流れを子供に伝えることで、他人と喧嘩をした時の自身の考え方やとるべき行動を示すお手本となります。また、可能であれば、子供の前で夫婦が仲直りする姿を見せてあげられると、子供としても安心できるでしょう。
また、普段から夫婦仲に関わらず、子供の話を穏やかな姿勢で聞いてあげることは大切です。これはどちらか一方の親に限らず、両親がそれぞれ子供の話を聞いてあげましょう。「ちゃんと親は自分の話を聞いてくれている」「いざとい時には必ず頼りになる」と思えることで、両親の喧嘩場面を見ていたとしても、子供が家庭に居場所を感じられるでしょう。
ありのままの姿でも子どもとのコミュニケーションは密に
夫婦関係は、一筋縄で改善できないのは難しいところ。しかし、両親の不仲を見続けた子供は、次第に成長過程を妨げるようなあらゆる悪影響に苛まれていきます。
なるべく両親の仲の良い姿を見せることが理想的ですが、改善が難しい場合は、偽りの姿を見せるよりもありのままの姿でも子供と密に愛情を持って両親が接することが重要です。