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きれいに整った三角折り、見つけると嬉しい?
スーパーやホテルのトイレを利用すると、トイレットペーパーがきれいに三角形に折られていることがありますよね。見た目が整っていると「清潔なトイレだな」と、少し気分が良くなる人もいるかもしれません。
清掃員さんの心遣いなのか、それとも利用者が「次の人に気持ちよく使ってもらいたい」と思って折ったものなのか──いずれにせよ、三角折りには「ちょっと得した気分」にさせる不思議な力があります。
ところが、実はこの三角折り、良かれと思ってやっている人も多い一方で、「NG行為」として問題視されている のです。どうしてダメなの?と思う方もいるでしょう。それには、しっかりとした理由があります。
トイレットペーパーの三角折りにしてはいけない理由
トイレットペーパーの三角折りが「してはいけない」と言われる理由は、大きく3つに分けられます。見た目はきれいでも、ちょっと待ってください。その行為、実は思いもよらないデメリットを生んでいるかもしれません。
1. 三角折りは衛生的に問題があるから
まず、三角折りにする過程を少し思い浮かべてみてください。あなたはトイレを使った後、手洗いをする前に三角折りをしていませんか?この「手洗い前の手」が問題なのです。たとえあなたが健康だとしても、手には細菌やウイルスが付着している可能性があります。
例えば、ノロウイルス や インフルエンザ などは、非常に少ない量のウイルスでも感染することが知られています。公共トイレのトイレットペーパーに触れて、その後他の人が使う──これがどういうリスクを生むのかは、想像に難くないはずです。特に、免疫力が低い子供や高齢者にとっては、わずかな菌が大きな影響を及ぼすこともあります。
「三角折りは衛生的に良くない」 という理由は、こうしたリスクを考慮した結果なのです。公共のトイレは、不特定多数の人が使う場所だからこそ、次に使う人への配慮が何より大切です。
2. 三角折りは清掃完了のサインを混乱させるから
次に、三角折りが清掃管理の妨げになるケースについてお話ししましょう。実は、トイレットペーパーの三角折りは 「トイレの清掃が完了しました」というサイン として用いられることが多いのです。ホテルや商業施設では、清掃員が作業完了時に丁寧にペーパーを三角折りに整え、次に入るお客様に「きれいに掃除されていますよ」と伝えています。
ところが、利用者が自分で三角折りをしてしまうと、このサインが曖昧になってしまいます。清掃員が「掃除が終わっている」と判断してしまい、本当はトイレを掃除する必要があるのに見逃してしまう──そんな事態を引き起こしかねません。
例えば、「清掃完了のサイン」が誤解されることで、結果的にトイレの汚れが放置されてしまうこともあります。公共トイレの清潔さを保つためには、三角折りは清掃員だけが行うべきものなのです。
3. 三角折りが不快に感じる人がいるから
さらに、三角折りには 「不快に感じる人もいる」 という心理的な側面があります。そもそもトイレットペーパーは「直接触れるもの」ですよね。そこに他人の手が触れた形跡があると、どうでしょうか。「誰かが触った?」と思うと、使うのが少し嫌になる人もいるはずです。
特に、潔癖症の方や衛生面を気にする方にとって、他人が触れたトイレットペーパーは心理的な抵抗感が強いものです。たとえ好意で折ったとしても、その行為が相手にとって 「迷惑」 や 「不快」 になることもあるのです。
三角折りが「してはいけない」とされる理由は、このように 衛生面、清掃管理、そして 利用者の心理 の観点から説明できます。一見「次の人のために」と思って行っていた三角折りも、実は逆効果になってしまうことがあるのです。
公共トイレを気持ちよく使うために心がけたいこと
トイレットペーパーの三角折りが「してはいけない理由」を理解したところで、次に大切なのは「トイレを使う人全員が気持ちよく過ごせるように配慮すること」です。
スーパーやホテル、病院など、公共トイレは多くの人が利用する場所です。使い方次第で、次に入る人の印象や快適さが大きく変わります。ここでは、今すぐ実践できる「公共トイレの正しい使い方」をご紹介します。
使い終わったトイレットペーパーは丁寧に扱う
トイレットペーパーを使い終わったら、三角折りではなく 「ミシン目で綺麗に切る」 ことを心がけましょう。何も折られていない状態が、次の人にとって一番気持ちよく使える形です。例えば、ミシン目がずれてペーパーが乱雑に切れていると「だらしない」と感じる人もいるかもしれません。それだけで不快感を与えることがあるので、ペーパーを使った後は丁寧に処理するようにしましょう。
便座や周囲の汚れをチェックする
トイレを使った後、便座や床、壁に汚れが残っていないか確認することも重要です。公共トイレでは、少しの汚れでも不快に感じる人が多いものです。例えば、自分の不注意で水滴が便座についた場合、軽くトイレットペーパーで拭くだけで大きな違いが生まれます。次の人が「汚いトイレ」と感じるか、「きれいに使われている」と感じるかは、ちょっとした心遣いで変わるのです。
使用済みのサニタリーグッズは正しく処理する
女性用トイレでは、使用済みのサニタリーグッズ(ナプキンやタンポン)を適切に処理することも欠かせません。専用のゴミ箱が設置されている場合は、必ずそこに捨てるようにしましょう。ゴミ箱が見当たらない場合は、持ち帰るのがマナーです。サニタリーグッズの放置や不適切な処理は、次の利用者に不快感を与えるだけでなく、清掃員の負担を増やす原因にもなります。
トイレマナーを守ることが、全員の快適さにつながる
公共トイレは誰もが使う場所だからこそ、清潔感やマナーがとても重要です。「トイレットペーパーを三角折りにする」という行為は一見些細なことですが、その背景には衛生的なリスクや清掃管理の問題、心理的な抵抗感など、見えないデメリットが隠れていました。
もし「次の人のために何かしたい」と思ったら、三角折りをする代わりに、トイレを使う前の状態に戻すことを心がけましょう。例えば、ペーパーを丁寧に切る、汚れを軽く拭く、忘れ物がないか確認する──こういった小さな配慮が、次に使う人の快適さや安心感につながります。
また、公共トイレをきれいに使う意識は、自分自身にもメリットがあります。清潔なトイレ環境を保つことで、感染症のリスクを減らせるだけでなく、自分自身も「気持ちの良いトイレ」を利用できるからです。