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「軟水」「硬水」という言葉を聞いたことがあると思いますが、ウォーターサーバーの水にもこの2種類があります。これは金属イオン含有度によって分類されるもので、簡単にいうとミネラル成分が多いほど「硬水」になります。
ウォーターサーバーにおいては基本的に軟水を推奨していますが、どうして軟水がいいのか詳しく見ていきましょう。
天然水など水の種類と違いについて
ウォーターサーバーの水は、「天然水」「RO水」「水道水」の3種類。これらの種類からは、どのように作られた水なのかが分かります。
まずは、この3つの違いについて見ていきましょう。
天然水とは
天然水とは、地下から採水した上で最低限の処理を施された水のことです。
天然水というと、自然そのままの水をイメージするかもしれませんね。もともと天然水に含まれる不純物は少ないのですが、安全のためにろ過や加熱殺菌が行われています。このとき、天然水が持つ成分は極力消さないように配慮されています。
栄養成分という観点では、天然水はミネラルが豊富です。人の体はミネラルを自分で作り出すことができないので、天然水は貴重な栄養補給になります。採水地によっては、亜鉛やシリカなど別の成分が豊富に含まれている場合も。
国内での主要な採水地には、以下のような場所があります。
- 富士山:バナジウムが豊富
- 京都 :中性で日本人の口に合う
- 大分 :ゲルマニウム・シリカを含む
採水地によって成分が異なるため、味に差があることも天然水の特徴です。ただし、天然というだけあって、土壌汚染のリスクを常に抱えていることも事実。例えば、自然災害によって採水できなくなったり、環境汚染で水質が変わる可能性があります。
価格の観点では、RO水や水道水と比べて高価です。というのも、水を採水地から処理工場まで運搬するのに莫大なコストがかかってしまうためです。ウォーターサーバーでも、基本的に天然水はやや高めな料金設定となっています。
- 天然水=ミネラルウォーターではない
市販のペットボトルで「ミネラルウォーター」を見かけたことがあると思います。栄養たっぷりなイメージがあり、天然水と混同してしまいがちですが、厳密にはミネラルウォーターと天然水は別物です。
農林水産省が定めるミネラルウォーター類の品質表示ガイドでは、ミネラルウォーター類は以下の4つに分類されます。
- ナチュラルミネラルウォーター
- ナチュラルウォーター
- ミネラルウォーター
- ボトルドウォーター
このうち天然水と呼べるのは、ナチュラルミネラルウォーターとナチュラルウォーターだけです。
この2つには自然のミネラルが含まれ、人工的な処理を最低限に留めています。
地下水ではあるものの、ろ過や加熱殺菌以外にオゾン殺菌やUV殺菌も行っているものがミネラルウォーター。RO水などのボトルドウォーターは、人工的な処理により原水から水質が大きく変化したものを指します。
RO水とは
RO水とは、特殊なフィルターでろ過を施した水のことです。
0.001ミクロンという非常に微細なフィルター「RO膜」を通して、不純物を徹底的に除去しています。この画期的なろ過方法はNASAで採用されたほどで、「ピュアウォーター」と呼ばれるクリアな水質になることが特徴です。
家庭用の浄水器では除去できない物質まで取り除きますが、同時にミネラルも失ってしまいます。RO水はどんな原水を使っても最終的に純水になるので、特定の採水地というのはありません。例えば水道水を使っても天然水を使っても、仕上がった水の品質は変わらないというわけです。
余計な成分が入っていないので口当たりはまろやかで飲みやすく、逆を言うと天然水のような特徴的な味はしません。ミネラルが入っていないことが天然水との大きな違いですが、ウォーターサーバーによってはミネラルを足していることもあります。
その方法は2つあり、1つは人工的な処理でミネラル成分を配合するというもの。これは「デザインウォーター」と呼ばれます。2つ目として、海洋深層水からミネラル成分を抽出しているものもあります。
後付けとはいえ自然が作ったミネラルで栄養価が高く、ウォーターサーバー業界でも注目を浴びています。採水の決まりがないために天然水よりも安価な点は、RO水の一番の強みといえるでしょう。
天然水のように土壌汚染のリスクがなく、安定性・安全性が高い点もメリットです。
水道水とは
水道水とはご存知の通り、水道から出る水のことですね。
あまり知られていませんが、水道水が天然水と大きく異なるのが採水地の定義です。天然水は地下から採水した水ですが、水道水はその多くが地表を流れる水を原水としています。地表を流れる水とは、つまり河川やダム湖のことです。
これらの原水は浄水場に運ばれ、ゴミや雑菌をろ過・殺菌したり、塩素消毒が施されます。このときの塩素が微量ながら残っているため、水道水は美味しくないといわれることが多いのです。塩素の他に、貯水槽や水道管のカビ・錆びが味を悪くする原因となっている場合もあります。
なんだか体に悪そうなイメージですが、水道水が人体に影響を及ぼす可能性はほとんどないとされています。それどころか製造過程における検査項目の数は、天然水が20項目(殺菌・除菌を行う場合は47項目)なのに対して水道水は51項目と、天然水よりも厳しい基準が設けられているのです。
そんな水道水の最大の強みは、やはり値段の安さでしょう。ウォーターサーバーの1Lあたりの水料金が150円程度なのに対して、水道水は約0.1〜0.2円。誰しもが平等に使えるという意味では、水道水もまた素晴らしい水といえます。
軟水と硬水の違いについて
3つの水の種類を解説しましたが、それぞれに「軟水」「硬水」が存在します。水の硬度はミネラル成分の含有度によって分類されますが、違いはそれだけではありません。
WHO(世界保健機関)では、以下のように定義しています。
分類 | 軟水 | 中軟水 | 硬水 | 超硬水 |
硬度 | 0~60mg/L未満 | 60~120mg/L未満 | 120~180mg/L未満 | 180mg/L以上 |
それぞれの特徴について、解説していきます。
軟水の特徴
水1Lに対して、ミネラル成分が120mg以下のものを軟水といいます。その中で更に分けられ、60mg未満は軟水、60〜120未満は中軟水。「軟水」という言葉に惑わされますが、軟水だからといって水がやわらかいというわけではありません。
そもそもミネラル成分とは、「ナトリウム・カルシウム・マグネシウム・カリウム」などを指します。ミネラルは5大栄養素のひとつとしても知られており、生命活動の維持には欠かせません。軟水は硬水と比べて、ミネラル成分が少ないというわけです。
ミネラル成分の含有量は、味や口当たりの違いにも直結します。一般的にミネラルが少ない軟水の方が、すっきりとまろやかな飲み心地です。
ちなみに、水の硬度は国によってかなり差があります。地形や地質によって、ミネラルがどれくらい水に溶け込むかが変わるというのが理由の1つです。日本の水はほとんどが軟水ですが、ニューヨークやドバイ、シドニーなども軟水とされます。
硬水の特徴
水1Lに対して、ミネラル成分が120mg以上のものを硬水といいます。硬水の中でも、180mgを越すものは「非常な硬水」と呼ばれます。
軟水よりもミネラル成分が多く含まれる硬水は、栄養補給にはもってこいです。普段の食事だけでは不足するミネラルを硬水で補うことができます。硬水にはみなさんのよく知る「カルシウム」も、豊富に含有されているんです。
含有成分が多い分、苦みやエグみを感じやすいとされています。また、軟水と比較すると口当たりもやや重ためで、独特のクセを感じる場合も。逆をいうと、しっかりとした飲みごたえがあり、硬水を好んで飲む人もいます。
ミネラル豊富な石灰岩が多いヨーロッパは、硬水の国として有名です。海外旅行に行って水の味に驚くことがあると思いますが、石鹸が泡立たなかったり、シャワーで髪の毛がパサパサになるのも硬水の影響です。
ウォーターサーバーは軟水と硬水どっちがいい?
ウォーターサーバーには「軟水」「硬水」がありますが、どちらがいいのでしょうか。結論から言うと、基本的には軟水がおすすめです。
その理由と、国内のウォーターサーバーの実態について説明します。
基本的には軟水を推奨
ウォーターサーバーの導入を検討しているなら、軟水を選ぶのが無難です。軟水は硬水と比べてミネラルが少ないですが、これは赤ちゃんにとっては大きなメリットです。
内臓が未発達な赤ちゃんは、ミネラルを上手に消化することができません。そもそも日本の水はほとんどが軟水なので、硬水を飲み慣れていない大人にとっても負担になる可能性があります。
ミネラルが含まれている方が栄養が摂れるんじゃないか…と思ってしまうかもしれませんね。ですが、多くのウォーターサーバーにはある程度のミネラルが含有されています。あらゆる成分を除去するRO水でさえも、人工的な処理でミネラルを後付けしているブランドもあるのです。
ウォーターサーバーの公式サイトを見ると、「ミネラル豊富」などの文言が記載されていると思います。なるべくミネラルを摂りたいという方は、軟水の中でもできるだけミネラルが多く含まれる水を選ぶといいでしょう。
国内ウォーターサーバーの大半は軟水対応
日本は、軟水の国なのでウォーターサーバーもほとんどが軟水です。ウォーターサーバーの3種類の水どれを選んでも軟水が主流となっています。特別な理由がない限りは軟水で問題ないといえるでしょう。
軟水は飲みやすいというだけでなく、料理をするのにも合っています。お米を炊くときに軟水を使うと、ふっくらつやつやの美味しいご飯になります。また、お茶を沸かすのも軟水の方が茶葉の風味を邪魔せず、お茶の旨味を引き立ててくれるのです。
もちろん、硬水のウォーターサーバーも存在しますが割合としては多くありません。軟水・硬水と悩むまでもなく、出回っているほとんどのウォーターサーバーは軟水ということです。
軟水ウォーターサーバーおすすめ3選
軟水を取り扱うウォーターサーバーの中でも、以下の3ブランドがおすすめです。同じ軟水とはいえ、コストや水の種類にはそれぞれ違いがあります。
サービス名 | フレシャス | プレミアムウォーター | アクアクララ |
月額料金 | 3,996円 水代のみ |
3,974円 水代のみ |
2,704円 水代+あんしんサポート料 |
水の種類 | 天然水 | 天然水 | 天然水・RO水 |
主な特徴 | ・硬度20~85mg/Lの軟水 ・3種類の天然水を選べる ・FSSC22000の認証を取得 |
・硬度25~83mg/Lの軟水 ・非加熱処理を施したナチュラルミネラルウォーター ・全国各地の採水地を採用 |
・硬度29.7mg/Lの軟水 ・ナノテクノロジーを使用したRO膜で不純物をろ過 ・4種類のミネラル配合 |
ここからは、軟水を代表するウォーターサーバーの詳細について解説します。
フレシャス
フレシャスは、硬度20〜85mg/Lの軟水です。硬度に幅があるのは、フレシャスでは3種類の天然水のラインナップがあるため。味や成分が異なる3種の天然水から好みのものを選べます。
各地で採水された天然水は、超精密なろ過フィルターで細菌・バクテリアを除去しています。ミネラルはそのまま残す処理方法なので、自然の恵みを感じられる天然水を飲めますよ。
富士山で採れる「フレシャス富士」は、バナジウムが豊富に含有されている点が特徴。これは、富士山の玄武岩がバナジウムを多く含んでいるからでその層はなんと7層。これだけの層を持つ玄武岩は、世界でも富士山だけといわれています。バナジウムだけでなく、カルシウムやマグネシウムも豊富です。
フレシャスの採水地は自然豊かな森に囲まれた場所にあります。土壌汚染のリスクが極めて低く、審査が厳しいとされるFSSC22000の認証を受けているのも魅力です。
使い勝手の面では、7. 2Lという軽量パックをラインナップしています。一般的な12Lボトルより交換しやすく女性にもおすすめです。
プレミアムウォーター
プレミアムウォーターは、硬度25〜83mg/Lの軟水をラインナップ。厳選された8か所の採水地から採水し全国各地への配送が可能です。
2023年には品質の優れた商品を審査するモンドセレクションにて、優秀品質最高金賞・優秀品質金賞を受賞しています。
処理は4段階のフィルターを使用して、不純物を丁寧に取り除いています。また、手間とコストがかかるため一般的に採用されない、「非加熱処理」を用いているのも特徴。処理段階で加熱しないため、天然水が持つ口当たりのよさを最大限楽しめます。
工場では、毎日の水質検査や月に1度の放射性物質検査を実施。プレミアムウォーター独自の品質管理規定に則り、安全性が高い天然水を供給しています。地下深くの水脈から採水しているため、地表の環境変化に左右されないのも利点。体への負担が少ない弱アルカリ性の天然水なので、子供や妊婦さんの体にもおすすめですよ。
お住まいの近くの採水地から配送されるためいつでも新鮮な水が飲めます。水が減るごとに収縮するボトルを採用しており、使用中も空気に触れないため雑菌が入り込みにくく、衛生的に飲水できます。
アクアクララ
アクアクララは、硬度29.7mg/LのRO水を取り扱っています。その品質は素晴らしく、モンドセレクションの水部門で12年連続受賞という実績を持つほど。
ナノテクノロジーを駆使した独自のRO膜で不純物や雑味を徹底的に排除。天然水では微量に残ることもある、ウイルスや硝酸態窒素まで取り除きます。1000万分の1mmの不純物まで除去できるため、ほぼH2Oのみという非常にクリアな水に仕上がるのです。
また、原水、食品衛生法や水道法の基準を満たした上水を使用。これは、そのまま飲めるほど安全な水なので、水の出所が分からず不安…ということもないですね。
処理が終わったあとの水は、ミネラル専用工場でミネラルを追加されます。追加されるのはカルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムの4種のミネラル。「デザインウォーター」の分類になり、日本人に馴染む味に調整されています。
RO水は美味しさを人の手でコントロールできるのがメリットですが、アクアクララではテイスティングチェックも実施。評価テストに合格した品質管理部の「専門パネル」によって、味の管理が行われています。
RO水は全国各地で供給される上水を原水としているため、運送コストがかかりません。そのため天然水より料金が安く、ランニングコストを抑えることができます。
硬水をおすすめするケース
ミネラルを積極的に摂取したい方
以下に該当する方は、硬水を選びましょう。
- 便秘を解消したい
- 血液をキレイにしたい
- ダイエット中の方
硬水に含まれるマグネシウムは、腸内の水分量を増やす働きがあります。そもそもマグネシウムは下剤に使用されることもあるほど。便秘がちな方は試してみる価値があるでしょう。
また、硬水はマグネシウムだけでなくカルシウムも含まれています。この2つのミネラルは、血液をキレイにしてくれると有名です。動脈硬化や心筋梗塞などを予防したい方は、ライフスタイルに取り入れてみてもいいかもしれません。
そして、ミネラル豊富な硬水はダイエット中の方にもおすすめです。ダイエット中はミネラルが不足しやすいというのが、その理由。さらに硬水に含まれるカルシウムは、脂肪の吸収を抑える働きがあります。
このように、ミネラルを積極的に摂りたい方には硬水が向いていますが、単に硬度が高ければいいというわけではありません。というのも、どのミネラル分を摂りたいかによって、最適な水が変わるためです。
例えば便秘改善を狙うなら、ミネラルの中でもマグネシウムの値が高い水を選ぶ必要があります。また硬度が高いほど味にクセが出てきやすいので、毎日の飲水が負担にならない水を選ぶようにしましょう。
料理に硬水を使用したい方
洋風の肉料理には、硬水が合うとされています。硬水に含まれるマグネシウムは、肉の臭みを消す働きがあるためです。沖縄では、豚肉の臭み消しに硬水が使用されていることもあります。
そもそもヨーロッパやアメリカの一部の硬水が主流の国では、水質に合った料理が作られています。その地域の料理を日本でレシピ通りに作っても仕上がりが違ってしまうことがあります。
白米を硬水で炊くと、仕上がりがパサパサになってしまいますが、パエリアやピラフにはむしろ好都合。硬水で調理することで本場のようにパラパラのパエリア・ピラフが作れます。
パスタもヨーロッパの料理なので硬水が向いています。麺にコシが残り、歯ごたえのいいパスタになりますよ。
まとめ
ウォーターサーバーには、「軟水」「硬水」の2種類があります。
特別な理由がない方は、軟水がおすすめです。硬度はミネラル含有量によって分類されるのですが、軟水の方が日本人の口に合っているからというのが大きな理由です。
また、同じ軟水でも「天然水」「RO水」「水道水」のどれを選ぶかによって、味やコストが変わります。
どれが優れているというわけでなく、それぞれにメリット・デメリットがあるものなので、自分に合うものを見つけてみてくださいね。