なぜブレーカーは落ちるの?原因や直し方、防止する対策まで

ブレーカーが落ちて困る女性

「ブレーカーが落ちる」という経験をしたことがない人はまれでしょう。パソコンがシャットダウンして、保存していない制作物などが失われたときのダメージは計り知れませんよね。一口にブレーカーといってもいくつかの種類があり、落ちる原因もさまざまです。そこで、ここではブレーカーが落ちる原因や対処法、防止法などについて詳しく解説します。

ブレーカーってどんな仕組みなの?わかりやすく教えて!

ブレーカー

ブレーカーとは「配線用遮断器」のことを言います。この言葉どおり、ブレーカーには回路に流れ込む電気を遮断(トリップ)する機能を持っています。

電気を利用するには電力会社と契約を結ぶ必要がありますよね。一度に契約の上限を超えた電気を使おうとするとブレーカーが落ちる仕組みになっています。また、電化製品にはそれぞれ使用電気量が決められており、制限を超えるような電気が入り込んでくると発火などの事故につながりかねません。ブレーカーにはこのような事故を防ぐ役目もあるのです。

ブレーカーの種類とは?

一般的に、配電盤には3種類のブレーカーが設置されています。

  • 主幹ブレーカー
  • 漏電ブレーカー
  • 安全ブレーカー

左端にある大きめのブレーカーが「主幹ブレーカー」で、真ん中にあるのが「漏電ブレーカー」です。右端に並んでいる複数の小ぶりなブレーカーを「安全ブレーカー」といいます。

電柱などから取り込まれた電気は最初に主幹ブレーカーに入ります。次に、漏電ブレーカーを経由したあと分岐して、それぞれの安全ブレーカーに流れる仕組みです。安全ブレーカーにつながれた回路はさらに分岐して、それぞれのコンセントに電気を運びます。

配電方法は?

家庭内に電気を送る配電方法にはいくつかのタイプがあり、なかでも「単相三線式」が採用されているケースが少なくありません。単相三線式とは、3本の電線を使って家庭に電気を送るもので、2本の電線に100Vずつの電圧がかかっています。もう1本はアース線です。「単相三線式」では、100Vと200Vの電化製品が両方とも使えます。

ブレーカーが落ちる原因は種類によって異なる!

ブレーカーを操作する女性

主幹ブレーカーが落ちる原因

一度に使う電気量が電力会社と契約している電気量を超えたときに主幹ブレーカーが落ちます。ポイントは電気を「一度に」使ったかどうかという点です。

漏電ブレーカーが落ちる原因

基本的に漏電を感知したときに漏電ブレーカーが落ちます。

安全ブレーカーが落ちる原因

安全ブレーカーの上限を超える電気が流れたときに遮断します。上限は20アンペア(A)のものが一般的です。

アンペア(A)ってなに?
電化製品の使用電気量はワット(W)の単位で表記されるのが普通ですよね。そのため、「アンペアといわれてもピンとこない」という人もいるかもしれません。
まずは、ワット(W)=アンペア(A)×ボルト(V)の関係になっていることを押えておきましょう。日本の電圧は100Vなので、1000Whのドライヤーを使っている場合なら、1000(W)÷100(V)=10(A)となり、1時間あたり10Aの電気を使うという意味になります。他の家電のアンペア数としましては、エアコンは1時間6.6A程度、冷蔵庫は450Lクラスで1時間2.5A程度になります。

アパートのブレーカーが落ちた場合はどうなるの?

電気の配線

アパートなど賃貸物件の場合は、建物に電気の限界許容量が設定されています。限界許容量の範囲内なら賃貸物件でも契約アンペア数を引き上げることが可能です。しかし、限界値に近い状態でアンペア数を引き上げたい場合は別途工事が発生する可能性も出てきます。

落ちたブレーカーを直す方法とは?

ブレーカーを操作する

夜中にブレーカーが落ちると、真っ暗ななかで復旧しなくてはなりません。自宅でwifiを利用している人も多いことでしょうが、電気が使えないとwifiも使えなくなります。そのため、あらかじめブレーカーの直し方を知っておくと安心です。

ブレーカーが落ちたときは、まずはどのブレーカーが落ちたのかを確認しましょう。主幹ブレーカーや安全ブレーカーが落ちているなら、最も疑われる原因は電気の使いすぎです。室内をチェックして、すぐ使う必要のない電化製品の電源をオフにするかコンセントを抜きましょう。なにも対処せずにブレーカーだけを戻してもまた落ちてしまいます。

ブレーカーが落ちるのを防止するには?

ずらりと並ぶ家電

電気を一度に使わない

ブレーカーは一度に使う電気量が制限を超えたときに落ちます。そのため、使うタイミングをずらすなどして負荷を分散しましょう。

専用回線を増やす

新築住宅を建てるときなら専用回線を増やすのも1つの方法です。安全ブレーカーをよく見ると、「電子レンジ専用電源」や「洗濯機専用電源」などと明記されていることがあります。専用回線は独立しているのでブレーカーが落ちにくくなるのです。

電力会社との契約アンペア数や電力プランを見直す

契約アンペア数を増やせばブレーカーは落ちにくくなります。とはいえ、ブレーカーが落ちないからといって油断していると電気を使いすぎてしまうおそれも出てきます。そもそも、契約アンペア数が多いほど基本料金が高くなるのが一般的です。安易にアンペア数を上げるのではなく、むだな電気を使っていないかどうか確認しましょう。

また、契約プランを見直してみることも大切です。家族が夜間に集中して電気を使う家庭なら、夜間で電気代が安くなるプランに切り替えるのも1つの方法です。

コンセントの位置を確認してバランス良く使う

マンションなどの安全ブレーカーには「リビング・和室」「寝室A」などのように詳細が書かれているケースが少なくありません。また、家の一部だけが停電になると、どのコンセントが同じ系列なのかがわかることがありますよね。安全ブレーカーがかたよらないように、バランス良く電気を使うのもポイントです。計算方法がわかっていると役立つでしょう。

たとえば、ある安全ブレーカーの許容量が20Aだったとします。この回路につながるコンセントで12Aのドライヤーと10Aの電気ポットを同時に使うと、合計で22Aになるため安全ブレーカーが落ちます。しかし、このポットを別の安全ブレーカーのコンセントに移せば、ほかに電気を使っていないなら通常ブレーカーが落ちることはありません。

漏電ブレーカーが落ちたときは甘くみると危険!

プラグとコンセント

漏電ブレーカーが落ちる原因とは

漏電ブレーカーは基本的に漏電を感知したときに落ちます。回路の行きと帰りの電気の量をチェックしており、これに差があるときどこかで電気が漏れていると考えられるため遮断する仕組みです。

漏電が起きる原因はさまざま。主な要因としては建物や設備の劣化、電化製品の劣化などが考えられるでしょう。また、ねずみや結露、雨漏りなどが原因で漏電が起きるケースも珍しくありません。

一方、漏電していないのに漏電ブレーカーが落ちることもあります。これは、「単相三線式」で2本の配線を流れる電気量のバランスが悪いときに起きやすい現象です。

漏電ブレーカーの操作法とは

漏電ブレーカーが落ちるとストッパーがかかり、すぐには戻せません。まずは安全ブレーカーをすべて切りましょう。こうすることで漏電ブレーカーが上がるようになります。

次に、安全ブレーカーを1つずつ上げていきます。上げた直後に漏電ブレーカーが落ちたなら、その安全ブレーカーの回路で漏電していることがわかるでしょう。その部分の安全ブレーカーを切って漏電ブレーカーを上げ直します。漏電が疑われる安全ブレーカーを切ってさえおけば、ほかの場所では通常通り電気を使えるため便利です。

漏電ブレーカーが落ちたときどうする?

実際に漏電している場合、そのままにしておくのはあまりにも危険です。そもそも、電気工事は電気工事士法により電気工事士を持っている人でないと行えません。そのため、できるだけすみやかに電気保安協会や電気工事会社に連絡しましょう。

落ちた原因が不明な場合は?

漏電ブレーカーが落ちたとき、一般の人が正しくその原因を判断するのは容易ではありません。電気使用のバランスが悪いことが明白なら、電化製品を使うコンセントを変えることで復旧できることもあります。

ブレーカーが落ちたときの対処法を知っておこう

電気がついている明るい家

ブレーカーが落ちるとWi-Fiも止まるので、いざというときネットで対処方法を調べることができません。そのため、前もって知識をつけておくことが重要です。特に漏電ブレーカーが落ちている場合は注意が必要です。漏電をそのままにしておくと電気代が上がるだけでなく大惨事につながる可能性もあります。安易に考えずに、プロに調査を依頼するよう心がけましょう。

この記事のタイトルとURLをコピーする

カテゴリから記事を探す

すべてみる
カテゴリを見る