目次
袋分け家計簿とは?
袋分け家計簿とは、「使えるお金」を銀行口座に入れたままにせず、「封筒(袋)」に入れて管理する方法です。
給料振込日に銀行口座から毎月の生活費など引き落とし分に必要な金額を除き、それ以外の現金はすべて引き出します。引き出した現金を項目(費目)ごと・日にちごとに封筒に入れ、必要な時に財布に移して使っていく方法です。
費目は「食費」「日用品費」「被服費」「娯楽費」などが一般的ですが、パッとみてご自身が分かりやすいシンプルな項目名にしましょう。また「貯金」という封筒を作っておくとお金をためやすくておすすめです。
袋分け家計簿を初めてトライする方や、私はズボラだから…という方は、「固定費」と「生活費」の2つの袋を用意するだけでも十分です!できるだけシンプルに、あまり袋の数は増やし過ぎないことが長続きさせるコツです。
袋分け家計簿のやり方
袋分け家計簿のやり方はすごくシンプルです。難しい計算や手続きなども不要であるため誰でも簡単にできるうえ、上手に活用すればお金の支出を最適化することにもつながります。ここでは袋分け家計簿の始め方を解説します。
袋分け家計簿の方法は3ステップ
袋分け家計簿の方法は主に下記の3ステップです。
- ステップ1:給料日に生活費をすべて引き出す
- ステップ2:費用ごとに予算を決め、現金を封筒に入れる
- ステップ3:買い物をしたら支払いは封筒から出す
この3ステップだけで始められますので今からでもすぐできます。
自動引き落とし以外は全て引き出す
給料日に銀行に行き、自動で銀行引き落としされる費用(住宅ローンや保険料など)は残して、それ以外はすべて引き出します。
例:お給料が25万円で、住宅ローンや保険料などの自動引き落とし分が12万円だとすると、残りの13万円を全額引き出します。
引き出した13万円の現金を、費目ごとに用意した袋に振り分けて入れます。そこから必要に応じて現金を抜いて、お金を管理していきます。
費目ごとの振り分け「固定費」
基本の「固定費」とは、「毎月必ず支払うことが確定しているお金」のことを言います。
家賃や光熱費、クレジットカード請求、携帯電話代は銀行引き落として銀行口座にその分は残したとして、それ以外の継続的に続けている習い事の月謝、お小遣い(交際費)などが考えられます。
固定費が以下の例のようであれば、この合計の4万円を「固定費」の袋に入れておきます。
《固定費の例》
・お小遣い(交際費):月3万円
最初の手持ち現金13万円 - 固定費の4万円 = 残り9万円
費目ごとの振り分け「貯金」
銀行から引き出してきた現金は最初、13万円でしたが、そこから「固定費」の袋に4万円を入れました。余裕のある方や、貯金優先にしたい!という方は、この時点で、「貯金」の袋に貯金額をプールしましょう。
今回は、まずは1万円を貯金に回したいと思いますので、1万円を「貯金」袋に入れてしまいます。
《貯金の例》
最初の手持ち現金13万円 - 固定費の4万円 - 貯金1万円 = 残り8万円
費目ごとの振り分け「生活費」
買い物の支払いはこの封筒から出して支払いますので、実際に現金を管理してやりくりするのは「生活費」の袋です。
《生活費の例》
「固定費」と「貯金」を差し引いた残金は8万円なので、8万円を「生活費」の封筒に移します。ざっくりし過ぎていて、最初の週で使いすぎてしまうのでは…など、不安がある場合は、この生活費の袋を、その月の週の数分(4~5週分ですので、4袋から5袋)用意し、週ごとに小分けしておくと良いでしょう。
生活費を使う時は、生活費の封筒からお財布にお金をうつしていきます。目減り分は、封筒を確認すればすぐにわかりますね。
キャッシュレス決済がメインの場合
月々の支払いが現金ではなく電子マネーやクレジットカードなどキャッシュレス決済でも、袋分け家計簿は有効です。方法としては電子マネー・クレジットカードで使用した金額と同じ分、項目袋に振り分けていくだけです。
キャッシュレス決済の場合、手元のお金が見えずついつい使い過ぎてしまいますが袋分け家計簿を併用することでお金の消費量を可視化でき、無駄遣いの抑制につながります。
最近では、サービスごとにお得なポイント制度が多数登場し、現金よりもキャッシュレスの方がメリットは多くなってきています。袋分け家計簿を始めるのと同時に、支払いをキャッシュレスメインに変更するのもオススメです。
袋分け家計簿で使用する物
袋分け家計簿では、項目ごとに専用の袋を用意してお金を移していきます。このとき使用する袋は、何でもかまいません。銀行に用意されている封筒でもいいですし、クリアファイルでもOKです。
もし、しっかりした袋を用意したいのであれば100均セリアや無印良品などで販売されているファイルケースなどがおすすめです。手頃な価格でしっかりした設計なので長持ちします。
オシャレな項目袋を用意することで自分の気分を高めることも、袋分け家計簿を継続させるのに有効です。
月末に収支を振り返ろう
袋分け家計簿を1か月続けたら、必ずその月の収支を振り返りましょう。今月いくら収入があって、何円使ったかを確認します。そうすることで、どこにお金を使っているか、いつもよりも支払いが多くなっているかをいち早く把握できます。
袋分け家計簿の目的はお金の流れを可視化し、無駄遣いを削減させることですが、より本質的な目的はお金の最適化です。袋分け家計簿を続けることが最終的なゴールではありません。
袋分け家計簿を継続したら必ずそこから得た情報を振り返り、翌月のやりくりに活用していきましょう。
袋分け家計簿のメリット
「袋分け家計簿」のメリットが気になるところですね。手間をかけるからには、メリットがなければ継続も難しくなってしまいます。ここでは袋分け家計簿の3つのメリットについてご紹介します。
予算管理ができる
袋分け家計簿の大きなメリットは、目で見て予算を把握できる点です。袋に入れて管理しているので一目で残金が分かります。
次の給料日までどのくらい使えるかが分かれば、やりくりの目安になりますし、無駄遣いがなくなります。
また、現金のすべてが手元にあるので、予算内でのやりくりを覚えることができます。お金を増やす上で収入と支出のバランス管理は重要です。無駄な支出を削減するためにも視覚的にお金を把握できるのは大きな利点といえます。
使いすぎの防止になる
予算管理に関連して、貯金の使い過ぎを防止できる効果は大きいです。現金が減ってくるのをリアルに見ていると、無駄な買い物をしないよう節約志向が身につきます。
また、袋の中身がなくならないように、お金を使いやすいこともメリットです。袋分け家計簿をしていると、意外と自分が無駄遣いが多かったことに気付けますよ。
貯金ができる
現金を袋分けする際に「貯金」費目の袋を用意し必ず入れていくようにすれば、自然と貯金をする習慣が身につきます。
「貯金」費目を作らなかった場合、現金が減ってくるのが分かりますのでなるべく使わないように節約します。また現金を残しておかないと不安になりますので、次の給料日まで残金があると思います。その残金を貯金しましょう。
固定資産税や自動車税などの税金と大きな支出への対策方法
袋分け家計簿の毎月の振り分けで管理できない固定資産税、自動車税、車検などの大きな支出「特別費」の対応をご紹介いたします。
一番シンプルなのは、税金など大きな支出用として「特別費」の袋を用意し、毎月一定額を入れて積み立てする方法です。ただし、以下に該当する場合は「特別費」の積み立ては難しいと思います。
- 月収の都合上、毎月の袋分け家計簿では、すべての特別費は積み立てられない(お金が足りない…)
- 特別費で積み立てたい支払いの種類が多い
- 特別費を毎月積み立ててしまうと、生活費の中でも基本の出費のやりくりが回らない
上記に該当する場合は、「特別費」の袋に毎月定額を積み立てるという方法は向いていませんので、毎月の給料からは振り分けず、ボーナスや特別手当、残業代などが入った時に「特別費」の袋にお金を入れましょう。
それによって月々の基本的な生活にもゆとりが生まれますし、貯金も可能になります。もし、税金などの「特別費」が高くて支出の確保が厳しい場合は、生活水準の見直しが必要かもしれません。
本当に車が必要か?車種の見直しは?ローンは見直せるか?など、身近なところから一度、見直してみることも、長期的にみれば、ゆとりのある生活への一歩となるのではないでしょうか。
《特別費の管理例》
・自動車税 :4万円
・車検 :10万円
合計:24万円
ボーナス時に、上記の合計24万円を特別費として封筒に入れます。自宅でずっと保管することが不安な場合は、特別費のプール用に1つ、銀行口座を用意しておくと良いでしょう。
袋分け家計簿でありがちな失敗例
袋分けすることで、何にいくら使って良いのか、あといくら使えるのかが分かります。しかし、袋分け家計簿を実施するにあたり、よくありがちな失敗ケースがあります。三日坊主にならないためにも、ありがちな失敗例について紹介します。
たくさんの種類の袋をつくるほど失敗する
袋分け家計簿で失敗しやすいのが、たくさんの項目袋を用意し過ぎることです。
袋の数が多いと、管理が煩雑になります。途中で訳が分からなくなってきますし、お金の出し入れも頻繁になってしまうため、かえって面倒になります。
最初は細かく分類分けして管理したいと思っていても、いざ継続するとなると仕分けがめんどうになります。項目袋の種類は3つくらいに絞っておくのが現実的です。
細かいことを気にし過ぎると管理が面倒になる
袋分け家計簿でやりがちなのが、細かいことを気にし過ぎて疲弊していくこと。
少しでも収入と支出が合わないと、その原因を特定しようと躍起になる方もいます。しかし、あまりにも細かく気にし過ぎると管理がめんどうになり、続けていくのがしんどくなります。
コツとしては、細かいところは気にしないことが重要です。1円単位のお金の帳尻が合わなくても問題ありません。一番大事なことは、「家計全体のお金の流れを把握できているかどうか」という点。数円~数百円内の誤差程度で、家計の流れが深刻に変わりはしません。
適当過ぎるのも考えものですが、多少大雑把な方が袋分け家計簿は効果的に継続しやすいです。
予算がしっかり確定していない
袋に入れた金額では足りずに赤字になってしまう場合、振り分けをやりなおしする必要があるかもしれません。
予算をきちっと計算せずに「この金額なら黒字だ!黒字にさせてやろう!」といった無理のある金額にした場合によく起こりますので、これまでの支出額をよくチェックしたうえで、貯金も含め無理のない予算額を決めましょう。
袋間の貸し借り(袋と袋の間でのお金の移動)が多すぎる
袋に入っているお金の移動を袋と袋(費目と費目)の間で頻繁に入れ替えていると、それだけ予算が守れなくなります。基本的に使う袋は「固定費」「生活費」と「貯金」の3つで構いません。移動させる袋が少ない方が、絶対に上手くいきます。
袋分け家計簿を続けるためのコツ
「袋分け家計簿」を続けるコツはいたってシンプルです!
- 封筒の数をなるべく少なくすること
- 無理のない予算を確定すること
この2つにつきます。封筒の数は多くても3つまでがストレスなく継続できる範囲です。またギリギリの予算設定だと、生活を圧迫してツラくなってしまうため、多少余裕を持たせておくと心にゆとりが持てます。
シンプルなことを確実に実践することが最も大事なのが、「袋分け家計簿」なのです。
まとめ
今回は、ズボラな方、忙しくて家計簿の記帳に時間をかけていられない方にも無理せずに実践できる、「袋分け家計簿」をご紹介いたしました。
無駄な作業をなるべく省くことで、月々の予算管理がぐっと楽になるはずです。今回の「袋分け家計簿」の基本編からまずはスタートしてみてはいかがでしょうか。
シンプルなことを持続させることで良い結果が出てきます。毎月細かい家計簿をつけるのが苦手な方は、一度試してみてはいかがでしょうか。