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使い捨てカイロは水に濡れても危険じゃない!
冬になると大活躍してくれる使い捨てカイロ。手軽に暖を取れる便利なアイテムですが、「水に濡れると発火して危険!」というのを聞いたことがある人もいるかもしれません。
使い捨てカイロは水に濡れると本当に発火するのでしょうか?
結論から先にお伝えすると、使い捨てカイロは水に濡れても発火などの危険が生じることはありません。
もし使い捨てカイロが水に濡れて発火する危険な商品であれば、パッケージなどに大きく「水濡れ厳禁!」などと書いてありそうなものですよね。使い捨てカイロが原因の火事というのも聞いたことがありません。
緩やかに発熱する使い捨てカイロは、「鉄粉」が空気中の「酸素」に反応して酸化する際に出る熱を利用して発熱させています。密閉袋から出すことで空気に触れ、発熱を始める仕組みになっているんです。
たっぷりの水に浸かると酸素が遮断されて発熱反応が起こらなくなるので、使い捨てカイロを水没させたからといって、発火したり爆発したりすることはありませんのでご安心を。
水が反応を抑えることはあっても、活性化させることはありません。そもそも使い捨てカイロには、イオン伝達のためにもとから水分が含まれています。
使い捨てカイロを濡らすと危険といわれているのは何故?
使い捨てカイロに水をかけると発火するという、事実ではないことをよく耳にするのは何故なのでしょうか?
おそらく、お菓子などに付属されている乾燥剤(シリカゲル)と混同してしまっている人が多いことが原因ではないかと考えられます。乾燥剤は水に濡れると一瞬で高温になって火災が発生する可能性があり取り扱いには注意が必要です。
以前、乾燥剤が水に濡れると発火するという内容がテレビなどで紹介され、多くの視聴者にインパクトを与えました。使い捨てカイロは「四角い袋の中に小さい粒が入っている」という乾燥剤との共通点があり、カイロ自体が発熱するという性質から、発火すると連想されてしまったのではないかと推測されます。
使い捨てカイロは、乾燥剤と違って水に濡れても発火しませんので安心してくださいね。
使い捨てカイロの成分と役割|発熱のための主原料
カイロの中身には健康に悪影響を及ぼすような毒性のある危険な成分は含まれていません。
ですが、体質によってはアレルギーを生じたり、体調を崩したりすることも無いとはいえませんので、使用方法を遵守して使用するようにしてください。
成分 | 役割 |
鉄粉 | 空気中の酸素に反応して酸化鉄に変化する際に熱を発生させる。 |
水分 | 反応を行うためのイオンの通り道で、鉄粉が酸化反応を起こすのを早める働きをする。 |
塩類(塩化ナトリウム、塩化カリウム) | 反応を促進させる役割をする。 |
バーミキュライト | 水を保持しやすい不燃性の土で鉄粉などが塊にならないように保水剤の役割を担っている。 |
活性炭 | 酸化の原料となる酸素を保持して酸化反応に必要な酸素を促す。 |
中身を入れるケース | 通気性のある不織布を使用している。 |
外装のビニールケース | カイロの成分と酸素を完全に遮断する。 |
誤って口にするとかなり危険
使い捨てカイロの成分が、不織布が敗れて外に出てしまったらどうしたらよいのでしょうか?
カイロの袋に穴が開いたり破れたりしたとしても、成分のほとんどは鉄粉なので人体には無害です。ですが、細かな鉄粉が舞い上がって口や鼻から吸い込んだり、目に入ったりしないように注意しながら、掃除機などで吸い取るようにしてください。
《 ポイント 》
- 水に浸かると酸素が遮断されて発火や爆発は起きない。
- 健康に悪影響を及ぼすような毒性のある危険な成分は含まれていない。
使い捨てカイロの捨て方
使用済みの使い捨てカイロはどのようにして捨てたら良いのか解説します。
分別は自治体に確認する
自治体ごとに指定されているゴミの分別方法に従って捨てるようにしましょう。使い捨てカイロの中身の成分には、細かい鉄粉、活性炭、バーミキュライトなどが含まれていますが、多くの自治体では「燃えるゴミ」として分別指定しています。
しかし、カイロの中身の成分の半分以上は鉄粉であるため、燃えないゴミとして分別するように指定している自治体もあるようです。まずは、現在住んでいる地域の自治体のガイドブックやHPで確認してみましょう。
冷めてから処分する
長い時間発熱し続ける使い捨てカイロですが、まだ発熱しているようでしたら冷めるまで待ちましょう。どの自治体も「完全に冷めてから捨てて」というのは共通しています。
未開封のものを処分する場合は、念のため開封して発熱がおさまったのを確認してから捨てるようにしてください。
《 ポイント 》
- 多くの自治体では「燃えるゴミ」として分別指定している。
- 住んでいる地域の自治体のガイドブックやHPで確認する。
- 未開封のものを処分する場合は、開封して発熱がおさまってから捨てる。
使い捨てカイロの再利用方法
除湿剤として再利用する
使い捨てカイロの成分の一つに活性炭があります。活性炭は除湿効果に優れているので、除湿剤として再利用することができます。
不織布のパックに入ったままの状態で再利用できますが、より一層効果的に除湿したいのであれば、中身を出して平らな容器に移し替えたものを除湿したい空間に置きましょう。
消臭剤として再利用する
使い捨てカイロに含まれている活性炭は、除湿効果だけでなく、臭いを吸着して消臭する作用もあります。使い終わったそのままの状態で、冷蔵庫やシューズボックス、または直接靴の中に入れて除湿&消臭します。
ただし、使い捨てカイロに含まれる活性炭の量は、消臭剤として市販されているものより少ないため、効果が期待できるのは1週間程度です。
肥料として再利用する
使い捨てカイロの中身に含まれるバーミキュライトは、そもそも土壌を改良するために園芸用土に加えられているものです。ということは、使用済みカイロの中身は肥料としても使用できるということですね。
中には植物を枯らせる原因になる「塩化ナトリウム」が含まれている使い捨てカイロもありますので、肥料として土に混ぜる前に成分を確認するようにしてください。
塩化ナトリウムが含まれている場合は、コーヒーをいれるときと同じようにお湯を用いてフィルターでろ過することができますよ。
ろ過できているか心配な時は、まずは枯れても支障がない雑草に肥料として使ってみましょう。雑草に問題が出なければ、育てている植物にも肥料としても使うことができます。肥料として使用できるとパッケージに書いてあれば、ろ過することなくそのまま使うことが可能です。
開封した使い捨てカイロの発熱の止め方
使い捨てカイロは、チャック付き保存袋に入れれば長く利用することが可能です。
一度開封した使い捨てカイロは発熱を止めることができないため、短時間だけ使いたい時などは、なんだかもったいない気がしますよね。
そんな時は、チャック付き保存袋を使って発熱をストップさせてみましょう。発熱している使い捨てカイロを保存袋に入れ、空気をしっかり抜いてチャックを閉めます。すると袋が密閉され酸素がなくなるため、使い捨てカイロの発熱は止まります。
再利用したい時には、袋を開けて空気に触れさせることでまた使い捨てカイロは温かくなりますよ。ぜひ試してみてください。
《 ポイント 》
- 活性炭は除湿剤として再利用できる。
- 冷蔵庫やシューズボックス、または直接靴の中に入れて消臭剤として使う。
- 園芸用土に加えて土壌を改良する肥料にする。
使い捨てカイロの危険性
低温やけどに注意
低温やけどとは44℃~55℃前後のものが直接皮膚に付いて、数時間にわたって触れ続けることで起こります。自覚症状の無いままゆっくり皮膚の奥を痛めます。特に寝ている時は使い捨てカイロが高温になっていることに気づきにくいでしょう。
低温火傷の初期症状は皮膚が赤くなる程度ですが、時間がたつにつれ高温火傷と同じような症状になり、水ぶくれや痛みが出て、重症化することもあります。低温火傷で負った傷は治りにくく、治療に時間がかかるため注意してください。使い捨てカイロは、直接肌につけずに衣類の上からつけましょう。
中身を吸い込まない
基本的に使い捨てカイロに水がついても危険なことはありませんし、人体に危険なものは入っていませんが、カイロの中身が破けた場合、細かい鉄粉が舞い上がって目に入ったり、口や鼻から吸い込まないよう注意してください。
掃除をする際は、マスクをつけましょう。特に掃除機などで吸い取る際に掃除機の風で舞い上がる可能性がありますので気を付けてください。
使用済み使い捨てカイロが破けた場合
使用済みカイロの中身に危険なものはありませんので掃除機で吸い取ってもOKです。熱い状態のまま吸い取っても問題ありません。
未使用の使い捨てカイロが破けた場合
未使用のカイロが破けて中身が外に出てしまった場合、空気中の酸素と結びつき熱が出る可能性があります。しかし発火することはありませんので、掃除機で吸い取っても大丈夫です。
使用済みも未使用も、熱いまま掃除機で吸い取ってもOKですが、心配な方は冷めてから掃除機で吸い取るか、吸い取った中身が冷めてから取り出しましょう。
洗濯したりトイレに流したりした場合
使い捨てカイロを洗濯したり、トイレに落としてしまったとしても危険なことになるリスクはあるのでしょうか。
これらの状況になってもカイロが発火したりと危険になることはないです。上述の通りカイロには水に濡れたり、破れて中身が出たりしても危険になる材料は使われていないためです。
ただ、洗濯で一緒に入れていた服やタオルなどにカイロの中身(例えば、鉄や活性炭)が付着すると、なかなか取れないです。そのため、再度洗うかもしくは別のものを購入した方がいいでしょう。
同様に、カイロをトイレに落としてしまったとしてもそのまま流してしまったら、トイレ側が詰まるリスクが生じます。よって、取れるのであれば、カイロを救出してきちんと廃棄するのがおすすめです。
発熱した使い捨てカイロを放置した場合
使い捨てカイロをテーブルの上、あるいは脱いだ服のポケットに入れたまま放置するとどうなるのでしょうか?テーブルの上ならまだしも、ポケットの中だと発火して火災が起きそうに思うかもしれませんが、そんなことはありません。
使い捨てカイロは、最高温度が60℃程度までにしか上がらないように作られており、発火するほどの高温になることはないのです。たとえそれがポケットの中などであっても、多少温度が上がることはあっても火災が起きる心配はないでしょう。
ただし、使い捨てカイロと一緒にスマホやモバイルバッテリーなどリチウムイオン電池が入った製品を入れていると火災が発生する恐れがあります。この時に発火するのは使い捨てカイロではなく、リチウムイオン電池側です。一緒にポケットに入れないように注意してください。
使用期限が過ぎた使い捨てカイロを使うのは危険?
使い捨てカイロの使用期限はだいたい2年~5年です。少しくらいであれば期限が過ぎていても問題なく使えることがほとんどでしょう。
期限を大きく過ぎている場合は、温かくなるまでに時間がかかったり、持続時間が短くなることがあり、あまり役に立たないかもしれません。メーカーも期限が過ぎたら使わないようにすすめていますので、あまりに期限を過ぎたものは、いったん開封して冷ましてから処分してください。
シーズンが終わって未開封の使い捨てカイロが残った場合は、密封できる袋に入れ冷暗所で保存しましょう。防災グッズの中に入れておくのもおすすめです。使い捨てカイロは安全に使えるため、非常時にも重宝されます。
《 ポイント 》
- 使い捨てカイロの中身に危険なものは入っていないが、細かい鉄粉が舞い上がって目に入ったり、口や鼻から吸い込まないよう注意する。
- 低温やけど防止のため、使い捨てカイロを直接肌に貼らず衣類の上に貼る。
最後に
使い捨てカイロを水で濡れても危険ではないのか、捨て方や使用方法について解説しました。
使い捨てカイロは安全に配慮されて作られている商品です。水に濡れても発火などはせず、危険ではありません。使用方法を守れば、安心して使うことができます。便利で安全な使い捨てカイロで、寒い冬を乗り切りましょう!