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タラの芽にはとげの「ある」ものと「ない」ものがある
春を告げる山菜として人気があるタラの芽は、日本全国の山野に自生しています。タラの芽とはウコギ科の「タラノキの新芽」のことで、この新芽の部分を摘んで食べる山菜の王様と言われています。
4月~6月上旬にかけて山野を歩き回れば、天然のタラの芽を見つけられるかもしれません。程よい苦みともっちりとした食感の新芽を摘んで天ぷらなどにして味わうととても美味しいですよね。
さて、このタラの芽は種類によって小さな「とげ」があるものとないものがあります。
とげのある「オダラ」と、とげの少ない「メダラ」に分けられるのですが、野山に自生している白っぽいタラノキの枝や幹にたくさんとげがあるものは「オダラ」であることが多く、一方でとげの少ない「メダラ」は、栽培用として用いられることが多いです。
- オダラ(男だら)→とげがある別名「オンタラ」
- メダラ(女だら)→主にハウスで栽培されているとげのないきれいな黄緑色。
とげがない栽培ものの「メダラ」と違って、とげのある天然ものの「オダラ」の芽を採る際には、とげが刺さらないように、革の手袋をするなどして素手で採らないようにしましょう。
《 ポイント 》
- 自生しているタラノキの枝や幹にたくさんとげがあるものは「オダラ」
- とげのないハウス栽培ものが「メダラ」
タラの芽にとげがあっても食べて大丈夫?
加熱するととげが柔らかくなる
触ると痛いとげのついたタラの芽を食べるにはどうしたら良いのでしょうか?
とげがたくさんあるオダラであっても問題ありません。美味しく食べることができます。タラの芽は加熱するととげが柔らかくなり気にならなくなるので、天ぷらにするなら「とげぬき」をする必要はありません。そのまま天ぷらなどにすると風味たっぷり美味しくいただけます。
ただし、葉が開いて大きくなってしまったものは、とげが硬くて食べにくく口の中が痛いこともありますので注意して見極めるようにしましょう。
とげは刺さることがあるので注意
火を通すことで食べられるタラの芽のとげですが、触ると手に刺さることがあります。タラの芽の収穫に出かける際は、軍手やゴム手袋を忘れずに持参するとよいでしょう。
特にとげだらけのオダラからタラの芽を収穫するときは、幹を押さえて収穫する必要があるので、扱いには注意が必要です。タラの芽は新芽が柔らかいうちに食べるのが基本なので、柔らかそうな若い芽を摘むようにしましょう。
《 ポイント 》
- タラの芽は加熱するととげが柔らかくなるので食べても問題ない。
- 触ると手にとげが刺さることがある。
タラの芽のとげを正しく処理する方法
とげがある場合は天ぷらにするのがおすすめ
とげがあっても気にならなくなる調理法のひとつに「天ぷら」があげられます。
簡単な下処理を行ってから衣をつけてサッと揚げると、とげが柔らかくなってエグミが旨味に変わりより美味しくなるので天ぷら料理がダントツおすすめです。
加えて、タラの芽に長い時間火を通すと本来の風味を損なってしまいますので、短時間でサッと揚げられる天ぷらが適しているのでしょう。
気になる場合は包丁の背を使ってそぎ落とす
のどに刺さるような危険なとげではないのでそれ程気にしなくても良いのですが、どうしても心配な方は包丁の背を使ってとげをそぎ落としてしまいましょう。
ところで、天然タラの芽の下の部分にある、赤茶や緑色の皮を「ハカマ」と言いますが、このハカマは食べることができません。
そのため、根元の外周を包丁を使って取り除く必要があります。ちなみに店頭で売られているものはすでにハカマが取り除かれていることが多いので、そのまま加熱して大丈夫です。
また、栽培ものは天然ものに比べて味や香りが弱く、水っぽいと感じる方が多いようです。できれば天然ものにこだわってみたいところですが、天然のタラの芽のハカマの中には虫が紛れ込んでいることがあります。
てんとう虫に似た黒光りした虫なのですが、包丁の背を使ってハカマをそぎ落とすのと同時にチェックしてくださいね。
タラの芽の旬はいつ?
春の山菜の代表ともいえるタラの芽ですが、天然ものの旬は4月の桜の開花時期から6月上旬です。
全国の山野に自生しているタラの芽、かつてはほんの一時期、旬の時だけ味わえる貴重な食材でした。ところが、近頃ではハウスでの水耕栽培をしている地域もあり、春以外でもスーパーで見かける機会が増えてきました。
栽培物は天然ものよりも早く、料亭などの需要に応えるためかなり早い時期の12月頃から出荷され店頭に並べられています。
天然もののタラの芽を選ぶポイント
では、タラの芽を選ぶポイントを紹介しましょう。なんといっても採りたてが一番美味しいタラの芽ですが、収穫時のサイズによって味が違ってきます。
例えば、伸び過ぎたものは苦味やエグミが強いのに対して、食べるところがあまりない小さなものは風味が弱いと感じるでしょう。
つぼみのようなところが開いて10cm弱に伸び、ある程度葉っぱが開いているものの方が食べやすく、タラの芽本来の風味を味わえるでしょう。
《 ポイント 》
- 危険なとげではないのでそれ程気にする必要はない。
- ハカマは食べられないので包丁を使って取り除く。
- 風味を損なわないように短時間でサッと揚げられる天ぷらがおすすめ。
- 伸び過ぎたものは苦味やエグミが強く、小さなものは風味が弱い。
タラの芽の下処理方法
とげの下処理方法
加熱することで食べられるようになるとげですが、どうしても気になる場合は下処理をしてから調理しましょう。
伸びすぎたたらの芽は苦味やエグミが強くなるため、おひたしや和え物など天ぷら以外で食べるときは下処理として「あく抜き」が必要です。
10cm程度の食べごろサイズのたらの芽にはそれほど苦みはありませんが、アク抜きというより黒く変色するのを止める「色止め」として下茹ではした方が良いでしょう。
手順
- 付け根にある硬いハカマや茶色い部分を取り除いて汚れを洗い落とす。
どうしてもとげが気になる場合は包丁の背を使ってそぎ落とす。 - 根元の固い部分を包丁でむく。
葉先の方は火が通りやすいので大きいものは根元に十字の切り込みを入れる。 - 水1Lに対し塩20gを入れ沸騰させたお湯で1~2分さっと硬めに茹でる。
香りや歯ごたえを楽しめるように茹で過ぎないのがポイント。 - 手際よく冷水へ入れる。
- しっかりと水気を切ってから味付けする。
天ぷら以外にどんな料理に使う?
先にお伝えしたようにホクホク感と風味を味わうには天ぷら料理がおすすめです。あっさりと塩だけをつけて食べると、たらの芽のほろ苦さをたっぷり楽しめますよ。
油で揚げるとアクが旨味に変わり、栄養分も閉じ込められます。魚や肉などに添えるとメインディッシュのわき役として春の季節感を演出できるでしょう。
また、アクを抜きをした後はおひたしや和え物などはもちろんのこと、手早く炒めてパスタやソテーなどに加えると独特の風味を持つひと品に仕上がります。
他にも、
- 旨みたっぷりのシイタケやニンジンと一緒に和えた「白和え」
- ゴマと味噌で和えた甘い「ゴマ味噌和え」
- 醤油をしっかり染み込ませた厚揚げに、たらの芽を加えた「たらの芽の炒めもの」
など、いろんなレパートリーで春を楽しみましょう。
《 ポイント 》
- 伸びすぎたたらの芽は苦味やエグミが強い。
- おひたしや和え物などを調理するときはあく抜きの下処理をする。
- 大きいものは根元に十字の切り込みを入れてから茹でる。
- 魚や肉などに添えるとメインディッシュのわき役になる。
- 白和え、ゴマ味噌和え、炒めものなどで春を楽しめる。
最後に
タラの芽にとげがあった場合の正しい食べ方について、いかがでしたでしょうか?
春を告げる山菜の王様と言われているタラの芽には、とげのある「オダラ」と栽培物に多い「メダラ」と呼ばれる種類があることがわかりました。
とげがあっても加熱することでとげが気にならなくなり美味しく味わうことができるのですが、どうしても気になる場合は、包丁の背を使って下処理を行ったり、塩を入れた熱湯でアクを抜いてみてください。
何よりおすすめなのは「天ぷら」です。油で揚げる天ぷらの場合は下処理やあく抜きをする必要はなく、タラの芽を初めて食べる人でもタラの芽特有の苦みや香りを堪能しやすくなります。
日本全国の山野に自生しているタラの芽は伸びすぎると苦みが強く硬くて食べにくいのですが、逆に小さすぎるとたらの芽本来の風味が弱くなります。
タラノキの新芽が葉っぱになる前の茶色い付け根がちょっとついている状態が収穫の目安になりますので、ぜひ天然のたらの芽を味わってみてください!