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れんこんが紫に変色する理由
れんこんをボイルしたり炒めたり加熱調理したら紫色に変色してしまった…ということがありますが、れんこんが紫色になる原因は、れんこんに含まれる「タンニン」という成分が酸化したからです。
タンニンとは
タンニンはポリフェノールの一種で、お茶やワインにも含まれる渋み成分(アクの成分)です。タンニンは空気や鉄分にふれると化学反応をおこして紫色に変色する性質があります。
そのため、鉄が含まれるフライパンや鍋、包丁、フライ返しや菜箸などの調理器具、鉄分が含まれる水道水を調理に使うと紫色に変色しますが、れんこんの成分ですので食べても大丈夫です。
また、電子レンジでも加熱によってタンニンが反応して紫色になることもあります。
鉄製のもので調理していないのに紫色になる場合、水道水や水道の蛇口が含む鉄分の可能性があります。
タンニンが反応する理由はさまざまですが、紫色になるのはれんこんの自然な反応ですので心配ありません。
茶色っぽくなる原因
れんこんを切って何もせずに放置しておくと茶色っぽく変色します。これはタンニンが空気に触れて酸化したためです。
れんこんが紫色に変色するのはタンニンが鉄分に反応したからですが、空気に触れてもタンニンは変色します。れんこんの変色で一番多いのはこのケースです。
れんこんが紫色になるのと同じで、茶色くなっても何も問題ありませんので食べても大丈夫です。
《 ポイント 》
- れんこんが紫色になる原因はポリフェノールの一種のタンニンが酸化したため。
- タンニンは空気や鉄分にふれると化学反応をおこして紫色に変色する性質がある。
- れんこんが紫色になっても食べられる。
れんこんが紫に変色するのを防ぐコツ
れんこんが紫色に変色しないためには、アクを抜く下処理をする必要があります。れんこんのアク抜きとして、水に浸ける方法と酢水やレモン水に浸ける方法があります。
使用するボウルは金属製では無く、プラスチック製を使いましょう。また、料理によってアク抜きの方法を変えるのがポイントです。
酢水やレモン水でアクを抜く方法
酢水に浸けるとでんぷん質の働きが止まるため、シャキシャキした食感が強くなります。サラダや酢の物など、シャキシャキした食感が合う料理に向いているアク抜き方法です。
材料
- れんこん:1個
- 水:1L
- お酢、またはレモン汁:大さじ1杯
手順
- ボウルに水と酢(またはレモン汁)をまぜておきます。
- ピーラーなどでれんこんの皮をしっかり剥きます。
- れんこんを切った順にすぐ酢水(またはレモン水)に浸けます。
- 5mm程度の厚さの場合は2~3分ほど、煮物など大きめに切った場合は5分ほど置いておきます。
※れんこんの穴の黒ずみが気になる方は、30分ほど置いておくと汚れが取れて真っ白になります。 - 酢水(またはレモン水)を流水で洗い流しましょう。
水でアク抜きをする方法
水だけでアク抜きするともちもちとした食感になるため、煮物や炒めものなどの料理に適している方法です。
手順
- ボウルにれんこんが全て浸かる量の水を入れておきます。
- ピーラーなどでれんこんの皮をしっかり剥きます。
- れんこんを切った順にすぐ水に浸けます。
- 5~10分ほど置きます。水が白っぽくなったら新しい水に入れ替えましょう。
コツは皮をしっかり剥く!
れんこんの皮と身の間には、ポリフェノールがたくさん含まれていますので、皮を残しておくと変色する可能性がありますので、れんこんの皮が残らないようしっかり剥くのがポイント!
注意点
水だけに浸けるアク抜きは、水の成分によっては逆効果になる可能性もあります。また、あまり長く水に浸けておくとれんこんの栄養素が流れてしまうので、長くても10分程度で水から取り出すのがポイント。
新鮮なれんこんは、えぐみ、苦味がないため、アク抜きする必要はありません。とくに煮物の場合は、煮込んでいるときに出るアクをすくい取る、天ぷらなど揚げ物に使う場合は、揚げるときにアクは抜けてしまうので、アク抜きの手間が省けます。
《 ポイント 》
- 紫色にならないためにアク抜きの処理をする。
- アク抜きは水に浸ける方法と酢水・レモン水に浸ける方法がある。
- アク抜きの前に皮を残さず剥くのが変色を防ぐコツ
れんこんの栄養素を上手に摂る方法
・アク抜きのじかんは5分以内
れんこんに含まれているビタミンC、カリウム、タンニンなどは水溶性のため、アク抜きで長時間水に浸けてしまうと、栄養素が水に溶けだしてしまうため、アク抜きの時間を5分以内にすることで、栄養素を上手に摂取することができます。
・スープやみそ汁などがおすすめ
水溶性の栄養素は、茹でたり、煮るなどの調理でも溶け出してしまいます。栄養素を余すことなくいただくには、スープやみそ汁など一緒に食べることができる調理がおすすめです。
・肉や魚などたんぱく質と相性が良い
れんこんに含まれているビタミンCは、たんぱく質からコラーゲンを生成するのをサポートするので、肉や魚など良質はたんぱく質と一緒に摂ることで、美肌効果などが期待できます。
腐ったれんこんの見分け方
れんこんが紫色になっても食べることができますが、れんこんは劣化や傷むのが早い野菜です。
- ニオイ
- 悪臭がする
- 酸っぱい臭い
れんこんのニオイを嗅いで悪臭や異臭がするものは食べることはできません。
腐ったれんこんの感触
- 表面がヌルヌルする
- ふにゃふにゃ柔らかい
れんこんを触ってヌメヌメしているものや糸を引くもの、ふにゃっと柔らかいものは腐っていますので処分しましょう。
腐ったれんこんの見た目
- れんこんの穴や内部が黒ずんでいる
- カビが生えている
れんこんの内部まで黒ずんでいる場合は腐っている可能性があります。また、れんこんの表面に白いふわふわしたものがついていたらカビです。れんこんは傷みやすいため、切って中や断面に黒カビや白カビが生えていることもあります。
腐ったれんこんの味
- 苦い
- すっぱい
もともとれんこんは淡泊な味なので、苦いと感じた場合は食べない方がいいでしょう。見た目は腐っているように見えないものも食べると苦い場合もありますので注意しましょう。
腐ったれんこんを食べると食中毒をおこす可能性があります。れんこんを食べた後、腹痛、嘔吐、下痢などの症状が出た場合はすぐ病院で診察してください。
《 ポイント 》
- れんこんが腐ると「悪臭がする」「ヌメリがある」「内部が黒い」「カビが生える」などの状態になる。
れんこんが紫に変色するのを防ぐ保存方法
れんこんが紫色に変色するのを防ぐ「常温保存」「冷蔵保存」「冷凍保存」を説明します。
常温保存方法:まるごと1本
25℃以下であれば常温保存することができます。ただし、常温保存の場合は、丸ごと1本または1節丸ごとのれんこんにしましょう。
手順
- れんこんをキッチンペーパーまたは新聞紙で包みます。
- 大き目のポリ袋または保存袋にいれます。
- 空気をふんわり入れておきます。
- 冷暗所または冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。
冷蔵保存方法:まるごと1本
- 湿らせたキッチンペーパーまたは新聞紙でれんこんを包みます。
- チャック付きの保存袋に入れます。
- 冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。
冷蔵保存方法:カット
カットしたれんこんを冷蔵庫で保存する場合、保存袋に入れて保存する方法と水に浸けて保存する方法があります。
- ボウルに酢水を作ります。※水1Lに対し酢大さじ1杯
- れんこんの皮をしっかり剥きます。
- れんこんを厚さ1cmほどの輪切りにし、切った順に酢水に5分程度浸けます。
- キッチンペーパーでれんこんの水気を拭き取ります。
以下①と②のどちらかの方法で保存しましょう。
方法①:保存袋に入れて保存する
- ジッパー付き保存袋に入れ、空気をしっかり抜いて口を閉じます。
- 冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。
方法②:水に浸けて保存する
- タッパにれんこんを入れ、全体が浸かる程度の水を入れます。
- そのまま冷蔵庫に入れて保存します。水は毎日新しい水と取り換えましょう。
冷凍保存方法:2つ割り
- ボウルに酢水を作ります。※水1Lに対し酢大さじ1杯
- れんこんの皮をしっかり剥きます。
- れんこんを縦に2等分し、即ボウルの酢水に5分程浸けます。
- キッチンペーパーでれんこんの水気を拭き取ります。
- 一つずつピッタリラップで包みます。
- 冷凍保存用バッグに入れ、空気をしっかり抜いて口を閉じます。
- アルミ製トレイなど金属トレイにのせて冷凍庫にいれましょう。
解凍方法は、常温で3~5分程で解凍されますますのでカットして調理しましょう。
冷凍保存方法:カット
- ボウルに酢水を作ります。※水1Lに対し酢大さじ1杯
- れんこんの皮をしっかり剥きます。
- れんこんを厚さ1cmほどの輪切りにします。
- キッチンペーパーでれんこんの水気を拭き取ります。
- 冷凍保存用バッグに入れ、空気をしっかり抜いて口を閉じます。
- アルミ製トレイなど金属トレイにのせて冷凍庫にいれましょう。
冷凍したれんこんは、解凍せずにそのまま調理することができます。冷凍のままフライパンで炒めたり、鍋に入れて煮物としても使えます。また、調味料を加えて解凍する場合は、電子レンジがおすすめ。
解凍するとれんこんから水分が出てきますが、その水分にはれんこんの栄養素が含まれていますので、冷凍のまま調理することで栄養を逃さずに食べることができます。
れんこんのシャキシャキとした歯ごたえを残したサラダや酢の物を作る場合は、冷蔵庫に移してゆっくりと解凍させることで、食感を残すことができます。
れんこんの解凍方法も調理によって変えることで、冷蔵保存と変わることなく美味しく食べることができます。
調理済みのれんこんも冷凍保存OK!
れんこんは、調理してからでも冷凍保存が可能です。ポイントはしっかりと冷ましてから保存することです。
- 調理したれんこんをステンレスバットに広げてしっかりと冷ます。
夏場は冷蔵庫にラップをかけずに10~15分ほど入れることで冷ます時間を短縮できます。 - しっかりと冷めたら、保存容器や保存袋に小分けして冷凍保存する。
食べるときは、電子レンジで温めたり、冷蔵庫に移して自然解凍でもOKです。夏場のお弁当には、冷凍のまま詰めれば保冷剤代わりにもなって便利です。
最後に
れんこんが紫色に変色する原因は、ポリフェノールの一種の「タンニン」のしわざでしたね。
紫色やピンク色に変色するのは、タンニンが酸化することによるものなので、問題なく食べることができます。
ただし、全体が真っ黒になっていたり、表面がヌルヌルしている、異臭がする場合は、傷んでいる可能性があるので食べずに処分しましょう。
れんこんの変色を防ぐには、「しっかりと皮を剥く」「できるだけ空気に触れないように水や酢水に漬ける」「鉄製の調理器具を使わない」のがポイントです。
また、水でアク抜きをするなら煮物や揚げ物、酢水やレモン水でアク抜きした場合は、シャキシャキとした食感を活かせるサラダなどの料理に向いています。下処理を変えることで、れんこん料理のレパートリーが広がるのもうれしいですね。
れんこんは冷蔵、冷凍保存など保存方法により、1週間~1カ月ほど保存可能ですが、傷みやすい野菜なので、早めに消費するのがおすすめです。
れんこんを正しく下処理・保存して変色を防ぎ、これからは見た目も美しいれんこんを美味しく食べましょう。