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お弁当にチャーハンはダメ?
チャーハンは火を通していますのでお弁当に入れても問題ないように思えますが、基本的にお弁当にチャーハンはダメなんです。
お弁当にチャーハンはダメな理由
チャーハンは食中毒の原因となる「セレウス菌」が繁殖しやすいため、お弁当にはNGと言われています。
チャーハンは加熱するので、菌は死滅すると思いがちです。しかし、中には高熱に強い菌もいて、セレウス菌もその一つです。
75℃で1分以上の加熱でほとんどの細菌が死滅しますが、セレウス菌は100℃で30分の加熱でも死滅しません。
セレウス菌は28℃~35℃で活性化します。そのため、作ったチャーハンをフライパンに入れたまま放置しておくと、セレウス菌が増殖してしまいます。セレウス菌は常温で最も増殖しやすいので、チャーハンを常温で保存しないように注意しましょう。
前日に作ったチャーハンやお弁当に入れたチャーハンを常温で放置しておくと、セレウス菌は確実に繁殖しています。
〈セレウス菌の特徴〉
- 繁殖する料理はチャーハン、ピラフ、オムライス、パスタなど。
- 100℃で30分加熱しても死なない。
- 28℃~35℃で最も活発になる。
- 増殖力が強い。
- セレウス菌による食中毒の症状は、嘔吐型と下痢型の2種類ある。
- 発症までの時間は、嘔吐型は30分~6時間、下痢型は6~15時間。
セレウス菌は再加熱しても死滅しない
セレウス菌は一度増殖すると、再加熱しても死滅しません。
繁殖したセレウス菌は100℃で30分加熱しても死滅しませんので、チャーハンに含まれるセレウス菌を再加熱で死滅させることは不可能です。
東京都福祉保健局によると、セレウス菌対策には2つのポイントがあるそうです。
- 一度に大量の米飯やめん類を調理し、作り置きしないこと。
- 穀類等が原料の食品は、調理後保温庫で保温するか、小分けして速やかに低温保存すること(8℃以下)
《 ポイント 》
- お弁当にチャーハンはダメな理由はセレウス菌が増殖するため食中毒をおこす恐れがあるため。
- セレウス菌は100℃で30分加熱しても死滅しない。
- セレウス菌は28℃~35℃前後で活発になる。
- セレウス菌による食中毒の症状は、嘔吐型と下痢型の2種類。
お弁当にチャーハンを持っていく時の注意点
基本的にお弁当にチャーハンはダメですが、どうしてもお弁当にチャーハンを持っていきたい場合は、以下のような点に注意しましょう。
チャーハンの食材はしっかり加熱する
チャーハンに使う具材は中までしっかり火を通し、肉や卵は半熟にならないように十分注意しましょう。
チャーハンに水分の多い食材は使わない
水分を多く含む食材は傷みやすいので、チャーハンには使わない方がよいでしょう。レタス、エビ、イカなどの定番食材は水分が多くなりがちなので、使用を控えましょう。
作りすぎてしまったチャーハンの残りをお弁当に入れる場合は、水っぽくなりそうな具材は取り除いておきましょう。
油を少し多めに入れる
多めの油で炒めたチャーハンは、ご飯がコーティングされ、水分が染み込みにくくなります。水分はチャーハンを傷めやすくするので注意しましょう。
冷凍チャーハンをそのまま入れるのはNG
冷凍チャーハンは解凍せずにお弁当に入れてはいけません。市販のチャーハンは、基本的に自然解凍では食べられません。
特に、冷凍チャーハンのパッケージに以下のように書かれている場合、チャーハンを冷凍する前に調理されていない食材が含まれている可能性があります。
- 凍結前加熱の有無:加熱していません。
- 加熱調理の必要性:加熱してお召し上がりください。
例えば、「ご飯と卵には火が通っているが、ネギには火が通っていない」などです。加熱しないと細菌が発生して腐る可能性があるので注意しましょう。
また、冷凍ご飯はパサパサしており、温めずに食べると不味いので、お弁当には不向きです。
《 チャーハンをお弁当に入れるときの注意点 》
- チャーハンの食材はしっかり加熱。
- 水分の多い食材は使わない。
- 油を少し多めに入れる。
- 冷凍チャーハンをそのまま入れるのはNG。
お弁当にチャーハンを持っていく方法
チャーハンはセレウス菌が増殖する恐れがあるため、お弁当に入れるのはおすすめできませんが、どうしても入れたい場合は、なるべく傷まないように工夫するとよいでしょう。
加熱したチャーハンは冷めてから入れる
出来立てのチャーハンをお弁当箱に入れると、湯気から出た水分がチャーハンに付着し、チャーハンが傷むことがありますので、十分に冷ましてからお弁当箱に入れるようにしてください。
前日の夜に作ったチャーハンをお弁当に持っていく場合は、チャーハンを作ったらしっかりと火を止め、お弁当箱に詰めて、翌日まで冷蔵庫で保存しましょう。
セレウス菌は常温に置くと最も増殖しやすいので、細菌の増殖をできるだけ抑えるために、常温での保存は避け、外出の直前まで冷蔵庫で保存するようにしましょう。
また、お弁当箱用の抗菌シートも販売されていますので、そのシートを入れておけば細菌の繁殖を予防してくれますのでおすすめです。
ネットショップで100円程度で販売されているものもあります。また、100円ショップでも販売されていますので、ぜひ試してみましょう。
チャーハンの入ったお弁当は、保冷剤と一緒に保冷バッグに入れて持っていくことをおすすめします。
しっかり洗浄・除菌する
食中毒の原因は細菌ですので、細菌が食材に付着しないよう、加熱前の生の食品と加熱後の食品が接触しないように注意してください。
また、調理の際には、手の消毒はもちろん、まな板、包丁、フライ返しなどの調理器具や皿などをよく洗うようにしましょう。
お弁当箱やフタ、パッキンなどもよく洗い、水分を完全に拭き取ってからお弁当を詰めるようにしましょう。
冷凍チャーハンを袋ごと持っていく
お弁当にチャーハンを持参するのではなく、どうしてもチャーハンが食べたい場合は、市販の冷凍チャーハンを保冷バッグに入れて持って行きましょう。
会社に電子レンジがある場合は、食べる前に電子レンジで加熱してください。
《 ポイント 》
- 前日に作ったチャーハンはしっかり冷ましてお弁当箱に詰め冷蔵庫で保存する。
- お弁当用抗菌シートを利用するのもおすすめ。
- 手や調理道具はしっかり洗浄し細菌が付かないよう注意する。
食べてはいけないチャーハン
チャーハンは細菌に侵されやすく、食中毒の危険があるため、お弁当箱には向けではないですが、どんな状態なら食べてはいけないのでしょうか?
〈腐ったチャーハンの見分け方〉
- 異臭がする。
- 酸っぱい臭いがする。
- ねっとりしている。
- 糸を引く。
- 色が茶色っぽく変色している。
- 酸っぱい味がする。
- カビが生えている。
これらの症状が1つでもあるチャーハンは、食べずに処分しましょう。
また、腐った症状がまだ出ていなくても、常温で長時間放置されたチャーハンは食べるのをやめましょう。特に夏場は腐りやすいので注意が必要です。
セレウス菌の入ったチャーハンを食べて食中毒になると、嘔吐(食後30分~6時間)、下痢(食後6~15時間)を起こすことがあります。嘔吐や下痢をした場合は、病院へ行き、医師の診察を受けてください。
最後に
チャーハンがお弁当に向けではないのは、セレウス菌による食中毒を引き起こす可能性があるからです。
セレウス菌はチャーハンだけでなく、穀類でも簡単に繁殖します。過去には、九州の保育園で行われた餅つき大会で、あんこにセレウス菌が発生し、集団食中毒が発生した例もあります。
セレウス菌は米や豆類でも繁殖しますので、長期間放置された白米や餅を食べるときは注意が必要です。