目次
ローストビーフが固い原因4つ
お肉が大好きな人にとってローストビーフは、肉の旨みと柔らかさを堪能できる魅力的な一品です。いくら噛んでもあごが疲れるくらい固いローストビーフになってしまったという場合、作った行程に何か心当たりはありませんでしたか?
それではローストビーフが固い原因を一緒に探ってみましょう。
切り方や切るタイミング
ローストビーフは切る厚さによって食感が変わってきます。厚めに切りすぎてしまうと簡単に噛み切ることができません。切り方が悪いと食べるときに固いので苦労してしまいます。お肉の塊を切ることは案外大変ですが、切り方のコツさえつかめば美味しいお肉を堪能できます。
ところで、まな板にお肉をのせたとき中に筋が入っているのがわかりますか?なかなか噛みきれずにあごが疲れてしまうのはこの繊維をまともに噛んでいるからなのです。
また、包丁がうまく入らないからといってお肉の向きを変えながら切りやすいところを探してしまいがちですが、ローストビーフを切るときは繊維を断ち切るように、繊維に対して垂直に切らなくてはいけません。
垂直だと薄く切れなかったり、崩れて包丁が入らないことがあるので平行に切ってしまいがちですが、そうすると繊維がそのまま残ってしまって簡単に噛み切れなくなってしまいというわけです。
焼き過ぎた
ローストビーフは肉を焼くだけというとてもシンプルな料理ですが、固くなる一番の原因は焼き過ぎによるものではないでしょうか。
ローストビーフの最も理想的な色は、切った時の中が「ロゼ」と呼ばれるバラ色に近い色をしています。その赤い色を見て「生焼けなのでは?」と不安にかられついついレシピよりも長い時間焼いてしまうと火が通り過ぎて肉のたんぱく質が固くなり、食感までも固くなってしまうのです。
ローストビーフの中心部分の鮮やかなバラ色と、生肉の黒みがかった赤い色は、全く異なるものなので生っぽいかもしれないという不安をなくしてレシピ通りの温度と時間で加熱してみましょう。
水分が出てしまった
固くなる原因には肉の水分が出てしまったことも考えられます。お肉を加熱すると50〜60℃前後でタンパク質が固まり始め、さらに高温になると繊維が収縮して中に含まれている水分が絞り出されてしまいます。加熱する温度が高いほど、肉の水分が抜けやすい状態になりパサパサして固くなってしまいます。
部位選び方の失敗
ローストビーフを作る時には、脂身の少ない部位を選ぶようにしましょう。脂身が多い部位だと冷蔵庫で冷やしたときに脂が固まってしまい、たとえ上手に仕上がったとしても冷たくして食べた時に固さを感じてしまいます。脂身が少なくても柔らかくて美味しいローストビーフは作れますので心配いりません。
《 ポイント 》
- ローストビーフを厚めに切っている
- 肉の繊維を断ち切るように切っていない
- バラ色の中心部を見て焼き過ぎてしまう
- 温度が高いほど肉の水分が抜けやすくなる
- 脂身が多い部位を選ぶと脂が固まってしまう
ローストビーフが固いときの対処法
ローストビーフが焼すぎで固くなってしまったら、柔らかい状態には戻すことができないのでリメイクしましょう。
ビーフシチュー
固いお肉でも時間をかけてコトコト煮込むととろけるような柔らかさになります。じっくり煮込んでビーフシチューにしてみてはいかがでしょうか?圧力鍋があると短時間で簡単に柔らかくなりますが、普通の鍋でも弱火で時間をかければ、程よい柔らかさになります。
ビーフシチュー以外にも、ひと口サイズに切ったものをカレーやシチューに入れて煮込むと柔らかくなるので無駄なく様々な煮込み料理を作ってみましょう。
青椒肉絲(チンジャオロースー)
細切りにしてタケノコ、玉ねぎ、ピーマンを加えてオイスターソースを絡めて炒めてみてください。野菜と一緒に細かく切って炒めてしまえば、お肉の固さが気にならない見違えるような一品に仕上がります。
チャーハン
焼き豚の代用としてローストビーフをチャーハンにリメイクする方法もあります。固いローストビーフを細かく刻んで、チャーハンの具としていれるだけの簡単なリメイク料理です。ピラフなどにも応用できます。
細切り
薄切りになっているローストビーフを、さらに細切りや千切りにすると食べやすくなります。細切りにしたローストビーフをサラダのトッピングにしたりタレとあえて巻きずしの具にするのも良いでしょう。
女性に人気のアボカドと一緒にマヨネーズとあえてサンドイッチの具にすると豪華になりますよ。
佃煮風
しょうゆ、みりん、砂糖、しょうがを鍋の中で煮立て、ローストビーフを入れて汁気がなくなるまで炒めます。最後に七味とごまをふったら完成です。七味と生姜をたっぷり入れておにぎりの具材として使うのも良いですね。
《 ポイント 》
- 固いお肉でも時間をかけて煮込むと柔らかくなる
- 青椒肉絲、チャーハン、サラダ、サンドイッチの具材にリメイクできる
ローストビーフを柔らかく作るコツ
ここでは固いローストビーフにならないために、柔らかく作るコツを紹介します。
常温に戻してから作る
お肉を使った調理で失敗する原因で多いのは、お肉を常温に戻していないまま調理することがあげられます。お肉が冷たいままの状態で調理すると火の通りが悪くなりムラを作る原因となってしまうからです。
調理する30分~1時間前にはお肉を冷蔵庫から出して常温に戻しておきましょう。
切れ味がよい包丁を使う
固い食感にならないためのベストな厚みは2~3mmです。その厚さになるようになるべく薄く切るようにしましょう。
よく研いだ包丁を使って、繊維に対して垂直に押し切るように動かすと薄く切ることができるでしょう。焼き過ぎて固くなってしまったローストビーフでも筋を切るようにしてできるだけ薄く切るとそのまま食べられるかも知れませんのでぜひ試してみて下さい。
食べる直前に切る
ローストビーフは切り口が空気に触れている時間が長いとバラ色だった色がどんよりとくすんできてしまいます。食べる直前にていねいに切ってきれいに並べて食べるようにしましょう。
冷ましてから切る
焼いたばかりの温かい状態でローストビーフを切るとボロボロになりやすいうえに旨味が含まれている肉汁が出てしまいます。手で触れるくらいまで冷ましてから切るようにしましょう。
荒熱を取ってから冷蔵庫でお肉を冷やしてみてください。できれば食べる前日に焼いて冷蔵庫で保存しておきます。翌日、お肉の身がしまっているローストビーフを食べる直前に切るといいですよ。
レシピ通りに作るようにして焼き過ぎない
ローストビーフを作るときは、レシピ通りに調理を進め、高温で焼き過ぎないようにしましょう。外側を熱しすぎてしまうと肉汁や赤み がなくなってしまいます。お肉からの水分の流出を極力抑えると、固くて噛み切れないようなことにはなりません。
《 ポイント 》
- お肉は調理する30分~1時間前に冷蔵庫から出して常温に戻しておく
- よく研いだ包丁を使って筋を切るように薄く切る
- テーブルに並べる直前に切って出すのが一番おいしい
- 手で触れるくらいまで冷ましてから切る
- 高温で焼き過ぎない
ローストビーフにおすすめな部位とは
ローストビーフに適した部位を知っているとできあがりが違ってきますので、どの部位がおいしく作れるのかご紹介いたします。
モモ
ローストビーフとしても最もポピュラーな部位になります。牛の部位の中でも脂肪分が少ないモモ肉ですが、赤身の中に程よい脂が含まれていて、ちょうど良い柔らかさでしっかりとした食感に仕上がります。
ロース
きめの細かい肉質が特徴のロース肉もローストビーフに適した部位の一つです。和牛のロースにはきれいなサシが入っていて食感が柔らかく赤身とは違った濃厚な味わいが堪能できます。
輸入牛を使う場合は同じロースでも、「アメリカ産」「ニュージーランド産」「オーストラリア産」でそれぞれ特徴が違ってきます。最も脂が少ないのはアメリカ産で、オーストラリア産は脂が多め、その中間がニュージーランド産となります。初心者の方にはアメリカ産のリブロースをおすすめします。
サーロイン
脂身が多い国産のサーロインを使うと固くなる可能性がありますので、脂が少ないアメリカ産のサーロインが適しています。
アメリカ産は値段が安いので手に入れやすく、初心者でもおいしく作ることができますのでおすすめです。
ヒレ
ヒレはサーロインに並ぶ高級部位です。脂肪も控えめで厚みがあるのにとても柔らかく上品な味がします。特に柔らかい部位のことを「シャトーブリアン」といい、値段は高くなりますがローストビーフを作るにはぴったりの部位です。
ランプ
国産牛のランプ肉は、赤身に程よい脂が含まれておりちょうどいい柔らかさになります。ただし、ランプ肉の中でも高級なものは脂が多く、冷めたら固くなってしまう恐れがありますのでお手頃な価格のランプ肉を選ぶようにしましょう。
《 ポイント 》
- モモは最もポピュラーな部位
- 初心者にはアメリカ産のリブロースがおすすめ
- ヒレはサーロインに並ぶ高級部位だがおすすめ
- ランプ肉はお手頃価格のものを選ぶ
最後に
ローストビーフが固くなる原因と対処法、そして柔らかく作るコツを紹介しました。
お気に入りの部位を選んで簡単に作ることができるので、ホームパーティや記念日の時に上手に焼いたローストビーフで家にいながらリッチな気分を味わってみましょう。魅力いっぱいのローストビーフにチャレンジしてみて下さいね。