目次
シュトーレンの日持ちはどの位?
市販されているシュトーレンの賞味期限
シュトーレンの賞味期限はおおよそ1~3ヶ月と言われています。
ドイツのクリスマス菓子として作られてきたシュトーレンの歴史は、1939年から始まり、冷蔵庫がなかった時代に、日持ちするようにと工夫されてきたことから、賞味期限が長い食べ物なのです。
本場ドイツの伝統的な調理方法で作られているシュトーレンであれば、3ヶ月は余裕で日持ちするようです。店頭で売られているシュトーレンが日持ちするのは、焼きたてではなく、焼きあがってから1ヶ月ほど熟成させてから1~2ヶ月の賞味期限で販売するのだとか。
シュトーレンは焼きあがってから1ヶ月熟成させ、1ヶ月かけて少しずつ食べて、ちょうど2ヶ月という食べ方が一般的なので、そのようにして食べれば問題ないでしょう。
しかし、シュトーレンを日持ちさせるには作り方だけでなく素材の配合や焼き具合、保存方法によって賞味期限や大きく変わりますので、市販のシュトーレンの場合は、記載されている賞味期限を参考にしましょう。
自家製のシュトーレンの賞味期限
自分で作った自家製シュトーレンの賞味期限は、伝統的な調理方法とは異なり、どうしても、ドライフルーツの漬け込み具合も短めで、砂糖やバターの量も少なくなるので、シュトーレンの日持ちも短くなり2週間程度を目安にした方がよさそうです。
《 ポイント 》
- 本場ドイツの伝統的な調理方法で作られているシュトーレンは2~3ヶ月。
- 市販のシュトーレンは、記載されている賞味期限を参考に。
- 自家製のシュトーレンは2週間程度を目安に。
シュトーレンが日持ちする理由
サワー種で生地を作っている
シュトーレンは小麦粉ではなく、サワー種というパン種を使って生地を作ります。
サワー種とは、小麦やライ麦粉と水を混ぜて作った生地に、乳酸菌と酵母など複数の微生物を共培養させた伝統的なパン粉で、密度が高くずっしりとした食感に焼きあがります。さらに、サワー種に含まれる菌は腐敗やカビに強いので、それがシュトーレンの日持ちが長い理由の一つになっています。
水分量
シュトーレンが日持ちするのは小麦粉の量100%に対して水分量を25%以下にするように定められています。必ず25%以下にしなければいけないため、焼成時間を長くし、外皮の水分量を落として水分量を減らします。水分を少なくすることにより、カビの増殖を抑え腐敗を防ぐことができます。
水分量が少なくてもパサパサせずしっとりとした食感に仕上がるのは、サワー種だからそこできる技なのです。
ドライフルーツとナッツ
シュトーレンが日持ちする理由は、小麦粉100%に対してドライフルーツを70%以上、そして10%以上のナッツを生地に練り込む規定があるからです。
ドライフルーツやナッツは元々水分が少ないので、カビや腐敗を起こしにくいのですが、さらに、ドライフルーツをラム酒に漬けたものを使用するので、アルコール雑菌効果によりカビの繁殖を抑えられます。
アルコール
シュトーレンが日持ちする要因のドライフルーツは、アルコールに長期間漬け込んだものを使います。これによって、シュトーレンの雑菌の繁殖を抑制します。
バター
シュトーレンが日持ちする理由は、小麦粉100%に対し、バターを30%以上入れるよう定められているからです。
生地に練り込まれたバター以外に、焼き上がったところへ溶かしたバターを繰り返し表面に塗ります。こうすることで生地の表面がバターでコーティングされ、外気から入る雑菌をガードすることができるのです。
砂糖
シュトーレンはバターでコーティングしているとはいえ、酸化し易いバターを守るために、たっぷりの粉砂糖でバターをさらにコーティングしていきます。
シュトーレンが日持ちする理由は「糖蔵」といわれる方法をとることによって、ジャムなどと同じような効果が生まれ、カビの発生や腐敗から食べ物を守るからです。
また、砂糖には水分を抑えてくれる効果もあります。シュトーレンをしばらく置いていると、表面の粉砂糖の白さがなくなって透明になってきますが、この現象は、砂糖が水分を吸ったという目安にもできます。
《 ポイント 》
- シュトーレンが日持ちする理由1:腐敗やカビに強いサワー種で生地を作るから。
- シュトーレンが日持ちする理由2:焼成時間を長くして水分量を減らすから。
- シュトーレンが日持ちする理由3:ドライフルーツをラム酒に漬けて、アルコールの雑菌効果を利用するから。
- シュトーレンが日持ちする理由5:バターと粉砂糖で焼き上がった表面をコーティングするから。
シュトーレンを日持ちさせる正しい保存方法
シュトーレンの切り分け方
切り分け方によって、空気中の雑菌が入るのを防いだり、切り口の乾燥を避けられるので日持ちさせることができます。はじめに真ん中で2つに切り離し、食べるときに左右に向かって好みのサイズにカットしていきます。
シュトーレンを食べ終わったら、切り口の断面同士をピタッと合わせてラップで包んでおきましょう。包丁を入れて生地の断面が空気に触れると、場合によっては品質が大きく下がってしまいます。
シュトーレンを日持ちさせ美味しさをキープするためにも、シュトーレンは真ん中で切ってから、左右の切り口の断面を合わせて、できるだけ空気に触れさせないようにしましょう。
包む際のラップも大きめに切ったものを2枚用意し、上からと下からの2回にわけて包むことで、より一層、殺菌や乾燥からシュトーレンを守ることができ日持ちします。
シュトーレンを保存する場所
常温で保存する
シュトーレンを日持ちさせる最適な保存場所は、「湿気の少ない涼しい場所」、そして「暖房が行き渡らない場所」の二つです。
温度で言えば10~15℃くらいが、熟成が進み日増しに味コクと深みが出るのに丁度よい環境でしょう。冬であれば湿気が少なく涼しい場所に困ることはありませんが、暖房には注意が必要です。
冷蔵庫で保存する
以外なようですが、シュトーレンを日持ちさせる保存場所に冷蔵庫は向きません。
冷蔵庫にいれると、日持ちも良くバターの酸化を遅らせることができるので保存の面では安心なのですが、長時間冷蔵庫に入れておくと生地が固くなったり、庫内にある別の食品のニオイが移り、シュトーレンの風味が落ちやすくなってしまいます。
シュトーレンはわざわざ冷蔵庫に入れなくても日持ちする工夫がされているので、食べ物だからといって冷蔵庫で保存する必要はありません。ただし、賞味期限を越えてしまいそうな時には、風味は落ちますが冷蔵庫へ入れておいた方が良いでしょう。
冷凍庫で保存する
シュトーレンは冷凍保存も可能なので、賞味期限を越えてしまう場合は、カットして冷凍庫へいれてしまうのが良いでしょう。
冷凍保存であれば菌が繁殖することもないので日持ちして安心です。食べるときは冷凍庫から出して自然解凍するか、トースターや電子レンジで温めてからいただきましょう。
《 ポイント 》
- シュトーレンは切り分け方によって日持ちさせることができる。
- シュトーレンを日持ちさせる最適な場所は、湿気の少ない涼しい常温。
- シュトーレンの日持ちは短く風味は落ちるが、冷蔵庫や冷凍庫でも保存可能。
手作りシュトーレンの日持ちはどの位?
店頭で売られているドイツの伝統的なシュトーレンであれば、厳密な規定に基づいた作り方なので安心できますが、手作りシュトーレンの日持ちに関してはどうなのでしょうか?
手作りでも同じように、日数をかけてゆっくりと味わってみたいと思う方もいるでしょうが、残念ながらそう簡単にはいきません。
もちろんお店と同じようにしっかりした作り方であれば日持ちしますが、お店とは設備も違いますし、プロの手間のかかる作業工程をマネすることは、なかなか困難なことでもあります。バターの塗り方や量、ドライフルーツを洋酒に漬けこむ作業も、ご家庭では難しいと思われます。
お店と同じ工程で作ったものであれば、1ヶ月程度の日持ちはするかもしれませんが、どうしても微量な雑菌が発生してしまうので、切ってから2週間程度で食べきるのが無難でしょう。
よって、本場ドイツと同じように、4週間かけてシュトーレンを楽しみたいのであれば、店頭で購入することをおすすめします。
《 ポイント 》
- シュトーレンを切った場合の日持ちは短いので、2週間程度で食べきるのが無難。
- シュトーレンを日持ちさせ4週間かけて楽しみたい場合は、店頭で購入した方がよい。
シュトーレンの美味しい食べ方
これまでシュトーレンの日持ちする方法について紹介しましたが、ここではシュトーレンを美味しく食べる方法をお教えします。
そのまま食べる
シュトーレンはオーソドックスに、そのまま薄くスライスして食べるのが一番美味しい食べ方です。
ドイツの伝統に習うならば、クリスマスの4週間前から毎日少しずつ切り分けて、熟成が進む過程を味わうのが何よりの楽しみでもあります。ただし、美味しさのあまり、カロリーが高いのも忘れてパクパクと一気に食べてしまうパターンが多いのも事実のようですね。
色々工夫して食べる
シュトーレンをトースターで焼いたり、電子レンジで温めても美味しく頂けます。
シュトーレンの粉砂糖でコーティングしてある部分が焦げてしまわないように、トースターの温度を低めにして焼け加減を確認しながら行ってください。ふんわりした生地の触感が好きな方におすすめの食べ方です。生クリームやクリームチーズ、はちみつをトッピングして、いろいろな風味を楽しむことができるでしょう。
《 ポイント 》
- シュトーレンはオーソドックスに、そのまま薄くスライスして食べるのが一番美味しい食べ方。
- シュトーレンはトースターで焼いたり、電子レンジで温めても美味しい。
最後に
シュトーレンが日持ちする理由や正しい保存方法について解説しました。
シュトーレンは、熟成させるほど美味しくなっていく特徴があるので、日持ちさせるために多くの工夫がされていたのですね。もちろん、そのための保存場所や保存方法も重要になってきます。
できることなら、伝統的な流れと同じく、シュトーレンを日持ちさせて、クリスマスのまでの4週間前から少しずつ熟成を楽しみながら食べ続けてみたいものです。
シュトーレンを店頭で買う方も、ご家庭で作られる方も、この機会に正しいシュトーレンを日持ちさせる保存方法を参考にして、シュトーレンを楽しみながら美味しくいただいてみましょう!