目次
木を切ってはいけない日とは
木を切ってはいけない日があると、古くから言い伝えられています。
これは当時根強かった信仰的なものが関係していますが、実は、ちゃんとした理屈があるので、木を切ってはいけない日を理解しておくことが大切です。
木を切ってはいけない日がある理由
木を切ってはいけない日に伐採や剪定をおこなうと、切った木が腐りやすくなったり、虫が発生しやすくなったりする恐れがあるというのが理由です。
一般的に木の生育時期は、成長を促すために樹液の濃度や量が豊富で、葉も生い茂っているため、伐採作業が困難になることが多いようです。
また、木を切ってはいけない日に木を伐採すると、虫が入ったり腐りやすくなりますので、住宅部材その他に使用する材木にその傾向が残ってしまい影響を及ぼします。
反対に、生育時期から外れている時は、木の樹液や水分量も乾燥により少なくなっている状態なので、軽くて扱いやすく伐採に適しているのです。そのため木を切るときには、木を切ってはいけない日を予め調べてみることをおすすめします。
《 ポイント 》
- 木を切ってはいけない日は、切った木が腐ったり虫が発生しやすい時期。
- 木の樹液や水分量が多く葉が生い茂っている木を切ってはいけない日は伐採作業が困難。
木を切ってはいけない日はいつ?
先にお伝えした木の生育に関連した理由以外に、林業のルールで木を切ってはいけない日というのもあります。そこで重要なポイントになるのが、森林組合連合会で公示している「伐採専用カレンダー」です。
伐採をするときにはこの伐採専用カレンダーで確認後、木を切ってはいけない日を避けて伐採をおこなうとよいでしょう。
つちの日
木を切ってはいけない日の「大つち」「小つち」とは、木にとって不調な時期とされ、土に触れてはいけない7日間を指します。
これは、昔からの伝統にのっとり干支によって表されているもので、土の中には土を司る神である「土公神」がいるため、この期間は土に触ってはいけないということだそうです。
とりわけつちの日に気を切らないことのメリットは、虫に入られにくくなるのと、木が腐りにくくなることの二つ。確かな論拠があるわけではありませんが、つちの日を避けるだけで伐採が滞りなく出来るということのようです。
大つちとは
干支の組み合わせの7番目にあたる庚午(かのえうま)と、干支の13番目の丙子(ひのえね)までの期間を指します。
現在の月日に照らし合わせると、大つちは偶数月の始めのほうから7日間となります。月によって始まりの日が若干変わるため、正確に把握したい方は森林組合のHPに載せてある「立木伐採カレンダー」を確認してみましょう。
小つちとは
干支の組み合わせの15番目にあたる戊寅(つちのえとら)と、組み合わせ21番目の甲申(きのえさる)の期間を指します。小つちは大つちの期間が終了してから1日空けて7日間とされています。
土用の日
木を切ってはいけない日の土用の日も「大つち」「小つち」と同じように、木が不調な時期とされているため土に触れてはいけない期間を指します。
具体的には「立夏」「立秋」「立冬」「立春」に入る前の18日間にあたりますが、この土用の日の期間中は土が活発になるので触れてはいけないということから始まったとされています。
立春が2月4日であれば土用は1月17日から2月3日までの18日間ということになります。この時期は、土用の時期は土を司る神である土公神(どくしん・どこうしん)が支配する時であり、土を動かすことで神の怒りをかってしまうとの言い伝えによるもので、「木を切ってはいけない」のではなく、この時期は「土をいじることが許されていない」のです。
よって、穴掘りや土いじりをはじめ、土木工事などで土に触れることもしてはいけないとされています。誤って土用の時期に木を切ってしまわないためにも、あらかじめ土用の期間をしっかり把握しておくようにしましょう。
《 ポイント 》
- 木を切ってはいけない日のつちの日(大つち、小つち)にあたる7日間は土を触ってはいけない期間。
- 木を切ってはいけない日の土用の日にあたる18日間土を触ってはいけない期間。
木を切ってはいけない日を確認する方法
立木伐採カレンダーとは
旧暦で木を伐採してもいい日が記載されている立木伐採カレンダーというものがあります。暦の上で、毎月の木を切るのに良い日が一目でわかりますので参考にしてください。
その伐採専用カレンダーで木を切ってはいけない日を確認し、木を切ってはいけない日を避けて伐採をおこなうことをおすすめします。
令和 2 年 立木伐採カレンダー
静岡県森林組合連合会のHPには立木伐採カレンダーが掲載されています。
《 ポイント 》
- 立木伐採カレンダーで木を切ってはいけない日を確認。
木を切ることと剪定の違い
木を切ってはいけない日とは別に、木を1本丸ごと切るのは「伐採」、樹木の不要な枝を切り落とすことで生育を促し、きれいに形を整えるのが「剪定」です。
基本剪定
冬か春ごろに行う剪定で、綺麗な姿を作り生育を促すために行われます。
軽剪定
夏や秋に行う剪定で、樹木の形を整えたり病害虫の発生を防いだりするために行われます。
《 ポイント 》
- 「伐採」は木を1本丸ごと切ること。
- 「剪定」は不要な枝を切り落とし、きれいに形を整えること。
剪定してはいけない時期もある
真夏の剪定はNG
木を切ってはいけない日の枝葉が勢いよく伸びて茂っている真夏の時期の剪定は厳禁です。
夏は生育旺盛であり、剪定してもすぐに枝葉を伸ばして多くの養分を使い果たし、蓄えに余裕がなくなっている状態なので、この時期に剪定をすると木を弱めてしまいます。
また、真夏の強い日ざしから守ってくれる葉が少なくなると、幹に直接日が当たって「幹焼け」を起こし衰弱する可能性もあります。
このように樹木には剪定に適した時期というのがあり、その期間が大幅にずれたりやり過ぎてしまうと樹木の寿命を縮めてしまうので気をつけましょう。
常緑樹の剪定に適した時期
【常緑樹の基本剪定は5〜6月、軽剪定は9〜10月】
一年を通して常に緑の葉をつけている木が「常緑樹」です。常緑樹の剪定に適した時期は、春から初夏になります。そして地域によっては秋でも可能ですが、冬は切ってはいけない時期と覚えておくようにしましょう。
一年中葉をつけている常緑樹は、光合成をしてそのときに必要な分だけ養分を作るので、養分を備蓄しておくことが得意ではありません。「常緑樹は冬に切ると風邪をひく」の言葉もあるように、晩秋や冬に剪定して多くの葉を失うと、養分不足で弱ってしまうのです。
落葉樹の剪定に適した時期
【落葉樹の基本剪定は11月中旬〜2月、軽剪定は7月中旬〜8月】
冬がくる前にすべての葉を落とし、休眠する木が「落葉樹」です。常緑樹とは逆で、剪定に適した時期は冬となります。
落葉樹は葉を落とす秋までに、体内に大量の養分を蓄えているため、太い枝を切っても傷めるようなことはありません。そのうえ、葉をすべて落としているので、全体の枝ぶりがわかりやすく剪定もしやすくなります
《 ポイント 》
- 木を切ってはいけない日で枝葉が勢いよく茂った真夏の剪定は厳禁。
- 常緑樹の基本剪定は5〜6月、軽剪定は9〜10月。
- 落葉樹の基本剪定は11月中旬〜2月、軽剪定は7月中旬〜8月。
伐採を業者に依頼する場合
木を切ってはいけない日は分かりましたが、自身で木を切れない場合は業者に依頼する事をおすすめします、ここでは業者に依頼した場合のおおよその相場の費用を紹介します。
費用
伐採にかかる費用は、木の成長度合いなどによって大きく異なります。ここでは業者に依頼した場合のおおよその相場を紹介しますので、参考にしてください。
- 出張費:0円~8,000円(距離によって加算される)
- 伐採費用:6,000円~25,000円(木の高さや太さ、作業の難易度によって変わる)
- ゴミ処理費用:2,000円~8,000円(量が多いと加算される)
木の環境や伐採の内容によっても費用は変動しますので、業者に見積りを依頼して明確な費用を把握してからにしましょう。
見積りを依頼するメリットは、見積りが異常に高かった業者は断ることが出来ることと、安すぎる業者から追加の費用請求をされることがありますが、見積りをとることでそれらをさけることができます。
業者を選ぶポイント
インターネットで検索すると多くの業者がヒットしますが、その中から信頼のおける業者を見極めるのは、なかなか困難なことです。信頼のおける業者を選ぶ際の大切なポイントとして、以下を参考にしてください。
- 状況などをしっかり聞いてくれる。
- 見積りを無料でしてくれる。
- 見積りの内訳が分かりやすい。
- 経験と実績が豊富。
《 ポイント 》
- 木の成長度合いなどによって伐採費用が大きく異なる。
- 信頼のおける業者を見極めてから見積もりを依頼する。
最後に
木を切ってはいけない日が存在するということがわかったかと思います。一年中緑の葉をつける常緑樹は冬、秋になると葉を落とす落葉樹は春から秋は木を切ってはいけない日と頭にいれておいてくださいね。
一方で伐採をするにあたっておすすめとなる時期は、常緑樹と落葉樹それぞれの休眠期にあたりますので、これらをしっかりと把握しておくことで木に大きな負担をかけることなく伐採をおこなえるでしょう。
ご自分で伐採をする場合は立木伐採カレンダーを見て、木を切ってはいけない日の「つちの日」と「土用の日」を事前に確認しておきましょう。もし自分でやるのが難しい場合には、専門の業者さんへ依頼することによって、面倒な準備から後処理まですべて完璧におこなってもらえます。