目次
生ゴミを肥料に変えるコンポストとは
コンポストとは?
コンポスト(Compost)とは、枯れ葉や家庭からでた生ゴミ、農産物廃棄物などの有機物を、人間に無害な微生物や菌の力で分解発酵させてできた肥料、または肥料にする処理方法のことです。そしてコンポスター(composter)とはコンポストを作る容器のことをいいます。
コンポストの種類
植物や動物の死骸などを自然に分解するのにかかる期間は、通常でおよそ1~2年と言われています。
できるだけ効率良く肥料を作る必要がある場合には、大規模な処理施設はもちろんのこと、家庭用としてはベランダなどに設置できる電動式生ゴミ処理機なども販売されおり、自家製の肥料をガーデニングに使うご家庭も増えつつあるようです。
また、昔ながらのミミズ式や、プラスチック製の肥料容器を使用した土中式、段ボール、プランター、牛乳パックを利用して作るものなど、方法は様々です。
生ゴミをコンポスト化するメリット
このようなコンポスト化は、昔から伝承されてきた日本の大切な知恵のひとつであり、また、ゴミを燃焼する必要がないため、ダイオキシンなどの有害物質の排出を減らすメリットもあります。
家庭から出る大量の生ゴミを減らせて、植物の栄養となる肥料を作れることが環境保護にもつながると注目されています。
《 ポイント 》
- コンポストとは、人間に無害な微生物や菌の力でできた肥料、または肥料にする処理方法のこと。
- 自家製の肥料をガーデニングに使う家庭が増えつつある。
- 有害物質の排出や大量の生ゴミを減らせて環境保護につながる。
コンポストでできた肥料の使い方
環境保護に役立つ自家製の肥料には、植物の生育に必要な栄養素が豊富に含まれています。
また、肥料を混ぜることで土がふかふかになり、通気性や保水性に富んだ肥沃な土にすることができます。その為には、生ゴミの投入後、週に一度程度の割合で内容物を混ぜ合わせ、必要な酸素を送り込む必要があります。
コンポスターを取り除いた後の肥料は、すぐには使用せず土と半々に混ぜて、2~3ヶ月寝かせて置きます。これを「2次発酵させる」と言いますが、そうすることで出来上がった熟成した状態で使うようにしましょう。
また、熟成したものでも、肥料だけをプランターや植木鉢に入れて、草花の苗や野菜を植えると養分過多になり、根や葉に悪影響を及ぼす場合がありますので、必ず土と混ぜてから使用するようにしてください。
ただし、広い庭や樹木の根もとに穴を掘って埋める場合は、半生の肥料でも構いません。
《 ポイント 》
- 生ごみの投入後、週に一度程度の割合で混ぜ合わせ酸素を送り込む。
- 2次発酵させて熟成した状態のものを使う。
- 熟成したものでも土と混ぜてから使用する。
生ゴミで肥料を作る方法5選!
生ゴミを肥料に変える方法は、主に5つあります。電動の生ゴミ処理機を使ったり、庭穴やプランター、ダンボールなどに土を入れたりして発酵させる方法です。
それぞれの方法によって肥料になるまでの時間、マンションのベランダか室内か、または庭付きかどうかなどの生活環境によって、必要なスペースが違ってきますので、ご自宅に合った方法を選ぶ必要があります。
電動生ゴミ処理機で肥料を作る
臭いのトラブルを避けたいマンション住まいの方におすすめなのが、電動生ゴミ処理機です。
こちらは、場所を取らずに電源さえあれば短時間で肥料の原型が作れるという便利な処理機です。価格は2~5万円ほどで、庭がないマンションやアパート住まいの方に人気があります。
生ゴミを処理機の中に入れてスイッチをONにすると、約2時間後には完了していますので、処理後1ヶ月半ほど土と一緒に埋めておけば肥料が出来上がります。
生ゴミが出た直後に処理をしておくことで、嫌な臭いがせず手軽に生ゴミを肥料に変えることができます。
庭で穴を掘って肥料を作る
庭にスペースがあるご家庭には、余計なコストをかけずに、庭に穴を掘って肥料を作るという昔ながらの方法をおすすめします。掘った穴を活用することにより、自然の力で肥料をいくらでも作ることができます。
一定の温度と湿度が保たれる土の中では、臭いも外に漏れにくいので、虫が寄ってくることもなく、ゆっくりと肥料化が進行します。気温が低いときは発酵が進みにくいので、生ゴミに米ぬかを加えて発酵を促進させましょう。
手順
- 庭のはずれに生ゴミを入れたい分の穴を掘ります。
- 枯れ葉や枯れ草、米ぬかのいずれかを穴の底に敷き、そこへ生ゴミを入れます。
- 生ゴミの上に米ぬかをかけ、隠れるくらい土を被せます。
プランターで肥料を作る
マンション住まいなどで庭がない方には、プランターを活用した生ゴミの肥料作りをおすすめします。室内だと臭いが気になるという方には、ベランダにプランターを置いて肥料作りをするとよいでしょう。
生ゴミと一緒にコーヒーのカスを入れたり、生ゴミの周りをしっかりと土で覆ったり、必ずフタをするなど近隣の方との臭いのトラブルにならないように、臭い対策に注意しながら行うようにしてください。
手順
- 底に穴の空いたプランターに、ガーデニングで使った土、もしくはピートモス6に対してもみがら4の割合で混ぜた土を入れます。
- プランターに穴を掘って水を切った生ゴミを入れます。
- 米ぬかを生ゴミの表面にかけて、その上に土を被せ、次に生ゴミが出たら、隣にまた穴を掘って生ゴミを入れます。
- 1週間後に全体をかき混ぜ、数日ほど寝かせて完成です。
ダンボールで肥料を作る
身近にあるダンボールを活用して肥料を作る方法もあります。手軽に始められるうえ、コストもかかりません。
夏休みの研究材料として子どもに取り組ませることで、環境問題に興味を持つようになるいい機会かもしれません。
手順
- ダンボールが床や壁に接触しないよう、底四隅に足をつけるか高さのある台を置きます。
- ダンボールにピートモスともみがらを混ぜた土と米ぬかを入れます。
- 水を含んだままの生ゴミを入れてよくかき混ぜます。
- 室内では、コーヒーのカスを混ぜフタをして防臭する必要があります。
- 1〜3日おきに中身をかき混ぜ、途中で土を足し、3~4ヶ月ほど寝かせたら完成です。
牛乳パック
牛乳パックを活用して肥料をつくのは、コンパクトで手軽にできる方法です。
手順
- 牛乳パックの口を全開にして、底に古土を3分の1ほど入れます。
- その日一日分の生ゴミを、大きいゴミは小さくカットしよく水気を切ってから牛乳パックに入れます。水分が多いと肥料化が進まないので注意してください。
- 生ゴミを入れたらその上に生ゴミが隠れる程度の古土を入れます。3~4日分の生ゴミと土を交互に入れ、最後に牛乳パックの口が閉まるギリギリまで土を入れてパックの口を粘着テープなどでふさぎます。
- 直射日光の当たらない比較的涼しい場所に置いて、約半年ほどで肥料になります。「微生物資材」という発酵をうながす微生物を土に入れておくと、臭いも抑えられ1~2ヶ月ほどで肥料に変わります。
《 ポイント 》
- 電動生ゴミ処理機はスイッチONにした約2時間後には完了。
- 庭に穴を掘って肥料を作るのはコストがかからない昔ながらの方法。
- 庭がない方には底に穴の空いたプランターがおすすめ。
- 身近にあるダンボールを活用して肥料を作る。
- 牛乳パックを活用するとコンパクトで手軽にできる。
生ゴミを肥料に変える時の注意点
コンポスターに入れて良いもの(分解されやすいもの)
- ご飯や麺
- 肉
- 魚
- 野菜
など、人が食べる生ゴミはOKです。玉ねぎの皮やニンニクの皮、卵の殻、野菜や果物の種などは分解するのに時間がかかってしまいます。
コンポスターに入れてはいけないもの
生ゴミと一緒にして捨てやすい割り箸や爪楊枝、ビニール類など肥料にならないものや、タバコの吸殻や洗剤は、間違っても入れてしまわないようにくれぐれも注意してください。
悪臭がある場合
コンポストの容量に対して多すぎる量を入れると悪臭が発生しやすくなります。多くの生ゴミや土を入れ過ぎないようにしましょう。
密閉式コンポストのふたを開けた時に、独特の酸っぱい臭いがしていたら、下からよく混ぜたり、使用済みコーヒーのカスを土に混ぜることにより改善します。
カビが発生した場合
肥料を作っている際に出てくるカビには、白カビと黒カビの2種類があるようです。一般的に白カビは発酵に有益で心配ありませんが、腐敗などの発酵不良があるときに発生する黒カビには注意が必要です。
虫が湧いた場合
コンポスターを利用する際には、うじやゴキブリなどの防虫対策も重要です。
土の中の温度を40~50℃に維持することができれば、虫の卵などを死滅させられるので、もしうじ虫が発生してしまったら、米ぬかやてんぷら油、糖分を入れて分解を促し、温度を上げる方法でうじ虫や卵を駆除することができます。
それでもなお虫がいたら、ダンボールコンポストの場合は中身を全て透明のビニール袋に移し、天日干しにします。太陽の日差しが強ければ、うじ虫は1日で死滅します。虫がいなくなったのを確認してから中身を容器に戻して、再開しましょう。
また、コンポスターに防虫ネットをかけることで、虫の混入を防ぎ、卵の産み付けを阻止できますので試してみてください。
《 ポイント 》
- コンポスターに入れてもよいものは、ご飯、麺、肉、魚、野菜など、人が食べるもの。
- コンポスターに入れてはいけないものは、割り箸、爪楊枝、ビニール、タバコの吸殻、洗剤。
- うじやゴキブリなどの防虫対策も重要。
最後に
今回は生ゴミ肥料の作り方についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
生ゴミを使った肥料の作り方がマスターできれば、ゴミを減らすことにつながります。コンポストは、環境に優しく簡単にできるだけでなく、子どもでも楽しみながら肥料を作ることができ、環境問題にも貢献できるでしょう。
自作の肥料を使って庭やベランダで家庭菜園をしたり、ガーデニングに活用したりと、無農薬で育てた野菜は、葉っぱや皮から丸ごと食べても安全です。
肥料づくりを通して、自然や四季の移り変りを身近に感じ、日々の生活の中で小さな循環を意識してみることで、心豊かな暮らしを楽しむことができるのではないでしょうか。