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圧力鍋は便利だけど、間違えると危険!
圧力鍋は料理を短い時間で美味しく仕上げる便利な調理器具です。しかし、使い方を誤ると、爆発や吹きこぼれ、やけどなどの危険な事故を招くことがあります。
実際、過去5年間に日本国内で圧力鍋による事故が約200件報告され、その多くが高温の食材や蒸気によるやけどで、治療に1ヶ月以上かかるケースもありました。
圧力鍋の事故は、多くの場合「使い方をよく知らない」「注意事項を無視する」「メンテナンス不足」といった単純な理由から起きています。安全に圧力鍋を使うためには、どんな行動が危険で、なぜ危険なのかをしっかり理解することが必要です。
圧力鍋で絶対やってはいけないNG行為
安全に圧力鍋を使うには、やってはいけないNG行為を正しく理解することが重要です。これから、特に危険なNG行為を一つひとつ解説します。普段圧力鍋を使っている人も、これから購入を考えている人も、自分の使い方をチェックしてみてください。
1. 食材や水を決められた量より多く入れる
圧力鍋には、「鍋の容量の3分の2まで」という決まったラインがあります。豆や麺類など、膨らみやすい食材の場合はさらに少なく、「鍋の容量の3分の1以下」が限度です。なぜなら、食材が多すぎると調理中に蒸気口を塞いでしまい、圧力が異常に高まって爆発や吹きこぼれを起こすからです。
実際に食材を多く入れすぎたことで蒸気口が詰まり、ふたが飛んで高温の内容物が周囲に飛び散る事故が発生しています。決まった量を守ることが、最も簡単で確実な事故防止策です。
2. 空焚きや水の量が足りない状態で使う
圧力鍋は、調理を始める際に必ず決まった量(最低200ml)の水分を入れる必要があります。水分が少ないと、鍋の中が空焚き状態になり、急激に温度が上がります。すると鍋が変形したり、安全装置やパッキンが溶けたりして圧力の調整ができなくなり、爆発する危険があります。
また、空焚きをすると圧力鍋自体が損傷し、次回から正常に圧力が調整できなくなる可能性もあります。必ず規定量の水分を入れ、空焚きには絶対に注意しましょう。
3. 調理中に強火を使い続ける
圧力鍋で調理するとき、最初は強火で加熱しますが、圧力がかかり始めたら必ず中火〜弱火に切り替える必要があります。
強火のままにしておくと、鍋の内部の圧力が異常に高まり、安全弁が作動しなくなることがあります。特に粘り気のあるものや油分が多い料理では、沸騰が激しくなり、内容物が蒸気口から噴き出す事故が起こります。
圧力鍋の仕組み上、一定の圧力を超えると自動的に安全弁から蒸気を逃しますが、強火を続けるとこの機能が間に合わなくなる危険があります。必ず、圧力がかかった後は火力を落として調理を行いましょう。
4. 圧力が完全に下がる前にふたを開ける
調理が終わった後でも、鍋の中にはまだ高い圧力が残っています。この状態で無理にふたを開けると、中の高温の蒸気や熱い料理が急激に噴き出し、大きな事故につながります。圧力が下がったかどうかは、鍋についている「圧力ピン」を確認すればわかります。ピンが完全に下がるまでは絶対にふたを開けてはいけません。
過去の事故では、焦ってふたを開けたために熱い中身が飛び散り、重いやけどを負ったケースが報告されています。安全のためにも、ふたを開けるときは慎重に圧力ピンを確認しましょう。
5. 蒸気口を汚れたまま使う
圧力鍋を使った後に蒸気口の掃除を怠ると、次回使用するときに蒸気がうまく出なくなり、圧力が異常に高まって事故につながります。特に豆や米、麺類などの小さな食材が蒸気口に詰まると、簡単に事故を引き起こします。
使った後は毎回、鍋を分解して蒸気口を確認し、中性洗剤と柔らかいスポンジでしっかり洗い、水気を完全に拭き取って乾燥させることが重要です。この小さな習慣が、安全な圧力鍋の使用を支えます。
6. 入れてはいけない食材を使う
圧力鍋には使ってはいけない食材があります。特に、次の4つのタイプに注意が必要です。
- 餅や麺類など膨らむもの
- カレーやシチューなどとろみが強いもの
- 重曹など加熱すると泡立つもの
- 大量の油や酒、炭酸飲料など噴き出しやすいもの
これらの食材は圧力調整部を詰まらせたり、異常な沸騰を起こしたりして爆発や噴き出し事故を起こす可能性があります。これらの食材を使う場合は圧力調理が終わった後に加えるか、通常の鍋で調理するようにしましょう。
7. 調理中に鍋を動かす・揺らす
圧力鍋を使っている最中は、絶対に鍋を動かしたり、ゆすったりしてはいけません。鍋の内部は高い圧力がかかっており、少しでも衝撃を与えると、中の食材が蒸気口を塞いでしまうことがあります。特に狭いキッチンではうっかり鍋にぶつかることも多く、注意が必要です。
実際、調理中に鍋を移動させたり、近くで別の作業をしたことで鍋が転倒し、中身が噴き出して重いやけどを負う事故が多く報告されています。調理が始まったら、鍋は動かさず、安全な位置で最後まで調理するよう心がけましょう。
8. お手入れ不足や部品の劣化を放置する
圧力鍋は繰り返し使うことで、パッキンや安全弁といった重要な部品が劣化します。特にふたのパッキンが劣化すると、圧力がうまく保てなくなり、蒸気が突然噴き出す事故を起こします。
また、汚れが残ったままだと錆びたり詰まったりして安全装置が正常に働かなくなります。事故を防ぐためには定期的に圧力鍋の部品をチェックし、パッキンや安全装置に異常があれば早めに交換しましょう。
圧力鍋を使う前に安全チェックをしよう
圧力鍋は少しの油断で事故が起きることもありますが、使う前に安全チェックをすることで、ほとんどの事故は防ぐことができます。安全チェックの項目を紹介するので、調理の前に確認してみてください。
- パッキンが傷んでいないか
- 蒸気口に詰まりや汚れがないか
- 鍋の取っ手や部品に緩みがないか
- 鍋の容量を守っているか(水と食材で2/3、豆類は1/3)
- 蓋はしっかり密閉されているか
- 加圧後は必ず火を弱めているか
- 圧力ピンが完全に下がっているか
まとめ
圧力鍋は便利で優秀な調理器具ですが、安全な使い方を知らないと危険な事故につながります。ちょっとした油断や誤った習慣が、大きな事故の原因になってしまうのです。今回ご紹介したNG行為を避け、安全チェックを習慣化すれば、安心して料理が楽しめます。
さらに、圧力鍋は調理後も注意が必要です。調理直後は非常に高温になっているため、鍋を冷やす際に水をかけたり、急冷させたりすると鍋が変形して事故につながります。必ず自然に冷まして、鍋の安全を守りましょう。