梅干しの賞味期限とは?保存食でも開封後は早めに食べる理由

梅干を箸で摘む

梅干しは昔から伝わる保存食ですが、賞味期限はあるのでしょうか?長期間、保存できる食材として定着しているにも関わらず、お店に並んでいる梅干しのパッケージには、賞味期限が記載されていますよね?今回は開封後の梅干しはなぜ早めに食べなければいけないのか、塩分濃度で梅干しの賞味期限が変わる理由、また正しい保存方法など、梅干しと消費期限の謎についてご紹介します。

梅干しには賞味期限がある

梅干

昔の梅干しには賞味期限がなかった

梅干しといえばひと昔前までは梅の実・塩・紫蘇だけで作られた自家製が当たり前でした。

塩分濃度は20%以上とかなり高く、梅干しは賞味期限がないとても優秀な保存食として、どこの家庭でも欠かすことなく置いてありました。

梅干しの賞味期限が必要でなかった理由としてあげられるのは、悪性の細菌に対して「塩」と「クエン酸」の強い防菌効果があることから、梅干しは100年以上保存できる食材とまで言われていました。

ですが、これは全ての梅干しに当てはまるわけではなく、昔ながらの伝統的な作り方で、塩分濃度20%と、かなりしょっぱい状態で漬け、熟成させた梅干しに限ったことなんです。

塩分濃度が少ない梅干しは賞味期限はある

保存食のイメージが強い梅干しなのですが、塩分濃度が20%以上の昔ながらの方法で作る梅干しとは異なり、最近ではスーパーで購入するほとんどの梅干しに、消費期限が記載されています。

その理由として2つがあげられます。

理由その1:減塩志向が高まっている

塩分濃度20%以上の塩辛い梅干しを好む人が減少し、健康志向から塩分控えめの市販の梅干しの人気が上昇しています。塩分が少ないということは、それだけ保存がきかなくなるので、市販されている梅干しは腐りやすく日持ちがしないのです。

理由その2:調味梅干しが増えている

調味梅干しと言えば蜂蜜漬けが頭に浮かびますが、これは塩以外の味付けで食べやすくしてある反面、塩分濃度が伝統的な方法で漬けた梅干しの半分にあたる10%程度と少ないため、保存食にはなりません。

梅干しは塩分濃度が高いからこそ殺菌効果を発揮し、長期間にわたり保存が可能なのですが、肝心の塩の量が少なければ、殺菌が繁殖しやすく腐ったりカビが生えたりしやすいので、賞味期限や消費期限が記載されているのです。

未開封なら記載されている賞味期限を目安にできますが、開封後はできるだけ早めに食べきるようにする必要があります。

最近の梅干しが日持ちしない理由は「塩分濃度下がったから」

最近の梅干しは日持ちしないものが多く出回っていますが、それには梅干しが含む塩分濃度が関係していることはおわかりいただけましたね。

塩の効果を得るためには、一定量の塩分が必要なのですが、ここ最近は塩分濃度5~12%の減塩のものが好まれる傾向にあり食べやすくなっているものの、その分、細菌の活動が活発になり、腐敗が起こりやすいのです。

細菌が繁殖するための絶好の環境は酸素と水、それに温度がある程度高い場所です。ですので、塩に浸け込むと浸透圧の関係で、食品の細胞に含まれる水分を追い出し細菌の活動を妨げて死滅させることができるというのが、塩漬けが保存性に優れている理由なのです。

《 ポイント 》

  • 長く保存できるのは塩分濃度が20%以上の昔ながらの方法で作る梅干しだけ
  • 塩分濃度が10%程度の調味梅干しや減塩梅干しには賞味期限がある
  • 細菌が繁殖するための絶好の環境は「酸素」「水」「温度」

梅干しの賞味期限が切れた場合

梅干漬け

未開封の梅干しの場合

賞味期限が過ぎてしまった梅干しは食べても大丈夫かどうかについてですが、期限が過ぎていたからと言って食べられないわけではありません。

梅干しは元々腐りにくい食品なので、未開封であれば記載されている日付より2か月程度であれば過ぎてしまっても問題なく食べることができるでしょう。

だたし、直射日光があたる場所や常温に放置してあったものでなく、あくまでも冷蔵庫や冷暗所などの適切な保存場所で保存していた場合です。

開封後の梅干しの場合

では開封してしまった梅干しの賞味期限はどうなるのでしょうか。

開封後の梅干しは、表示してある日付より前に食べきらなくてはいけません。一度開封してしまうと、酸化による劣化が始まってしまうので、記載されている賞味期限が関係なく開封後は1~2か月程度で食べきるようにしましょう。

密封できない容器に梅干しが入っていたら、きれいなお箸を使って密封容器に移し替えて冷蔵庫で保存するようにします。常温に置いたままの状態だと賞味期限が早まってしまうので注意してくださいね。

はちみつ漬けなどは劣化が早い

また減塩梅干しや蜂蜜漬けなどの調味梅干しは、伝統的な梅干しより劣化が早く、長期保存ができないので未開封の状態でも賞味期限きれから2週間といったところでしょうか。

梅干しは塩分濃度が高いからこそ殺菌効果があり長期保存できるのですが、塩分が10%程度のものは保存食とはいえず、パッケージに「要冷蔵」と明記されているはずです。

このようなことから、はちみつ漬けなどの調味梅干しや減塩タイプの梅干しは、表示されている賞味期限内には食べきるようにしてくださいね。

また、1度でも開封したものは日持ちしないので、賞味期限前であってもきるだけ早めに食べきるようにしましょう。

《 ポイント 》

  • 賞味期限が切れた未開封の梅干しは味期限切れから2か月程度過ぎても食べられる
  • 賞味期限が切れた未開封の減塩梅干しや調味梅干しは賞味期限切れから約2週間
  • 開封後の梅干しは、清潔な密封容器に入れて冷蔵庫で保存する
  • はちみつ漬けなどは劣化が早く保存食とはいえない

梅干しの「賞味期限」と「消費期限」の違い

梅干を箸で摘む

「消費期限」とは

消費期限とは、痛みやすい食品が「未開封の状態で安全に食べれる期間」で、「年月日」で表示されています。ちなみに、賞味期限とは、痛みにくい食品が「未開封の状態で美味しく食べれる期間」で、「年月日もしくは年月」で表示されています。

「消費期限」と「賞味期限」、期限を厳守しなくてはいけないのが「消費期限」です。似ているようで、意味が大きく違うので気をつけてくださいね。

「消費期限」の表示は必ず守る

伝統的な方法で漬けた梅干は何年経っても食べられる保存食ですが、最近の減塩および低塩調味梅干は塩分が半分以下のものが殆どなので、保存期間が短くなっています。ですので、消費期限が1日でも過ぎたら食べないで破棄するようにしましょう。

保存食のイメージが強い梅干しですが、自己判断をせず、消費期限は必ず守っておいしく味わってくださいね。

梅干しの正しい保存方法

梅干と皿

開封前は「冷暗所」か「冷蔵保存」

減塩タイプのものが主流となっている最近の梅干しの保存方法には注意が必要です。

開封前のものでしたら直射日光・高温多湿を避けて冷暗所で保存しますが、ご家庭の中での冷暗所とは、床下収納や冷蔵庫などになるでしょう。

ですが、季節の変化に関係なく1年を通して温度が一定にたもたれている冷蔵庫の中が一番望ましいのではないでしょうか。

開封後は「冷蔵庫」

開封後の梅干しは、保存状態が悪いと賞味期限を待たずに、傷んでしまう可能性があります。

梅干しのパッケージの密封性が低いときは、清潔な密封容器に清潔な箸を使って移し替え、蓋をしっかり閉めてから冷蔵庫で保存し、早めに消費するようにしましょう。

このように正しい方法で保存することで、おいしさを保つことができるのです。

冷凍保存もできる

先ほどご紹介した減塩タイプやはちみつ漬けなどの調味梅干しのような日持ちのしないものは、冷凍保存してみませんか?

小分けにしたものをラップで包んでからフリーザーパックに入れて冷凍保存するだけという手軽な方法があります。この場合の冷凍保存期間は2か月になります。ただし、梅干しの塩分濃度によって冷凍保存期間が違ってくるので、冷凍であってもできるだけ早めに食べるように心がけましょう。

冷凍梅干しを解凍して使う場合には、冷蔵庫に移してから3時間~半日ほどで解凍できます。ちなみに、真夏の時期でしたら冷凍のままの梅干しをシャリシャリとシャーベットのように食べるととってもおいしいですし、熱中症対策にもなりますよ。

《 ポイント 》

  • 開封前の梅干しは直射日光・高温多湿を避けて冷暗所で保存する
  • 開封後の梅干しは、密封容器に入れて冷蔵庫で保存する
  • 冷凍保存した場合の保存期間は2か月間
  • 解凍して使う場合は、冷蔵庫に移して3時間~半日ほど置く

梅干しに関するQ&A

梅干としそ

Q.梅干しの代表的な成分は何でしょうか?

A.雑菌の増殖防止するクエン酸だけでなく、梅干しにはリンゴ酸などの有機酸が含まれています。またミネラルやカルシウム、マグネシウムも豊富です。

Q.梅干しの期待できる主な健康効果は何でしょうか?

A.クエン酸が体内にはいるとアルカリ性になるため、食生活が偏って体が酸性になりがちな現代人にとってありがたい食材です。また、疲労のもととなる乳酸の生成を抑え、筋肉中の乳酸を燃焼させる効果も期待でき、健康食品として人気があります。

Q.梅干しの1日の食べる目安量はどの位でしょうか?

A.いくらでも食べられそうな梅干しですが、健康のことを考えると、一般的な梅干しは1日1粒にとどめておくようにしましょう。

気をつけたいのは梅干しの塩分です。食べ過ぎると1日の食塩摂取量の目安を簡単に超えてしまいますので、塩分の取り過ぎにならないように、1日1粒までに押さえておいたほうがいいでしょう。

《 ポイント 》

  • クエン酸、リンゴ酸などの有機酸や、ミネラルやカルシウム、マグネシウムが豊富
  • 健康食品として人気がある
  • 塩分の取り過ぎにならないように、1日1粒まで

賞味期限が切れた梅干しとは

梅干

梅干しが腐ると次のような状態になりますので、違和感があったら色と匂いに異常がないかチェックしてみましょう。

  • 白いカビが生えている
  • 変色している。
  • 味が変わって不味い
  • 異臭がする。
  • ネバネバ糸を引く

最後に

梅干とご飯

いかがだったでしょうか?

保存食として知られている梅干しですが、梅干しの賞味期限のなぞが解けたことでしょう。

基本的には食品を塩漬けにして水分を追い出し、細菌が繁殖できないようにすることで、腐敗が起こりにくくしているのですが、昨今の減塩傾向により塩分濃度の低い梅干しが増えてきています。

塩分濃度の違いだけではなく、正しい方法で保存することも必須条件ですね。市販の塩分濃度の低い梅干しには消費期限があると考えて、開封後は冷蔵庫に入れて早めに消費するようにしましょう。

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