目次
ごぼうの旬と産地
一般的なごぼうは晩秋から冬
一般的なごぼうの旬の時期は11~2月頃です。年間を通して流通しているイメージですが、中でも一番多く出回るのは12月頃です。
全てのごぼうが冬の季節に旬を迎えるわけではなく、それとは別に香り重視の新ごぼう(夏ごぼうともいう)は一足先に4~5月の初夏に旬を迎えます。
夏に収穫する新ごぼうは、まだ成長している途中の段階なので、冬にかけて流通するごぼうよりも食感が柔らかく、香りや風味を楽しむことができます。
主な産地は青森県
主な産地は青森県で、それに茨城県、北海道と続き、この三か所で全国の半分以上を生産しています。その他では、千葉県や宮崎県、群馬県などがあります。
一方、産地によっても形状に違いがあって、ごく一般的な長いごぼうを栽培している関東の、水はけがよく深い耕土に対して、関西の耕土は浅いため、主に葉ゴボウや短いごぼうを栽培しています。同じごぼうでも旬の時期や形状が変わるって面白いですよね。
《 ポイント 》
- ごぼうの旬の時期は冬と初夏の2回
- 主な産地は青森県、茨城県、北海道
- 関東では一般的な長いごぼう、関西では葉ゴボウや短いごぼうを栽培している
ごぼうの種類ごとの旬の時期
滝野川ごぼう
店頭に並べられている直径2〜3cm、長さ1m前後のごぼうのほとんどが滝野川ごぼうで、旬は11~2月頃です。現在の東京都北区滝野川で江戸時代に栽培されたのが始まりで、これが日本各地に広まったと言われています。
同じごぼうでも、夏ごぼうとも呼ばれる新ごぼうの旬は初夏で、柔らかく香りが良いのでまた違った味わいがあります。
若ごぼう(葉ごぼう)
関西地方では、根の部分だけでなく、葉や茎まで丸ごと食べられる若ごぼう(葉ごぼう)を食べる食文化があり、春先に旬を迎えます。
葉には程よい苦みがあり、おひたしや天ぷらに。一方、「ふき」に似た風味の茎は、根と一緒にきんぴらや炒め煮にして食べられています。越前白茎ごぼう(福井県)や八尾若ごぼう(大阪府)などが有名です。
大浦ごぼう
門外不出と言われる種を、数軒の農家が大切に守りぬいている大変貴重なごぼうです。千葉県内の大浦地区で収穫される大浦ごぼうは、毎年成田山新勝寺に奉納され、護摩祈祷を受けた後、精進料理として食されます。
旬の時期は10月から12月頃。通常のごぼうよりも太く、30cmもの太さになるものもあるらしく、市の指定天然記念物に指定されています。
堀川ごぼう
京野菜のひとつで、滝野川系ごぼうを斜めに植えて栽培されるごぼうです。旬は11月から12月、お正月辺りまでとなります。
およそ400年前から栽培されていて、肉質は柔らかく独特の香りを持ち、通常のごぼうよりも栄養価が高いのが特徴です。
5〜6cmある直径の中は空洞になっていて、その空洞部分に肉やエビを詰めた京料理として親しまれています。
宇陀金(うだきん)ごぼう
雲母(うんも)と呼ばれる、土に含まれている鉱物がごぼうの皮についてキラキラ輝くことから「金色に輝く幻のごぼう」と称されています。
明治時代から栽培されている奈良県の伝統野菜のひとつで、お正月のおせち料理などに縁起物として使われています。
旬の時期は11月~正月明け辺りまでですが、その後も春頃まで出回ります。
《 ポイント 》
- ごぼうの種類によって旬の時期は異なる。
旬のごぼうを美味しく食べるための下処理方法
皮は厚く剥かない
ごぼうは旬に限らず皮が微妙な厚さなので、実際に調理に取り掛かる際に、剥いた方がいいのか、剥かなくてもいいのか迷ってしまいますよね。ごぼうの表面に有害な成分が含まれていとわかっていても、購入時に泥だらけであれば気になりますね。
普通であれば、ごぼうの茶色い表面全体を、包丁やピーラーなどで真っ白にしてから、アク取りの作業に入るというのが常識化している下処理方法でしょう。
ですが、実はごぼうの皮の部分に旨味や香り、そしてポリフェノールが多く含まれているので、ピーラーを使って真っ白くなるまで剥いてはいけないのです。
従って、正しいごぼうの下処理方法は、たわしを用いて軽く表面をこする方法と、包丁の背の部分で表面をなぞり皮をこそげとる方法がおすすめです。
また、一度丸めてから広げたアルミホイルをごぼうに巻いてこすれば、きれいに皮を剥くことができて便利です。こそげとった皮をホイルごと捨てられるので、後片付けもラクです。
あく抜き
ごぼうは旬に関わらずアクが強い野菜なので、調理の前にしばらく水に浸けてアク抜きをしなくてはいけないと、伝えられてきました。
ところが、色が黒っぽくなることを気にしなければ、むしろアク抜きをしなくても十分に食べることが可能なんです。アク抜きという言葉を使いますが、ごぼうのアク自体には有害となる成分や雑味は含まれていないので、アク抜きを必ず行わなければいけないということはないのです。
ごぼうを水につけてアク抜きをすると、水の色が茶色に変色していくのをご覧になったことがあるかと思いますが、その変色した色こそが、ごぼうから染み出た栄養分たっぷりのポリフェノールなのです。
栄養分や風味が流れ出てしまわないよう、水にさらす時間を手短に、30秒程度に留めておきましょう。
《 ポイント 》
- 真っ白くなるまで皮を剥く必要はない。
- たわし、包丁の背、アルミホイルを使って皮をこそげとる。
- アク抜きは水に30秒さらす程度で十分。
ごぼうの切り方と食べ方
切り方と相性が良い食べ方
旬のごぼうをより美味しく食べるために、料理に合う切り方をご紹介します。
切り方
- ささがき
- せん切り
- 斜め切り
- たたきごぼう
- 四つ割り
- 乱切り
食べ方
ささがき(きんぴら、サラダなど)
先端から細長く、薄めに鉛筆を削るように切ります。太めのごぼうは、表面から中心に向けて縦に長い切込みを5mmくらいの間隔で数本入れておくと切りやすいでしょう。
ささがきが苦手な人は、ごぼうの厚さが均一になるように、ピーラーを使ってみてください。ごぼうを平らな場所に安定させて置き、ピーラーを軽くあてるのがコツです。
せん切り(きんぴら、炒め物、サラダなど)
適当な長さに切った後、繊維にそって縦長に薄く切り、それらを束ねてさらに細く切っていくことで、シャキシャキ感が出て、歯切れのよい仕上がりになります。
斜め切り(煮物、炒めものなど)
切り口が大きくなるように、斜めに包丁を入れて1~2mmの厚さに薄く切ることで、やわらかめに仕上がり、味の含みがよくなります。長さや厚さは料理や好みに合わせて調節しましょう。
たたきごぼう(胡麻和えなど)
適当な長さにカットしたごぼうを茹でた後、固さの好みに合わせて加減しながら、すりこぎやめん棒でたたきます。周りに飛び散らないようにポリ袋に入れて行った方がいいかもしれませんね。
四つ割り(炊き合わせ、ごぼう巻きなど)
適当な長さに切った後、縦長に4つに切ります。表面の面積が広いので風味が強く、鶏肉との相性もよいので、いろんな料理が楽しめます。
乱切り(煮物など)
まな板の上に置いたごぼうをコロコロと回転させながら斜め方向に乱切りしていきます。大きく斜めに切ることで繊維が断ち切られ、味の染み込みがよくなり、大きさがそれぞれ違って異なる食感があります。
《 ポイント 》
- 料理によってさまざまな切り方がある
- 切り方によって、味の染み込み方や触感が違ってくる
旬のごぼうに関するQ&A
A.ごぼうの最大の特徴はなんといっても食物繊維。腸の中の有害物質を排出し、血糖値やコレステロール値を低下させる効果があります。他にも、イヌリンをはじめ、カリウムやカルシウム、マグネシウムなどのミネラルも豊富に含んでいます。
A.便秘解消だけではなく、肌トラブルの解消やむくみの改善、冷え症や血行不良の改善、免疫力のアップ、アレルギーの緩和など、多くの効果が期待できます。
《 ポイント 》
- 植物繊維の他にもさまざまな栄養素を含んでいる
- 便秘解消以外に多くの健康効果が期待できる
- 肌のトラブルを解消する効果もある
旬のごぼうの選び方と保存方法
土の付いたままが「良い」
ごぼうは旬に関わらずひげ根が少なく、直径が2〜3cmのまっすぐ伸びているものが良品と思ってよいでしょう。太すぎるごぼうは、中に隙間ができている場合があるので注意してください。
また、触れた時にぐにゃっと曲がるくらい柔らかいものは、古くなっている可能性があるので避けた方がよいでしょう。
保存方法
洗いごぼうや新ごぼうの場合
洗いごぼうや新ごぼうの場合は、鮮度が落ちやすいので、ラップに包んでからポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存するようにします。
軽く湿らせた新聞紙で包んでからポリ袋に入れて野菜室に入れてください。
泥つきごぼうの場合
泥つきごぼうの場合は新聞紙で包んだものを、根が下になるように立てた状態で冷暗所で保存すると日持ちできます。
ごぼうは乾燥しやすいので、すぐに使わないとしたら、きれいに洗ってある「洗いごぼう」よりも、泥つきを購入して保存したほうが、鮮度や風味を維持しやすいでしょう。
ごぼうの冷凍方法
ごぼうの冷凍方法には、ぶつ切りにしたものを生のまま冷凍する方法と、ささがきやせん切りにしたものを油で炒めてから冷凍する方法があります。
ごぼうを炒める手間はかかりますが、食感をある程度保つことができ、解凍するときは包丁要らずで時短にもなり重宝します。
《 ポイント 》
- 良品はひげ根が少なく、まっすぐ伸びている。
- 柔らかいものは、古くなっている可能性がある。
- 長く保存する時は泥つきを購入する。
- 冷凍する時は、生のままか油で炒めてから。
最後に
ごぼうの旬についてご紹介していきましたがいかがでしたでしょうか。
シャキシャキとした食感が好まれるごぼうは、食物繊維だけでなく、皮に豊富な栄養が詰まっているので、優れた成分を取り除かないためにも、皮を厚く剥いてはいけないなど、知って戴けましたでしょうか。
この機会に料理にごぼうを取り入れて、健康な食生活を心がけていきましょう。