目次
チーズの種類
ピザやチーズフォンデュ、サンドウィッチにおつまみなど、さまざまな場面で食卓を彩るチーズ。そんなチーズにも美味しく食べられる「賞味期限」があります。
賞味期限を正しく守ってこそ、美味しく食べることができるわけですから、チーズ好きの人は賞味期限について知っておいて損はありません。
ただし、チーズには数多くの種類があり、チーズごとに賞味期限が異なる点に注意が必要です。チーズの賞味期限を理解する前提として、まずはチーズごとの特徴を捉えることから始めましょう。
今回は、料理でよく使われるプロセスチーズからブルーチーズまで、幅広いチーズの特徴を紹介します。
プロセスチーズ
チーズの種類として最初に押さえておきたいのがプロセスチーズです。
プロセスチーズについて理解するには、ナチュラルチーズと比較するとわかりやすくなります。2つのチーズの大きな違いは製造過程です。プロセスチーズは乳化剤を混ぜて加熱するという工程を踏んでいます。一方のナチュラルチーズは、乳酸菌や酵素の働きで凝固させているのが特徴です。
製造過程によって乳酸菌の有無が左右される点が最大の違いといえます。プロセスチーズは加熱処理の過程で乳酸菌が消失していますが、その分保存性に優れているのがメリットです。
ナチュラルチーズは、製造工程が全て完了した後も乳酸菌が生きているため、熟成するにつれて味わいが変化します。
カマンベールチーズ
薄い黄色味を帯びたプロセスチーズと異なり、表面が白いカビに覆われているのがカマンベールチーズです。
食感が非常に柔らかく、熟成が進んだものはクリーム状になります。そのため、製造が完了した後は箱に詰めて崩れるのを防ぐ必要があります。
牛乳本来の味を感じたい人にとっては、カマンベールチーズのクリーミーな味わいが非常に美味しく感じられます。カマンベールチーズは一般的にフレッシュチーズの一種として知られていますが、加熱処理を施すことで乳酸菌を除去し、保存性を高めたロングライフタイプというものもあります。
モッツァレラチーズ
チーズといえば熟成させて旨味を引き出すのが魅力である一方、モッツァレラチーズはフレッシュな味わいを楽しむことが出来ます。
その為、購入してから時間が経たないうちに食べきる方が美味しいとされています。触感は餅に近く、口の中で跳ねまわるような弾力がだいごみといわれています。
イタリアでは、トマトにモッツァレラチーズを載せてオリーブオイルをかけるカプレーゼというサラダが一般的です。濃厚なミルクな風味よりも、瑞々しい甘みが特徴なので、シンプルな調理方法とよく合います。
加熱すると食感が大きく変化する点にも注目です。火を通したモッツァレラチーズはピザやグラタンにピッタリなトロトロの舌触りになります。
ゴーダチーズ
熟成期間によって味が変わるチーズを試してみたい人に最適なのがゴーダチーズです。
チーズによく見られる癖のある味わいが少なく、チーズ初心者にも食べやすいのが特徴といえます。プロセスチーズの原料としても使用されており、幅広い料理に合うのが魅力です。
ゴーダチーズはオランダが原産とされており、オランダではサイズや重さに関する規定が存在します。加熱処理によって作られるチーズではありますが、乳酸菌を後から加えることで熟成するチーズです。
長期間熟成させたゴーダチーズは、お酒のおつまみにピッタリなコクのある味わいに変化します。
ブルーチーズ
ブルーチーズは青カビによって発酵を促したチーズになります。
チーズの中でも癖が強く、塩辛く感じる人もいますので好き嫌いが分かれます。ブルーチーズ独特の風味は青カビの繁殖を促す工程の産物といわれています。
ブルーチーズを作るには濃度が高めの塩水を用いて、青カビをチーズの内側から繁殖させなくてはいけません。塩辛さが気になる場合は、モッツァレラチーズのような瑞々しいチーズと混ぜて食べると丁度良い塩味になります。
ゴルゴンゾーラやババリアブルーといったブルーチーズは初心者にも食べやすいので、こちらから試してみると良いでしょう。
粉チーズ
粉チーズは厳密にいうとチーズの種類ではなく、形状による区分けになります。日本国内ではパルメザンチーズが粉チーズとして使用されることが多いため、ここではパルメザンチーズについて見ていきましょう。
パルメザンチーズ最大の特徴は濃厚な風味です。粉チーズをパスタに振りかけたときに香ってくる匂いは、長期間熟成させている証といえます。パルメザンチーズの平均熟成期間は約2年です。
熟成の過程を経ているからこそ、料理のアクセントである粉チーズの役割を全うできます。口に入れたときのザラザラとした感触は、アミノ酸の旨味が凝縮した塊です。
ピザ用チーズ
ピザ用チーズとして販売されているチーズは、加熱したときにトロトロに溶けるのが特徴です。
いわゆるスライスチーズとの違いを考えると、スライスチーズは加熱処理を施しているため、生のまま食べられるのに対し、ピザ用チーズは加熱調理を前提として販売されています。
加熱すると溶けるチーズの多くはナチュラルチーズです。具体的なチーズの種類としては、モッツァレラやゴーダ、青カビチーズを用いているメーカーが多く見受けられます。ピザ用チーズを販売しているメーカーによっては、複数のチーズをミックスさせている場合もあります。
【種類別】チーズの賞味期限
チーズの種類について理解を深めたところで、いよいよ賞味期限について見ていきましょう。傾向としては、加熱処理を施していないナチュラルチーズの方が賞味期限は短い傾向にあります。
ただし、乳酸菌が残っている分だけ熟成させると、味わいが深まりますので食べる際には注意が必要です。
賞味期限と消費期限の違い
食品の期限表示の中には、賞味期限と消費期限が存在します。賞味期限は比較的劣化が遅い食品の期限表示です。
チーズは発酵食品であり、いわゆる生鮮食品に比べるといたみにくい食品なので、賞味期限が表示されています。賞味期限が過ぎても食べられないことはありませんが、味わいとしては賞味期限を迎える前よりも落ちている可能性が高いため、チーズの美味しさを堪能したいときは注意してください。
プロセスチーズの賞味期限
プロセスチーズは製造過程で加熱処理を施しているので、フレッシュチーズよりも賞味期限が長い傾向にあります。乳酸菌が取り除かれているため発酵が進まず、保存性に優れているのがプロセスチーズの特徴です。
具体的な賞味期限はプロセスチーズを製造しているメーカーによって異なてきます。平均としては、製造してから半年から1年以内がプロセスチーズの賞味期限です。
カマンベールチーズの賞味期限
カマンベールチーズの賞味期限は、製造してから3カ月前後といわれています。これは市販されているカマンベールチーズの話です。
市販品は消費者に届くまでに熟成期間を設けているため、一番美味しいとされる時期に消費するのが前提とされています。ただし、カマンベールチーズは開封してしまうと、その時点から1週間で賞味期限を迎えてしまうので注意が必要です。
モッツァレラチーズの賞味期限
モッツァレラチーズは作りたてが一番美味しいとされるほど、新鮮な風味が魅力のチーズです。
そのため賞味期限についても比較的短くなっています。市販のモッツァレラチーズの場合は開封してから2日以内が賞味期限であり、10度以下の冷蔵保存が必要です。
ゴーダチーズの賞味期限
口当たりが優しくマイルドな風味のゴーダチーズは、約1カ月間の賞味期限が設けられているケースが多く見受けられます。
ただし、熟成を進めたうえで販売している場合はこれよりも賞味期限が短いことがあるので気を付けましょう。開封した後は2週間以内に食べきるのが、ゴーダチーズを美味しく食べるコツです。
ブルーチーズの賞味期限
青カビによる発酵によって美味しさが大きく変わってくるブルーチーズは賞味期限の見極めに注意が必要です。熟成が進んでいない場合は未開封の状態で約2週間ほど保存できます。
しかし熟成が進んだブルーチーズは未開封であっても10日以内の賞味期限とされていることも少なくありません。開封後はさらに熟成が進むので、最低でも1週間以内に食べるようにしてください。
粉チーズの賞味期限
粉チーズに加工されたパルメザンチーズ専用のケースに入っており、常温で保存できる商品も存在します。ただしケースに入っているからといって安心してはいけません。基本的には開封してから1カ月以内を賞味期限として定めていることが多いため、粉チーズは早めに使い切るように心がけましょう。
ピザ用チーズの賞味期限
ピザ用チーズは加熱調理を前提としたチーズであり、開封してから5日以内を賞味期限と定めているメーカーがほとんどです。どうしても使い切れない場合は冷凍することで1カ月ほど保存することができますが、なるべく早く食べることを推奨します。
≪賞味期限の目安≫
- プロセスチーズ・・・製造してから「半年~1年」以内
- カマンベールチーズ・・・製造してから「3カ月」前後(開封後は1週間)
- モッツァレラチーズ・・・開封してから「2日以内」
- ゴーダチーズ・・・約「1カ月」(開封後は2週間以内)
- ブルーチーズ・・・未開封の状態で約「2週間」(開封後は1週間以内)
- 粉チーズ・・・開封してから「1カ月」以内
- ピザ用チーズ・・・開封してから「5日」以内(冷凍保存で約1カ月)
チーズの保存方法
チーズは製造方法によって多くの種類に分かれており、賞味期限についてもチーズごとに異なります。賞味期限を守ることはチーズを美味しく食べるうえで必須事項といえます。
しかし、賞味期限を守っていてもチーズの美味しさを損なってしまうことがあります。その原因として挙げられるのが保存方法の誤りです。冷蔵すべきチーズを常温で保存してしまうと、チーズの発酵が進んだり溶けてしまったりといった形で賞味期限よりも早期に品質が落ちてしまいます。
チーズを美味しく食べたいのであれば、正しい保存方法を実践しましょう。
直射日光・高温を避ける
チーズを保存するうえで絶対に避けたいのが直射日光と高温です。日光そのものに害があるというよりも、日差しが当たることでチーズが高温になってしまうのを避ける必要があります。
チーズが高温になると、チーズを構成する成分である脂肪が溶解します。脂肪は旨味を含んでいるだけでなく、栄養素としても重要な役割を果たすため、脂肪の溶解はチーズの賞味期限を早めてしまうのです。
湿度が高い環境もチーズに悪影響を与えるため、基本的には日差しが当たらなくて涼しい冷蔵庫の中に保存しましょう。
乾燥を避ける
プロセスチーズやフレッシュチーズをそのまま口にしたときのしっとりとした食感は、チーズの美味しさを引き立てます。この瑞々しい口当たりはチーズがたっぷりと水分を含んでいることが理由です。チーズらしい食感を維持するには、乾燥からチーズを守る処置を施しましょう。
開封してしまったチーズは食品ラップやジッパー付きポリ袋に入れて冷蔵保存するのが基本です。冷蔵庫の中でも湿度が高めな野菜室に入れておくと、チーズが乾燥しにくくなります。
切り口を濡らさない
チーズは発酵食品ではありますが、納豆などと同様に人体に影響がない酵素によって発酵を促しています。ブルーチーズについても、食品として摂取可能なカビで作られているのが一般的です。チーズを保存する際には、人体に害のあるカビが生えないように注意しましょう。
チーズをナイフで切ったとき、切り口が濡れてしまうことがあります。濡れた切り口をそのままにしておくと、そこからチーズにカビが生えるリスクが残りますから、必ず水気を拭き取るようにしてください。
強い匂いのものとは離す
冷蔵庫でチーズを保存する際に注意したいのが他の食品の匂いがチーズに移る現象です。
チーズは比較的匂いが強い食品ですが、チーズ自体も匂いが吸着しやすい性質を持っています。強い匂いの食べ物と同じ空間に収納しない、食品用ラップなどで覆って匂いが移らないようにするといった対策を施すと、チーズ本来の風味を損なうことなく保存することが可能です。
匂い移りを確実に防ぎたいのであれば、食品用ラップとタッパーを併用すると良いでしょう
ラップかアルミに包む
乾燥や匂い移りを防ぐにはラップやアルミで包み込むのが効果的です。
ただし、フレッシュチーズの場合は注意点が存在します。ナチュラルチーズは熟成の過程でチーズの水分が漏れ出ることがあります。完全に密閉してしまうと漏れ出た水分によってチーズが蒸れてしまい、チーズの美味しさが損なわれてしまう点に注意が必要です。
フレッシュチーズを保存する際には完全に密閉するのではなく、ラップに隙間を空けたり、チーズを購入したときのセロファンを利用するのがおすすめです。また、同じラップやアルミで保存し続けるとチーズが汗をかいてしまうので、3日を目安にラップやアルミを替えましょう。
冷凍保存のコツは?
食品の保存期間を延ばすための手段といえば冷凍ですが、チーズについては基本的に冷凍保存は推奨されていません。なぜかというと、チーズは冷凍によって風味や食感が損なわれる可能性が高いからです。
そのため、生の食感を楽しみたいときは冷凍ではなく冷蔵で保存するのが最適といえます。冷凍するのであればピザ用チーズのように加熱調理で使われるチーズに限定したうえで、正しい方法で保存しましょう。
保存方法
チーズを実際に冷凍する際にはラップで包むかタッパーに入れて保存してください。冷凍によって乾燥が進んでしまいますが、タッパーやラップを使用することでそれを抑制するのが狙いです。
冷蔵保存と同じように、切り口が濡れていないかチェックしたり、匂いが強い食品の横に置かないといった配慮をすると、解凍した後の風味が失われにくくなります。
保存期間の目安
チーズの種類にもよりますが、冷凍保存によってチーズの美味しさが維持されるのは1カ月程度とされています。ただし、冷凍によって風味はある程度損なわれてしまいますので、一般的な賞味期限に比べると味が落ちると考えてください。
美味しさを第一にチーズを使用するのであれば、冷凍よりも冷蔵で保存し、賞味期限の前に使い切りましょう。
≪ポイント≫
- チーズの冷凍保存は推奨されていない
- ピザ用チーズなど冷凍保存しても影響が少ないチーズに限定するのがおすすめ
- 冷凍した場合の保存期間は「約1ヶ月」
常温保存はできる?
チーズは直射日光や高温に弱いため、常温での保存には適していません。
粉チーズのように常温でも保存可能な容器を採用しているといったケースを除き、冷蔵で保存した方が美味しさを維持することができます。
特にフレッシュチーズは常温に置いておくと熟成が進むだけでなく、有害なカビなどが生える可能性もあるので注意が必要です。
食べない方がいいチーズの特徴
保存していたチーズが賞味期限切れになってしまったときや、保存方法を誤ってしまった場合、食べられるかどうかの判断を迫られることになります。
チーズは比較的保存性の高い食品ではありますが、色や形、匂いといった観点から食べるべきではないサインを察知することが可能です。チーズを食べて体調を崩さないためにも、食べない方が良いチーズの兆候について知っておきましょう。
変色している
色の変化でアウトかどうか判断しやすいのはプロセスチーズです。
【加熱処理されているチーズ】
プロセスチーズは加熱処理を施されているため、カビが生えて変色している時点で口にするべきではないといえます。プロセスチーズに繁殖するカビは茶色や黒いカビなので、こうした変色を見かけた場合は処分するようにしてください。
【加熱処理されてないチーズ】
フレッシュチーズをはじめとした加熱処理がなされていないチーズは、熟成が進むと色が変わることもあります。そのため、変色だけでは食べて良いか判断がつかないケースがほとんどです。
溶けている
冷蔵や冷凍で保存している限り、チーズが勝手に溶けることはまずありません。しかし直射日光のあたる場所や気温が高い場所に放置していると溶けてしまうことがあります。
こうしたチーズは熟成が進み過ぎていたり、脂肪が溶けだしてチーズ本来の旨味が損なわれている可能性があります。
高温の環境は腐敗が進みやすいので、こうした場所にあるチーズが溶けていたら口にする前に色や匂いを確認しましょう。
アンモニア臭が強い
チーズ独特の臭みとは違いアンモニア臭がするチーズは危険水域にあるものです。アンモニア臭はチーズの種類に関わりなく腐っているかどうかの判断に使えるので、迷ったときは匂いを嗅いでみることを推奨します。
舌に触れるとピリっとする
食べられる可能性があると判断してチーズを口に運んだとき、舌や唇が痺れたらすぐに吐き出しましょう。口に入れたときの痺れは人体にとって有害であることを意味しています。痛くなるほどの痺れを感じなくても、ヒリヒリするような感触を感じたら食べない方が賢明です。
種類ごとに異なる!チーズの賞味期限に注意しよう!
チーズには数多くの種類があり、賞味期限も種類ごとに異なります。チーズを美味しく食べたいならチーズごとの賞味期限を把握したうえで、正しい保存方法を用いてください。賞味期限切れかどうか迷ったときは、色や匂い、口に入れたときの痺れを手掛かりにしましょう。