目次
カサブランカを育てる前に
カサブランカの高貴なイメージから想像すると、カサブランカの育て方は難しいと思っている方が多いと思いますが、実際はそうではありません。
今回はカサブランカの育て方をわかりやすくご紹介いたしますが、まずはその前に、カサブランカの特徴からお知らせします。
カサブランカの特徴
日本のヤマユリなどが原種であるカサブランカは、オリエンタル系を代表するユリとしてヨーロッパで品種改良された花です。
ユリの中で最も大きく純白色の気品ある花を咲かせるカサブランカは、ユリの女王と呼ばれる存在感があります。純白とオレンジ色のおしべのコントラストがとても美しく、少しスパイシーな雰囲気を持つ独特の甘くて強い香りがします。
カサブランカの育て方で、花粉の手入れも重要なポイントになります。濃いオレンジ色の花粉は、開花するとその花粉が花に付着し、白く美しい花が台無しになってしまいます。
5部咲きの頃にピンセットでおしべを取り除く作業を行うと、綺麗な状態を保つことができるので長く鑑賞できます。
植え付けの時期
カサブランカの開花時期は6~8月頃なので、球根の植えつける時期は10~11月が適しています。カサブランカは球根植物なので、秋頃に植えて、冬の間に養分を蓄え、春に急速に生長し、夏場に花を咲かせます。
販売される期間は、9月から翌年の1月くらいの間ですが、植え付け適期を考えると、9月下旬から11月までに購入するようにしましょう。カサブランカの球根は乾燥にとても弱いので、品質を低下させないためにも球根を購入したその日のうちに早めに植え付けをするようにします。
どうしてもすぐに植えられない場合は、湿らせたピートモスやバーミキュライト、おかくずなどと一緒にビニール袋に入れて保存しておきましょう。
カサブランカの育て方
球根の選び方
カサブランカの育て方として、まずは球根の選び方をご説明します。
純白で美しい大輪のカサブランカを咲かせるために、カサブランカの育て方の「球根選び」はとても重要です。球根選びに成功すると、優美なカサブランカをより長く楽しむことができる他、来年も開花させることができるのです。
ポイントは2つあります。
- 1、球根を見る
球根の大きさは花の数や大きさに比例するので、球根が大きく見た目より重いものを選ぶ。 - 2、鱗片(※)を見る
鱗片に傷や斑点がなく、身が締まっているものを選ぶようにしましょう。
(※「鱗片」とは、球根を保護する複数の小さな葉のようなもの)
根がついている状態の球根でも構いませんが、下根の付け根付近から病気が侵入しないように、切り取らずにそのまま植え付けます。
また、通信販売は、実物を見て購入することができませんが、店先に並んでいない品種の球根を手に入れる事ができるので、楽しさ倍増です。
その場合、現物を見ることができない分、購入者レビューの評価を参考にして、お店の評価を確認してくださいね。
植え付け方法
準備するもの
- 7号~10号サイズの底が深い鉢
(※プラスチック製よりは素焼きの鉢の方が通気性がよく育てやすい) - 園芸用土、または赤玉土中粒6 : 腐葉土3:パーミキュライト1の用土
- 肥料
- 軽石、またはゴロ石
手順
- 7号~10号サイズの底の深い鉢の鉢底に軽石かゴロ石を敷く。
- 元肥として化成肥料を少量混ぜておいた用土を1/3まで入れる。
- 球根1~2個分の深さに球根を置き、球根同士の間隔を約10cm(球根2~3個分)ほど離す。(7号~8号サイズの鉢に球根2~3個)
- 球根の上から土を被せ、鉢底から流れ出るくらいのたっぷりの量の水を与える。
- 春になったら株元近くに支柱を1本立て、数か所を麻紐などで固定する。※そうすることで、安定した直線の茎の上にカサブランカのつぼみが付きますが、この時に支柱で球根を傷つけないよう支柱は慎重に差し込んでください。
《 ポイント 》
- 球根の植えつける時期は10~11月が適している。
- 乾燥に弱いため球根を購入したその日のうちに早めに植え付けをする。
- 球根選びのポイントは、球根が大きく見た目より重いもの、鱗片に傷や斑点がなく、身が締まっているものを選ぶこと。
カサブランカの育て方のポイント
置く場所と日当たり
カサブランカは東洋の植物と言われるだけあって、日本の気候との相性はとても良いです。見た目から想像するのとは違い、カサブランカの育て方は意外と簡単です。
乾燥が苦手な植物ですが、だからと言ってあまりじめじめしているのもよくありませんので、直射日光が当たらない、風通しのよい室内で管理しましょう。
カサブランカの育て方として、午前中は明るく、午後からは日陰になるような半日陰の場所が理想的なので、植木鉢を時間や季節ごとに相応しい場所に移動させてあげるのもよい方法です。
水を与える量とタイミング
カサブランカは水はけがよく、弱アルカリ性の土壌を好む植物です。その日の気温を観察しながら、植えつけた土の表面が乾いていたら日中は避け、朝か夕方の涼しい時間に鉢底から流れ出るくらいしっかりと水やりをします。
日中に水やりすると、土の中に含まれる水分の温度が上がって、球根に熱湯を注いでいるのと同じ状態になってしまい、カサブランカが根腐れを起こし枯れてしまいます。
肥料の種類やタイミング
カサブランカを植えつける際に、はじめに元肥を少し施すことは先にもお伝えしたとおりです。そしてカサブランカの開花時期である6~8月の少し前4月頃に追肥を与えましょう。
その後はだいたい10日に一度の割合で、液体肥料を施し、花が咲き終わるまで肥料を与え続けます。また、花が咲き終わったあとには、お礼肥としてリンやカリ分の多い固形肥料を株元に施せば、栄養が行き届き、土の中で球根が大きく育ちます。
なお、カサブランカの場合は球根の上に生えている根から、養分と水を吸収するので、肥料は株元である球根の上に施すのがコツです。球根の下から生えている下根は、1m以上もの草丈になるカサブランカを支えてくれますが、水・養分を吸収する力はありません。
また、茎が細くて葉がペラペラした感じになってしまった時は、生育がうまくいっていないということなので、水やりや肥料の量・タイミングを見直す目安となるでしょう。ちなみに元気なカサブランカは葉が肉厚で、つやつやとした濃い緑色をしています。
病気や害虫対策
モザイク病
アブラムシはモザイク病を媒介しますので、見つけたらスミチオンを葉っぱの表裏の両面に散布して駆除します。事前の予防策としては、芽が伸びてきたら3週間おきにオルトラン粒剤などを蒔いておくと安全です。市販されている置き型タイプの防虫薬剤は手軽に使えて効果的です。
黄化症
土がアルカリ性に傾いてしまうと、葉が黄色いマダラ模様になる黄化症を発生する恐れがあります。
ウイルスに感染
梅雨時は 高温多湿で根腐れが起きやすい時期です。根腐れや球根についた傷からウイルスが侵入し、そこへアブラムシが寄ってきてウイルスに感染しやすくなるので注意してください。
《 ポイント 》
- 直射日光が当たらない、半日陰の風通しのよい室内で管理する。
- 水はけがよく、弱アルカリ性の土壌を好む。
- 日中の水やりは避け、朝か夕方の涼しい時間にたっぷりと与える。
- 植え付ける時に元肥、開花時期に追肥、後は10日に一度の割合で液体肥料を与える。
- 害虫やウイルス感染に注意。
カサブランカを翌年も咲かせるためには
大輪の花を見事に咲かせたカサブランカの姿を見ていると、このままずっと眺めていたいと思ってしまうことでしょう。
ですが、来年のことを考えると、自然に枯れるまで待つのではなく、
事前に摘み取ってしまう方が冬と春の間に球根が大きく育ち、綺麗な花を咲かせてくれるのです。
その際、根元からバッサリと切り落としてしまったら、球根が育たなくなってしまいますので、茎は半分以上残しておくようにします。
このように、翌年もまたカサブランカを楽しみたい場合は、花が萎れてきたら即座に摘み取ることを忘れないようにするといいでしょう。
《 ポイント 》
- 翌年の開花の為には花が萎れてきたら摘み取るようにする
カサブランカに関するQ&A
A.次の通りです。
- 雄大な愛
- 純粋
- 壮大な美しさ
- 威厳
- 祝福
A.カサブランカの純白な色は、他のどんな花の色とも相性がよいので、温室でも栽培され、時期を問わず一年中販売されています。気品があり豪華なカサブランカは、ギフトや記念日の他、冠婚葬祭のお花としても、なくてはならない花のひとつとなっています。
- ピンクのユリとカサブランカ
真っ白いカサブランカとピンクのユリの美しいコントラストは、両方の魅力を引き立たせます。 - まっ赤な薔薇とカサブランカ
花の女王と呼ばれるカサブランカと同じく女王に君臨するのが薔薇です。白いカサブランカと薔薇の赤は祝福のムードを演出すること間違いなしです。 - 紫やブルーの花とカサブランカ
落ち着いた雰囲気にするには、カサブランカに高貴な意味合いの紫色やブルーを合わせます。紫というのは、いにしえより高貴を意味する色でもあります。
A.一般的によく見る大輪で白色の花びらのものをカサブランカと言い、同じような姿でもピンクや赤、紫などのユリは、厳密に言うとカサブランカではありません。ですが、色のついている大輪で豪華なユリを、カサブランカとして販売しているところもあるようです。
最近になって、黄色やオレンジなどが出回りつつありますが、白色が定番のイメージであるため、定着するにはまだまだ時間がかかるのではないでしょうか。
カサブランカの植え替え方法
カサブランカの鉢植えでの育て方
鉢植えの場合は1年に1回、10月から11月頃の葉が黄色くなって枯れてきた時期に掘り上げ、用土を入れ替えてから植え替えをします。ちなみに庭植えでは連作を嫌うので、3年に一度の頻度で、別の場所に植え替えなくてはいけません。
ユリの根には茎の途中から伸びる上根と、球根の下から伸びる下根の2種類がありますが、球根の下から伸びる下根は取り除かないようにします。上についている茎の上根に木子(子球)ができていたら、それを切り取って植え付けると数年後に開花する楽しみが増えます。
植え替えの手順
- 茎の部分を手でひねりながら球根を引き抜いて掘り上げ、古く弱った根や短い根を取り除く。※根や茎をハサミでカットすると、ウイルスが侵入する可能性があるので手作業で行う。
- 取り出した球根はきれいに水洗いをする。
- 規定の倍率に薄めたオーソサイド液などの殺菌剤に、約30分漬け込んで殺菌する。※時間がないときは園芸用の殺菌剤スプレーで代用する。
- 風通しの良い場所で数時間水揚げさせてから、新しい鉢に植える。土は、園芸用土か、赤玉土中粒6:腐葉土3:パーミキュライト1を混ぜたものを使う。
- 余った球根は、殺菌した後に乾燥させないように湿らせたパーミキュライトの中に入れて日陰で保管する。
《 ポイント 》
- 一年に1回、10月から11月頃に球根を堀り上げて植え替えをする。
- 茎の上根に木子(子球)を切り取って植え付けると数年後に開花する。
最後に
カサブランカの育て方はいかがでしたでしょうか?
プレゼントフラワーとして重宝するカサブランカは、高級で高値の花というイメージなのですが、比較的簡単に栽培でがき、長い期間楽しむことができます。植え替えや栽培するコツをつかむことで、来年も見事なカサブランカの花を咲かせることができるのです。
カサブランカがある部屋は、贅沢な時間を楽しめる素敵な空間です。切り花を買うだけでなく、鉢植えを上手に育て、部屋に飾って長い期間、甘い香りと優雅なひと時を過ごしてみてはいかがでしょうか。
ぜひ、女王の名にふさわしい高貴なカサブランカを育ててみてくださいね。