目次
インゲンの旬と主な産地
インゲンの旬は6~9月
インゲンは夏の野菜で、旬は6月から9月くらいまでです。
年間を通してスーパーで売られているので、あまりインゲンの旬を感じることがありませんが、7月頃は店頭に並ぶ数が増え、値段もその頃が一番安くなります。
4月頃からハウス物のインゲンが店頭に並びはじめ、インゲンの旬である初夏から露地物がピークを迎えます。この時期の豆はみずみずしく歯ごたえも抜群です。
また、成長が早く一年に三回収穫できることから、関西地方では「三度豆(さんどまめ)」とも呼ばれています。
インゲンにはいくつかの種類があり、代表的な品種は、ケンタッキーワンダー種の「どじょうインゲン」、「サーベルインゲン」、「平インゲン」などがあり、いずれもさやを食べる専用種として品種改良がすすんでいます。
日本中で栽培されている
インゲンは北海道から沖縄まで日本中で栽培されています。
政府がまとめた生産量データ によると、主な産地は千葉県で、全体シェアのおよそ16%と最も多く、次いで福島県、鹿児島県、北海道と続いています。
インゲンの生産ランキング
順位 | 都道府県 | 収穫量 | 割合 |
1位 | 千葉県 | 6,450t | 16.21% |
2位 | 福島県 | 3,660t | 9.20% |
3位 | 鹿児島県 | 3,560t | 8.94% |
4位 | 北海道 | 3,160t | 7.94% |
5位 | 沖縄県 | 1,940t | 4.87% |
- インゲンの栽培面積は約5,590 ha
- 収穫量は約3万9,800t
- 出荷量は約2万6,400t
- インゲンの旬は6~9月。
- 主な産地は千葉県で、次いで福島県、鹿児島県、北海道、沖縄県と続く。
旬のインゲンの選び方
野菜のほとんどがそうであるように、何より鮮度が味の決め手です。
旬のインゲンは、緑の色が鮮やかで、さやの先までピンとハリがあるので手でしならせるとパキッと折れます。折ったときの青っぽい香り、キュッキュッとしたみずみずしい歯ごたえもおいしさのポイントです。
旬のインゲンに限らず鮮度が落ちるにつれて香りが抜けていきますので、切り口をチェックして新鮮かどうかを確認しましょう。
種子が大きくさやが太いものは育ち過ぎてさやが堅い可能性がありますので、太すぎないものを選ぶようにします。豆の形がはっきり出ていない、細くて柔らかい物が美味しいです。
《ポイント》
- 色が鮮やかでハリのあるもの、細くて柔らかいものを選ぶ。
旬のインゲンの美味しい茹で方
歯ごたえを残したまま栄養を逃がさないためには、短時間でサッと茹でるのがコツです。ただし、インゲンの旬の時期以外の豆が少々硬くなったものは、少し長めに茹でるようにしましょう。
下処理の方法
筋の有無を確かめて取り除く
一昔前のインゲンには固い筋があったため、筋を取ってから茹でていましたが、今時の物は筋が気にならないものがほとんどです。
とは言っても、時にはしっかりと筋があるものが出回っていたりするので、念の為、試しに両端をポキッと折ってみて、筋が無いかどうかを確かめてみましょう。
筋がある場合
筋があるものは、両端を指先でポリッと折った時に筋が繋がったままになるので、そのまま胴体の方に引っ張って筋を切り離します。両端を同じようにして上と下の部分の筋を別々に取り除いてくださいね。
筋がない場合
筋が無いインゲンであれば、固い付け根のヘタの部分を切り落としますが、反対側の先のヒゲ部分は付けたままで大丈夫です。
茹で方
茹でる時の塩加減
インゲンを茹でる時は、水に対して2%程の塩を沸騰している湯の中入れます。これは水1Lに対して塩20gですので、大さじ一杯程度と覚えておくとよいでしょう。
家庭で塩茹でする時の塩の量は、一般的には一つまみ程度にされている事が多いのですが、野菜その物の旨みを引き出し、色鮮やかに仕上げる為には2%の塩加減が最適とされています。
茹でる時間の目安
茹で時間の目安は用途にもよりますが、サラダなどで食べる場合は3分程度、薄いものだと2分程度を目安にしてください。冷凍保存する場合は1分ほど短くして固めにゆで上げます。
茹でたらすぐに冷やす
茹であがったらすぐに氷水などの冷水に入れて、一気に冷やすことで鮮やかな色に仕上げることができます。
冷水に入れずにザルにあげたままにしておくと、余熱で火が通りすぎ、色まで悪くなってしまいますので冷水に入れて色止めをし、冷めたらすぐにザルに揚げるようにします。
いつまでも冷水に浸けたままにしておくと栄養分が流失したり、逆に水分を吸って水っぽくなってしまいますので注意してください。
電子レンジを使う方法
電子レンジを使って加熱や蒸す方法もあります。
ほんのわずかな水分だけで蒸すように茹でれば栄養分の流出は抑えられますが、火を通し過ぎないよう注意してちょうどよい歯ざわりを楽しめるようにしましょう。
ただし、電子レンジは経済的であるものの、塩が使えないので塩茹でのような旨みを引き出すことができません。
《ポイント》
- 水1Lに対して2%(大さじ一杯程度)の塩を加えて茹でる。
- 茹であがったらすぐに冷水に入れて色止めをしてザルにあげる。
旬のインゲンの美味しさを保つ保存方法
乾燥しないように気を付ける
生のサヤゲンを2~3日中に食べるという場合は野菜室で保存しますが、乾燥しやすい野菜なので、そのままの状態だとすぐにしんなりとしてしまいます。
水分が飛んでしまうのを防ぐために、ラップにくるんだり食品保存袋に入れて野菜室で保存するようにしましょう。
茹でてから冷凍保存で長持ちする
全部を使い切れなかった時や、家庭菜園で大量に収穫した時などには冷凍保存をおすすめします。
冷蔵保存では2~3日でしなびてしまいますが、冷凍保存だと、およそ1か月の保存が可能です。どうしても食感は落ちますが、色や風味は残せます。
インゲンを冷凍する場合、あらかじめ固めに塩茹でしておくことで、栄養が失われないようにしながら、保存期間を長くする他、調理時間の短縮にもつながります。
茹でたインゲンを冷ましたらキッチンペーパーで水気を除き、フリーザー食品保存袋に入れて保存します。一度に使う分ごとに保存すると、のちに使う場面で余分に解凍をせずに済みます。
フリーザー食品保存袋にインゲンを入れる際には、重ならないように、なるべく平らにならして入れてください。
金属トレイなどの上にのせて急速冷凍すると、品質の低下をおさえることができますが、金属トレイがない場合には、アルミ箔で代用することができますので試してみてくださいね。
使う時は自然解凍、またはサっと流水で解凍して、炒め物やあえ物など、ほぼ生のものと同じように使うことができるので重宝します。
《ポイント》
- 冷蔵庫での保存期間は、ポリ袋に入れて2~3日。
- 塩茹でしたものを冷凍庫で保存できる期間は、約1ヵ月。
インゲンの旬に関するQ&A
A.インゲンには多くの品種があります。
- 丸サヤタイプ:サーベルインゲン、ドジョウインゲンなどで、旬は6~9月
- 平サヤタイプ:モロッコインゲン、平鞘インゲンなどで、旬は6~9月
- 在来種:ドイツ豆、アキシマササゲなどで、旬は8月下旬から9月
- 海外品種:黄インゲン、紫インゲンなどで、旬は6月~9月
A.どちらもインゲンの品種です。おもに丸いものはマルサヤインゲン、平たいものは平サヤインゲン、形状で呼び名が分かれています。
A.サヤインゲンはインゲンを若取りしたものでさやごと食べるのが特徴です。一般的にはさやから外した豆のことを「インゲン豆」と言います。また、サヤインゲンは緑黄色野菜に分類される「野菜」なのに対して、熟した豆部分のインゲン豆は「豆類」になります。
- 「サヤインゲン」は若いサヤを食べる、緑黄色野菜に分類
- 「インゲン豆」は完熟した実を乾燥させたものを食べる、豆類に分類
インゲンのおもな栄養素
インゲンはビタミンAをはじめとするビタミン類、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル類を豊富に含みます。
栄養素(100kcalあたり)
ビタミンA (レチノール活性当量) |
213 μg |
ビタミンB1 | 0.26 mg |
ビタミンB2 | 0.47 mg |
ビタミンK | 260 mg |
葉酸 | 217 μg |
カルシウム | 208 mg |
マグネシウム | 99.98 mg |
食物繊維 | 10.43 g |
インゲンの栄養から取れる主な効能は、丈夫な骨を作るカルシウム、皮膚トラブルの予防や疲労回復効果があるビタミンB2などがあげられる。
旬のインゲンのおすすめの食べ方とは
インゲンは茹でた後の緑の色合い、歯ざわりを活かし、長いまま使ったり人参など他の彩り野菜と共に細かく刻んだりして使います。
インゲンのゴマの和え物
材料(4人分)
- インゲン:200g
- すりごま:大さじ2
- 醤油:大さじ1.5
- 砂糖:大さじ1
- 塩:適量
すりごまに醤油と砂糖と塩を混ぜ、ごまの和え衣を作ります。それを茹でたインゲンにあえれば完成です。しゃきしゃきのインゲンにごまの風味はとても合います。
インゲンとベーコンのソテー
材料(2人分)
- インゲン:200g
- ベーコンの薄切り:2~3枚
- 塩・こしょう:適量
インゲンは油との相性も良く、炒め物にすると色合いと歯触りの良さが楽しめます。
ファミレスなどでもお馴染みのソテーは、下茹でした物にさっと塩こしょうで味付けますが、バターをからめたり、ニンニクを効かせたオリーブオイルで炒めても美味しいです。
他の野菜と共に炒める場合は下茹でしてから使うと色鮮やかに仕上がります。
インゲンと芽キャベツのスープ
材料(2人分)
- インゲン:200g
- 芽キャベツ:10個
- パプリカ:1/3(無くてもOK)
- コンソメ:適量
- 塩・こしょう:少々
- オリーブオイル:少々
水とコンソメを煮立て、芽キャベツとインゲンを入れて柔らかくなるまで煮ます。最後に塩、こしょうで味を調え、オリーブオイルをさっとふりかけたら完了です。もしパプリカがあれば、1cm角に切ったものを混ぜると彩り良くなります。
インゲンと油揚げの煮物
材料(4人分)
- いんげん:200g
- しらたき:100g
- 油揚げ:1枚
- にんじん:1本
- だし汁:1カップ
- 酒:大さじ1
- 醤油:大さじ1
- 砂糖:小さじ1
- みりん:大さじ1
鍋にだし汁を入れ、インゲンと油揚げを煮ます。インゲンが柔らかくなったら完成です。インゲンは煮物にも良く使います。色が茶色くなりすぎないように、下茹でしたものを煮物に加えると、鮮やかな緑を保ったままきれいに仕上がります。
最後に
インゲンの旬の時期や保存方法について解説してきました。
インゲンは傷みやすい野菜なので、長期保存したい場合は茹でてから冷凍保存しておくと1ヶ月ほど保存できます。煮物や汁物、炒め物で使うなら凍ったまま調理ができますし、サラダや和え物にする場合は、前日に冷蔵庫に移して自然解凍しておくとよいでしょう。
シャキシャキとした食感が美味しいインゲンですが、知れば知るほど「食べてみたい」と思ってしまいますよね。