目次
「混ぜるな危険」はどんな意味?
「混ぜるな危険」というのは、「塩素系の漂白剤や洗剤」と「酸性タイプの洗剤」を混ぜるな!ということです。「塩素系の漂白剤や洗剤」と「酸性タイプの洗剤」を混ぜると、人体にとって非常に危険な「塩素ガス」が発生するため「混ぜるな危険」と警告しているわけです。洗剤に「混ぜるな危険」と表示されているものは絶対に混ぜてはいけません。
混ぜるな危険の「塩素系の漂白剤や洗剤」とは?
白いシャツのシミをとる時に漂白剤を使うと、シミがなくなり元の白さに戻りますよね。一見、漂白剤がシミを洗い流してくれたように見えますが、実際は、シミの色素を分解し、無色の物質に変化することで見えなくしています。
漂白剤は大きく分けて3つの種類に分類されます。
- 塩素系漂白剤
- 酸化系漂白剤
- 還元型漂白剤
「混ぜるな危険」と警告されるのは「塩素系漂白剤」です。
塩素系漂白剤の特徴
塩素系の漂白剤は、強い酸化力、殺菌力、漂白力がありますので、衣類の洗濯で使う漂白剤や、除菌やカビ取り洗剤などに多く使われています。
「塩素系の漂白剤や洗剤」はどんな商品がある?
- カビキラー(カビ取り)
- キッチンハイター(台所用漂白剤)
- 台所用マジックリン(台所用洗剤)
混ぜるな危険の「酸性タイプの洗剤」とは何?
酸性タイプの洗剤は、酸の力で汚れを溶かしたり、アルカリ性の汚れを中和して落すことができます。水垢や石鹸カスやサビを落す効果がありますので、水周りにできる水垢を取る洗剤やトイレの洗剤に多く使われています。
「酸性タイプの洗剤」はどんな商品がある?
- サンポール(トイレ用洗剤)
洗剤以外で混ぜてはいけないものある?
「塩素系の漂白剤や洗剤」は「酸性タイプの洗剤」以外混ぜてはいけないものがります。
- クエン酸
- 酢
- アルコール
- 食塩
酸性タイプですので塩素ガスが発生する危険があり、「混ぜるな危険」です。
「混ぜるな危険」を混ぜたらどうなる?
「混ぜるな危険」を混ぜると化学反応で猛毒な「塩素ガス」が発生します。「塩素系の漂白剤や洗剤」には、塩素化合物である「次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)」が入っています。この次亜塩素酸ナトリウムは強い酸性の物質と混ざると化学反応で猛毒な塩素ガスが発生します。
「塩素ガス」とは?
「塩素ガス」は毒ガス兵器として使われていたほどの猛毒なガスです。「混ぜるな危険」の警告がでるのも当然ですね。事実、第一次大戦の時にはドイツ軍が塩素ガスを毒ガス兵器として使用していました。兵器になるくらい恐ろしいものだと忘れないでください。
「塩素ガス」が吸うとどうなる?
「塩素ガス」は鼻がツーンとする刺激臭がします。それを吸い込むと呼吸器・眼・口腔などの組織を破壊する作用がありますので眼・鼻・喉がヒリヒリしてきます。またそれほどたくさん吸っていなくても呼吸困難・頭痛・めまい・吐き気などの症状が出てきます。大量に吸い込むと塩素中毒で呼吸困難になり死ぬ可能性があります。「混ぜるな危険」は決して混ぜないでください。
「混ぜるな危険」を混ぜてしまった場合の対処方法
混ぜるな危険の洗剤を混ぜてしまった場合、塩素ガスが発生しますので、すぐにその場を離れ新鮮な空気を吸い、うがいをしましょう。その後、何の症状も出てこなければ大丈夫です。身体の中に吸い込んだ塩素ガスは、塩素イオンとして血液に解け、最後には汗や尿として排出されます。もし、呼吸困難・頭痛・めまい・吐き気などの症状が続くようでしたらすぐ病院に行き医師の診察を受けてください。
やってしまいがちな危険な掃除
混ぜるな危険の洗剤を混ぜているつもりはなくても混ざってしまう危険な使い方があります。
酸性タイプの洗剤を使用した後、きちんと水で洗い流さないまま塩素系のカビ取り剤を使用する、または塩素系のカビ取り剤を使用した後、きちんと水で洗い流さないま酸性タイプの洗剤を使用すると、別々に使用したつもりでも、先に使った洗剤が残っていますので、後から使った洗剤と混ざり合うことになります。
例えば、キッチンのパイプ掃除のために、強力な塩素系パイプ洗浄剤を流したあと、酸性タイプの洗剤やクエン酸などでシンクを洗うと排水口に残っているパイプ洗剤混ざり塩素ガスを排水口から発生することがありますので「混ぜるな危険」を十分守ってください。
「混ぜるな危険」を混ぜたつもりがないのに、混ざってしまうというケースは、本当によくありがちです。
この危険を避けるためにも、洗剤は1つ使ったら次の工程にすすむ前に、完全に水で流すことが必要です。「もう大丈夫かな?」と思うくらいの水で流してから、さらにもう1回流すくらいでちょうどよいでしょう。
またこれらの危険を避けるためにも、塩素系の洗剤と続けて使う場合は、汚れ落ちは多少弱くなりますが中性洗剤を利用しておくという方法もあります。その場合でもしっかり水で流すことは必要です。
液性の成分と洗剤の種類
洗剤の種類や洗剤ごとの特徴、適している汚れをご紹介いたします。ご自身が使用されている洗剤で「混ぜるな危険」があるかをチェックしてみてください。
液性の成分の種類と特徴
洗剤の主成分は界面活性剤というもので、汚れの種類に合わせて液性が5段階に分かれています。それぞれ、どんな洗剤で使われているか例を出してみます。
中性洗剤
- 台所用洗剤(キュキュットなど)
- 洗濯洗剤(エマール・アクロンなど)
- お風呂用洗剤(バスマジックリンなど)
一般に家庭で使用されている洗剤は中性のものが多いです。酸性やアルカリ性に比べると洗浄力は弱いですが、皮膚や人体へのダメージが少ないです。
酸性洗剤
- トイレ用洗剤(サンポール・トイレルックなど)
- 洗濯洗剤(ワイドハイターなど)
- お風呂用洗剤(スクラビングバブルなど)
おもに石鹸カスや水垢やサビを落す効果があります。お風呂用洗剤やトイレ用洗剤に酸性のものが多いです。
アルカリ性洗
- 漂白剤(キッチンハイターなど)
- 台所用洗剤(台所用マジックリンなど)
- 洗濯洗剤(アタック・アリエールなど)
- お風呂用洗剤(カビキラーなど)
おもに油汚れ(酸性の汚れ)を落す効果があります。
洗剤の種類と特徴
洗剤の種類には「洗浄剤」「漂白剤」「研磨剤」などがあります。
洗浄剤
洗浄剤は一般的に使われているもので、キッチン・浴室・トイレ・洗濯・リビングなど様々な汚れを取除くための成分が入っています。洗剤ごとに用途が違い、「混ぜるな危険」の洗剤もありますので、ラベルに書かれている「液性や用途」「使用上の注意」などをよく読んで落としたい汚れに合った洗剤を選びましょう。
漂白剤
漂白剤は大きく分けて3つの種類に分類され、それぞれ特徴や得意な汚れの種類が異なります。す。混ぜると危険なのは「塩素系洗剤」です。
【1】塩素系漂白剤
漂白力が強く、カビ汚れに効果があります。色柄物の洗濯には使用できません。
【2】酸素系漂白剤
脱脂や頑固な油汚れに効果があります。漂白力は塩素系に比べると弱いです。色柄ものにも使えます。
【3】還元型漂白剤
鉄サビの汚れを落とすのに効果があります。色柄ものには使用できません。
洗剤の種類は大きく分けて3つですが、色素を分解する方法は2つあり、汚れに酸素を与えて白くする「酸化型」と、酸素を奪って白くする「還元型」の2種類です。酸化型は「塩素系漂白剤」と「酸素系漂白剤」で、還元型は「還元型漂白剤」です。
研磨剤
まとめ
「混ぜるな危険」と表示されるようになった理由は、過去に死亡事故があったからです。
塩素ガスによる初めての死亡事例
1987年12月、徳島県の主婦がお風呂場の掃除中にカビ取り剤と酸性の洗剤を同時に使用して、塩素ガスが発生し、それを吸入したために呼吸困難になり急死する事故がありました。1989年1月、長野県の主婦が、同様の原因で呼吸困難になり急死しました。それ以外にも多くの方が塩素ガスを吸い込んだために体調を崩しています。
塩素ガスは本当に猛毒です。家庭用洗剤だと思って軽く考えず「混ぜるな危険」の警告を守って安全に洗剤を使ってください。
食器用の漂白剤、衣類の白もの用の漂白剤、住宅用のカビ取り剤など、「混ぜるな危険」と書かれた商品は複数家の中にあります。またこれらの洗剤は家事にはなくてはならない存在であるのも事実なので家から無くすというのはなかなか難しいことでしょう。
小さなお子様がいるご家庭では、子どもが間違って使わないように手の届かない場所に保管しておくことも大切です。
正しく使い、正しく保管することで、家庭内の事故を防ぐようにしましょう。
家事アドバイザー・節約アドバイザーとしてテレビ・講演・コラム連載などで活動。頭を使って賢くスマートに、時間とお金をバランスよく使う暮らし方を提唱。著書に「シンプルライフの節約リスト」(講談社)などがある。
塩素ガスとは人体に重大な影響をおよぼすもので、最悪の場合は死に至ることもありえます。そのため「混ぜるな危険」と書かれたものには、絶対に酸性のものを混ぜないようにしましょう。