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ズッキーニの旬と収穫時期
全国的に栽培可能なズッキーニの旬は6月から9月、初夏から夏にかけてが旬の時期となります。
ズッキーニはウリ科カボチャ属の仲間なので、カボチャと同じ夏に実を付けますが、収穫のタイミングや旬には違いがあります。カボチャは完全に熟してから収穫しますが、ズッキーニの場合は開花後5日〜7日の未熟果の状態の時に早めに収穫します。
ズッキーニはいつ収穫するかのタイミングが重要です。長さがおよそ20cmになったタイミングで収穫しないと、ズッキーニはどんどん大きく成長して、繊維質が増えてしまい食用に適さなくなってしまうからです。よって、初夏から夏が旬の時期となります。
ズッキーニってどんな野菜?
ズッキーニは見た目から、きゅうりやなすの一種と思われがちですが、原産地は北アメリカ南部で、メキシコの巨大カボチャが祖先種であると伝えられています。その後、19世紀後半にイタリアで改良されたものの中からズッキーニが誕生したともいわれています。
名称は様々で国によって異なります。
- 日本とアメリカ、オーストラリア英語では zucchini(ズキーニ)
- イタリア語 zucchina(ズッキーナ)
- 南米ではzapallo italiano(サパージョ イタリアーノ)
- イギリス英語やフランス語では courgette(カージェット、クルジェット)
と呼ばれています。
細長い形をした果実は、1950年代から1960年代にかけて、料理の素材として一般的な家庭料理に取り入られるようになりました。日本で普及し始めたのは1980年頃からで、歴史は浅いのですが、最近は家庭菜園に適した夏野菜のひとつとして人気が高まっています。
栽培するにあたり、広い面積は必要ありませんが、茎は人の身長に達する長さになることもありますので、それを考慮したうえで十分なスペースの確保が必要です。
キュウリを一回り太くしたような細長い未成熟の果実だけに限らず、黄色い花をつけたまま販売される「花ズッキーニ」も食用として利用されています。
ズッキーニの種類と特徴
ズッキーニの旬は種類によって少々異なります。緑色で長細い形をしたものをよく見かけますが、それ以外にも黄色や縞模様のもの、コロンとかわいい形をした丸ズッキーニ、花が咲いている短い期間に収穫される花ズッキーニなど種類が豊富で、国やその地域によって食べ方も違ってきます。
緑色のズッキーニ(旬:6月~9月)
緑色のズッキーニの旬は6月~9月。日本で流通している一般的なズッキーニです。
ご存知のように、長さは約20㎝、重さ約150〜200gのキュウリをちょっぴり太らせたようなサイズで、同じ緑色でも黒っぽい緑から鮮やかな緑色まで品種によってさまざまです。
大きくし過ぎると食味が落ちるため、未熟なうちに収穫したものが美味しく食べるのに適しています。炒め物や煮物に最適な野菜なので、西洋料理では日常的に調理されています。
黄色のズッキーニ(旬:6月~10月)
黄色いズッキーニは緑色のものに比べて皮が薄めでやわらかく、淡泊でクセのないのが特徴です。黄色いズッキーニは6月から10月が旬です。煮物や炒め物などのほか、鮮やかな黄色は食卓を彩るアクセントにもなりますので、サラダなど生食にもうってつけです。
丸ズッキーニ(旬:6月~8月)
丸い形のかわいらしいズッキーニで、黄色や緑色、薄い緑色などカラーが豊富です。直径は5〜15cmくらいで、普通のズッキーニと同じように調理できます。
丸ズッキーニの旬は6月から8月です。中をくりぬいて、そこへ挽肉などを詰めたりグラタン風にしたりと、美味しいだけでなく見た目も楽しむことができます。
花ズッキーニ(旬:5月下旬~7月)
花ズッキーニの旬は5月下旬〜7月頃。店頭で見かけることはありませんが、果実が成長する前の未熟な状態で収穫した花付きの幼果のことです。花は生でも食べられますが、炒めたりする他に、花の部分にチーズや挽肉などの具材を詰めて油で揚げる調理方法が人気のようです。
ズッキーニの主な生産地
ズッキーニは年間を通して流通していますが、全国的に多く出回るのは6月以降の夏場です。
過去(2016年)の統計によると、年間の取扱量は約3,760トン。最も多いのは長野県、次いで宮崎県の両県で全国の6割近くを占めています。長野県では露地栽培が多く出回りますが、宮崎県では施設栽培が多くなっています。
順位 | 都道府県 | 収穫量 | 割合 |
1位 | 長野県 | 2,830トン | 33.96% |
2位 | 宮崎県 | 2,100トン | 25.20% |
3位 | 群馬県 | 793トン | 9.52% |
4位 | 茨城県 | 540トン | 6.48% |
5位 | 千葉県 | 291トン | 3.49% |
ズッキーニの栄養と効果
かぼちゃの仲間であるズッキーニですが、その栄養価はどうでしょうか。カボチャ属のなかでは糖質やデンプンが少なく、ビタミンB群とカロテン、食物繊維とカリウムを豊富に含んでいるのがわかります。低カロリーなので、ダイエットにも向いており、体の代謝をよくする成分も含まれています。
美容によい成分も多く含まれていて、中でもビタミンCは風邪予防や、シミやシワの予防にもなるというのでアンチエイジングも期待できます。
ズッキーニの栄養価ですが、100g当たりの栄養価は次のとおりです。
成分名 | 値 |
食物繊維 | 1.3g |
カロテン | 320μg |
ビタミンB1 | 0.05mg |
ビタミンB2 | 0.05mg |
ビタミンB6 | 0.09mg |
ビタミンC | 20mg |
カリウム | 320mg |
カロリー | 14kcal |
引用元:日本食品標準成分表
ズッキーニの栄養素がもたらす効能として次のようなものがあげられます。
カリウム
カリウムには、水分バランスを調節する働きがあり、利尿作用やむくみの原因となるナトリウムを排出させます。カリウムが不足すると食欲不振や、足がつりやすくなってしまいます。
ビタミンB群
ビタミンB群には皮膚などの粘膜を元気にし、疲労回復を助ける効果があります。不足すると吹き出物に悩まされたり、夏バテの原因となるためしっかり摂取する必要があります。
カロテン
カロテンは体内でビタミンAに変わり、目の疲労回復や視力回復に効果を発揮します。また、夏の紫外線でダメージを受けた髪の毛や皮膚を元気にする作用と、免疫力を上げる効果も期待できます。
ビタミンC
ビタミンCには風邪予防とお肌のコラーゲンを作り出す美容効果があります。白血球を丈夫にする作用もあり、病気に負けない体づくりに役立ちます。
美味しいズッキーニの選び方
ズッキーニを買うときの基本は、皮にツヤとハリがあり色鮮やかなもの、そして太さが均一で大きすぎないものを選ぶようにしましょう。大きすぎると果肉がスカスカなものがあったりしますので、同じ大きさなら持ったときに重みのある方を選びましょう。
また、切り口の部分が変色していたり、しなびていたりしているものは鮮度が落ちているので避けます。
ズッキーニの保存の方法
ズッキーニは乾燥しないように、新聞紙やキッチンペーパーなどで包んでポリ袋に入れておきましょう。あまり日持ちがしませんので3〜4日くらいを目安に使い切るようにします。
カットしたものはラップで包んで冷暗所、もしくは冷蔵庫の野菜室で保存します。温度の低いところは避けるようにして、野菜室に入れる時には冷気が直接当たらないよう気をつけましょう。
食べきれない場合は、適当な厚さにスライスしたものを冷凍保存することもできますが、食感が損なわれてしまいますのでお勧めしません。
もし冷凍保存する場合には、スライスして生のまま、もしくはかために加熱したものをラップで包んで保存用袋に入れてから冷凍庫へ入れます。冷凍保存の目安は2週間程度で、そのまま炒め物や煮物、ラタトゥイユなどに使うことができます。
旬のズッキーニのおすすめ調理方法
クセのない淡白な味わいなので、皮をむかなくてもナスのようにいろんな料理に活用できます。加熱して食べるのが一般的で、煮込んでカレーやスープ、天ぷらやフライなどの揚げ物、味噌汁の具などにしてもよいでしょう。
油との相性がよく、オリーブオイルで炒めるとβ-カロテンの吸収率がアップするだけでなく、柔らかい食感になり、より風味が増します。ですので、トマトやパプリカなどの夏野菜を使った煮込み料理の定番「ラタトゥイユ」は欠かせない素材のひとつとなっています。
このように加熱料理に使うイメージが強いズッキーニなのですが、薄切りにすれば生でも食べられます。塩でもんでから塩昆布とあえたり、塩漬けや浅漬け、ピクルスなどにも利用できます。
ラタトゥイユ
フランス南部プロヴァンス地方の郷土料理として有名なラタトゥイユは、トマト、玉ねぎ、ピーマン、ナス、そして香草とワインを一緒に煮込む夏野菜の定番料理です。冷製パスタに添えたり、そのまま食べてトロトロの食感を味わうことができるラタトゥイユはズッキーニの代表的な料理です。
ピザ
輪切りにしたズッキーニをピザ生地の上に並べてのせ、その上にトマトソースとチーズをかけてオーブンで焼くと、ズッキーニのピザの出来上がりです。
カポナータ
ラタトゥイユと並んで代表料理とされるカポナータは、イタリア南部のシチリア諸島の伝統料理です。油との相性も抜群で、油で揚げたナスやパプリカ、レーズンをトマトピューレで煮込み、ビネガーなどで酸味を効かせた料理です。温かいままで食べることもできるのですが、前菜として冷たくして食べるのが一般的です。
最後に
6月〜9月に旬を迎えるズッキーニは、その形や色の違いを楽しみながら、旬の時期に食べることでその野菜の持つ本来の美味しさを味わうことができます。冷菜でも温菜としても、さまざまな料理の食材として活用できる夏野菜のズッキーニをぜひ活用してみてくださいね。