目次
中濃ソースの代用方法
揚げ物などにかけて食べたいのに中濃ソースがない場合、その代用となる方法がいくつかあります。
ウスターソースを単体で使う
中濃ソースの代用方法として手っ取り早いのが、一番手に入りやすいウスターソースをそのまま使うことです。ウスターソースと中濃ソースで使われている材料はほぼ一緒なので、そのままかけて食べれば味は一緒です。
どうしてもソースが垂れてしまうのが気になるのであれば、ウスターソースの中に砂糖もしくははちみつを入れて加熱する方法があります。水分を加えて砂糖やはちみつを加熱すると、プリンで用いられるカラメルができます。
このカラメルは熱いままだと液体のままですが、冷えると溶けた砂糖の結晶が結合することによって粘度が生まれます。ウスターソースに砂糖もしくははちみつを加えて加熱することで出来たカラメルがウスターソースにとろみを生むのです。
ウスターソース+とんかつソース
ウスターソース単体だと、どうしても水気が多いのでフライなどの揚げ物にかけてしまうとせっかくのサクサクの食感を失ってしまいます。
そこでウスターソースの水気の問題をクリアするために、もうひとつ自宅にあることが多いとんかつソースを加えるという方法もあります。とんかつソースはとても濃度が濃いので、これをウスターソースと1対1で混ぜることで丁度良い濃度になります。
お好み焼きソース+ケチャップ+酢
ウスターソースもとんかつソースもないというときには、お好み焼きソースでも代用が可能です。ただ、お好み焼きソースの場合、濃度が濃いだけでなく香辛料の味付けが強いので、味のバランスを整えるためにケチャップで甘みを、お酢で酸味をプラスします。割合はお好み焼きソース3、ケチャップ1/2、酢1が目安です。
中濃ソースとは
中濃ソースとは野菜や果物でできたソースで、その特徴はウスターソースと比べてとろみがあることです。
ウスターソースの誕生
ウスターソースの発祥の地はイギリスで、一説によると大航海時代に航海先のインドで食べたソースを再現しようと見聞きした香辛料や果物を基に作ったのが始まりです。
しかし香りが強すぎるものが出来上がったため、暗い物置の樽にしばらく閉まっておいたのです。その後忘れていた樽を発見し、ふたを開けてみたところ芳醇な味わいのするソースが出来上がっていたのです。これがウスターソースになります。
日本に伝わったのは明治初期
ウスターソースが日本に伝わったのはイギリスとの貿易が始まった明治初期ですが、当時は外国の食文化自体になじみがなかったことに加えて醤油文化が浸透していたため普及しなかったのです。
その流れが変わったのが明治の終わりであり、この時になると外国との貿易が日本社会に広がることによって様々な外国の料理が伝来します。
それによって和食しか口にしてこなかった日本人の間でも、徐々に外国の料理を食べる機会が増えていきました。そこでウスターソースをかけて食べると美味しいと広まり、普及したという流れになります。
国内産として流通が開始
その後ウスターソースは輸入ではなくいつでも食卓に並べるように、国内生産のソースとして開発されるようになります。
ただ実際に作ってみたのは良いものの、消費者の間からある悩みを相談されます。それはウスターソースをかけてみると、どうしても水分が多いため肉や魚そして揚げ物に密着せずに離れてしまうということです。
試行錯誤が続けられるソース
そこで、日本国内で生産されるウスターソースをもっと使用しやすいものにするための改良が始まります。ウスターソースの製法はそのままに、料理と一緒に食べやすいとろみをつけるために取った方法が、果物や野菜の皮もすりおろして一緒に使うという方法です。
果物や野菜の皮の中には、糖分だけでなく大量の食物繊維が含まれています。糖分は先に言ったとおりに、水に溶かして加熱すると飴状になります。そして果物や野菜の皮には、ペクチンという食物繊維があります。
この食物繊維は粘着物質で、抽出して果汁に加えると水分を吸着しゼリー状にする効果を発揮します。この糖分とペクチンを加えることによって程よいとろみが生まれ、ウスターソースの弱点だった水気の多さを克服した中濃ソースが誕生したのです。
中濃ソースの種類
日本で流通するソースは、主に3種類に分類されます。
中濃ソース
中濃ソースは関東で一般的によく使われるソースで、その特徴は果物や野菜の皮ごとすりおろして作っているので甘みだけでなくとろみがあることです。そのため料理にかけると、ソースも一緒に口の中に入るのでソースと料理が一緒に合わさった味わいを楽しめます。
ウスターソース
ウスターソースは、関東では消費量は少ないのですが、関西ではよく使われています。本場イギリスの製法をそのまま引き継いでいるので、カレーのような強い香辛料の香りとコショウやショウガなどの刺激のある味わいが特徴です。
濃厚ソース
ウスターソースの良さと中濃ソースの良さも併せ持ったソースがほしいと開発されたのが、とんかつやお好み焼きにかける濃厚ソースになります。
これらのソースは本場イギリスの製法をそのまま引き継いだウスターソースに、中濃ソースの特徴である皮ごとすりおろした野菜などを加えることで濃厚なとろみをつけています。濃厚な味わいなので、シンプルな材料で作られるとんかつやお好み焼きに一味足したいと思った時につけると美味しく食べられるのです。
中濃ソースは西日本では馴染みがない
ウスターソースの消費量が一番多い地域として挙げられるのは、やはり大阪や兵庫といった西日本が該当します。なぜなら西日本は、お好み焼きやたこ焼きをはじめとした粉物文化が浸透している地域であり、カレーを食べるときにも一味足りないと感じたらウスターソースをかけて食べるという風習があるからです。
しかし、それほどまでにソースを使うのにもかかわらず、実は関東で消費されている中濃ソースに限っては、西日本ではまったくといっていいほど消費されていないのです。また、その存在すら知らないという人もいるようです。
関西で中濃ソースになじみがない理由
なぜ関東では普及している中濃ソースが関西では全く消費されていないのでしょうか。それは、関東と関西の文化の差が関係しているのかもしれません。関東は武家文化であり、いつ戦があるのか分からないので食事は手っ取り早く済ませます。
その気質が現在にも引き継がれており、いろいろなソースがあるよりも一発で味が決められる中濃ソースは時間短縮になって便利なため普及したと考えられます。
たこ焼きやお好み焼きが原因?
一方関西は商人の文化であり、最高の商品を販売するためには時間をかけてじっくりと選択するという習慣があります。
商人文化は関西で色濃く残っており、お好み焼きにはお好み専用ソース、たこ焼きにはたこ焼き専用というようにそれぞれの特徴を楽しむためのソースを開発するため、一発で決めてしまう中濃ソースは馴染まなかったと考えられます。
最後に
イギリスが発祥のウスターソースがいろいろな道筋を通って日本に伝わり、そしてソースの可能性を見出した人たちが改良を重ねたことで現在の日本風ウスターソースへと進化していったのです。中濃ソースのように一発で味付けを決めてもよいですが、関西のようにじっくりと色々なソースを試してみて自分好みのソースを見つけるのも楽しいといえます。