目次
座布団の縦横前後と表裏の向きの見分け方
座布団にも実はちゃんと「前後」や「表裏」の区別があります。特に、仏壇用の座布団は礼儀として向きには気を遣わねばなりません。法事などでお客を迎える時は座布団の向きをしっかり把握して正しい置き方をしましょう。以下では、意外に知られていない座布団の“向き”についてまとめてみました。向きを調べるには、まず座布団のカバーを外しましょう。
座布団の正面はどこ?
基本的に座布団は、3つの辺に縫い付けが施されています。1辺だけ縫い目の部分がなく、ツルツル状態の部分があります。そちらが、座布団でいうところの「正面」と定義されています。逆に言えば、中綿を取り出すためのファスナーやチャックがついている部分が「後ろ」になります。座布団の「正面」を探すよりも、「後ろ」のファスナーを探したほうがわかりやすいかもしれませんね。
座布団の表裏はどう区別する?
座布団のセンター部分には「房(ふさ)」状になった「しめ糸」があります。一般の座布団では、そちらの面が「表」として認識されています。ただし、座布団によっては(高級なタイプなど)両方の面に「房」が付いているパターンもあります。そんなときは、座布団の側面に注目しましょう。
側面の布地がもう一方の布地に被さっているように縫い付けられている場合、そちらが表側と考えればよいです。また、明らかに表裏で房の“豪華さ”に違いがあるなら、立派な房のほうを表として扱えば間違いありません。
座布団のタテヨコを区別するには?
よく見ると座布団は、長方形になっています。タテヨコを区別するには、長い辺の部分をタテ、短い辺の部分をヨコと捉えます。座るときは、座布団の長辺と正座時のふくらはぎが同じ方向を向いています。短辺部分は膝と足のつま先が向き合う状態です。
例外の座布団の向きの見分け方はデザインで判断
座布団によっては、長方形ではなく正方形のパターンもあります。正式な仏壇用座布団はたいてい長方形になっていると思いますが、通常の客間用座布団は、デザインによって正方形タイプの例もあります。そんなときはタテヨコ・表裏・前後の区別をつけにくいかもしれません。
まずは一般的な区別の方法で向きを確かめてみてください。ファスナーの位置さえわかれば前後は確定できるはずです。問題なのはタテヨコ・表裏です。デザインによっては、房(しめ糸)が施されていないデザインもあります。こうしたタイプの場合は、その座布団のデザインや柄で判断しなくてはなりません。
座布団の向きと表裏の意味
座布団の向きには“おもてなし”の意味が込められている
座布団の縫い目のない部分を正面に据えるのには意味があります。向かい合った相手に線引き(縫い目)がないということから、「あなたとご縁をつなぎます(縁を切らない)」という意味があると言われています。
お坊さんを迎える時の座布団は別に用意しておこう
客人をもてなす用の座布団の他に、「御前座布団(おまえざぶとん)」と呼ばれる大きい座布団があります。これは、お坊さんが読経の時に座るためのものです。長い時間座りながら読経をするので、一般の座布団よりも上質の中綿が使われています。法事や法要でお坊さんを招く時のために、最低でもひとつは用意しておきましょう。「御前座布団(おまえざぶとん)」は仏具店で市販されています。
房の意味って何?
座布団の中央に付いている房は、「邪気を祓う」という意味が込められています。神道的な意味合いがあるようです。無くても別に困ることはありませんし、マナーに反するわけでもないです。ただ、高級感や威厳を演出するという側面から考えると、お客さんをおもてなしする際は房付きの座布団を用意したほうがいいでしょう。
座布団に座る人のマナー
座布団の上に足を載せないように座るのが基本
用意された座布団に座る時は、「所作」を意識しましょう。家に招かれた時や、お寺に行った時などは、座布団があらかじめ敷いてあることがあります。その際、何も考えず“どっこいしょ”と適当に座るのは行儀がよくありません。
まず第一に大切なのは、用意された座布団の位置を変えないということ。先方が配置してくれた座布団をズラさないようにしましょう。座布団に座る時は、足で踏まないようにしてください。もちろん座布団の上を歩くのもNGです。
座る時は、まず膝を座布団に載せ、両手を「グー」の形にして座布団の上につきます。そして両手のこぶしで身体を支えながらセンター部分に移動します。降りる時はその逆で、両手を座布団について後ろに下がります。そうすれば、足が座布団から降りるので、そのまま立ち上がることができます。
座布団の上で挨拶をしてはならない
軽く頭を下げるような「会釈」程度の挨拶ならまだしも、四つ指を揃えて深々と頭を下げる挨拶の場合は、座布団の上で行わないように注意しましょう。ちゃんとした挨拶をする際は、座布団の横に座って行います。その後、相手から座布団に座るように勧められたら、上述した方法で座布団に座りましょう。
お客さんを迎える時は座布団カバーを外したほうがいい
しばしば座布団には、「カバー」がかけられています。汚れやホコリが付くのを防ぐ意味がありますが、客人を迎える時はカバーは外しておきましょう。基本的に座布団は“生身”の状態で座るのがマナーです。
最後に
今回は、意外に知られていない座布団の正しい向きと、座布団に座る時のマナーを取り上げました。座布団の向きには客人をもてなす意味が込められているので、おろそかにはできません。礼節をもって迎えるためにも、座布団に関する基礎知識は学んでおきましょう。そうしておけば、自分が客人として招かれた時やお坊さんを迎える時にも役立つはずです。