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運命の人と出会う確率は約28万5,000分の1?

運命の人と出会う確率は、なんと約28万5,000分の1(約0.00035%)。
英国の経済学者ピーター・バッカス氏が、自分の理想に合う恋愛相手との出会いを考えて導き出した、驚くほど小さな数字です。
バッカス氏は、ロンドンで一晩外出したときに理想の相手と出会う可能性を、数学の考え方を使って見積もりました。そんな計算を始めたきっかけは、なんと「なぜ自分には恋人がいないのか」という疑問だったそうです。
街ですれ違う大勢の人の中から、自分が魅力を感じ、相手も自分を好きになってくれる人を探す。そう考えると、恋人との出会いを数式にしたくなる気持ちも、少し分かるかもしれません。
ただし、この数字はバッカス氏自身の希望条件による試算です。誰もが一生のうちに運命の人と出会う確率を調べた統計ではありません。
なお、当時の報道などには「0.00034%」や「0.0000034%」という表記も見られます。これらは同じ値ではなく、約28万5,000分の1を百分率に換算した値は約0.00035%です。
では、なぜそんなに小さな数字が出てきたのでしょうか。実は、バッカス氏が参考にしたのは、宇宙の文明を数えるために考案された数式でした。
宇宙人を探す数式で恋人探し?その計算方法が面白い

銀河系には、人類と通信できる文明がいくつあるのか。そんな壮大な問いを考える方法が、恋人探しにも応用されました。
宇宙の話から急に恋愛へ。意外な組み合わせですが、発想の中心にあるのは「条件を一つずつ重ねて、候補の数を見積もる」という考え方です。
使ったのは宇宙の文明を数える「ドレイク方程式」
バッカス氏が参考にした「ドレイク方程式」は、1961年に天文学者フランク・ドレイク氏が考案したものです。銀河系に存在する、通信可能な地球外文明の数を推定するために使われます。
星が生まれる割合や生命が発達する条件などを掛け合わせる発想を、バッカス氏は自分の理想の恋愛相手に置き換えました。
論考のタイトルは「Why I Don’t Have a Girlfriend」。日本語にすると「なぜ私には恋人がいないのか」という意味です。
宇宙のどこかにいるかもしれない文明を数えるように、ロンドンのどこかにいるかもしれない理想の恋人を数えてみる。
壮大な宇宙の数式を、自分の恋愛事情に当てはめたところに、この話のユーモアがあります。
英国人口約6,097万人から、恋人候補は約26人に
バッカス氏が計算の出発点にしたのは、2007年の英国人口約6,097万5,000人。
そこから、ロンドン在住の24〜34歳で大学教育を受けた女性のうち、自分が魅力を感じる人はどれくらいいるかを考えました。
人数の変化をまとめると、次のようになります。
- 約6,097万人:出発点となる英国の総人口
- 約1万510人:居住地・年齢・学歴・自分の好みなどの条件に合うと見積もった人数
- 約26人:さらに相手からの好意、独身であること、相性まで考慮した人数
何千万人もの人口から、最後はわずか26人。
特に最後の段階では、「相手も自分を魅力的だと思うのは20人に1人」「気が合うのは10人に1人」と仮定しています。独身である割合も掛け合わせると、約1万510人から約26人へ、一気に約400分の1になる計算です。
もちろん、実際に26人を探し出したわけではありません。魅力を感じる割合や気が合う割合などには、バッカス氏自身が仮に設定した数字が含まれています。
ここで、二つの数字を整理しておきましょう。約26人は恋人候補の推計人数。一方、約28万5,000分の1は、バッカス氏が「一晩の外出で理想の相手に出会う見込み」として示した数字です。論考には両方が登場しますが、一晩の出会いの確率までの詳しい導出式は、確認できた公開資料では示されていません。
それでも、宇宙の数式を使って恋人候補を数えてみるという試み自体が、なかなか面白いものです。しかも、この計算をしたバッカス氏には、意外な後日談がありました。
計算した本人に恋人ができた!相手は近所の女性

恋人候補は約26人。そんな数字を計算したバッカス氏に、その後、実際に恋人ができたというのです。
2010年1月の報道によると、お相手は近所に住むローズさん。バッカス氏が論考を書いた後、二人は交際を始めていました。
さらに面白いことに、ローズさんはバッカス氏が計算で挙げた条件にも合っていたといいます。希望の年齢の範囲内で、大学教育を受けており、バッカス氏と同じようにボートで暮らしていました。
当時、バッカス氏自身もロンドン中心部のボートで生活していました。宇宙の数式まで持ち出して理想の相手を探していた人が、身近なところに住む女性と恋人同士になったというわけです。
バッカス氏は当時の取材で、交際相手は自分の条件を満たしていたものの、恋人を見つけるのに数式を使ったわけではないとも語っています。
さらに、二人は2013年に結婚したと報じられています。
もちろん、この交際をもって「計算が正しかった」と証明できるわけではありません。それでも、数字の小ささを知った後だからこそ、思わず微笑んでしまうような後日談です。
数字の先にある「運命の出会い」の面白さ

約28万5,000分の1。そんな数字を計算したバッカス氏の後日談で印象的なのは、恋人が遠くのどこかではなく、近所にいたことです。
彼が見積もった恋人候補は約26人。そして実際に交際を始めたローズさんは、近くに住み、彼が挙げた希望条件にも合っていました。紙の上では何千万人もの人口を絞り込んでいた一方、現実には身近な人との恋が始まっていたのです。
出会う前には年齢や住む場所などの条件を考えられても、誰とどんな会話を交わし、いつ親しくなるかまでは数字にできません。だからこそ、このエピソードには計算の意外さとは別の面白さがあります。
宇宙の文明を探す数式から始まった恋人探しが、最後には近所の女性との恋の話になる。数字で考える面白さを知ると、何気ない出会いにも思いがけない物語が感じられます。










