目次
浄化力がすごい日本酒!47都道府県

御神酒や奉納、神社や神様との由来、霊山や信仰の地、清めや祈りにまつわる水などとのつながりを手がかりに、47都道府県それぞれについて、今回のテーマに合う日本酒を1銘柄ずつ取り上げました。
ただし、47銘柄すべてが神社で使われる「御神酒」というわけではありません。御神酒や奉納酒そのもの、御神酒と縁のある蔵の代表酒、神社や神様に由来する酒、霊山・水・土地とのつながりから選んだ酒が含まれます。
ここでいう「浄化力」は、科学的に測定した強さではありません。日本酒と神事・信仰・清めとの具体的な背景を楽しむための切り口です。
北海道|男山 御神酒
北海道で選んだのは、男山(おとこやま)の「御神酒(おみき)」です。
新年を迎える際などに神前へ供えるための商品として造られており、名前だけ縁起よくした酒ではなく、用途そのものが御神酒です。
中に入っているのは、男山の定番酒「上撰」。精米歩合60%、アルコール度数15度の普通酒で、蔵元は淡麗でまろやかな、やや甘口の味わいとしています。180mlの小瓶なので、お供えした後に少量をいただきやすいのも特徴です。
北海道の日本酒を「神事との直接的なつながり」という基準で探したときに、商品自体が御神酒として現在も用意されている点が、選定の大きな理由になりました。
青森県|鳩正宗
青森県からは、鳩正宗(はとまさむね)です。
酒名の始まりは、昭和初期に一羽の白鳩が蔵へ舞い込み、神棚に棲みついたという出来事でした。蔵ではその鳩を守り神と考えて大切にし、死後も祠を建てて「鳩神様」として祀り、銘柄を鳩正宗へ改めています。
酒造りでも地元との結びつきを重視しており、八甲田・奥入瀬川の伏流水と青森県産米を生かした「地の酒」を掲げています。蔵は米の旨みを引き出す「旨口の酒」を目指しており、純米大吟醸や純米吟醸など、青森の米と水を生かしたさまざまな酒を楽しめます。
神棚に現れた白鳩を蔵の守り神として祀った物語と、青森の米・水を使う地酒らしさの両方があることから選びました。
岩手県|あさ開 本醸造酒 御神酒
岩手県では、あさ開(あさびらき)の「本醸造酒 御神酒(ほんじょうぞうしゅ おみき)」を選びました。神棚にも供えやすい180mlサイズで、実際に御神酒として使うことを想定して造られている商品です。
中身も単なる飾り用ではありません。本醸造酒として造られており、蔵元は爽やかな香りと、キリリとした辛口の味わいを特徴として挙げています。お供えした後に、日本酒として味わえる一本です。
御神酒という名称だけでなく、用途・容量・酒質まで含めて神前へのお供えを意識している点が、今回のテーマでは分かりやすい選定理由になりました。
宮城県|阿部勘
宮城県からは、阿部勘(あべかん)です。
阿部勘酒造は1716年、鹽竈神社への御神酒御用酒屋として酒造りを始め、現在も鹽竈神社・志波彦神社の御神酒を醸しています。
ただし、市販されている「阿部勘」をそのまま神社の御神酒とするわけではありません。今回は、御神酒造りを担う蔵の酒を一般の人も味わえる代表銘柄として選びました。
現在の阿部勘は、地元・塩竈の海の幸をよりおいしくする酒を目指し、宮城県産米を中心に酒造りを行っています。純米吟醸などでは爽やかな香りや軽快さ、キレを楽しめる商品もあり、神事との歴史だけでなく港町の食文化にも寄り添う日本酒です。
秋田県|爛漫 金箔入り御神酒
秋田県では、爛漫(らんまん)の「金箔入り御神酒(きんぱくいりおみき)」を選びました。
秋田銘醸が、祭事や神事の際に神様へ供える御神酒として現在販売している商品で、お正月などの節目にも使いやすい一本です。
容量は180mlで、中には金箔が舞います。神前へのお供えだけでなく、祝いの席や手土産にも使いやすい華やかさがあり、お供えした後は日本酒として楽しめます。
「浄化」というテーマから後付けで選んだ酒ではなく、蔵元自身が神事で供える御神酒として位置づけている点を重視しました。
山形県|白露垂珠
山形県では、竹の露酒造場の白露垂珠(はくろすいしゅ)を選びました。
竹の露酒造場は、かつて出羽三山神社の御神酒を醸していた酒蔵を大正時代に譲り受け、その蔵を移設しています。そこに宿っていた酵母も、現在の酒造りへ受け継がれています。
酒造りでは地元・羽黒の米を重視し、山形県で開発された酒米「出羽燦々」や「雪女神」なども使っています。白露垂珠には複数の商品がありますが、蔵では米の旨みを生かしながら後味をすっきりと仕上げる酒造りを大切にしています。
出羽三山の御神酒を醸していた蔵の歴史を受け継ぎつつ、現在も地元の米と酒造りを大切にしている点から、山形県の一本としました。
福島県|弥右衛門
福島県からは、弥右衛門(やうえもん)です。1790年創業の大和川酒造店は、御神酒製造の蔵として地域の風土に根付いてきた歴史を持っています。
ここでも弥右衛門そのものを特定神社の御神酒とするのではなく、そうした歴史を持つ蔵の代表酒として選んでいます。大和川酒造店は「地の米、地の水、地の技術」を大切にし、喜多方の土地に根差した酒造りを続けています。
代表的な「純米辛口 弥右衛門」は、辛口ながら米の旨みを感じられ、冷やでも燗でも楽しめる日本酒です。神事との歴史だけで終わらず、日常の食卓でも味わえる地酒であることが、この企画との相性のよさにつながっています。
茨城県|二波山松緑
茨城県で選んだ二波山松緑(ふたばやままつみどり)は、日本三大稲荷の一つに数えられる笠間稲荷神社の御神酒として造り続けられている日本酒です。蔵元の笹目宗兵衛商店は、笠間稲荷神社の正面に店を構えています。
酒造りには佐白山の地下伏流水を使用。大吟醸や純米吟醸、にごり酒なども造られており、御神酒としての背景を持ちながら、一般の日本酒としてさまざまな味わいを楽しめます。
特定の神社の御神酒として造られていること、蔵が神社のすぐ前にあること、地元の水を使っていることまで一続きに確認できるため、47銘柄の中でも選定理由が明確な一本です。
栃木県|燦爛
栃木県からは、外池酒造店の燦爛(さんらん)です。
同蔵は益子祇園祭の伝統神事「御神酒頂戴式」へ日本酒を奉納しています。ただし、奉納された酒の商品名までは確認できないため、「燦爛」そのものを御神酒とはしていません。
今回は、神事と縁のある蔵を一般に楽しめる代表ブランドとして選びました。燦爛には純米酒から大吟醸まで幅広い商品があり、栃木県産の酒米を使った酒も造られています。
益子は焼き物の町として知られますが、外池酒造店は現在、町で唯一の酒蔵です。祭りと地酒の関係を入り口に、益子の別の一面にも触れられる一本です。
群馬県|咲耶美
群馬県では、貴娘酒造の咲耶美(さくやび)を選びました。
名前は日本神話の女神・木花咲耶姫に由来し、木花咲耶姫は酒造りとも縁のある神として伝えられています。
咲耶美は、6代目蔵元が新たに立ち上げたブランドです。もともとは「貴娘」を搾る際、亀口から飲めるフレッシュな酒のおいしさを多くの人へ届けたいという思いから生まれました。
無濾過生の酒などでは、フレッシュな飲み口や華やかな香りを楽しめる商品があります。神様に由来する名前だけでなく、普段あまり日本酒を飲まない人にも手を伸ばしやすい現代的なブランドであることも魅力です。
埼玉県|秩父錦
埼玉県からは、秩父錦(ちちぶにしき)です。
蔵元の矢尾本店は秩父を「神々の棲む町」と表現し、年間を通じて数多くの神事が行われるこの土地では、神事のための日本酒と暮らしが切っても切れない関係にあると説明しています。
酒造りには秩父山系の良質な水と厳選した酒米を使用。純米酒や純米吟醸、大吟醸など幅広い酒を造り、秩父の自然から生まれる地酒ならではの味わいを大切にしています。
特定の一本を「○○神社の御神酒」として選んだのではなく、神事が現在の暮らしにも残る秩父という地域と、その地で長く造られてきた酒の関係を重視した選出です。
千葉県|寿萬亀
千葉県では、亀田酒造の寿萬亀(じゅまんがめ)を選びました。
亀田酒造によると、この地域の酒造りは宝暦年間、山伏によって白酒が造られ、神へ供えられたことから始まったと伝えられています。
現在も亀田酒造は、明治神宮の新嘗祭へ、主基斎田で収穫した新穀と、その米で醸した白酒を奉納しています。寿萬亀そのものをその白酒とするのではなく、こうした神事との長い関係を持つ蔵の代表ブランドとして選びました。
寿萬亀には純米酒や吟醸酒、大吟醸などさまざまな種類があります。神事の背景を知ったうえで、一般に購入できる日本酒として自分の好みに合う一本を探せるのも魅力です。
東京都|國府鶴
東京都からは、府中市の國府鶴(こうづる)です。
野口酒造店の野口家は、武蔵国総社・大國魂神社の神人を務めていた家で、初代が神社から御神酒造りを依頼されたことをきっかけに、1860年に酒造りを始めました。
一時は府中での自社醸造を休止していましたが、2024年に約40年ぶりに地元での酒造りを復活。再び府中で醸す東京の地酒として歩み始めています。
現在の國府鶴は、米の旨みを引き出しながら、柔らかくキレのよい「淡麗旨口」の酒を目指しています。御神酒から始まった歴史と、東京で復活した現在の酒造りを一緒に楽しめる一本です。
神奈川県|雨降
神奈川県では、吉川醸造の雨降(あふり)を選びました。
蔵がある伊勢原の大山は古くから「雨降山」と呼ばれ、雨乞い信仰の地として知られてきました。大山阿夫利神社には、酒造りに縁のある神も祀られています。
「雨降」の文字は、同神社の神職が水と酒への感謝を込めて揮毫したものです。さらに、山へ降った雨が地中を通って麓へ届いた丹沢大山の地下伏流水を、実際の仕込水に使っています。
雨降は一つの商品ではなく複数の酒を展開するブランドで、硬度の高い大山の水を生かした酒造りが大きな特徴です。水酛や生酛など、伝統的な酒造りを取り入れた商品もあります。
雨乞い信仰の山、神社との縁、神職による酒名の文字、そして大山の水を使う酒造りまで一つにつながっているため、今回のテーマを象徴するような日本酒です。
新潟県|大洋盛
新潟県では、大洋盛(たいようざかり)を選びました。
村上市の藤基神社では御神酒に地元・大洋酒造の酒が使われていますが、神社側の情報から具体的な商品名までは確認できません。そのため「大洋盛」そのものを御神酒とするのではなく、御神酒を担う地元蔵の代表銘柄として取り上げています。
大洋盛は、新潟県産米にこだわった酒造りも特徴です。「特別純米 大洋盛」は地元産の酒米・五百万石を主原料とし、新潟県産米を100%使用。米の旨みを残しながら、酸味が味を引き締める純米酒に仕上げています。
代表的な「特別本醸造 大洋盛」は、ほのかな香りと柔らかな口当たり、すっきりした味わいが特徴で、冷酒から燗まで幅広く楽しめます。神社とのつながりだけでなく、村上の日常の食卓にも寄り添う地酒という点から選びました。
富山県|立山
富山県からは、立山(たてやま)です。その名の由来となる立山は、富士山・白山と並ぶ日本三霊山の一つで、長い山岳信仰の歴史を持っています。
「立山」そのものが神社の御神酒という意味ではありません。今回は、富山を象徴する信仰の山をその名に持つ日本酒として取り上げています。
定番の「特別本醸造 立山」は、キレのよい爽快感に程よいコクを合わせた、すっきり上品な味わいが特徴です。特別純米では米の旨みを感じさせながら喉越しは軽快で、富山の食事にも合わせやすい酒として親しまれています。
石川県|菊理媛
石川県で選んだのは、菊姫の「菊理媛(くくりひめ)」です。酒名は白山比咩神社の御祭神・菊理媛尊からいただいたもので、白山奥宮大祭では実際に奉納されています。
日本酒そのものも特別な一本です。菊姫が最高峰と位置づける吟醸酒で、極上の酒を選び、さらに10年以上熟成させて仕上げています。長い熟成によって、カラメルや黒糖を思わせる芳醇な香りとなめらかな口当たり、奥深いコクが生まれます。
原料米には兵庫県三木市吉川町の特A地区産山田錦を使用。日常酒というより特別な機会に味わう酒ですが、祭神の名、実際の奉納、長い歳月をかけた酒造りが重なる点で、今回のテーマを象徴する一本の一つです。
福井県|飛鳥井
福井県では、丹生酒造の飛鳥井(あすかい)を選びました。
丹生酒造の酒造りは、蔵の前にある八坂神社へ御神酒を奉納することから始まったとされ、現在の酒造りにも神社境内に湧く「延命の水」との縁があります。
飛鳥井は、地域の米を使った酒造りにも力を入れています。「飛鳥井 純米大吟醸」には越前町織田地区産の山田錦を使用し、穏やかな香りにしっかりとした甘みと酸味を持たせています。
ほかにも、福井県が開発した酒米「さかほまれ」と県開発酵母を使った大吟醸や、越前町産五百万石を使った純米吟醸などがあります。神社との歴史だけでなく、現在も福井・越前の米と水を生かしている点を重視しました。
山梨県|旦-DAN-
山梨県からは、笹一酒造の旦-DAN-(だん)です。富士信仰と深く結びつく「吉田の火祭り」に際し、北口本宮冨士浅間神社へ実際に奉納された実績があります。
「旦」は、夜明けや始まりを思わせる文字です。笹一酒造が新しい酒造りへの挑戦を込めて展開するブランドで、山梨の水や米を意識した商品も造られています。
御神酒専用の商品ではありませんが、一般に楽しめる市販酒そのものが富士信仰の神事へ奉納されたという具体的な接点があります。
霊峰・富士山との土地的なイメージだけで選んだのではなく、銘柄そのものに奉納実績が確認できることが大きな理由です。
長野県|真澄
長野県では、真澄(ますみ)です。酒名は諏訪大社に伝わる御宝鏡「真澄の鏡」にちなみ、1662年の創業以来、諏訪の地で酒造りを続けています。
真澄は信仰との由来だけでなく、日本酒造りの歴史でも知られる蔵です。現在は、蔵と深い縁を持つ七号系自社株酵母を使いながら、食事と合わせて楽しめる「上質な食中酒」を目指しています。
商品によって味わいは異なり、「漆黒」は透明感とふくらみを併せ持つ純米吟醸、「茅色」は信州米の旨みを素直に表現した純米酒です。
昔ながらの定番酒から現代的な純米吟醸まで幅広いため、自分の好みに合わせて選びやすいのも真澄の魅力です。
岐阜県|豊臣秀吉
岐阜県では、日本泉酒造の「純米吟醸 豊臣秀吉(とよとみひでよし)」を選びました。
豊国神社へ「豊臣秀吉」の樽酒が実際に奉納された記録があり、銘柄そのものと神社との接点を確認できます。
蔵の創業地である岐阜の茶屋新田は、豊臣秀吉が一夜城を築き、出世の足がかりにした場所の近くです。そのため「豊臣秀吉」は、蔵元から「強運の酒」としても紹介されています。
酒質は純米吟醸で、芳醇な味わいが特徴です。奉納実績に加えて、岐阜と秀吉との土地の物語まで一緒に楽しめる一本です。
静岡県|正雪
静岡県からは、神沢川酒造場の正雪(しょうせつ)です。2015年の久能山東照宮御鎮座400年大祭では、徳川宗家への確認を経て「正雪」が正式に奉納されました。
ただし、現在も毎年御神酒として奉納されているという意味ではありません。今回の選定理由は、銘柄そのものについて具体的な奉納実績が確認できることです。
現在の正雪には、純米吟醸や純米大吟醸、辛口純米など複数の商品があります。静岡酵母を使った酒では、爽やかな香りと米の甘みを感じるやさしい味わいの商品もあり、由比の海の幸と一緒に楽しみたい地酒です。
愛知県|神杉
愛知県では、神杉(かみずぎ)です。酒名は、当主が酒造りの神として厚く信仰していた奈良・大神神社から拝名したものとされ、神様とのつながりが銘柄名そのものに残っています。
醸造元の神杉酒造は1805年創業。愛知県安城市で、地元の米や水を意識しながら酒造りを続けています。「神杉」は特定神社へ納める御神酒として選んだのではなく、酒造神との由緒を持つ銘柄として取り上げました。
200年以上続く蔵でありながら、伝統的な日本酒だけでなく、新しい酒造りにも取り組んでいます。由緒ある名前と、現在も続く地元での酒造りを一緒に楽しめる一本です。
三重県|おかげさま
三重県からは、伊勢萬の「吟醸 おかげさま」を選びました。
名前は、神恩や自然への感謝を表す「おかげさま」の気持ちと、江戸時代に多くの参拝客が伊勢を訪れた「おかげ参り」にちなんでいます。
酒造りには、伊勢神宮内宮を流れる五十鈴川の伏流水を使用。精米歩合50%まで磨いた米で仕込み、華やかな香りと味わいのバランスを楽しめる吟醸酒です。
おかげさまには純米大吟醸や大吟醸、季節限定酒などもあり、伊勢の水を生かしたさまざまな日本酒を楽しめます。伊勢参りの文化、五十鈴川の水、現在の酒造りが一つにつながっている点から選びました。
滋賀県|旭日
滋賀県では、藤居本家の旭日(きょくじつ)です。藤居本家は、新嘗祭で用いられる特別な御神酒「白酒」「黒酒」の酒造りを担ってきた蔵として知られています。
ただし、「旭日」そのものがその御神酒という意味ではありません。今回は、神事と深く関わる蔵の酒を一般の人も味わえる代表ブランドとして選びました。
藤居本家では滋賀の米と清らかな伏流水を生かして酒を醸しています。「旭日 純米吟醸」など一般向けの商品もあり、御神酒を醸す伝統と、日常に楽しめる近江の地酒が同じ蔵の中でつながっています。
京都府|神蔵
京都府からは、松井酒造の神蔵(かぐら)です。
松井酒造は1726年創業で、京都の寺社と長い縁を持ってきました。「神蔵」自体を特定神社の御神酒として選んだのではなく、寺社との関係を持つ蔵の代表ブランドとして取り上げています。
酒蔵は東山三十六峰と鴨川に囲まれ、西に京都御所や下鴨神社、東に大文字山を望む場所にあります。現在も蔵元自ら杜氏として酒を醸しているのが特徴です。
神蔵は松井酒造が最高峰と位置づけるブランドで、商品名にも「神蔵KAGURA」と表記されています。香りや辛さだけを追うのではなく、甘・酸・辛・苦・渋を含めた米の旨みを引き出す酒造りを大切にしています。
大阪府|天野酒
大阪府では、天野酒(あまのさけ)です。現在の天野酒は、かつて天野山金剛寺で造られていた僧坊酒「天野酒」の名を、金剛寺の協力を得て現代に復活させたものです。
中世の天野酒は高い評価を受け、武将たちにも珍重されたとされます。現在は西條合資会社がその名を受け継ぎ、純米大吟醸から普通酒まで幅広い清酒を展開しています。
「吟醸 吉祥」のように金剛寺にあった「吉祥院」に由来する商品もあり、寺院文化と現在の酒造りとのつながりを感じられます。寺で育まれた酒文化を、名前だけではなく現代の日本酒へつないでいる点が選定理由です。
兵庫県|白鷹
兵庫県では、白鷹(はくたか)を選びました。白鷹は伊勢神宮へ納める御料酒を造り続けている蔵で、今回の47都道府県の中でも、現在の神事とのつながりが特にはっきりした存在です。
一方で、一般向けの商品もしっかり造られています。「大吟醸 白鷹」は、高精白した山田錦による華やかな香りと柔らかな口当たりが特徴。「極上白鷹」のように、生酛造りによるふくらみのある旨みとキレを楽しめる酒もあります。
兵庫県は酒米・山田錦の主要産地でもあります。伊勢神宮へ納める酒という現在進行形の役割と、灘酒として一般に味わえる日本酒の魅力を両方持つ一本です。
奈良県|豊祝
奈良県からは、奈良豊澤酒造の豊祝(ほうしゅく)です。春日大社では現在も、春日祭に供える御神酒が酒殿で造られており、その醸造を奈良豊澤酒造の杜氏が担っています。
ただし、「豊祝」そのものが春日大社の御神酒という意味ではありません。今回は、現役の御神酒造りを担う杜氏が所属する蔵の代表酒として選びました。
代表的な「大吟醸 豊祝」は、山田錦を磨き、低温でじっくり発酵させて造る香り高く風味豊かな酒です。純米吟醸や純米酒なども展開しており、神事を支える技術と、一般の人が味わえる日本酒が同じ蔵の中でつながっています。
和歌山県|くまの那智の滝
和歌山県では、尾﨑酒造の「純米酒 くまの那智の滝(くまのなちのたき)」を選びました。熊野信仰の聖地として知られる那智の滝に由来する水を、実際の仕込水として使っている日本酒です。
那智の滝の水は古くから特別な水として受け止められてきました。原料には和歌山県産の酒米を使い、純米酒として造られています。
一般に購入して味わえる商品で、やや辛口の飲み口が特徴です。霊場の名前を借りただけではなく、信仰の土地の水そのものが酒造りへつながっている点から、和歌山県の一本に選びました。
鳥取県|諏訪泉
鳥取県では、諏訪泉(すわいずみ)を選びました。
酒名の「諏訪」は諏訪神社、「泉」は水を表しており、蔵元自身が諏訪神社へ奉納する御神酒を造る蔵であることを名前の由来として説明しています。
諏訪泉は、華やかな香りだけを追うのではなく、料理と一緒に楽しめる酒造りを大切にしています。口当たりがやさしく、飲み飽きしにくく、冷酒だけでなく燗でも味わえる純米酒を中心に展開しています。
御神酒を造る蔵という由来がそのまま酒名に残り、現在は日々の食卓でも楽しめる日本酒として続いているところが、鳥取県の一本に選んだ理由です。
島根県|天穏
島根県からは、天穏(てんおん)です。
板倉酒造は、日本酒を自然や神、ご先祖から授かった米への感謝を込めて造るものと捉え、「御神酒こそが天穏・無窮天穏の目指す姿」と掲げています。
特定の神社だけに納める指定御神酒として選んだわけではありません。出雲の地で、蔵そのものが御神酒を酒造りの理想としていることを重視しました。
天穏には純米酒、純米吟醸、純米大吟醸、生酛や山廃仕込みなど多彩な酒があります。出雲の米や水を生かし、派手さだけではなく、米の旨みや穏やかな余韻を大切にしているのも特徴です。
岡山県|神心
岡山県では、嘉美心酒造の神心(かみこころ)を選びました。
創業時、「身も心も清めて酒を醸したい」という思いから「神心」という名が考えられましたが、「神」の字をそのまま使うのは畏れ多いとして、蔵の名は「嘉美心」とされました。
創業100年を機に、その原点へ改めて向き合って生まれたブランドが神心です。神社へ納める御神酒だから選んだのではなく、酒造りそのものに「身も心も清める」という考えが込められている点を重視しました。
純米吟醸や純米酒などがあり、岡山の米や土地を意識した酒造りも特徴です。名前の印象だけではなく、100年以上続く蔵の原点を現在の日本酒として形にした一本です。
広島県|神雷
広島県からは、三輪酒造の神雷(しんらい)です。酒名には、かつて蔵へ雷が落ちても大過がなかったという故事と、蔵のある神石高原町の土地への思いが込められています。
神雷そのものを神社の御神酒として選んだわけではありません。今回は「神の宿る国・神石」とも表現される土地と、酒名の由来が具体的につながっていることから取り上げました。
定番の純米酒をはじめ、生酛造りの酒や純米吟醸なども展開しています。地元の米を使った酒もあり、酒名だけではなく、神石高原という土地に根差して酒を造り続けていることも神雷の魅力です。
山口県|錦世界
山口県では、防府市の竹内酒造場が造る錦世界(にしきせかい)を選びました。竹内酒造場は、防府天満宮の御神酒を担う酒蔵として現在も紹介されています。
ただし、市販されている「錦世界」そのものを防府天満宮の御神酒と断定するのではありません。今回は、御神酒造りと縁のある蔵の代表銘柄として取り上げています。
酒造りには佐波川水系の地下水を使用。山口県発祥の酒米「穀良都」を使った純米吟醸などもあり、柔らかな水と地元の米を生かした酒造りを続けています。
防府天満宮との縁だけでなく、山口の水と酒米を現在の一本へつないでいるところが、今回の選定理由です。
徳島県|津乃峰
徳島県からは、津乃峰(つのみね)です。津乃峰酒造は1953年の創業以来、阿南市の津峯山頂に鎮座する津峯神社の御神酒として「清酒 津乃峰」を醸してきました。
これは、御神酒を造る蔵の代表ブランドを間接的に選んだケースではありません。「津乃峰」という銘柄そのものが、神社へ奉納する御神酒として造られてきた日本酒です。
現在は大吟醸や純米酒、吟醸酒なども造られており、地元で一般の日本酒として楽しむこともできます。神社、山、酒名、実際の御神酒造りが一続きになっている点で、今回のテーマとの結びつきが強い一本です。
香川県|金刀比羅宮 御神酒
香川県では、金陵の「金刀比羅宮 御神酒(ことひらぐう おみき)」を選びました。こんぴらさんとして親しまれる金刀比羅宮のオリジナル御神酒として用意されている商品です。
180mlの小瓶で、神前へ供えやすい大きさになっています。お供え専用で口にできない酒ではなく、御神酒として供えた後に日本酒としていただくこともできます。
酒蔵と神社に関係があるという間接的な選び方ではなく、商品名・用途・金刀比羅宮との関係が明確に一致している点から、香川県の一本としました。
愛媛県|石鎚
愛媛県では、石鎚(いしづち)を選びました。石鎚酒造がある西条市は、西日本最高峰・石鎚山のふところに位置し、酒造りにも石鎚山系の水が使われています。
ただし、石鎚を石鎚神社の御神酒として紹介するものではありません。今回は、古くから信仰を集める霊峰・石鎚山と、その土地の水から生まれる日本酒というつながりを重視しています。
石鎚酒造が目指すのは「食中に活きる酒造り」。純米酒や純米吟醸を中心に、料理と合わせながら杯を重ねられる酒を造っています。霊峰の名だけを借りたのではなく、その山系の水を生かして地元で醸し続けているところが魅力です。
高知県|仁淀川
高知県からは、高知酒造の仁淀川(によどがわ)です。仁淀川には、古く清らかな水が神様へ捧げる酒造りに使われたという伝承があります。
高知酒造は良質な水を求めて移転を重ね、現在も仁淀川水系で酒造りを続けています。昔の伝承だけを理由にしたのではなく、現在の酒造りも仁淀川の水とつながっていることから選びました。
仁淀川には純米酒、純米吟醸、吟醸、純米大吟醸など複数の商品があります。高知酵母を使った香り高い酒もあり、清流の物語と現代の高知らしい日本酒造りを一緒に楽しめます。
福岡県|庭のうぐいす
福岡県では、山口酒造場の庭のうぐいす(にわのうぐいす)です。
蔵の近くにある北野天満宮から鶯が飛来し、庭の湧水で喉を潤して水遊びする姿を見た当主が、その水の清らかさを知って酒造りを志したという物語が伝わっています。
蔵では、その鶯を北野天満宮からやって来る神様の遣いとして受け止めてきました。神社との縁に加え、清らかな湧水が酒造りの始まりにつながったことから今回の一本に選んでいます。
現在は純米酒や純米吟醸をはじめ、辛口タイプや季節酒など幅広く展開。「もう一杯飲みたい」と思えるような、食事に寄り添う酒造りを大切にしています。
佐賀県|幸姫
佐賀県からは、幸姫(さちひめ)です。醸造元の幸姫酒造は、日本三大稲荷の一つに数えられる祐徳稲荷神社の御神酒醸造元です。
ただし、「幸姫」というブランドのすべての商品が祐徳稲荷神社へ供える御神酒という意味ではありません。今回は、御神酒造りを担う酒蔵から、一般にも味わえる代表ブランドとして幸姫を選びました。
特別純米酒や純米吟醸、純米大吟醸などを展開し、佐賀県産の山田錦を使った酒もあります。神社との深い関係を持ちながら、普段の食事と一緒に楽しめる日本酒を選べるのが魅力です。
長崎県|白嶽
長崎県では、対馬の白嶽(しらたけ)です。酒名は、対馬を代表する霊峰・白嶽から付けられています。
白嶽そのものを御神酒として選んだわけではありません。島の大部分を山林が占める対馬で、古くから信仰を集めてきた山の名を持ち、島で日本酒を造り続ける蔵の代表酒であることを重視しました。
定番の上撰から大吟醸まで幅広い酒があり、普段の晩酌から特別な一杯まで選べます。霊峰の名と、離島で続く日本酒造りの両方を感じられる一本です。
熊本県|産土
熊本県からは、花の香酒造の産土(うぶすな)です。
「産土」は、生まれた土地やその土地の神々を表す古い言葉で、蔵では単なる商品名ではなく、土着の風土と祈りを大切にする酒造りの哲学として掲げています。
花の香酒造は、神社の井戸から湧く水と神田の米から酒造りを始めた歴史を持ちます。現在も土地の水、米、微生物など、その場所にあるものをできる限り生かした酒造りを目指しています。
代表的な「産土 山田錦」をはじめ、熊本の在来米を復活させて造る酒もあります。神社との由来だけでなく、土地そのものを酒へ映そうとする姿勢まで含めて、今回のテーマとの結びつきが強い一本です。
大分県|民潮
大分県では、民潮(みんちょう)です。民潮酒舗は宇佐市で酒造りを続け、宇佐神宮と縁のある酒蔵として知られています。
酒名にも宇佐神宮とのつながりがあります。宇佐神宮の別当僧・法蓮にまつわる故事から、人々が潮のように集まった様子にちなみ「民潮」と名付けられたと伝えられています。
大吟醸、純米酒、本醸造酒などが造られ、酒造りには地元の水が使われています。神社との関係だけではなく、銘柄名そのものに宇佐の歴史が残っていることから、大分県の一本に選びました。
宮崎県|高千穂献上酒 舞
宮崎県では、「高千穂献上酒 舞(たかちほけんじょうしゅ まい)」です。
高千穂神楽へ奉納するために特別に造られた日本酒で、五穀豊穣への感謝や翌年の豊作を願う神事と直接結びついています。
原料には高千穂産の米を使い、地元で造られる酒として仕上げられています。土地の神事にちなんで名前だけ付けた酒ではなく、実際に奉納するために生まれた一本です。
高千穂という神話の里で、地域の米から酒を造り、その酒を神楽へ捧げるという一連の流れが現在まで続いていることが、大きな選定理由です。
鹿児島県|薩州正宗
鹿児島県では、濵田酒造の薩州正宗(さっしゅうまさむね)です。焼酎の印象が強い鹿児島で造られている清酒で、いちき串木野市の霊峰・冠岳の伏流水を仕込水に使っています。
冠岳は古くから信仰を集めてきた山です。薩州正宗を特定神社の御神酒として選んだわけではなく、霊峰の水が実際の酒造りへ使われているという土地とのつながりを重視しました。
純米酒や純米吟醸などが造られており、純米酒では米のふくよかな香りや厚みのある旨みを楽しめます。鹿児島の霊峰の水から生まれる日本酒という、県内でも特徴的な一本です。
沖縄県|黎明(再始動準備中)
沖縄県では、黎明(れいめい)を特別枠として取り上げます。沖縄の清酒として長く造られてきた銘柄ですが、旧蔵での製造・販売はいったん休止されています。
その後、日本酒造りを石垣島で再び始める計画が進められています。石垣島の水や沖縄県産米を生かし、沖縄で日本酒造りを次の時代へつなぐ構想です。
ただし、現時点では新しい日本酒の現行商品を確認できていません。そのため、ほかの46都道府県のように「今すぐ選べるおすすめ酒」として紹介するものではありません。
今回は、沖縄で続いてきた日本酒造りの歴史を受け継ぎ、再始動を待つ銘柄として黎明を選びました。
自分の県の一本は見つかりましたか?御神酒そのものから、神社と縁のある蔵の代表酒、霊山や水とのつながりで選んだ酒まで、47銘柄の背景はさまざまです。
ここからは、そもそも日本酒の「浄化力」とは何を指すのか、その背景を見ていきましょう。
そもそも日本酒の「浄化力」とは?

ここでいう日本酒の「浄化力」は、特定の銘柄に霊を祓う力がある、飲めば悪い運気が消えるといった超常的な能力を表すものではありません。
日本酒が古くから神様への供物となり、神事や清め、祈願などの場で使われてきた文化的な背景をもとにした表現です。
実際、日本酒は神前に供える御神酒としてだけでなく、地鎮祭などさまざまな伝統行事でも使われてきました。こうした歴史や習慣が、日本酒と「お清め」「邪気払い」といったイメージを結びつけています。
そのため今回の47銘柄も、「浄化力が何点ある」と測ったものではありません。日本酒と神事・信仰・清めとの具体的なつながりを手がかりに選んだ47都道府県の銘柄として紹介しています。
47銘柄はどう選んだ?浄化にまつわる日本酒の選定基準

47都道府県の日本酒を調べると、神様や神事とのつながり方は酒によってかなり違いました。
そこで今回は「御神酒だけ」と狭く限定せず、次の4つの視点から、それぞれの県で背景を説明できる銘柄を選んでいます。
御神酒や奉納に使われている日本酒
最も直接的なのは、神社へ御神酒として納められていたり、祭礼や神事で銘柄そのものが奉納されていたりする日本酒です。
たとえば茨城県の二波山松緑は笠間稲荷神社の御神酒、徳島県の津乃峰は津峯神社の御神酒として造られてきました。宮崎県の高千穂献上酒 舞のように、神楽への奉納を目的として特別に造られた酒もあります。
一方、蔵が御神酒造りを担っていても、今回紹介した市販銘柄そのものが御神酒とは確認できないケースもあります。その場合は「御神酒を造る蔵の代表酒」として区別して選びました。
神社や神様に由来する日本酒
酒名や蔵の始まりが、神社や神様と結びついている日本酒も対象にしています。
長野県の真澄は諏訪大社の「真澄の鏡」、群馬県の咲耶美は木花咲耶姫に由来します。東京都の國府鶴のように、神社の御神酒造りが酒蔵の始まりにつながった例もあります。
単に「神」という文字が入っているからではなく、なぜその名前になったのか、神社や信仰との具体的な背景を確認できることを重視しています。
霊山や信仰の地と結びつく日本酒
特定神社の御神酒ではなくても、昔から信仰を集めてきた山や土地とのつながりが明確な酒もあります。
富山県の立山、愛媛県の石鎚、長崎県の白嶽などがこのタイプです。いずれも、その土地を代表する信仰の山と酒名や酒造りが結びついています。
こうした酒については、「霊山の名を持つ=御神酒」とは考えません。神事との直接的な関係がある酒とは分けたうえで、その地域ならではの信仰や土地との縁を選定理由にしています。
清めや祈りにまつわる水・土地と縁のある日本酒
日本酒に欠かせない水や米まで調べると、信仰の土地とのつながりが見えてくる銘柄もあります。
熊本県の産土は、神社の井戸から湧く水と神田の米から酒造りを始めた歴史を持ちます。鹿児島県の薩州正宗には霊峰・冠岳の伏流水、和歌山県のくまの那智の滝には那智の滝に由来する水が使われています。
酒がどこへ奉納されたかだけでなく、どの土地で、どんな水や米から生まれているかまで見ることで、各地の日本酒と信仰文化との違ったつながりが見えてきます。
なぜ日本酒は神事やお清めに使われる?

日本酒が神事やお清めと結びついてきた背景には、神様へ酒を供える文化があります。さらに、供えた御神酒を人がいただく「直会」や、地鎮祭などで酒を用いる習慣も受け継がれてきました。
ここでは、日本酒が神事の中でどのような役割を持ってきたのかを見ていきます。
日本酒は神様への大切な供物とされてきた
神社の祭りでは、米や餅、塩、水などとともに酒も神饌として神様へ供えられます。
日本酒の原料となる米は、日本の暮らしや農耕と深く結びついてきた食べ物です。その米から手間をかけて造る日本酒も、神様への大切な供物とされてきました。
神社で酒樽や一升瓶が奉納されている光景が見られるのも、こうした文化が背景にあります。今回紹介した銘柄の中に、地域の神社や祭礼と長い関係を持つ酒が多いのもそのためです。
供えた御神酒をいただく「直会」の文化がある
神事では、酒を神様へ供えて終わりではありません。祭りの後に、神前へ供えた御酒や食べ物を神職や参列者がいただく「直会」という習慣があります。
供えたものを人がいただくことには、神様からの恵みを受け取り、祭りを締めくくる意味があります。現在は直会を簡略化し、御酒だけをいただく形もあります。
つまり御神酒には、神様へ捧げる供物であると同時に、供えた酒を人がいただくことで祭りを結ぶ役割もあります。
地鎮祭など清めや祈願の場でも使われる
日本酒は神社の祭礼だけでなく、家や建物を建てる前に行う地鎮祭などでも使われています。神前へ供えたり、土地を清める場面で酒を用いたりする習慣があります。
こうした習慣が現在も残っているため、「日本酒で清める」という感覚は昔話の中だけにあるものではありません。神様へ酒を供え、安全や無事を祈る文化が、日本酒と「お清め」「邪気払い」といったイメージを結びつけてきました。
浄化目的で日本酒を飲むとどんな効果がある?

「浄化のために日本酒を飲むと、何か特別な効果があるの?」と気になる人もいるかもしれません。
日本酒を飲めば霊が祓われる、悪い運気が消える、特定の銘柄なら強い浄化作用が得られるといった超常的な効果を、事実として示すことはできません。そのため、今回紹介した47銘柄についても「飲めば浄化される酒」と断定するものではありません。
一方、日本酒は御神酒として神様へ供えられ、その酒を人がいただく文化の中で、祈りや節目と結びついてきました。
日本酒を飲むことの「浄化」は、科学的な効果というより、神事や祈りの中で酒に込められてきた文化的・信仰的な意味として捉えるのが自然です。
「気分を切り替えたい」「節目として一杯いただきたい」というときも、無理にたくさん飲む必要はありません。日本酒はアルコール飲料なので、飲めない人がお清めのために飲酒する必要もありません。
飲酒による影響には年齢や体質などによる個人差があります。飲む場合は体調や体質に合わせ、無理のない範囲で楽しみましょう。
気になる一本は、土地の背景ごと楽しんでみよう

47都道府県を見ていくと、日本酒と神事や信仰とのつながり方は一つではありません。
神社へ御神酒として納められる酒もあれば、御神酒造りを担う蔵の酒、神様の名前を受け継ぐ酒、霊山の水から造られる酒もあります。
だからこそ、自分の県で選ばれた一本を見て終わるのではなく、「なぜこの酒なんだろう?」と背景までたどってみると、日本酒だけでなく、地元の神社や祭り、山、水、歴史まで新しく見えてきます。
そして気になる銘柄が見つかったら、今度は一杯の日本酒として味わってみてください。香りや甘辛、米の旨み、料理との合わせ方は酒によってさまざまです。
「浄化力」という入口から出会った一本を、最後はその土地の物語と味わいの両方で楽しむのが、今回の47銘柄のおすすめの楽しみ方です。










